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中国リポート

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 4月のリオデジャネイロ五輪・アジア予選会の第1ステージで優勝し、リオ五輪の出場権を獲得した李暁霞。その後、4月21日に中国オリンピック委員会が五輪出場を承認した。中国女子の孔令輝監督は、中国の卓球雑誌『ピンパン世界』のこのような文章を寄せている。「李暁霞は世界選手権団体戦では50%のプレーだったが、アジアカップでは90%くらいまで来ている。我々の期待するレベルに達している。シングルスのもうひとりの代表は、発表される5月30日までの練習での状況、故障の状態などを見て総合的に判断したい」。李暁霞のリオ五輪・シングルス出場は決定済、という感じだ。

 もちろん、大陸予選を通過した選手が五輪のシングルスに出場するのは、本来はごく当然のこと。しかし、中国では「出場権は選手個人ではなく協会に与えられる」と判断される。12年ロンドン五輪の際、世界ランキング推薦での五輪出場権を獲得していた郭炎が、丁寧とエントリー変更されたことは記憶に新しい。今回もエントリーの最終期限である6月18日まで、何が起きるかわからない。

 実は李暁霞は昨年の後半、相次ぐ病気や故障に悩まされ、一度は現役引退を決めていたという。「国家チームが李暁霞を慰留している」という噂は聞こえてきていた。李暁霞も「完全に気力が萎えてしまって、もうプレーできる自信がなかった。天壇公寓(国家チームの選手が住むマンション)から荷物を運び出したりして、引退の準備をしていた」と語っている(出典:雑誌『ピンパン』)。しかし、孔令輝監督が彼女の引退を認めなかった。
 そして、中国卓球協会の蔡振華会長と話をする中で、李暁霞は最終的に現役を続行する決断を下した。「スポーツ選手というのは、プレーの質が落ちたり、技術が時代遅れになったりして引退するものだ。しかし、李暁霞の技術はまだ最先端のものだし、故障も致命的なものではない。ここで引退してしまうのはあまりに惜しい」。それが蔡振華の言葉だった。

 丁寧と劉詩ウェンをシングルスに出し、団体3番手に李暁霞。この布陣でほぼ決まりかと思われた中国女子のリオ五輪代表だが、果たしてどうなるのか。ただ、このまま李暁霞と劉詩ウェン(世界ランキング推薦)がリオ五輪のシングルスに出場し、丁寧が団体のみの出場、というのは考えにくい。丁寧は「優勝すればリオ五輪のシングルスは当確」と言われた15年世界選手権を制しているし、12年ロンドン五輪女子決勝での悔しい敗戦を糧に、リオ五輪でのリベンジを誓って努力を続けてきた選手。シングルスに出場できなければ、モチベーションの維持も難しくなる。エントリーの最終確定まで、しばらくは静観あるのみか。
  • かなり調子を戻してきている李暁霞だが……(写真は16年五輪アジア予選)