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中国リポート

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 3月3日から10日まで、広東省深セン市で行われている世界選手権個人戦・デュッセルドルフ大会の中国代表選考会。今回は「地表最強12人(地上最強の12人)」と銘打ち、英語での大会名称は「the Marvelous 12」。すでにイメージ写真や大会ロゴを目にした方もいるだろうが、国内選考会のスタートから11年目を迎え、思い切って商業化への舵(かじ)を切ってきた。
 12名の選手が3ゲームズマッチで総当たりのリーグ戦を行い、総合1位の選手が代表第1号となる第1ステージは、3月7日に終了。男子は樊振東、女子は劉詩ウェンが代表権を獲得した。まず男子の総合成績からお伝えします。

〈男子〉
1   樊振東   9勝2敗 ★世界選手権代表権を獲得
2   馬龍    9勝2敗
3   林高遠   8勝3敗
4   許シン   8勝3敗
5   梁靖崑   6勝5敗
6   周啓豪   6勝5敗
7   周雨    5勝6敗
8   徐晨皓   4勝7敗
9   閻安    4勝7敗
10  劉丁碩   3勝8敗
11  方博    2勝9敗
12  張継科   2勝9敗

★主な対戦成績
[○林高遠 ー5、8、8 樊振東][○劉丁碩 5、4 樊振東]
[○樊振東 6、ー5、12 馬龍][○周啓豪 4、ー6、10 馬龍]
[○馬龍 6、ー7、5 許シン][○樊振東 4、5 許シン]
[○林高遠 ー4、6、11 許シン][○許シン ー8、10、4 張継科]

 すべて3ゲームズマッチで行われる今回の選考会で、代表第1号となったのは樊振東。馬龍と9勝2敗で並んだが、直接対決で勝利していたために総合1位となった。惜しくも2位となった馬龍、樊振東戦は第3ゲームに3回のマッチポイントを握りながら、あと1本が取れず。馬龍は試合後に「ぼくらはふたりともレベルの高いプレーをしたと思うし、素晴らしい試合だった。お互いにプレーがベストのものなら、どちらが勝ってもおかしくない。これが試合というものだよ」(出典:『新浪体育』)とコメントしている。

 そして、今大会の波乱の立役者となったのは、総合3位の林高遠と6位の周啓豪だ。林高遠は樊振東と許シンを破り、周啓豪は馬龍との打撃戦を制して金星を挙げた。林高遠は10・11・12年世界ジュニア2位、周啓豪は13年世界ジュニアベスト8。ジュニア時代は攻めが遅く、もうひとつ突き抜けた成績を残せなかった両選手だが、この選考会では5月の世界選手権個人戦と同様、ニッタクの『プラ3スタープレミアム』を使用。中国選手が普段の練習で使う紅双喜のボールに比べると硬質で、中陣から回転量の多いフォアドライブを放つ両選手のスタイルにフィットしたのではないか。

 そして総合12位の張継科は、2勝9敗という成績になっているが、第6戦を終えて2勝4敗となったところで棄権。周啓豪と方博に競り勝ったものの、初戦で劉丁碩に敗れ、第4戦から徐晨皓・許シン・周雨に3連敗を喫した。棄権の原因となったのは、昨年の10月に傷めた左足のくるぶしの部分の故障。今回も試合を消化するうちに腫れがひどくなり、国家チームのドクターからストップがかかった。劉国梁総監督は北京から専門のドクターを呼び寄せ、レーザー治療に当たらせたが、第2ステージ(8〜10日)も出場はかなわず。骨に異常はなく、靭帯(じんたい)を傷めているのだというが、あまりにも長引き過ぎている。

 しかし、劉国梁総監督の張継科に対する信頼感は揺らがないようだ。「張継科とは毎日連絡を取っているよ。東京五輪に向け、彼は本当に努力をしていると感じる。ゆっくりとではあるが、カムバックしようとしている。彼の潜在能力は大きい。一度こうやると決めたことについては、張継科はいつだって奇跡を起こすことができる」(出典:『信息時報』)。果たして、デュッセルドルフの舞台に張継科は立てるのか。
  • 男子で代表第1号の樊振東(写真は16年ジャパンオープン)