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全日本選手権大会

 今年の全日本はラバーの後加工禁止を受けた、初めての全日本。会場内からは完全に金属的な打球音が消えた。なんとなく、それだけでレベルが下がったような気がしてしまうものだが、ラリーのスピードが落ちていることは確かなようだ。
 そして、金属音の代わりに聞こえてくるのが、ガツンガツンという、強くフロアに踏み込む音。この踏み込む音は、これまで金属音にかき消されていたのか。いや、やはり体全体を使って、ボールの威力を出す必要が出てきたのだろう。
 ラケットに対するチェックも、例年になく厳しいものになりそうだ。
 選手ぅの方はぁ~、所定のぉコートに~、お入りくださいぃ~。少々眠そうな場内アナウンスとともに、全日本卓球選手権がスタート。最初の一台で練習が始まるとともに、場内は静かな緊張感に包まれていく。

 ダブルスのみに出場する選手は、この大会初日、朝一番の試合で「俺の・私の全日本」が終わってしまうこともある。最終日の決勝や、ランク決定戦だけではない。1回戦からの一球一球、そのすべてが全日本選手権なのだ。選手たちもラブオールと同時に気合い全開だ。
 日本卓球界で一番熱い6日間、全日本選手権がいよいよ始まる。戦いの舞台は、おなじみとなった東京都渋谷区・東京体育館。天皇杯・皇后杯を掲げ、世界選手権へのチケットを手にするのは果たして誰か。このページでは、熱戦の模様をみなさまにお届けします!
 昨年10月にスピード補助剤が禁止になり、それが大きな影響を与えるかもしれない今大会。「大きな影響」とは、誰にでも勝つチャンスがあるかも!?ということ。そこで、全日本前に有力選手をおさらいしておきます。

●男子
・水谷隼(明治大):世界選手権横浜大会代表内定。06・07年度チャンピオン。08年は世界選手権、北京五輪とともに日本のエースとして活躍。しかし、全日本学生選手権ではよもやのランク落ち。3連覇は危うし?
・韓陽(東京アート):世界選手権横浜大会代表内定。09年1月時点で日本人の中で世界ランク最上位。安定した技術は文句のつけようがないが、過去2回の全日本では思うような結果が出ていない。集中力がカギ?
・吉田海偉(日産自動車):世界選手権横浜大会代表内定。04・05年度チャンピオン。06・07年度も準優勝しており、出場した全日本すべてで決勝戦に進出している。スピード補助剤禁止の影響もほとんどない。
・大矢英俊(青森大):世界選手権横浜大会代表内定。豪快なフルスイング卓球で観る者を魅了。2年連続ベスト4と、全日本との相性もバツグン!
・松平健太(青森山田高):インターハイチャンピオン、06年世界ジュニア王者。今季からドイツ・ブンデスリーガに挑戦し、格上をも次々と撃破。ケンタ旋風が吹き荒れそう!?
・松平賢二(青森大):全日学チャンピオン。着実に地力を上げている中で、ルール変更がさらに追い風となった。身体能力をフルに発揮し、ラリー戦に強い。
・岸川聖也(スヴェンソン):北京五輪代表。ドイツ・ブンデスリーガでは、主力として試合に出場。練習によって獲得したお手本のような両ハンド攻撃が武器。努力の花が咲くのはすぐそこか。
・張一博(東京アート):昨年、日本に帰化したばかりだが、文句なしの優勝候補の一人。ランク決定戦で岸川と対戦する。
・下山隆敬(協和発酵キリン):社会人一年目だが、名門・協和発酵キリンで活躍中。バック表の変化と、フォアハンド強打が持ち味。

●女子
・平野早矢香(ミキハウス):06・07年度チャンピオン。国内では無類の強さを誇るも、代表選考会では無念の結果に。どのように調整してくるか注目。
・福原愛(ANA):世界選手権横浜大会代表内定。全日本ではベスト8の壁をなかなか超えることができないが、世界での実績はNO.1。悲願の優勝を狙う。
・藤沼亜衣(日立化成):世界選手権横浜大会代表内定。高校時代からトップクラスで活躍。日立化成へ移籍した今年、見事に選考会で優勝。中国を震え上がらせた速攻は脅威。
・王輝(日立化成):昨年、日本に帰化。08年の国内大会では日本選手に負けなしのチョッパー。過去の平野との対戦でも2戦2勝。あっさり優勝しても驚けない。
・田勢美貴江(十六銀行):世界選手権横浜大会代表内定。昨年度は劇的な混合ダブルスの優勝。そして年末には代表権獲得と、成績が安定してきた。上位進出は間違いない?
・石川佳純(ミキハウスJSC):インターハイチャンピオン。2年連続ベスト4はなによりの実力の証明。世界レベルのライジングバックハンドで史上最年少優勝を狙う。
・樋浦令子(タイコウハウス):07年度準優勝。昨年は初の決勝進出も、平野に押し切られた。今年は積極的に海外を転戦し精神的にもたくましくなった。今年こそ!
・梅村礼(文化シヤッター):01・02年度チャンピオン。全日本を2連覇したときの衝撃は忘れられない。現在はドイツでプレーしており、日本選手のボールに対応できるかがポイント。

 男女各8名を短評つきでご紹介しました。ほかにも紹介したい選手はたくさんいます。それだけ今回は混戦なんです! 誰が突き抜けるかわからない今回の全日本。アンテナを張り巡らせて、レポートします!