スマホ版に
戻る

速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

全日本選手権大会

 男子ジュニア準々決勝。平野友樹(野田学園高)が優勝候補筆頭の松平健太(青森山田高)を一時ゲームカウント2-1とリードしたが、逆転を許した。野田学園高に転校し、ひと回りたくましくなった体つきで全日本に登場した平野。得意のフォアドライブは以前よりもパワフルになり、バックハンドにも進境を見せたが、試合終盤はやや力みが出たか。「最後は我慢できなかった。つないで相手のミスを誘う作戦だったけど、4ゲーム目勝ちを意識して力が入り、ミスが出た」と試合後に振り返った平野だが、「競った試合ができたし、内容的には良かった」と悔しさの中にも充実感をにじませた。

●ジュニア男子準々決勝
松平(青森山田高) 3-2 平野(野田学園高)
上田(青森山田高) 7、6、16 岡田(愛工大名電高)
町(青森山田中) 4、7、4 森薗(青森山田中)
丹羽(青森山田中) 6、13、8 森本(愛工大名電高)
 ジュニア男子5回戦。青森山田の先輩・後輩対決となった野邑vs.森薗の一戦は、レシーブからフリックで積極的に攻め、野邑を守勢に追いやった森薗に軍配。同士討ちとはいえ、森薗はよく声を出し、気合い満点のプレーを見せた。試合後、「大陽さんには普段は全然勝てない。サービスが全部アップだったので、払っていきました。嬉しいです」と大舞台での殊勲の星を振り返った。

●ジュニア男子5回戦
森薗(青森山田中) -9、8、9、4 野邑(青森山田高)
●ジュニア女子準々決勝
石川(ミキハウスJSC) 9、4、8 谷岡(エリートアカデミー)
市川(名経大高蔵高) 7、7、-4、10 岡崎(武蔵野高)
酒井(四天王寺高) 5、3、-9、15  鈴木(エリートアカデミー)
森薗(青森山田高) 8、3、2 佐藤(21クラブ)

 今大会に初出場。大きな注目を集めたエリートアカデミー勢。
 酒井に敗れた鈴木は「今大会は最初から競った試合ばかりで、負けててもあきらめないで逆転できた。最後は体力がなかった。(ジュニア女子)ベスト8以上は強い人ばかりで、今の技術では勝てない」と、今大会を振り返り語った。
★斎藤清、試合後の記者会見

-今はどのような気持ちですか?
「嬉しいんだけど言葉が出ない。弾むダイン(スピードグルー)がなくなって、昔の感覚に似た感じで、若い時の体全体を使う卓球ができた。卓球自体が今年度は楽しくできている。体調も良かったし、自信を持って試合ができました。
 例年は全日本が近づくと「また全日本か…」という気分があったけど、今年は12月に入って全日本が楽しみだった。101勝がぼくの使命だし、それを目標に出させてもらっているので、次はそれが目標です」

-若手に何かメッセージはありますか?
「限界を超えてからが本当の練習です。自分も高い目標を持ってそうやって練習してきました」

 斎藤清、続く4回戦はスーパーシードの渡辺将人(シチズン)と対戦する。新記録の101勝目は果たしてなるか?
 斎藤清が全日本選手権で通算100勝を達成! 全日本出場27回目、46歳での快挙となった。
 男子シングルス3回戦の対戦相手は北村(愛工大名電高)。昨日にも増して多いメディアの壁の中で、観客席からのチームメイトの声援はどれだけ届いただろうか。斎藤は緩急をつけたドライブとフリックレシーブなどで中盤からリードを奪い、ドライブにもミスがなかった。ゲームカウント2-0とリードした第3ゲームも4-5から一気の7本連取。最後の一本は北村がフォア前に出したサービスに対し、斎藤がフォアフリック。北村のバックハンドが大きく弾かれてコートを外れ、斎藤の100勝が決定した!

●男子シングルス3回戦
斎藤(埼玉工業大職員) 3-0 北村(愛工大名電高)
 ジュニア女子5回戦。すでに始まった男女シングルス3回戦の中でも終わっていく試合があるなかで、一台だけ異次元の戦いが展開されている。谷岡あゆか(エリートアカデミー)vs.北岡エリ子(土佐女子高)。なんとこのゲーム、第1ゲームの4-2から促進に入り、試合終了まで45分近くかかった。

 ともに高知県出身、同じカット主戦型。会場に響き渡る声がトレードマークの北岡はもう喉が枯れている。最終第5ゲーム、北岡3-1のリードから3-2となったところで北岡のベンチに入った往年の名カットマン、浜田美穂監督(73世界女子複優勝)がタイムアウト。同郷の大先輩が見守る中で、ふたりの「はちきん」の戦いが続く。「はちきん」とは高知県の方言で男勝りの女性のことだ。
 試合は結局、ゲームカウント0-2から大逆転した谷岡の勝利。スマッシュしか打てない北岡と、ドライブでもスマッシュでも攻められる谷岡の差が最後に出たか。女子ジュニア5回戦随一の好試合だった。

●女子ジュニア5回戦
谷岡(エリートアカデミー) -9、-8、3、8、6 北岡(土佐女子高)

 ジュニア女子5回戦。勝ってベスト8というこのラウンドで対決した石川佳純と前田美優の一戦は、石川佳純のストレート勝ち。互いに球質には慣れている印象があり、バック対バックで火花の散るような高速ラリーを展開。前田も前陣に張り付き、石川に一歩も譲らぬ強気のプレーを見せたが、やはりボールの重さ、シュートドライブなど球種の多彩さで石川が一歩上。前田がゲームポイントを握った第2ゲームをものにすれば結果はわからなかったが、結局石川がストレート勝ちでジュニア3連覇に一歩前進した。

●ジュニア女子5回戦
石川(ミキハウスJSC) 6、12、7 前田美優(高瀬クラブ)
 朝一番のジュニア男子5回戦。ベスト16を決めるこの戦いで、やはりヤマダ勢が強さを見せつけている。一斉に始まった試合の中で、ほぼ同時に終わったのが松平健太と丹羽孝希の試合。松平は細川(遊学館高)、丹羽は板倉(希望が丘高)を相手に、ともにストレートでの完勝だ。それから遅れることわずか2分、今度は野邑大陽がこちらも山本(野田学園高)にストレート勝ちでベスト16入り。果たしてジュニアにヤマダの対抗馬は現れるのか? ヤマダ勢は伝統のフットワークに加え、全体的にバックハンドにも進境が見られるようだ。
 男女シングルス3~4回戦、男女ダブルス5回戦、そして混合ダブルスとジュニア男女が一気に決勝まで行われる大会第4日目。東京はこの冬でも一番という冷え込みになっている。青々と剃り上げた坊主頭のジュニア選手たち、見るからに寒そうだ。今日のジュニア男子は、決勝まで進むと5試合を戦う強行軍になる。

 スーパーシード勢が登場する男女シングルスをはじめ、今日の見どころは数々あるが、卓球王国取材班が選ぶのはズバリこの3試合だ。

1. 男子シングルス3回戦[斎藤清(埼玉工業大職員) vs. 北村祐馬(愛工大名電高)]
 斎藤清、ついに全日本100勝に王手をかけた。今大会の斎藤は往年の動きのキレはないものの、良く動き、良く打っている。昨日の2回戦で「怖くて出せなくなった」というバックサービスの切れ味が復活すれば勝利も見えてくる。男子での全日本100勝は初の快挙だ。

2. ジュニア女子5回戦[石川佳純(ミキハウスJSC) vs. 前田美優(高瀬クラブ)]
 ジュニア2連覇中の石川の優勢は動かないが、昨日の一般2回戦で全日学選抜準優勝の阿部(淑徳大)を破った前田のポテンシャルは驚異。何が起こるかわからないジュニア女子屈指の好カードだ。

3. 男子シングルス4回戦[松下浩二(グランプリ大阪) vs. 田中雄仁(東京アート)と西東輝(遊学館高)戦の勝者]
 ついに最後の全日本、今大会限りでの引退を表明している松下浩二。華麗なカットプレからの反撃、鮮やかな弧線を描くカーブロングが見られなくなるのは、卓球ファンにとっては残念なところ。ぜひ有終の美を飾ってほしい!

 男女シングルスでの五輪代表組の登場、水谷/福原ペアが勝ち残っている混合ダブルス準決勝など見どころ盛りだくさんの大会第4日目。速報班もますますギアを切り替えて頑張ります!
 混合ダブルス4回戦で、2ゲームを先行されながら逆転勝ちを収めた水谷/福原ペア。準々決勝では、一昨年の準優勝ペアである谷口/大橋(シチズン/サンリツ)と対戦。今度は2ゲームをさい先良く連取したが、2ゲーム目を1本で取ったことで余裕が出たか、水谷にややミスが目立つ試合展開に。結局ゲームオールまでもつれ、やはり苦しい試合になったが、最終ゲームは気を引き締め直して勝利。準決勝で昨年優勝の田勢/田勢ペアと相まみえる。

★水谷/福原、試合後の記者会見
水谷「混合ダブルスは4回戦で0-2で負けていて、本当に負けるかと思った。2試合目も追いつかれたけど勝てて良かったです。今日は調子が良くなかった。すみません。」
福原「混合ダブルスはあまり練習していないぶん、今日のような苦しい試合を乗り越えていったほうが明日へつながると思う。試合中にはあまりお互い話さず、やりたいようにやってたんですけど、今日は水谷くんが怒ってるのかなと思った。私のミスが多かったから…」
水谷「…自分に怒っていたんだと思います」
福原「明日は準決勝で去年優勝した田勢さんたちのペアとやるので、ぶつかっていこうと思います」
水谷「すべての試合で自分の力を出せるように頑張ります」

●混合ダブルス準々決勝
田勢邦/田勢美(協和発酵キリン/十六銀行) 7、7、2 高木和健/坂本(東京アート/サンリツ)
水谷/福原(明治大/ANA) 7、1、-8、-7、6 谷口/大橋(シチズン/サンリツ)
水野/梶本(明治大/早稲田大) -7、5、5、-6、9 塩野/亀崎(早稲田大)
荻原典/荻原史(JR北海道) 9、8、-9、-7、10 石野/若宮(立命館大)

下写真右:水谷/福原は薄氷踏む勝利の連続
下写真左:昨年に続き、コンビネーションの良さでベスト4に入った水野/梶本