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2013世界ジュニア選手権速報

 8日間に渡ってモロッコ・ラバトで行われた世界ジュニア選手権も無事に終了。ホテルに朝4時45分に迎えに来るタクシーを待っている速報担当です。

 男子シングルス準決勝の終了後、練習会場に行ってみると、片隅でサーキットトレーニングに励む男子チームの姿があった。なんと、ついさっきまで試合をしていた森薗選手も明るい表情でトレーニングに参加していた。もちろん、大会の反省や総括は行うが、すぐに未来に向かってリスタートが切れるこの明るさは、ジュニア選手の特権だ。戦いはもう始まっているのだ。

 これで世界ジュニア選手権モロッコ大会の速報を終わります。大会の模様は、速報ページとして12月21日発売の卓球王国2月号に掲載します!
 そして、有望な若手選手や世界のジュニア卓球界の動向など、よりディープな詳報を1月発売の卓球王国3月号に掲載します。こちらもご期待ください!

 それにしても、モロッコは寒かったな…。すきま風が身にしみるラバトのホテルから、皆さまさようなら…。
  • 男子シングルス3位・森薗政崇

  • 混合ダブルス3位・酒井明日翔/森さくら

  • 最終日もトレーニングに励む男子チーム

 男女シングルスの表彰が終わった後、ジャン・ウジンと顧玉ティンのふたりは輿(こし)に乗せられ、ぐるりと会場を一周。この優勝パレードが終わると、会場にはスタッフや観客がなだれ込み、選手たちと写真を撮ったりして、フロアは混沌のるつぼと化したのでした。下写真はジャン・ウジンくん目線で語る優勝パレードの様子。
  • 何コレ?ボ、ボクどうなっちゃうの?

  • うわうわ、も、持ち上がった!

  • なるほどね、コリャいいわ〜

  • これが優勝カップですよ、写真はお早めに!

  • イエ〜イ!でもそろそろ下ろして〜

  • 一体どこへ連れていかれるんだろう…

  • そして、この人たち誰なんだろう…

●男子シングルス決勝
ジャン・ウジン(韓国) 6、-8、7、14、4 周凱(中国)

男子シングルス決勝を制したジャン・ウジン(張禹珍)。韓国勢の優勝は、07年大会の丁祥恩(ジョン・サンウン)以来。梁靖崑、孔令軒、周凱と3人の中国選手を破っての優勝は衝撃的だ。

準決勝の孔令軒戦と同様、このゲームでもサービスエースを連発したジャン。特に勝負所となった第4ゲームの終盤では、ジュースの連続の中で2回のサービスエースを奪った。コートサイドの真横から見ていても、そのサービスのボールタッチは繊細で、天才的。ほぼ同じモーションから横下、横上、YGなど多彩な回転のサービスを出し分ける。

ドイツでの卓球留学の経験から、大きなラリーに強いところも特長だ。中・後陣でのロビングでのしのぎや、そこからの逆襲もうまい。韓国のスピリットとドイツの創造性が融合し、類い希な打球センスを持つジャン・ウジンという選手を生み出した。恐るべきハイブリッド・プレーヤーだ。

優勝を決めた後、台に飛び乗って観客の声援に応えたのは褒められた行為ではない。07年大会の「台乗り男」、中国の宋時超を思い出した。彼はその後、中国代表になることはなかったが、このジャン・ウジンは鄭栄植・金ミン鉐・徐賢徳という韓国の「若手三銃士」にも割って入りそうな勢いだ。
  • フォアドライブは抜群のスイングスピード

  • なんと、台に……乗ってしまった

  • ベンチのコ・クァンヒコーチとガッツポーズ

  • 韓国男子では6年ぶりの頂点

●女子シングルス決勝
顧玉ティン(中国) 9、-7、-9、5、-3、9、8 劉高陽(中国)

女子シングルス決勝は、顧玉ティンがゲームオールで劉高陽を下した。三度目の決勝進出でついに頂点に立った!

ともに長身のサウスポー、両ハンドのラリー戦を得意とするふたり。しかし、劉高陽が手首の柔らかさと強さを活かし、ムチのようにしなるスイングで打球点の高い両ハンドドライブを打つのに対し、顧玉ティンはその身体能力の高さゆえか、打球点に対する厳しさがあまりない。特にバック対バックでは劉が優勢に立ち、顧はバック対バックの勝負を極力避け、早めに回り込むか、先にバックハンドで相手のフォアへボールを回していた。

フォアのスイングも劉のほうが合理的で、フォアストレートにもパワードライブが打てる。顧はややアッパースイングで、劉高陽に比べると弧線が高い(山なりになる)。それでも顧は中盤から、中陣でフットワークを活かしてよく動き、フォアの連続攻撃でプレッシャーをかけた。バックハンドは強打は無理でもとにかくしのいだ。優勝を意識してしまった感がある劉は、受け身に回り、タイトルをあと一歩で逃した。

5回目の世界ジュニア、3回目の決勝進出、そしてついに初優勝の顧玉ティン。これで晴れて世界ジュニアは卒業。これから中国代表に定着していけるか、注目だ。
  • 最後は迷わずに攻め抜いた顧玉ティン

  • 劉高陽、悔しい準優勝

  • 決勝後に安堵の表情

  • ついに表彰台の頂点に立った

●女子シングルス決勝
顧玉ティン(中国) 9、-7、-9、5、-3、9、8 劉高陽(中国)

●男子シングルス決勝
ジャン・ウジン(韓国) 6、-8、7、14、4 周凱(中国)

女子シングルスは顧玉ティンが3回目の決勝進出でついに初優勝。そして男子シングルス決勝はジャン・ウジンが優勝。韓国勢としては、07年大会の丁祥恩以来となる優勝を飾った!この優勝は衝撃的、スゴイ男が現れた!

詳細は後ほど!しばらくお待ちください!
●女子ダブルス決勝
顧玉ティン/劉㬢(中国) 8、9、9、-8、9 劉高陽/王曼玉(中国)

●男子ダブルス決勝
孔令軒/周啓豪(中国) -10、9、13、7、-11、7 ジャン・ウジン/パク・チャンヒョク(韓国)

男女ダブルスとも優勝は中国。男子ダブルス決勝では韓国ペアがあと一歩まで迫ったが、混合ダブルス決勝では気合いの入っていなかった孔令軒と周啓豪がさすがに本気のプレー。韓国ペアの強打をブロックでしのぎ、中陣からのフォアドライブで逆襲。韓国ペアはジャン・ウジンにシングルスとの2冠の可能性が残っていたが、及ばなかった。

動員なのだろうか、会場には先ほどから多くの中国人の観客が姿を見せ、「中国隊、加油!」の大合唱。しかし、卓球観戦には慣れていないのか、サービスの構えに入ってもお構いなしで声援を飛ばしている。
  • 女子複優勝の顧玉ティン/劉㬢

  • 孔令軒/周啓豪はタイトル保持にプライドを見せた

  • 韓国ペア、タイトルにあと一歩

男子シングルス準決勝で敗れ、男子シングルス3位となった森薗政崇。決勝の舞台に立てなかったのは残念だが、団体戦では7勝1敗の活躍で、常にトップで先制点を挙げ、チームの準優勝に貢献。団体とシングルスで孔令軒・周啓豪というふたりの中国選手を破るなど、改めて世界にその名を知らしめる大会になった。

現在、高校3年生の森薗。小学生時代から天才少年として注目を集めてきたが、中学から高校1年くらいにかけては伸び悩んだ時期があり、全国大会でもなかなか結果を残せなかった。全日本ジュニアではベスト8が定位置だった。それが2013年になってから、全日本ジュニア優勝、インターハイ優勝、そして最初で最後の出場になった今回の世界ジュニアでは3位。一気に成績を伸ばしてきた。

台上バックドライブを取り入れたことで、課題としていたレシーブが改善されたことも飛躍の要因だが、試合前の入念な体操や、試合への集中力の高め方など、アスリートとしての意識が非常に高い。ストレッチ中でも、カメラを向けるとすぐポーズを取って田中トレーナーに叱られてますが……。

会場は寒かったけど、キミのプレーは熱かった。大会最終日まで勝ち残り、懸命のプレーを見せてくれた若大将に拍手!
  • ベンチの田勢コーチと試合後に握手

●混合ダブルス決勝
孔令軒/劉㬢(中国) -8、5、-6、11、-7、8、7 周啓豪/顧玉ティン(中国)

男子シングルス準決勝が終わったとたん、潮が引くように各国の選手団も引き上げ、ガラガラの会場で行われた混合ダブルス決勝。ガラガラの会場、といっても今大会は常にガラガラだったので、その中でもあまりに寂しい会場、寂しい試合だったということ。

中国ペア同士の試合で、男子のふたりにはあまり真剣味がなかったが、女子の劉㬢と顧玉ティンはゲーム間のベンチでも積極的にアドバイスをして、「タイトルを獲りに来ている」という感じだった。同士討ちなのでベンチにコーチが入らないのは普通だが、コーチの姿は観客席にも見当たらない……。
  • アンタね、こっちは遊びじゃないのよ(想像)

  • 逆転負けを喫した周啓豪/顧玉ティン

  • 会場には関係者の姿すらなく…

●男子シングルス準決勝
ジャン・ウジン(韓国) -6、-11、9、4、5、8 孔令軒(中国)
周凱(中国) -9、9、7、10、8 森薗

無念、森薗は周凱に1-4で敗れ、銅メダル。これで日本選手団は世界ジュニアでのすべての戦いを終えた。

第1ゲームを幸先良く先取した森薗だったが、周は自らの武器である両ハンドのパワードライブを封印。徹底して両ハンドのループドライブによる回転量、そして台上バックドライブでフォアに振って、バックに切り返す広角のコース取りで攻めてきた。森薗のカウンターブロックやバックハンドに振り回されるよりは、自分の持ち味を殺してでも、相手の得意な展開に持ち込ませない。周凱という選手に負けたというよりも、中国卓球の回転と戦術に負けた、という印象が強い。

台上の浮いたストップさえ、カウンターでブロックされる危険性があるパワードライブではなく、ダブルストップで対応した周凱。ネチネチとあまりにも地味な戦い方だったが、効果は抜群だった。森薗としては、10-8でゲームポイントを握った第4ゲームを取りたかった。うーん、悔しい…!!

男子シングルス準決勝のもうひと試合はジャン・ウジンが勝利。あれよあれよという間に決勝まで勝ち上がってきた。第6ゲーム中盤で孔令軒から4本連続でサービスエースを奪うなど、試合の中盤から強打の孔令軒を思うがままにコントロール。どちらが中国選手か分からないくらい、ジャンが完璧に先手を取っていた。
  • 森薗は周のループドライブにややミスが出た

  • 己を殺し、相手を殺した周凱

  • 非常に変化がわかりにくいジャンのサービス

●女子シングルス準決勝
顧玉ティン(中国) 6、7、-8、6、8 劉㬢(中国)
劉高陽(中国) 8、8、-6、-8、8、10 王曼玉(中国)

 女子シングルス準決勝は、顧玉ティンと劉高陽の両サウスポーが決勝へ勝ち上がった。顧玉ティンは09・12年度大会で女子シングルス決勝に進出しながら、二度の準優勝。もう世界ジュニア代表は「卒業」してもいいはずだが、代表として派遣され続けているのはコーチ陣からの「課題」か。今年が最後のチャンス、三度目の正直で優勝を果たしたいところだ。

 また、劉高陽に敗れた王曼玉も高い将来性を感じさせた。丸くて小さい頭に長身、マッチ棒のような(失礼!)ヒョロッとした体つきで、これで筋力がついてくれば怖い存在。コートを離れると消え入りそうな感じだが、コートに入ると所作の端々に秘めた闘志を感じさせる。
  • 顧玉ティン、三たび決勝へ

  • まだまだ伸び盛りの王曼玉