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速報・現地リポート

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2014世界ジュニア選手権大会速報

 これで2014世界ジュニア選手権の速報を終了します。各種目のメダリストは上記のとおり。今大会の報道記事は、早くも今月20日発売の卓球王国2015年2月号に、ドーンと掲載予定です。ご期待ください。
 それにしても上海は寒かったな……。格安ホテルの暖房はさっぱり効かず、部屋に置いておいたミネラルウォーターは常に飲み頃の冷え冷えでした。

★2014世界ジュニア選手権・上位成績

〈男子団体〉

優勝:中国
準優勝:日本
3位:韓国、チャイニーズタイペイ

〈女子団体〉
優勝:中国
準優勝:日本
3位:中国香港、アメリカ

〈男子シングルス〉
優勝:于子洋(中国)
準優勝:村松雄斗(日本)
3位:劉丁碩(中国)、薛飛(中国)

〈女子シングルス〉
優勝:王曼昱(中国)
準優勝:朱朝暉(中国)
3位:陳可(中国)、何卓佳(中国)

〈男子ダブルス〉
優勝:呂翔/薛飛(中国)
準優勝:趙勝敏/金民爀(韓国)
3位:彭王維/王泰威(チャイニーズタイペイ)、劉丁碩/王楚欽(中国)

〈女子ダブルス〉
優勝:陳幸同/劉高陽(中国)
準優勝:平野美宇/伊藤美誠(日本)
3位:何卓佳/朱朝暉(中国)、ジ・ウンチェ/李ジオン(韓国)

〈混合ダブルス〉
優勝:王楚欽/陳幸同(中国)
準優勝:呂翔/王曼昱(中国)
3位:薛飛/劉高陽(中国)、于子洋/何卓佳(中国)
 大会の全日程を終了した第12回世界ジュニア選手権。日本は男女団体での銀メダルに続き、男子シングルスで村松雄斗、女子ダブルスで平野美宇と伊藤美誠が銀メダルを獲得。大会を通じて計4枚の銀メダルを獲得した。

 個人戦に入り、日本チームは果敢に中国に挑んだ。女子シングルスでは、前田美優が3位に入った陳可と火の出るような打撃戦を演じ、佐藤瞳はカーブロングも駆使した鉄壁の守りで何卓佳をゲームカウント3ー1まで追い詰めた。そして、平野/伊藤ペアが王曼昱/陳可ペアを破ってついに「中国越え」。それに続いて、村松が呂翔と薛飛を連破し、決勝に進出する活躍を見せた。男子シングルスで梁靖崑と対戦した吉村和弘、于子洋と対戦した坪井勇磨も、ゲームポイントを取ったり、終盤までリードを奪う展開は多かった。一方で、男女団体戦ではまだチームが「闘う集団」になりきれていなかった印象もある。

 男子シングルス2位の村松は、一昨年の世界ジュニアは右ひじの故障と戦いながらのプレーだった。昨年の世界ジュニアでは、決勝の中国戦で2敗を喫し、試合後に涙を流した。今年8月のユース五輪では男子シングルス決勝で樊振東に惜敗し、悔しさをあらわにした。そのシーンを、コートサイドでずっと見てきた。今大会も頂点には手が届かなかったが、敗戦を重ねても中国に挑み続けてきたからこそ、準優勝という今回の成績がある。

 技術面の分析や、フィジカル(身体能力)の強化を進めながら、日本は何度中国に負けてもチャレンジャーであり続けたい。決して臆することなく中国にぶつかってほしい。「100回負けてもいい、ビッグゲームで1回勝てればいい」とは79年世界チャンピオンの小野誠治さんの名言。ぶつかって壊れない壁なら、ほんの小さな手がかりでも組みついて登っていくしかない。
  • 男子シングルス準々決勝で、呂翔を破った村松

  • 平野/伊藤ペアは王曼昱/陳可ペアに勝利した

 男子シングルスで呂翔、薛飛という中国勢を破り、銀メダルを獲得した村松雄斗。表彰式では、3枚の五星紅旗(中国の国旗)の中に日の丸が1枚、鮮やかに翻った。ユース五輪決勝で樊振東と素晴らしい勝負を繰り広げたことで、中国でも村松の評価は相当高まっていると聞く。今大会での活躍で、さらに中国は「村松対策」に本腰を入れてくるだろう。

 「0ー4で負けたけど、そのうち3ゲームは9ー11で、全部9ー9から落としている。勝負どころで凡ミスをしているので、そこが(于子洋との)差だと思いました。于子洋の強いボールを警戒して、つなぎのボールにうまく対応できなかった部分がある。彼はミスをしてもガンガン打ってくるので、それがイヤだった」。試合後にそう語った村松。「団体戦の時はずっとミドルを攻められて、それでやられていたので、今回は対ミドルを徹底して練習して試合に臨んだ。だからミドル攻めにはうまく対応できたと思いますが、于子洋は大事な場面で違う戦術を使ってきた。急に縦回転系のサービスを出されて、合わせてレシーブすると早い打球点でバック深くを攻められた」(村松)。

 フォアドライブの引き合いや、カットからの逆襲で得点する場面も多かったが、今大会はサービス力の向上が光った大会でもある。準決勝の薛飛戦では出足からサービスエースの山を築き、完全に相手の勢いを封じていた。今後は、サービスから3球目攻撃での速攻や、レシーブからの4球目攻撃も研究していきたい。
 「目標は優勝でした。決勝まで来られたのはうれしく感じるけど、丹羽さんや松平健太さんが優勝して、世界で活躍しているので、ぼくも今回優勝して弾みをつけたかった。まだふたりとは差があると思いました。自分はもっと上にいけると思う。これで満足したくないですね」(村松)。
  • 世界ジュニアのシングルスで初の表彰台に立った

  • 掲げられた日の丸。次は真ん中だ!

●男子シングルス決勝
于子洋(中国) 9、7、9、9 村松

村松、各ゲームは競り合うも、于子洋の巧みな戦術変更とミスのないパワードライブに敗れた。最後の世界ジュニアは銀メダル。

第1ゲームのラブオール、大きく浮いた于子洋のストップに対し、村松のスマッシュがコートをオーバー。この1本から始まった男子シングルス決勝。村松は1ー4とされながら5ー5に追いつき、その後も相手に先行されながら9ー9へ追いつく。このゲームを取っていれば、于子洋にプレッシャーがかかり、対カットの攻略はより難しくなるところだったが、ここでミドルへ回転をかけてつないできた于子洋のドライブをカットで返球できず。第1ゲームを9ー11で落とす。

 中国選手の中では細身の于子洋だが、スイングスピードと球威はさすがにエースの貫禄だった。そして、パワードライブを見せ球にしながら、小さく回転のかかったループドライブを巧みに織り交ぜ、村松のミスを誘う。豪打と巧打の緩急は、ジュニアとは思えない完成度だ。
 村松も第3ゲーム、5ー8、7ー9の劣勢から、長いカット対攻撃のラリーの末に逆襲のフォアドライブ。会場が沸いたが、ここですかさずベンチの劉国正監督がタイムアウト。ピンチの芽をすばやく摘んできた。その後も、競り合いながら、村松は勝負どころであと1本が取れなかった。準決勝の薛飛戦が、あまりにイージーな内容だったことも影響したのか。

 勝利の瞬間、両手を広げてひざまずいた于子洋。チームメイトが相次いで村松に敗れ、地元開催での優勝が危うくなる中で、プレッシャーを感じさせない強さとうまさを見せた。
  • 村松、敗れるも銀メダルは立派な成績

  • 今大会、団体・シングルスで全勝を守った于子洋

●女子シングルス決勝
王曼昱(中国) 10、6、12、ー6、10 朱朝暉(中国)

左腕の朱朝暉のフォアを積極的に突き、フォア前から台上バックハンド、そして回り込んでのパワードライブをバッククロスに攻めた王曼昱(ワン・マンユ)に凱歌!

右シェークドライブ型の王曼昱と、左シェークドライブ型の朱朝暉。台からやや距離を取り、どっしり構えて両ハンドで対応しようとする朱朝暉だが、王曼昱にフォアを厳しく攻められ、先に動かされた後のラリーで打球点が落ちてしまった。長身の王曼昱のフォアストレートへのフォアドライブは打球点が早く、試合の終盤では台上のボールをバックハンドでもフォアストレートに攻めた。
 プレー領域を選ばず、自在なコースに回転量のあるドライブが打てる王曼昱のバック系技術は、すでに世界のトップクラスと言っても過言ではない。3歳年上の朱朝暉の堅固な守りにも、臆することなく攻め続けた気迫は見事。15歳の新女王は、現世界女王の李暁霞にまさるとも劣らない大器だ。
  • 恐るべき強さを見せた王曼昱

  • 朱朝暉、栄冠にあと一歩…

  • 前回3位から早くも頂点をきわめた

●女子ダブルス決勝
陳幸同/劉高陽(中国) ー5、10、6、ー10、5、7 平野/伊藤

女子ダブルス決勝、平野/伊藤は快調に1ゲームを先取し、第2ゲームも10ー8でゲームポイントを奪うも、ここから逆転を許す。「2ゲーム目は途中まで良かったけど、最後は全部自分のミス。あれで流れが変わったと思います」と試合後に伊藤は振り返った。
それでも平野/伊藤は、平野の巧みにコースを突くブロックや、平野のツッツキからの伊藤のバック表ソフトの変化ショートなど、多彩なプレーを見せ、台上で優位に立つ。一方、ラリー戦になればやはり中国ペア。「準々決勝で当たった王曼昱/陳可は下がったらバックの攻撃力がなかったけど、劉高陽は下がってもバックハンドで引き返してきた」(伊藤)。日本ペアはゲームカウント2ー3斗リードされた第6ゲーム、中盤で大きくリードされてから7ー9まで挽回。逆転のチャンスはあったが、やや浮いたストップを伊藤が思い切って狙えず。惜しくも敗れたが、銀メダルという見事な成績を収めた。

●男子ダブルス決勝
呂翔/薛飛(中国) ー8、10、7、6、ー9、ー14、8 趙勝敏/金民爀(韓国)

男子ダブルス決勝は、第6ゲームに10ー5のゲームポイントから追いつかれながら、8回目のゲームポイントで16ー14で振り切った韓国ペアが、最終ゲーム6ー2、8ー5でリード。流れは完全に韓国と思われたが、ここから中国ペアが思い切ってフォアハンドで攻め、驚異の6点連取で大逆転した。
  • 平野/伊藤、中国ペアに肉薄したが…

  • 前回大会の1回戦負けから決勝まで駆け上がった

  • 中国ペアのボールは、ここまでサイドを切ってくる

●混合ダブルス決勝
王楚欽/陳幸同(中国) 9、ー8、ー8、8、ー11、8、4 呂翔/王曼昱(中国)

混合ダブルス優勝は王楚欽/陳幸同。ゲームオールまでもつれたが、最終ゲームは王楚欽/陳幸同が一方的にリード。最後は呂翔のサービスミスで決着という、なんともあっけない幕切れ。中国から6ペアが出場した混合ダブルスは、「メダルを獲れていない選手」「最終日にシングルスに出ない選手」が優先して勝ち上がったようにも見える。観客も少なく、盛り上がらないのは例年のことだ。
  • 優勝した王楚欽/陳幸同。王楚欽は2000年生まれの14歳

  • 呂翔/王曼昱は2位

●男子シングルス準決勝
村松 5、7、6、6 薛飛(中国)
于子洋(中国) 9、7、ー11、1、10 劉丁碩(中国)

村松、右ペンドライブ型の薛飛を圧倒して決勝進出!

 相手の薛飛に対して、ベンチに入った田㔟監督は「試合前、薛飛は上海チームのカットマンをひとり呼んできて練習していて、あまりパワーがないのはわかっていた。表ソフトのカットの変化も読めていなかった」と語った。その言葉のとおり、薛飛は村松のカットを打ち抜けず、レシーブにも厳しさがない。その相手に対し、村松は第1ゲームのラブオールから横下回転系のフォアサービスで2本連続でサービスエース。次のサービスでは横上回転系のサービスでまたもエースを奪い、次の1本はフォアの連続攻撃で得点。4ー1、7ー1、9ー3と一気にリードを広げ、完璧なスタートダッシュを見せた。
 その後も村松は、バック面の表ソフトをフォアに反転させたり、フォアで連続攻撃を仕掛けたりと、持ち味を生かしたプレー。第3ゲームに4ー0から4ー5と逆転されたが、6ー6から一気の5点連取で11ー6とし、第4ゲームも終始リード。2011年大会で優勝した丹羽孝希以来、日本選手では3大会ぶりの決勝進出だ。

 その村松と決勝で対戦するのは于子洋。顔はまだあどけなく、相手の好プレーに拍手を送ったり、ミスに大げさに膝をついて見せたりと憎めないところがあるが、プレーはジュニアの域を越えている。「危機管理能力が高い」という印象だ。他の選手ならミスをするとわかっていても打ってしまうボールを、時にはカットやロビングも交えながらしのぎ、逆襲。横なぐりに打つフォアのミート打ちも、中国選手には珍しい技術。

 いよいよ男子シングルス決勝。村松、ここまできたら優勝しかない!
  • 村松、完勝で決勝進出だ

  • センスを感じる薛飛だが、まだ発展途上

  • ベンチで田㔟監督とガッチリ握手

  • フォア前へのストップから劉丁碩を攻略した于子洋

●女子シングルス準決勝
朱朝暉(中国) 6、9、ー9、7、5 陳可(中国)
王曼昱(中国) ー7、10、ー4、4、8、7 何卓佳(中国)

女子シングルス準決勝は、朱朝暉と王曼昱が同士討ちを制して勝ち上がった。

大会前の世界ジュニアの「選抜資格賽(選考リーグ)」で団体戦の出場権を得られず、シングルスのみの出場となった朱朝暉と何卓佳が、団体メンバーの陳可と王曼昱に挑んだこの2試合。まず、朱朝暉が同じ左腕の陳可を、安定感抜群の両ハンド攻守で料理。堂々たる体格で、バックは打球点の早いバックドライブや快帯で相手の連続攻撃を許さず、勝負所では重量級のフォアドライブで得点。すでに超級リーグで活躍していることもあり、ジュニアクラスとは思えない落ち着いた試合運びだった。

王曼昱と何卓佳の一戦は、非常にハイレベルなラリー戦。バックサイドを切られても、横回転を入れたバック表ソフトのブロックでしのいでしまう何卓佳。王曼昱のパワーを利用するかのように、横回転系のボールで王の強打をいなす巧みなプレーを見せた。しかし、両サイドへ振り回されても打球点の早い両ハンドドライブで対応してしまう、非常にリーチの長い王曼昱。何卓佳はゲームカウント2ー2の第5ゲーム、8ー9から勝負をかけた回り込みスマッシュがネット。このゲームを落とし、勝機を逸した。しかし、ユース五輪女王の劉高陽を下し、銅メダル。見事な活躍だった。
  • 朱朝暉、堂々の体格で堂々のプレー

  • 大器・王曼昱、優勝まであとひとつ

  • 何卓佳、君の健闘に拍手!!

★12月7日・大会第7日目のタイムテーブル

11:00〜(現地時間10:00〜)

●女子シングルス準決勝
朱朝暉(中国) vs. 陳可(中国)
王曼昱(中国) vs. 何卓佳(中国)

12:20〜(現地時間11:20〜)
●男子シングルス準決勝
村松雄斗(日本) vs. 薛飛(中国)
劉丁碩(中国) vs. 于子洋(中国)

14:00〜(現地時間13:00〜)
●混合ダブルス決勝
王楚欽/陳幸同(中国) vs. 呂翔/王曼昱(中国)

16:00〜(現地時間15:00〜)
●女子ダブルス決勝
平野美宇/伊藤美誠(日本) vs. 陳幸同/劉高陽(中国)

16:35〜(現地時間15:35〜)
●男子ダブルス決勝
趙勝敏/金民爀(韓国) vs. 呂翔/薛飛(中国)

17:10〜(現地時間16:10〜)
●女子シングルス決勝
17:45〜(現地時間16:45〜)
●男子シングルス決勝
【表彰式】

 第12回世界ジュニア選手権もいよいよ大会最終日。個人戦5種目でチャンピオン&チャンピオンペアが決定する。

 男子シングルス準決勝に登場する村松雄斗は、中国期待のペンホルダー・薛飛(シュエ・フェイ)との対戦。合理的な打球点で左右に打ち分けるパワードライブ、チキータやドライブを駆使する裏面打法と、その打球センスは一級品だが、果たしてどこまでカットが打てるのか。ツッツキとストップを多用しながら、要所でパワードライブを混ぜる持久戦に出てくる可能性もある。
 そして女子ダブルス決勝では、平野/伊藤ペアが中国ペアと対戦。日本勢にこの種目初のメダルをもたらすことができるか。相手を中陣まで下げても、両ハンドから威力あるパワードライブを打ち込んでくるだろう。前後にうまく揺さぶりながら、ラリー戦では1球たりとも気が抜けないハードな戦いになる。
 さあニッポン、メダルに向かって突進だ!