「超級リーグはなぜ“農村リーグ”と呼ばれるのか」。先月28日、広州市の羊城晩報にこんな記事が掲載された。
2010年にアジア競技大会の開催を控えている広州市は、現在多くの体育館が改修の真っ最中。劉詩ウェンを擁する超級リーグ女子の広東珠江怡景湾は、ホームとなる体育館が見つからず、止むなく広州市の中心からは遠く離れた華南師範大の体育館をホームとした。新しく広東省卓球センター主任に就任した喬紅(89年世界選手権優勝)が、同大学の卒業生なのだ。しかし、交通アクセスの悪さも手伝ってか、観客席には学生がまばらに入るだけだという。
超級リーグの試合会場は、大都市よりもむしろ地方の小さな都市のほうが多い。小さな都市といってもそこは中国、人口が100万、200万を超えることも珍しくないのだが、筆者も知らない都市ばかりだ。地図で場所を確認してみると、試合会場までの道のりは容易ではないことが推察される。
なぜ小さな都市での開催が増えているのか。前述の羊城晩報によれば、「小さな都市ならお金を出して試合を招致してくれるから」。娯楽の豊富な大都市よりも、地方のほうが観客を集めやすいという事情もある。選手の年棒は年々高くなる一方で、その資金を捻出するために、自然と地方での開催が多くなってしまう。
試合の日程表を眺めていると、「ドサ回り(地方営業)」といった感もある超級リーグ。その試合会場は中国全土の4直轄市(北京・上海・天津・重慶)、10省(遼寧・河北・山東・山西・陜西・安徽・江蘇・浙江・四川・広東)、2自治区(内モンゴル・新彊ウイグル)にまたがっている。
その中でも最もハードな移動を強いられているのが、内陸の四川省成都市にホームを置く男子の四川全興。第1ステージの全18節だけで、直線距離にして約23,800km(!)を移動しながら転戦する。一例を挙げると、第4節を地元・成都市の成飛体育館で戦ったあと、第5節は1,500km離れた天津市人民体育館、第6節は天津市から430km離れた山西財経大学体育館、そして第7節で1,100kmの距離を移動して成飛体育館に戻ってくる。1日あたりの平均移動距離はなんと400kmにもなる。
かつて毛沢東は2年あまりで約12,000kmを行軍する「長征」を行ったが、現代の超級リーグは2カ月で倍の24,000kmを移動してしまうのだ。毎週水曜日と土曜日に試合がある平均的な試合日程が、どれだけハードなものであるかは想像に難くない。これだけの移動を続けながら、世界トップクラスの対戦相手に挑んでいく超級リーグ。…選手たちが鍛えられるのも納得だ。
Photo:本来の所属である天津市チームが超級リーグから降格し、四川全興に籍を置いているハオ帥。昨シーズン、リーグ中盤から四川全興が失速したのは、ハードな移動の影響もあるのか