世界選手権個人戦デュッセルドルフ大会の中国代表選考会、「地表最強12人(地上最強の12人」直通選抜。女子第1ステージは、国際大会への出場停止処分が解けた劉詩ウェンが、11戦全勝と文句なしの成績で代表第1号となった。これまで代表選考会などでも、大事なところで取りこぼすことが多かった劉詩ウェンだが、その成長を印象づける結果だ。総合成績は下記のとおり。
〈女子〉
1 劉詩ウェン 11勝0敗 ★世界選手権代表権を獲得
2 丁寧 9勝2敗
3 陳夢 6勝5敗
4 馮亜蘭 6勝5敗
5 木子 6勝5敗
6 朱雨玲 5勝6敗
7 陳可 4勝7敗
8 李佳イ 4勝7敗
9 王曼昱 4勝7敗
10 袁雪ジャオ 4勝7敗
11 武楊 4勝7敗
12 顧玉ティン 3勝8敗
★主な対戦成績
[○劉詩ウェン 8、ー7、3 馮亜蘭][○劉詩ウェン ー8、11、8 木子]
[○劉詩ウェン 13、ー3、5 朱雨玲][○劉詩ウェン 11、9 丁寧]
[○木子 ー11、6、3 丁寧][○木子 6、ー6、7 朱雨玲]
[○陳夢 4、ー9、5 木子][○武楊 ー5、11、8 陳夢]
[○陳夢 ー8、10、1 朱雨玲][○王曼昱 8、5 朱雨玲]
3位の陳夢以下は12位の顧玉ティンまで勝ち星の差が3つしかない大混戦だが、やはり劉詩ウェンと丁寧の実力は頭ひとつ抜けている。このふたりが激突したのは最終の第11戦。丁寧が勝利して10勝1敗で並べば、直接対決の結果で丁寧が1位になるところだったが、劉詩ウェンは第1ゲーム8ー10から追いついて13ー11で奪取。第2ゲームは4ー0と劉詩ウェンがスタートダッシュをかけ、丁寧が追いすがるも、10ー9で2回目のマッチポイントを迎えた劉詩ウェンの回り込みドライブがエッジ。劉詩ウェンが鮮やかな11連勝で代表一番乗りとなった。
女子ワールドカップを消極的な理由で欠場したとして、昨年11月から今年1月半ばまで国際試合への出場停止処分が下されていた劉詩ウェン。その時期には「もうプレーするのをやめようと思ったこともあった」という劉詩ウェンだが、代表権獲得について「この数日間の非情な戦いの中で、最初に代表権を獲得できてとてもうれしい。ここ最近の中でも、一番エキサイティングで興奮する試合だったし、全体の進行などはまるで世界大会のようでした」(出典:『新浪体育』)とコメントしている。
ちなみにこの劉詩ウェンと丁寧の決戦で、軽妙な解説を披露したのが王楠と張怡寧の「女王様コンビ」。「ふたり(丁寧と劉詩ウェン)のプレーを見ていると、昔の私たちを思い出します」と王楠が言えば、張怡寧はふたりの「緊張のサイン」をこんなふうに解説した。「劉詩ウェンは緊張すればするほど小さくなってくるんですよ、ほら見てください、どんどん縮んできたでしょう。丁寧は口の中でブツブツつぶやき始めたら、緊張している証拠ですね」。ちなみに今回の3ゲームズマッチについて、王楠はズバリとこう言っている。「絶対、劉国梁総監督が考えついたんでしょ? だって昔から選手をいじめることばかり考えていたもの」。
女性の第1ステージの成績を見ても、3位以下は「どんぐりの背比べ」とはいえ、馮亜蘭と木子という強打者が上位に来たのはやはり使用球(ニッタク『プラ3スタープレミアム』)の影響か。朱雨玲の5勝6敗は国家チームの首脳陣からすれば期待外れの成績だが、バックハンドの堅い守りを軸にプレーする彼女は「スロースターター」の傾向がある。その課題を浮き彫りにしたのが3ゲームズマッチだとしたら、考案者(劉国梁総監督?)の狙いどおり、というところだろう。今回の選考会では、男女とも昨日10日に第2ステージが終了し、2人目の代表も決定している。その模様も続けてお伝えします。