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世界卓球パリWEB速報

●男子シングルス2回戦
岸川(日本) −7,8,7,8,−10、2 フェゲルル(オーストリア)

 松平健太、丹羽とすごい勝利が続いたが、岸川もその流れを止めなかった。ラリー戦での積極的な攻撃を最後までゆるめず、4−2で勝った。試合の連続で疲労はたまっていたはずだが、フットワークを使ったフォアドライブの連打は見事だった。

岸川「初めてやったけど、ランキングは低いけど実力のある選手だったので、かなり警戒してました。かなり良いプレーができて良かった。相手はかなりブロックのうまい選手なので、少しフォア側を多く攻めて、2ゲーム目、何とか逆転で取って11−8で取れたのがポイントだった。5ゲーム目で決めたかったけど、簡単にいかないと気持ちを切り替えて、次のゲームのスタートはかなりうまくいった。体力的にもきつい中で、勝つことができて良かった」

下写真左は岸川、右はフェゲルル
●男子シングルス2回戦
丹羽  −8、6、7、−7、−9、10、9 パイコフ(ロシア) 

 丹羽は6ゲーム目に9−10とマッチポイントを奪われたが、そこで踏みとどまった。「あのときは負けられないという気持ち、2回戦で130位くらいの選手に負けられないという気持ちだった。あと1回勝って馬龍とやりたい。ここで負けたらダブルスにも影響が出るので、勝てて良かった。本当に危なかった」とほっとした様子の丹羽。

 倉嶋監督も安堵した表情だった。「丹羽には6、7ゲーム目の顔つきで最初からやれと怒りました(笑)。戦術的には、フォア前に出されたサービスをチキータでできない場合、長く相手のバックへ行って、それを持ち上げてきたのをカウンターで狙ったほうがよい。ストップして打たれたらカウンターを打ちづらい。最後は目をつぶって全部チキータで行けと言いました。最初はチキータが集まっていたから、4ゲーム目から打たれてもいいから散らしていけと指示しました。難しい試合でした」(倉嶋)。

下写真左は丹羽、右はパイコフ
●男子シングルス2回戦
張一博 11、5、7、—9、6  スカチコフ(ロシア)

 会場の視線が松平健太対馬琳戦に集中する中、張一博がロシアのスカチコフを撃破。強烈なバックドライブが武器で、当たり出すと手がつけられないこの強豪を相手にしても、持ち味であるステディなプレーは崩れなかった。

張一博のコメント
「試合前にしっかり準備して、試合では準備したとおりのことができた。昨日、緊張して自分らしい試合ができなかったけど、それを乗り越えたら良いプレーができた。試合でも焦らずにできた。自分の卓球が出せた。1試合1試合、自分の実力を120%出していきたい」

下写真左は張、右はスカチコフ
 北京五輪金メダリストの馬琳に完勝し、ベンチの劉国梁総監督を沈黙させた松平健太の試合後のコメント。

「組み合わせが決まったときから1回勝ったら馬琳だったので、リベンジしたいと思っていて、その気持ちがプレーにつながった。3年前もリードしていて負けたので、かぶるところもあったけど、自分に言い聞かせながらプレーしました。思った以上に体も動いたし、頭もすごく働きました。馬琳の特徴は回り込みからの攻撃なので、それをどう封じるかの作戦を試合前から立てていて、それがうまくはまった。(2ゲーム目6−0から追い上げられた)1本差まで追い上げられたけど、あそこでタイに持ち込まれたら展開が変わったかもしれないけど、そこで取れたのが前回とは違う。

 タイムアウトを取るタイミングは監督とぼくは一致した。下回転サービスを出されたら徹底的にストップして、後は何も考えるなと言われました。勝った瞬間は、中国選手にはいつも競って負けていて、その選手に勝つことができた。こういう大舞台で勝つことができて、お世話になった人たちに恩返しができた。最後まで勝つこととか考えないようにした。考えるとそれがプレーに出るから戦術だけを考えていた。
 今まで練習してきた内容や練習量に絶対的な自信を持っていたので、それが一番大きい。やってきたのは、どこにでも動けるフットワーク、ブロック、そしてサービスですね」

下写真左は松平健太、右は馬琳のベンチでの劉国梁総監督
●男子シングルス2回戦
松平健 5、7、4、ー12、7 馬琳(中国)

松平健太が4年前の世界選手権横浜大会の借りを返した!
北京五輪金メダリストの馬琳に、まさに引導を渡す勝利だ!

健太は馬琳の変化サービスを、コースの読みにくい軽打でうまくレシーブし、馬琳の3球目攻撃があまくなったところを強烈なカウンターで打ち抜く。試合全体を通じて、馬琳得意の3球目強打を見事に封じていた。そして、飛びつきざまのフォアストレートへのカウンタードライブ、ラケットを思い切り横へワイパーさせる横回転ブロックなど、観客を驚嘆させるスーパープレーを連発。観る者を唖然とさせるほどのワンマンショーを演じた。

馬琳は第4ゲームに奪われたマッチポイントを何とかしのいだが、反撃もここまで。松平を過剰に意識しすぎたのか、相手をのんでかかるようなふてぶてしさが完全に影を潜めた。世界選手権初優勝への一縷(いちる)の望みを、天才・健太が断ち切った。
●女子シングルス3回戦
李暁霞(中国)  4、6、4、6 平野
ビレンコ(ウクライナ) 5、10、—8、−8、9、10  藤井

平野が五輪女王の李暁霞に敗れ、藤井も反転カットのビレンコに惜敗。日本女子、この3回戦で残念ながら姿を消した。ロンドン五輪銀メダルチームとしては厳しい結果。しかし、これが世界選手権の厳しさか。

平野早矢香の試合後のコメント
「(李暁霞は)強いですね。イメージした形はいくつか持っていたけど、強いですね。最初は様子を見てくるかと思っていたけど、勝負してきている感じだった。1年前にやったときには動揺している感じだったけど、大舞台を経験しているからそれがなかった。何年もかけて積み重ねてきた中国に対するのは簡単にはいかない。中国のところに行くまでも、ほかのアジアに対しても意識しなければいけない。一人の力では越えられない壁があるので、みんなで考えていかなければいけない。まだダブルスがあるので悔いのない試合をしたいです」

下写真左は平野、右は藤井
●男子ダブルス2回戦
水谷/岸川 9、5、4、3 クリサン/フィルモン(ルーマニア)
張/松平賢 6、9、−9、8、11 マテネ/ロビノ(フランス)

●女子シングルス3回戦
リ・ミョンスン(北朝鮮) 10、8、9、5 石川
馮天薇(シンガポール) 6、6、10、3 松平

星野美香の眼★(石川戦)
 相手も優れたカットマンだったが、石川選手の攻めは単調になってしまった。カットマンに対して、ドライブ、スマッシュの2つだけの攻めでやるのは勝ちにくい。
 ドライブの打球点を変えるとか、ミドル、ミドルと少しずつ動かし体勢を崩して、そこから攻めるというような戦術を使うことも必要だった。左利き特有のフォアに浅く来たカットをストレートに速い打球点でドライブする技を使うと相手は崩れやすい。自分が仕掛けていないときに浮いてきたボールを強打するのはリスクが大きい。
 カットマンに対して、フォア前へのサービスと早い打球点での3球目攻撃があれば戦術の幅が広がるだろう。
 相手のリ・ミョンスンは攻撃を仕掛けるためのサービスをいつだそうかという余裕を持っていたが、石川選手のほうはいっぱいいっぱいで余裕はなかった。
 今回、石川選手は負けてしまったが、対カットマンのパターンをいくつも作っておいて、そのパターンを練習しておけば、対カットマンの戦術をラリーの中で使っていくことができていくだろう。


★石川佳純の試合後のコメント
「相手のカットの変化がわからなかった。相手は強打に対してはほとんどカットのミスが出ないし、粘るゆるいドライブも攻められて焦りが出てしまった。途中から自分の得点パターンがわからなくなってしまった。
 相手のバックサービスは強い横回転に上と下の変化があって、本当はフォアでレシーブしたかったけど、そうするとフォアストレートへ返されて空いたフォアを狙われるので、フォアでレシーブできなかった。まだ明日のダブルスがあるので、切り替えてしっかり準備したい」
  • リの変化カットをうちあぐんだ石川

  • 積極的な攻撃も見せたリ・ミョンスン

  • 石川とリ、試合後の握手

  • 馮天薇のパワーに押し切られた松平

●男子ダブルス2回戦
松平健/丹羽(日本) 6,9,8、5 ガチーナ/コラレック(クロアチア)

星野美香の眼★
 日本ペアは相手に自分の卓球をさせない攻め方をしていた。徹底して相手にフォアを打たせなかった。打球点の早さが日本ペアの特徴で、特に相手に予測させない技術の多様性がある。中でも、ボールのどの面をとらえるかを選択できる選手なので、ボールの回転を自在に操れる能力がある。松平選手は今回非常に調子が良いように思う。
●女子ダブルス2回戦
石川/森薗 5、4、9、8 レノン/ミゴ(フランス)
藤井/若宮 10、7、ー9、7、6 アバ/グルンディッシュ(フランス)

星野美香の眼★
 福原/平野組は、試合の中で相手の心理を読み、コースを読んでいるので得点できる確率が高い。2ゲーム目を落としたパターンは、ラリーで負けていた。そこで同じパターンの4ゲーム目はツッツキレシーブやナックルで返すレシーブを多用して攻めたので、相手が狙い球を絞れなくなったことでこのゲームを取ったことが勝因となった。このペアの強いところは勝負所でここ一本ほしい時に点を取れることで、相手の心理をうまく読んでいたからだろう。
 石川/森薗組に関しては、相手ペアが石川の技術に翻弄されていたので、試合の主導権を握ることができた。強いて言えば、森薗選手のバックハンドのバックストレートを多用するとパートナーの石川がやりやすいし、強い選手と対戦した時に有効だろう。
女子ダブルス2回戦で、強豪の馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)からゲームカウント3ー1とリードを奪ったカットペア、ビレンコ/ガポノワ(ウクライナ)。
ビレンコは昨日の女子シングルス1回戦で石賀浄(韓国)を破る番狂わせを演出した選手だが、サービスを出してからラケットをクルクルと回し、相手の目をあざむく。ダブルスでこれをやられたら、相手ペアは相当混乱しそうだ。
「自分で打球面がわからなくなったらどうするんだろう?」「粒高面でドライブを打ったり、してしまわないか?」とつい考えてしまったが、そんな選手は世界戦にはいないか…。今日夕方の女子シングルス3回戦で、藤井がビレンコと対戦するので、注意が必要だ。