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全日本選手権大会

 男子シングルス6回戦。14歳の小さなサウスポーのプレーが会場を魅了した。世界の卓球関係者も認めるその才能に、開花の時が近づいている。
 昨年度準優勝の吉田海偉のパワーに対し、打球点の非常に早い両ハンドで挑んだ丹羽孝希。キレのあるプレーでゲームカウント3-1とリードし、あと一歩まで元チャンプを追い詰めた。「3-1とリードしたところで勝ちを意識した」と試合後に語ったとおり、ここからやや消極的になって吉田に逆転を許したが、今大会での活躍はインパクト・大。来年度は優勝候補の一角に名を連ねても不思議はないだろう。

男子シングルス6回戦
吉田(グランプリ大阪) -8、-13、9、-9、6、8、6 丹羽(青森山田中)
 福原愛が昨年ベスト8で、全日学チャンピオンの若宮にストレートで完勝。若宮の厳しいボールに対しても、当てるだけでなくしっかりフォアドライブで返球し、バックハンドでも厳しいコースを突いた福原。全体的に一段スケールアップした印象があり、フォアドライブのミスも少なくなった。今大会の福原には、今までの全日本にはない強さが感じられる。
 敗れた若宮は「素直にあっという間でした。去年は『やり切った』という感じだったけど、今年はもうちょっと試合をしたかったです」と試合後に語った。ランク決定戦では谷岡に第7ゲーム2-7から大逆転勝ちしたが、福原の前に沈黙した。

 最終日に勝ち進んだ福原愛。明日の準々決勝ではなんと石川佳純(ミキハウスJSC)との「夢の天才少女対決」となった。これは明日の会場も賑わいそうだ。

●女子シングルス6回戦
福原(ANA) 4、7、4、4 若宮(立命館大)
●男子ダブルス準々決勝
岸川・水谷(スヴェンソン・明治大) -6、4、8、10 大森・張(東京アート)
坪口・垣原(青森大) 6、7、-4、6 谷口・中野(シチズン)
時吉・横山(グランプリ大阪) -7、6、8、-17、13 倉嶋・田勢(協和発酵キリン)
上田・野邑(青森山田高)3、9、-16、-8、5 渡辺・並木(シチズン)

●女子ダブルス準々決勝
福原・照井(ANA・早稲田大)1、8、9 金沢・藤井(日本生命)
平野・石川(ミキハウス・ミキハウスJSC)11、-11、8、-6、7 藤沼・島田(日立化成)
渡辺・藤井(ミキハウス・四天王寺高) 7、-8、-10、4、10 越崎・福岡(中国電力) 
谷岡・鈴木(エリートアカデミー) -10、4、8、-9、8 岸田・重本(日本生命)

 女子ダブルスで、中学生ペアの谷岡・鈴木が女子ダブルス史上最年少のベスト4入り!
 カット主戦型の谷岡(下写真中央)と左シェークドライブ型の鈴木(下写真右)のペアリングだが、女子でカット+攻撃のペアリングというのは珍しく、しかもベスト4に勝ち残るというのは容易なことではない。谷岡のブツ切りカットを相手に持ち上げさせ、鈴木がブロック&カウンターで攻めるスタイルだが、まさかベスト4まで来るとは…というのが正直な感想だ。 
●女子シングルスランク決定戦
平野(ミキハウス)3、5、3、5 脇ノ谷(ニッタク&チームワッキー)
岸田(日本生命)13、7、-9、3、-8、8 田代(山陽女子高)
真田(21クラブ) 7、8、-9、7、-5、7 福岡(中国電力) 
河村(日立化成) -7、11、11、5、-10、8 飛永(中村学園女子高)  
森薗(青森山田高) 8、-7、9、7、-6、8 小西(アスモ) 
藤井(四天王寺高) 9、8、8、-10、-11、-10、9 梅村(文化シヤッター)
藤井(日本生命) 5、8、7、7 伊藤(十六銀行)
渡辺(ミキハウス) -11、9、7、5、3  島田(日立化成)
石川(ミキハウスJSC) 4、11、6、8 小野(淑徳大)
亀崎(早稲田大) 6、6、-9、-5、5、9 越崎(中国電力) 
福原(ANA) 7、8、-8、6、9 花沢(アスモ)
若宮(立命館大) 7、5、8、-9、-2、-7、9 谷岡(エリートアカデミー)
田勢(十六銀行) 6、-10、5、-9、8、9 小林(ファミタク)
王輝(日立化成) 2、10、6、10 坂本(サンリツ)
金沢(日本生命) 8、-9、10、4、7 石垣(淑徳大)
大岡(アスモ) 8、-8、10、10、10 樋浦(タイコウハウス)

 福原(下写真左)は花沢のカットに対し、粘り強いループドライブからミドルにスマッシュという基本戦術を徹底して完勝。フォアの攻撃力に進境を見せた。また、昨年度準優勝の樋浦(下写真右)が、大岡(下写真中央)とのラリー戦に敗れ、まさかのランク落ち。世界代表決定戦でも最後の最後で足下をすくわれ、代表の座を逃したが、全日本でも痛恨の敗戦。ベンチで悔しさをかみしめた。
●男子シングルス5回戦
上田(青森山田高) 5、-8、8、-12、-9、2、8 松下(グランプリ大阪)

 鉄人・松下浩二がついにその現役生活にピリオドを打った。女子ランク決定戦が終わっていく中、フロア中央の第8コートで行われた松下vs.上田戦。カット打ちの実力はどうか、と思われた上田だが、そのフォアドライブにはとにかくミスがない。松下のカットにもミスは出ない。ランク決定戦にふさわしい引き締まった試合展開は、松下がゲームカウント3-2とリードしたが、上田が第6ゲームで8-0と大きくリードし、最終ゲームにもつれ込む。
 最終ゲームは上田が終始リードを保ち、10-7でマッチポイント。少しでも松下のプレーを観ていたい観客たちの思いに乗って、松下のカットがフワリとネットを越え、コートをとらえる。しかし、安定したドライブを打ち続ける上田の前に、松下のカットがわずかにコートをオーバー。松下浩二の全日本が終わった。

 「まずはじめに、スポンサーの方々、卓球ファンの皆様にお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 32年間の卓球人生を今終えて、すごく楽しい32年間でした。試合が終わってから涙が出るかなと昨日思ったんですけど、実際終わったら結構すっきりした気持ちでした。これからは有望な若い選手を支えていこうという、新たなモチベーションを強く持っています。
 今日の上田戦に関しては、たくさんの応援をいただいて、彼も逆にやりにくかったと思う。非常に有望な選手ですが、世界で戦うにはまだまだ足りない部分もある。これからもっと頑張ってほしい(松下)」。戦いを終えた男の表情は清々しいものだった。

下写真中央は、試合を終えてNTコーチのマリオ・アミズィッチと抱き合う松下
●男子シングルスランク決定戦(5回戦)
水谷(明治大) 6、5、2、5 森田 (日産自動車)
高木和健(東京アート) -9、8、6、7、13 中野(シチズン)
谷口(シチズン) -6、9、-7、8、-5、9、6 横山(グランプリ大阪)
岸川(スヴェンソン) 6、9、-10、-7、4、7 笠原(早稲田大) 
渡辺(シチズン) 8、4、7、9 足立(住友金属物流)
坪口(青森大) -8、7、5、-8、7、6 濱川(近畿大) 
田勢(協和発酵キリン) 8、9、-8、8、-5、4 河原(シチズン) 
大矢(青森大) 5、-8、-8、4、-9、6、3 田中(シチズン)
韓陽(東京アート) 6、5、-11、5、-8、6 荻原(JR北海道)
並木(シチズン)4、-5、-5、10、-9、9、4 時吉(グランプリ大阪) 
松平健(青森山田高)8、4、-11、9、-8、9 坂本(協和発酵キリン)
松平賢(青森大)9、-9、4、12、11 木方(協和発酵キリン) 
高木和卓(東京アート) 8、8、8、-9、9 徳増(専修大)
丹羽(青森山田中) 4、4、-8、4、-9、-5、12 久保田(シチズン)
吉田(グランプリ大阪) 5、8、-10、10、11 森本(愛工大名電高)

 男子シングルスでランカー15人が出揃った。残るひとりは松下浩二と上田仁が大激戦を演じている。観客の注目を一身に集める松下、渾身のカットでただいま最終ゲームだ!

下写真左は昨年3位、今年もしっかりランク入りの田勢邦史。試合後「去年ぐらいから、自分の卓球をしようと心がけている。自分の力を出せれば勝てると思っていた。序盤は大事に行き過ぎていたので、ガツンといったのが良かった」と語った。
下写真右は最終ゲーム8-10の大ピンチをうっちゃり、久保田に勝利した丹羽。中学2年生でのランク入りを果たした。
 女子シングルス5回戦。渡辺裕子(ミキハウス)が島田(日立化成)を下して2回目のランク入りを果たした。弾き打つような独特のバックハンドが特徴の渡辺、こちらもバックが強い島田に対して、バック対バックで主導権を握った。試合の後半ではバック対バックから、「後半はミドルやフォアをうまく突けるようになった」というように巧みなコース取りを見せた。

●女子シングルス5回戦
渡辺(ミキハウス) 4-2 島田(日立化成)
 男子シングルス5回戦。「天才」松平健太と、「怪童」と呼ばれた坂本竜介のヤマダエース・元エース対決は、4-2で松平に軍配。
 3年前の全日本では6回戦で坂本が勝利しているが、今大会ではブンデスリーガで成長した松平がリベンジを果たした。松平は序盤から打球点の早いバックハンドで坂本のバックを突き、坂本を中陣に下げて得意の前陣カウンターを打ち込んだ。坂本は中陣からのバックドライブにも一発の威力があるが、やや安定性に欠けていた。第3ゲーム5-10から松平に追いつかれながらこのゲームを取り、第5ゲームも奪い返すなど意地を見せたが、松平の前に屈した。

●男子シングルス5回戦
松平(青森山田高) 4-2 坂本(協和発酵キリン)
 男子シングルス5回戦。水谷隼(明治大)は、全日本社会人準優勝の森田(日産自動車)とのテクニシャン対決。水谷はやや球威が落ちている印象があり、昨日の4回戦でも川崎(協和発酵キリン)に連続でブロックされて苦しい戦いになったが、ドライブ対決ならばやはりテクニックが生きる。打ってよし、守ってよしの水谷卓球でランク入り一番乗り。
 「サービスが良く効いて、自分から攻める展開になりました。初対戦で、序盤はレシーブが良くなかったけど、途中から良くなってきた(水谷)」

●男子シングルス5回戦
水谷(明治大) 4-0 森田(日産自動車)

 男子シングルスのランク決定戦(5回戦)を控えた会場は、トップ選手たちがガッチリ練習に励んでいる。当たり前だがスーパーラリーの連続だ。会場の外にはチケットを求める人たちが、すでに150人以上は並んでいて、千駄ヶ谷の駅まで届いてしまいそうな勢いだ。
 今日はなんといってもランク決定戦に注目だが、強豪同士の激突となる6回戦も目の離せない戦いが続きそうだ。男女ランク決定戦の注目カードを紹介しよう。

●男子シングルス5回戦
水谷(明治大) vs. 森田(日産自動車)
笠原(早稲田大) vs. 岸川(スヴェンソン)
松下(グランプリ大阪) vs. 上田(青森山田高)
松平健(青森山田高) vs. 坂本(協和発酵キリン)
丹羽(青森山田中) vs. 久保田(シチズン)

●女子シングルス5回戦
平野(ミキハウス) vs. 脇ノ谷(ニッタク&チームワッキー)
真田(21クラブ) vs. 福岡(中国電力)
小西(アスモ) vs. 森薗(青森山田高)
石川(ミキハウスJSC) vs. 小野(淑徳大)
福原(ANA) vs. 花沢(アスモ)
金沢(日本生命) 石垣(淑徳大)
王輝(日立化成) vs. 坂本(サンリツ)

 男子シングルス、今大会限りで引退する松下浩二は、負ければその試合がラストゲームになる。「少しでも長く観ていたい」という観客の思いを受け止めてほしい。対戦する上田は昨日ジュニアチャンピオンになったばかり。テクニシャンタイプではないが、ドライブの威力は相当なものだ。また、女子シングルスでは6人のカット主戦型がベスト32に入っており、彼女たちが波乱の立役者になる可能性もある。福原vs.花沢の一戦からは目が離せない。
 その他、今日は男女ダブルスでも準々決勝~決勝が行われる。昨日行われた3種目の決勝では、いずれも昨年度のチャンピオンがタイトルを守った。男子ダブルスの岸川/水谷、女子ダブルスの福原/照井、ディフェンディングチャンピオンの両ペアも王座を死守できるか。