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中国リポート

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★★★ 2009中国卓球クラブ超級リーグ・男子第2節 ★★★

[上海明園-金海洋集団 3-0 覇州海潤-温泉城]
○王励勤 -4、6、11、3 李静
○許シン 8、10、9 ジャン健
○許シン/張洋 -6、5、-7、7、9 李静/尚坤

[錦州銀行 3-2 浙商銀行]
 徐輝 -6、-3、-1 馬琳○
○雷振華 7、9、7 張ユク
○徐輝/ジャイ一鳴 -6、7、-5、10、12 張ユク/張超
 雷振華 -2、-4、-6 馬琳○
○ジャイ一鳴 9、5、-9、-4、6 張超

[寧波北侖海天 3-0 江蘇英太青-南体]
○唐鵬 9、-8、10、-9、8 陳杞
○馬龍 9、3、7 單明杰
○呉ハオ/崔慶磊 8、10、-11、4 單明杰/林晨

[山東魯能-中超電纜 3-1 四川全興]
○張継科 9、12、11 ハオ帥
○江天一 9、7、7 邱貽可
 柳洋/方博 -8、-8、-8 ハオ帥/王建軍○
○張継科 -4、-9、6、7、6 邱貽可

[八一工商銀行 3-1 海寧皮革城鵬翔]
 李陟 -2、-8、8、-11 侯英超○
○王皓 -8、5、5、7 李平
○徐克/楊暁夫 7、2、7 李平/陳剣
○王皓 7、3、-8、6 侯英超

 09超級リーグの男子第2節は上記のような結果となった。上海、寧波、錦州の3チームが全勝を守った。
 お気づきの方もいると思うが、昨シーズン優勝の上海冠生園が新たに山西金海洋能源集団(山西省朔州市)をスポンサーに迎え、チーム名も正式に「上海明園-金海洋集団」となった。山西金海洋能源集団は石炭の精製、発電などを行う巨大企業だ。メンバーも監督も変わらず、スポンサーが変わるだけであり、超級リーグにあってはさほど珍しいことではない。しかし、中国随一の経済都市・上海にあって、超級リーグの昨年の優勝チームのスポンサーが替わるとは、少々寂しい話ではある。これで山西省は女子の山東魯能・路安集団、山西大土河華東理工、大同雲崗・雁北賓館と合わせて、男女超級リーグで4つのクラブを抱えたことになる。上海明園-金海洋集団も、第1ステージの18試合のうち6試合が山西省の太原市、朔州市などで行われる。

 第2節では、馬琳率いる浙商銀行が早くも黒星。エース馬琳が確実に2点を奪いながら2-3で敗れるというのは、選手層の厚い超級リーグではよく見られるパターンだ。浙商銀行は馬琳のワンマンチーム、というほどではないが、ダブルスの得点力を高めることが優勝への必須条件になる。寧波北侖海天は、トップで唐鵬が陳杞を下し、江蘇英太青-南体にストレートで完勝。寧波北侖海天の劉国棟監督は「試合前は、唐鵬が陳杞に勝てるとは思っていなかった。これまで陳杞にはかなり分が悪かったからね。今日はレシーブが良かった」とコメント。昨シーズンは新エースの馬龍に加え、2番手に呉尚垠(韓国)を配した寧波北侖海天。唐鵬の活躍次第では、昨シーズンの3位を上回ることも夢ではない。

 09超級リーグ第3節は5月30日(土)に開催。男子の注目カードは上海明園-金海洋集団 vs. 八一工商銀行。総合力では上海明園-金海洋集団が有利だが、王励勤と王皓という横浜大会男子シングルス決勝の再現が、どのような結果に終わるのか?!

Photo上:スポンサーの交替劇も何のその、単複で2点を挙げた許シン
Photo下:バック表ソフトの異質速攻型・唐鵬。前陣での両ハンド連打は見ごたえ十分だ
☆☆☆ 2009中国卓球クラブ超級リーグ・女子第1節 5.23 ☆☆☆

[山東魯能・路安集団 3-1 大同雲崗・雁北賓館]
○彭陸洋 -10、3、5、-6、8 李暁丹
○李暁霞 10、-10、8、4 馮亜蘭
 彭陸洋/李楠 -5、10、-10、-9 李佳/馮亜蘭○
○李暁霞 4、6、8 李暁丹

[遼寧鞍鋼 3-0 重慶康徳]
○郭躍 9、8、8 賈君
○常晨晨 8、7、3 金キョン娥
○郭躍/侯曉旭 7、6、-8、3 麦楽楽/李茜

[広東珠江怡景湾 3-2 山西大土河華東理工]
○劉詩ウェン 10、6、10 饒静文
 蔡賽 -5、-2、-3 郭炎○
 周芳芳/蔡賽 9、-8、-6、-10 饒静文/劉娟○
○劉詩ウェン -7、1、8、5 郭炎
○周芳芳 7、-1、9、-8、4 帖雅娜

[江蘇中超電纜 3-1 八一長安医院]
 范瑛 -9、5、-6、-9 文佳○
○姚彦 7、-6、-5、10、4 曹臻
○張瀟玉/王シュアン 9、-5、7、5 木子/文佳
○范瑛 -9、10、4、3 曹臻

[冀中能源・北大方正 3-2 北京時博国際]
 馮天薇 5、-3、-8、-6 丁寧○
 牛剣鋒 -10、-7、-5 張怡寧○
○牛剣鋒/白楊 5、9、-5、10 丁寧/彭雪
○馮天薇 -6、9、9、10 張怡寧
○白楊 -12、9、5、5 曹麗思

 09中国卓球クラブ超級リーグの女子開幕戦は波乱含み。エース張怡寧が敗れた北京時博国際が黒星発進となり、優勝候補の一角だった山西大土河華東理工も、広東珠江怡景湾のエース劉詩ウェンに2点を奪われて敗れた。

 冀中能源・北大方正との「北京ダービー」を迎えた北京時博国際は、前半で2-0と快調にリードしながら、まさかの逆転負け。4番で敗れた張怡寧は、ゲームカウント1-2の第4ゲーム、9-3のリードを守ることができなかった。「世界選手権から戻って来て、ずっと計画的な練習ができていないし、今日の試合前に3日間練習しただけ。大事な場面で良いプレーができなかった。このような結果になることは、ある程度予想の範囲内と言うべきでしょう」(張怡寧)。女王もさすがに疲労の色は隠せないようだ。ラストでも世界ジュニア4冠の曹麗思が白楊とのフォア表対決に敗れた。
 プレーとは関係ないが、ネットでは張怡寧が左手の中指に指輪をしていることも話題になっている。横浜大会から指輪をしているのだが、何らかの心境の変化なのか。ちなみに張怡寧の「男朋友(ボーイフレンド)」は陳杞、というのが中国では半ば定説になっているが…

 その他の試合では、広東珠江怡景湾が劉詩ウェンの2点に加え、ラスト周芳芳が帖雅娜を破る金星を挙げ、山西大土河華東理工を寄り切った。周芳芳は現在22歳の右シェークドライブ型、もともと河北省出身の選手だ。ともに優勝候補の山東魯能・路安集団と遼寧鞍鋼は、昨シーズンの下位チームを相手にしっかり勝ち星を挙げ、開幕戦を勝利で飾った。

Photo上:指輪ひとつにも注目が集まる張怡寧。全開モードになるにはまだ時間がかかりそうだ
Photo下:シングルス2得点でエースの重責を果たした劉詩ウェン
★★★ 2009中国卓球クラブ超級リーグ・男子第1節 ★★★

[上海冠生園 3-0 海寧皮革城鵬翔]
○許シン 2、6、10 侯英超
○王励勤 5、7、-7、5 李平
○高礼澤/王励勤 2、6、8 陳剣/宋時超

[浙商銀行 3-0 覇州海潤]
○張ユク 5、7、8 周斌
○馬琳 -8、8、6、14 李静
○張ユク/張超 2、-11、-7、11、4 李静/尚坤

[寧波北侖海天 3-0 八一工商銀行]
○唐鵬 -7、5、5、7 李陟
○馬龍 10、6、8 王皓
○馬龍/呉ハオ 5、7、-12、3 徐克/楊暁夫

[錦州銀行 3-1 山東魯能中超電纜]
○雷振華 9、-9、7、9 江天一
 徐輝 -6、-10、-2 張継科○
○徐輝/ジャイ一鳴 -9、-9、8、4、5 江天一/方博
○雷振華 9、11、-4、2 張継科

[江蘇英太青・南体 3-1 四川全興]
 單明杰 -6、-9、-6 邱貽可○
○陳杞 7、-5、9、9 ハオ帥
○單明杰/林晨 10、-9、9、-6、7 ハオ帥/王建軍
○陳杞 9、4、9 邱貽可

 今年も開幕した2009中国卓球クラブ超級リーグ。全10チームが総当たりで全18節を戦う第1ステージ、準決勝および順位決定トーナメントが行われる第2ステージの順に開催される。
 男子の開幕戦(第1節)では、まず昨シーズンのチャンピオンチームである上海冠生園が、いきなり王励勤をダブルスに起用するオーダーを組み、海寧皮革城鵬翔に完勝。トップでカット主戦型の侯英超にストレート勝ちした許シンには、上海冠生園の王家麟監督も「許シンはますます成長している、彼はすでに(高礼澤に替わり)チームの二番手だ」と太鼓判を押した。上々のスタートを切った上海冠生園だが、スポンサーの上海冠生園食品有限公司が業績不振に陥り、スポンサーを続けていくか微妙な状況にある。

 そして男子第1節の最大のトピックスは、世界選手権で優勝したばかりの王皓が、馬龍にストレート負けを喫したこと。横浜大会の準決勝では王皓が4-1で快勝したが、5月19~21日に行われたアジアカップ(馬龍 4-3 王皓)に続いて今回も馬龍が勝利。2012年のロンドン五輪で「三度目の正直」の金メダルを狙う王皓にとって、馬龍は最大のライバルとなりそうだ。

Photo上:王皓を圧倒した馬龍、単複2得点の活躍でチームを勝利に導いた
Photo下:ハオ帥、邱貽可を連破した陳杞。世界戦では冷静な戦いぶりを見せたが、そろそろ「暴れん坊」も卒業か?
 2009年「361°」中国卓球クラブ超級リーグの女子クラブ紹介。いよいよこれでクラブ紹介もラストです。女子4チームを紹介します!

★=外国籍の選手 WR=世界ランキング(09年5月現在)

■江蘇中超電纜(ジァンスゥ ジョンチャオディエンラン/江蘇省)
監督:王永剛(ワン・ヨンガン/93世界選手権ベスト8)
選手:姚彦(ヤオ・イェン/WR28/07世界選手権ベスト16)
   范瑛(ファン・イン/WR16/09スロベニアオープン準優勝)
   王シュアン(王+旋)(ワン・シュアン/WR-/04世界ジュニアベスト8)
   張瀟玉(チャン・シャオユ/WR-/08アジア学生選手権優勝)
   王ティン(女+亭)(ワン・ティン/WR-/07全中国学生ベスト8)

◎昨年、黒龍江省女子チームと江蘇省女子チームが合体して生まれたチーム。王永剛監督は日本名・吉富永剛、日本リーグの健勝苑京都で長く活躍し、全日本選手権でも3位に入っているので、ご記憶の方も多いだろう。
 昨シーズンは1番手の姚彦が活躍し、2番手のカット主戦型・范瑛も国家チームのスパーリングパートナーとして奮闘しているせいか、その実力はいまだ健在。ダブルスを組む黒龍江省のふたり、王シュアン/張瀟玉が五分以上の成績を残せれば、プレーオフ進出のチャンスもゼロではない。戦型のバラエティも豊かな個性派チームだ。

■広東珠江怡景湾(グァントン ジュジィアンイージンワン/広東省)
監督:楊華杰(ヤン・ホアジエ)
選手:劉詩ウェン(雨+文)(リュウ・シウェン/WR7/09世界選手権3位)
   曹幸ニィ(女+尼)(ツァオ・シンニィ/WR-/05全中国運動会ベスト16)
   周芳芳(ジョウ・ファンファン/WR-/03ベトナムオープン混合複3位)
   蔡賽(ツァイ・サイ/WR-/04アジアジュニア複優勝)
   賈林青(ジァ・リンチン/WR-)

◎先日の世界選手権横浜大会で、3位に躍進した劉詩ウェンがチームを引っ張る。劉詩ウェンはここ2シーズン連続で勝率トップ5に入る好成績を収めており、張怡寧や郭躍とも十分に勝負できるだろう。
 問題は2番手以下の戦力が乏しいこと。昨シーズンは2番手の右ペンドライブ型・曹幸ニィの成績が、11勝4敗(07年)から2勝8敗(08年)と急降下。それに伴って、チーム全体の成績も3位から8位へ下がってしまった。ダブルスも実力不足は明らかで、苦しいシーズンになりそうだ。広東省チームは卓球センター主任に89年世界女王の喬紅が就任し、劉詩ウェンが世界戦でメダルを獲得するなど明るいニュースが多いだけに、チームも頑張りたいところだが…。

■大同雲崗・雁北賓館(ダァドンユンガン・イェンベイピングァン/山西省)
監督:ト幇民(ボォ・バンミン)
選手:李佳(リィ・ジァ/WR-/01プロツアーファイナル3位)
   李暁丹(リィ・シャオダン/WR55/09ドイツオープン3位)
   馮亜蘭(フェン・ヤァラン/WR-/06世界ジュニア優勝)
   武楊(ウ・ヤン/WR84/06世界ジュニア3位)
   楊飛飛(ヤン・フェイフェイ/WR-/07城市運動会複ベスト8)

◎世界文化遺産に登録されている雲崗石窟(うんこうせっくつ)で有名な大同市にある、大型ホテル・雁北賓館がスポンサー。山西省女子チームの若手である李暁丹と武楊に、日本リーグの日本生命で活躍する李佳、パワードライブが武器の06年世界ジュニア王者・馮亜蘭が加わった陣容だ。「直通横浜」で活躍した李暁丹をシングルス2点起用するオーダーが多くなるだろうが、絶対的なエースは不在。相手チームのエースに2点取られても全員で3点を取りに行く戦いが求められる。

■重慶康徳(チョンチンカンダァ/重慶市)
監督:林萍君(リン・ピンジュン)
選手:賈君(ジァ・ジュン/WR-/07フランスオープンベスト16)
   麦楽楽(マイ・ルールー/WR-/05全中国運動会ベスト8)
   李茜(リィ・チェン/WR-/03世界ジュニア優勝)
   金キョン(王+景)娥★(キム・キュンア-韓国/WR8/04アテネ五輪銅メダリスト)

◎昨シーズンは甲Aリーグに降格となったが、文句なしの強さで1シーズンで超級リーグ返り咲き。超級リーグの中ではクラブ経営に熱心なチームという印象がある。
 昨シーズンのエースだった李佳は大同雲崗に移籍し、2番手の郭芳芳(韓国)は引退。代わりに世界ランキング8位の金キョン娥(韓国)、そして河北冀中能源から賈君を獲得した。しかし、金キョン娥は中国選手には分が悪く、エースとしてはやや厳しい。2番手の賈君も07年シーズンの16勝10敗(勝率8位)から、08年シーズンは5勝19敗(勝率38位-最下位)と成績が低迷。筆者はこの選手のファンなのだが…。何はともあれ、チーム数が8チームに減らされる今シーズンは、重慶康徳にとってあまりに厳しいシーズンと言わざるを得ない。

Photo上:横浜大会ではシングルス1回戦で朴英淑(韓国)に敗れた姚彦、超級リーグで巻き返しを図る
Photo中:すでにチームの絶対的なエースである劉詩ウェン
Photo下:金キョン娥、鉄壁のカットで中国の観衆を魅了するか
 2009中国卓球クラブ超級リーグ、女子メンバー紹介の第2弾。どのチームもハイレベルです!

★=外国籍の選手 WR=世界ランキング(09年5月現在)

■山西大土河華東理工(シャンシー ダァドゥハァ ホアトンリィゴン/山西省)

監督:臧玉瑛(ツァン・ユイン)
選手:郭炎(グオ・イェン/WR4/08プロツアーファイナル優勝)
   饒静文(ラオ・ジンウェン/WR52/07ユニバーシアード四冠王)
   劉娟(リウ・ジュアン/WR138/05全中国運動会複3位)
   帖雅娜★(ティエ・ヤナ/WR12/08ワールドカップ準優勝)

◎チームの母体は上海の強豪大学である華東理工大学、山西省の石炭企業大手である山西大土河有限責任公司がスポンサー。昨年は第1ステージ(全9節)を1位通過。準決勝で敗れたものの、北京時博国際から移籍した郭炎が通算18勝6敗の好成績を残した。2番手の帖雅娜は昨シーズンやや不調だったが、3番手の右シェーク異質攻撃型・饒静文、4番手の左ペンドライブ型・劉娟も侮れない実力の持ち主。郭炎は引退間近と言われ、帖雅娜もピークを過ぎた感があるが、総合力の高さで今シーズンもプレーオフ進出を狙う。

■八一長安医院(パァイー チャンアンイーユァン/解放軍)

監督:戴麗麗(ダイ・リィリィ/85・87年世界選手権3位)
選手:曹臻(ツァオ・ジェン/WR15/09世界選手権混合複優勝)
   木子(ムゥ・ズ/WR60/09世界選手権混合複準優勝)
   文佳(ウェン・ジァ/WR67/08全中国選手権優勝)
   左ルー(王+路)(ズオ・ルー/WR-/07全中国選手権団体ベスト8)

◎男子の八一工商銀行と同じく、古都・西安にある長安医院が人民解放軍のスポンサーになっている。平均年齢19.5歳とフレッシュなメンバー構成は、取りこぼしもあるが、強豪チームを呑み込む爆発力あり。昨シーズンも第1ステージで優勝候補だった北京時博国際、魯能・路安集団を連破している。木子と文佳の20歳コンビなど注目株もおり、ダークホースと言える存在だ。

■北京時博国際(ベイジン シィポォグオジィ/北京市)

監督:周樹森(ジョウ・シュセン)
選手:張怡寧(チャン・イニン/WR1/09世界選手権優勝)
   丁寧(ディン・ニン/WR13/09世界選手権複準優勝)
   曹麗思(ツァオ・リィス/WR100/08世界ジュニア4冠王)
   彭雪(パン・シュエ/WR-/05世界ジュニア準優勝)

◎張怡寧という絶対的なエースを擁する北京時博国際。スポンサーの北京時博体育賽事有限公司は、スポーツ大会の運営や施設管理などを行う会社だ。06・07年とリーグ2連覇を果たしたが、昨シーズンは郭炎がチームを去って単複で得点力が低下、プレーオフ進出を逃した。
 世界選手権で2回目の優勝を飾った張怡寧のプレーに慢心はないだろうが、「張怡寧が負けるとチームも負ける」という図式が昨シーズンは多く見られた。超級リーグでは3番手の成績がチームの勝敗を大きく左右するが、曹麗思と彭雪はシニアクラスではまだ実力不足。やはりもう一枚駒不足、という感が否めない。急成長中の丁寧が単複でどこまで勝ち星を稼げるか、要注目だ。

■冀中能源・北大方正(ジィチョンノンユェン・ペイダァファンジョン/北京市)

監督:劉麗利(リウ・リィリ)
選手:牛剣鋒(ニウ・ジェンフォン/WR-/03プロツアーファイナル優勝)
   白楊(バイ・ヤン/WR-/05世界選手権混合複準優勝)
   陳晴(チェン・チン/WR-/06アジア競技大会複3位)
   劉純(リウ・チュン/WR-/04全中国選手権ベスト16)
   馮天薇★(フォン・ティエンウェイ/WR6/09世界選手権ベスト8)

◎昨シーズンまさかの最下位で、甲Aリーグに降格となった冀中能源。実質的に河北省女子チームであるこの名門チームが、昨シーズン6位の北京北大方正と合同チームを組み、予想外のウルトラCで超級リーグに返り咲いた。
 もっとも、牛剣鋒と白楊はすでに国家チームを引退しており、シングルスでの得点力は多くは望めない。4番手のペン粒高攻守型・陳晴もダブルス専門の起用になりそうだ。実質的なエースである馮天薇が、昨年の北京北大方正のエースだったリ・ジャウェイに迫る成績を残せるか。

Photo上:世界ランキング4位、山西大土河華東理工のエース郭炎
Photo中:曹臻、シェーク異質速攻では女子で世界最強か
Photo下:チームの王座返り咲きを目指す張怡寧。髪型の動向にも興味が持たれる
 2009年「361°」中国卓球クラブ超級リーグの開幕も、いよいよ目前に迫って来た。男子に続いて、今度は女子の10チームのメンバーを紹介しよう。現在、世界選手権の女子団体で8連覇中の中国女子チーム。超級リーグの顔ぶれを見ても、そのレベルの高さは際立っている。
 ちなみに、08年シーズンの最終順位はこちら…。

1.  魯能・路安集団
2.  遼寧鞍鋼
3.  山西大土河華東理工
4.  八一工商銀行
5.  北京時博国際
6.  北京北大方正
7.  江蘇中超電纜
8.  広東珠江怡景湾
9.  大同雲崗・雁北賓館
10.  冀中能源

 優勝は李暁霞・馮天薇・彭陸洋という強力メンバーを揃えた魯能・路安集団。プレーオフ決勝では、遼寧鞍鋼のエース郭躍がライバルの李暁霞と三たび火花を散らし、李暁霞が2勝1敗と勝ち越してチームを優勝へと導いた。
 それでは、超級リーグ女子の10チームを順に紹介しよう。

★=外国籍の選手 WR=世界ランキング(09年5月現在)

■山東魯能・路安集団(シャンドンルゥノン・ルゥアンジィトゥアン/山東省)

監督:于国鵬(ユ・グオパン)
選手:李暁霞(リィ・シャオシア/WR3/09世界選手権3位)
   彭陸洋(パン・ルゥヤン/WR-/07世界選手権ベスト8)
   李楠(リィ・ナン/WR-/99世界選手権3位)
   肖萌(シャオ・モン/WR-/08全中国選手権複ベスト8)

◎2連覇を狙う昨シーズンの優勝チーム。中国屈指の名門クラブである山東魯能が母体で、山西省の巨大石炭会社である路安集団がスポンサーとなっている(路には実際にはさんずいが付く)。
 李暁霞・彭陸洋のツートップはどのチームにも負けないが、馮天薇が抜けた今シーズンは3・4番手にやや不安がある。3番手の李楠はかつて中国代表として活躍した左ペンドライブ型。4番手の肖萌は20歳、山東魯能卓球学校からの生え抜き選手。李楠は今シーズン、日本リーグの十六銀行との掛け持ち参戦となる。プレーオフ進出(第1ステージ4位以上)は問題なさそうだが、優勝への道は昨年より厳しいものになりそうだ。

■遼寧鞍鋼(リャオニン アンガン/遼寧省)

監督:谷振江(グゥ・ヂェンジアン)
選手:郭躍(グオ・ユエ/WR2/07世界選手権優勝)
   常晨晨(チャン・チェンチェン/WR37/09世界選手権混合複3位)
   楊楊(ヤン・ヤン/WR-/07世界ジュニア優勝)
   侯曉旭(ホウ・シャオユ/WR-/07全国城市運動会複優勝)

◎製鉄の街、遼寧省鞍山市にある鞍山鋼鉄股フェン公司がスポンサー。昨シーズンはエース郭躍が王楠の抜けた穴を埋め、19勝6敗の好成績でチームを引っ張り、女子のMVPを獲得した。
 今シーズンは唐イェ序(韓国)が抜け、八一工商銀行から07年世界ジュニア優勝の楊楊が加入。この楊楊とのダブルスも含めて、2番手として起用される左シェークドライブ型・常晨晨のプレーが浮沈のカギを握る。単5勝1敗、複7勝7敗の昨シーズンに並ぶ成績を残せれば、今年も遼寧鞍鋼は優勝戦線を賑わせるだろう。

Photo上:遼寧鞍鋼の大黒柱・郭躍
Photo中:横浜大会の準決勝で郭躍に敗れた李暁霞。今シーズンも宿命のライバル対決は続く
Photo下:国際大会ではなかなか代表に起用されない常晨晨、超級リーグで存在感を示したい
超級リーグ・メンバー紹介の第3弾!
新・世界チャンピオンの王皓は今年も八一工商銀行で孤軍奮闘のシーズンになりそうだ。

■錦州銀行(ジンジョウ インハン/遼寧省)

監督:于沈潼(ユ・シェントン/89世界選手権3位)
選手:雷振華(レイ・ジェンホア/WR -/06クロアチアオープンベスト8)
   徐輝(シュ・ホイ/WR92/04アジアカップ2位)
   ジャイ(曜の右側)一鳴(ジャイ・イーミン/WR -/06世界大学混合複3位)
   張ユゥ(チャン・ユゥ/WR -/通信体育協会所属)

◎ここ数シーズンは雷振華と徐輝のツートップで、辛くも降格の危機を免れている錦州銀行。昨シーズンの7位は定位置と言える結果だった。パワーのある右シェークドライブ型・雷振華をシングルス2点起用し、フットワークの軽い右ペンドライブ型・徐輝を単複で起用する不動のオーダーで挑む。超級リーグ残留が現実的な目標か。

■八一工商銀行(パァイー ゴンシャンインハン/解放軍)

監督:王涛(ワン・タオ/92バルセロナ五輪複金メダリスト)
選手:王皓(ワン・ハオ/WR1/09世界選手権優勝)
   徐克(シュ・カ/WR -/06世界ジュニア2位)
   楊暁夫(ヤン・シャオフ/WR -/04アジアカップ4位)
   李陟(リ・ジィ/WR -/04全中国選手権ベスト8)

◎実質的に中国の国軍である人民解放軍を、中国最大の銀行である中国工商銀行がバックアップしている。八一は解放軍の建軍記念日である8月1日を表している。
 絶対的エースの王皓が常にシングルス2点起用され、確実にポイントを稼ぐのだが、昨シーズンは敗れた6試合のうち5試合が2-3での敗戦となるなど、どうにも2番手以下の駒が足りない。監督の王涛が「俺が出る」と言い出しそうなくらいだ。06年世界ジュニア2位の徐克の成長が望まれる。

■覇州海潤-温泉城(バァジョウ ハイルン-ウェンチュアンチェン/河北省)

監督:梁斌(リァン・ビン)
選手:ジャン(瞻の右側)健(ジャン・ジェン/WR -/01世界選手権混合複3位)
   閻安(イェン・アン/WR233/08世界ジュニア3位)
   周斌(ジョウ・ビン/WR -/06シンガポールオープン3位)
   尚坤(シャン・クン/WR -/07全国城市運動会複2位)
  ★李静(リ・チン-香港/WR18/06アジア競技大会3位)
  ★ガオ・ニン(シンガポール/WR27/07アジアカップ優勝)

◎昨シーズン、甲Aリーグで優勝した河南省男子チームがスポンサーを集められず、覇州海潤実業有限公司(物流業)が超級リーグ参戦の権利を買い取った。覇州市は河北省にある小さな県級市で(それでも人口は57万人)、日本で言えば「おらが村のチーム」という感覚のようだ。
 メンバーは完全に寄せ集めの「傭兵集団」で、閻安は北京市、周斌は遼寧省、尚坤は上海市の出身。それに外国籍の李静とガオ・ニンが加わった。エース不在で決め手に欠けるメンバー構成ではあるが、李静とガオ・ニンが渋くポイントを稼いで、まずは「超級リーグ残留」といきたいところだ。

■海寧皮革城鵬翔(ハイニン ピィグチェンポンシアン/浙江省)

監督:項曉(シァン・シャオ)
選手:李平(リ・ピン/WR38/09世界選手権混合複優勝)
   侯英超(ホウ・インチャオ/WR29/06プロツアーファイナル3位)
   陳剣(チェン・ジェン/WR -/05全中国運動会ベスト16)
   宋時超(ソン・シィチャオ/WR -/07世界ジュニアベスト8)
   沙陳斌(シャ・チェンビン/WR -/04全中国運動会団体ベスト8)

◎昨シーズンは420万元(約5,880万円)を払って獲得した李平が3勝10敗と完全に期待を裏切り、チームも9位に終わった海寧皮革城鵬翔。07年世界ジュニア選手権で、勝利を決めた後に卓球台の上に飛び乗って物議を醸した宋時超がメンバーに入ったが、超級クラスでは勝利を挙げるのは難しいだろう。侯英超も対外国選手ほどの強さは期待できず、やはり李平のプレーにチームの浮沈が懸かってくる。横浜大会混合複優勝で得た自信を成績につなげられるか?

 2009中国超級リーグのメンバー大紹介。続いて女子のメンバーも紹介します!

Photo上:昨シーズンは2勝9敗と大ブレーキだった徐輝
Photo中:世界王者・王皓はどこまで勝ち星を伸ばすか
Photo下:横浜大会の混合複で優勝した李平
 2009中国卓球クラブ超級リーグ男子のメンバー大紹介。昨シーズン決勝に進出した2チームに続き、プレーオフ(準決勝)に進出した寧波北侖海天と魯能中超電纜、そして四川全興と江蘇江南電纜を紹介しよう。

■寧波北侖海天(ニンポォ ベイルンハイティエン/浙江省)

監督:劉国棟(リウ・グオドン/インドネシアチーム総監督)
選手:馬龍(マ・ロン/WR2/09世界選手権3位)
   呉ハオ(瀬の「束」が景)(ウ・ハオ/WR -/06世界ジュニア複優勝)
   崔慶磊(ツイ・チンレイ/WR -/07アジアジュニア2位)
   荘智淵★(チュアン・チーユアン-タイペイ/WR12/04アテネ五輪ベスト8)
   唐鵬★(タン・パン-香港/WR25/09世界選手権ベスト16)

◎浙江省寧波市にある中国最大級のプラスチック成型機メーカー、海天国際集団がスポンサー。劉国梁の兄で、今年からインドネシアチーム総監督に就任した劉国棟が監督を務める。
 エースの馬龍は昨シーズン20勝2敗と抜群の成績で男子MVPに輝いた。ほぼ全試合で馬龍をシングルス2点起用するオーダーで挑むだろう。上位進出のカギは、やはり荘智淵と唐鵬というふたりの助っ人選手か。馬龍が昨シーズンに近い成績を残せれば、問題はあと一点を誰が奪うか、ということになる。

■山東魯能-中超電纜(シャンドンルゥノン ジョンチャオディエンラン/山東省)

監督:谷青成(グゥ・チンチェン)
選手:張継科(チャン・ジィカ/WR35/08全中国選手権優勝)
   方博(ファン・ボォ/WR341/08アジアジュニア複2位)
   柳洋(リウ・ヤン/WR -/04全中国選手権団体2位)
   朱舟(ジュ・ジョウ/WR -/08全中国選手権ベスト8)
   江天一★(ジァン・ティエンイ-香港/WR22/08プロツアーファイナルベスト8)

◎昨シーズンは序盤戦で好スタートを切り、下馬評を覆してプレーオフ進出。中国屈指の名門クラブである山東魯能が母体となっている。
 エースの若き全中国チャンピオン・張継科に加え、今シーズンは長身の左シェークドライブ型・江天一がチームに復帰。江は世界選手権横浜大会でベスト16に入り、4回戦でも王皓から2ゲーム先取している。脇を固める方博、柳洋、朱舟の中から日替わりでヒーローが飛び出せば、2年連続のプレーオフ進出も夢ではない。

■四川全興(スーチュアン チュアンシン/四川省)

監督:陳宏宇(チェン・ホンユ)
選手:ハオ(赤+おおざと)帥(ハオ・シュアイ/WR9/04アテネ五輪複金メダリスト)
   邱貽可(チュウ・イカ/WR -/03世界選手権ベスト8)
   王建軍(ワン・ジェンジュン/WR -/03アジア選手権複3位)
   許鋭鋒(シュ・ルイフォン/WR -/07世界ジュニア2位)

◎スポンサーの四川全興股フェン有限公司は、四川省成都市にある600年以上の歴史を誇る酒造・食品会社。昨シーズンのメンバーから李静(香港)が抜け、シャルロワ(ベルギー)でプレーしていた王建軍が2季ぶりにチームに復帰した。
 昨シーズンは開幕から4連勝の好スタートを切りながら、中盤から急激に失速、プレーオフ進出を逃した。今シーズンも4位以上に入るにはややパンチの足りないメンバー。2番手の邱貽可は相手のエースを圧倒したかと思えば、大事な場面で2点落とすなどプレーにムラが多い。第1ステージで何とか3・4位に滑り込みたいところだ。

■江蘇英太青・南体(ジァンスゥ インタイチン・ナンティ/江蘇省)
監督:楊川寧(ヤン・チュアンニン)
選手:陳杞(チェン・チー/WR7/09世界選手権ベスト8)
   單明杰(シャン・ミンジエ/WR -/08全中国選手権複ベスト8)
   林晨(リン・チェン/WR -/05アジアジュニア優勝)
   朱江(ジュ・ジァン/WR -/08全中国選手権ベスト16)

◎「英太青」は江蘇省南京市にある「江蘇先声薬業有限公司」が発売している関節炎などの薬の名前。「南体」は「南京体育学院」の略。この2つが江蘇省男子チームと3年間のスポンサー契約を結び、誕生したチームだ。
 メンバーはここ3シーズンほど不動の顔ぶれ。優勝はどう考えても厳しく、プレーオフに進出できれば大健闘だろう。エース陳杞は取りこぼしが多いのが最大の短所。かつては多くの名選手を輩出した江蘇省チームだけに、男女とももっと活躍してほしいところだが…。

Photo上:昨シーズンMVPの馬龍。今年は気の抜けない戦いが続く
Photo中:魯能中超電纜に加入した江天一。もともと山東魯能の出身で、07年シーズンも山東魯能でプレーしていた
Photo下:世界選手権ベスト8、江蘇英太青・南体の絶対的エースである陳杞
 5月23日、各地で開幕を迎える2009年「361°」中国卓球クラブ超級リーグ。(361°は中国の新興スポーツブランド)。世界最高峰のレベルを誇る中国の国内リーグだ。超級の下に甲A~D・乙A~Bの6つの下部リーグがある。
 国家体育総局卓球・バドミントンセンターの劉風岩主任は、5月8日に行われた超級リーグの開幕式の席上で「2010年からは超級リーグを男女8チームずつで行う」ことを明言している。今シーズンはそれだけ残留争いも熾烈になり、よりエキサイティングなゲームが展開されるだろう。
 まず、男子の昨シーズンの順位のおさらいから…。

1. 上海冠生園
2. 浙商銀行
3. 寧波北侖海天
4. 魯能中超電纜
5. 四川全興
6. 江蘇江南電纜
7. 錦州銀行
8. 八一工商銀行
9. 海寧皮革城鵬翔

 1チーム減の9チームで行われた昨シーズンの超級リーグ男子。毎試合ごとに、1チームが休みになるタイムスケジュールだったが、今シーズンはなんとか10チーム揃った。それでは昨シーズンの順位の順番で、各チームの顔ぶれを見ていこう。

★=外国籍の選手 WR=世界ランキング(09年5月現在)

■上海冠生園(シャンハイ グァンションユェン/上海市)

監督:王家麟(ワン・ジァリン)
コーチ:馮ジェ(吉+吉/フォン・ジェ)
選手:王励勤(ワン・リチン/WR5/07世界選手権優勝)
   許シン(日+斤)(シュ・シン/WR44/09世界選手権複準優勝)
   高欣(ガオ・シン/WR -/07ユニバーシアード優勝)
   張洋(チャン・ヤン/WR -/03アジアカップ3位)
   高礼澤★(コ・ライチャク-香港/WR24/08北京五輪ベスト8)

◎スポンサーの上海冠生園食品有限公司は、上海土産の定番であるミルクキャンディ「大白兎」で有名な老舗食品メーカー。ディフェンディングチャンピオンとして迎える今シーズンは、昨シーズンと全く同じメンバー構成。昨シーズンはプレーオフの勝負どころで王励勤を単複で起用するオーダーを組み、王励勤/許シンのダブルス(08年全中国選手権複優勝)が確実に白星を挙げた。王励勤/許シンで4勝0敗、張洋/許シンで6勝2敗、ダブルスの強さがこの上海冠生園の最大の強みだ。
 世界選手権で3種目を戦い抜いた許シンは、今シーズン大ブレイクの予感。シングルスでも活躍が期待できるだろう。単複に起用できるテクニシャン高礼澤の存在も大きい。手堅くプレーオフ(準決勝)には進出してきそうだが、まずは昨シーズンつまづいた序盤戦での戦いぶりに注目。

■浙商銀行(ジェシャン インハン/浙江省)

監督:陳健(チェン・ジェン)
選手:馬琳(マ・リン/WR3/08北京五輪シングルス金メダリスト)
   張超(チャン・チャオ/WR37/09世界選手権混合複3位)
   魏炎涛(ウェイ・イェンタオ/WR -/05全中国運動会ベスト16)
   朱世赫★(ジュ・セヒュク-韓国/WR8/03世界選手権2位)
   張ユク★(チェン・ユク/WR16/09世界選手権ベスト16)

◎昨シーズン、水谷隼(明治大・スヴェンソン)とヤン・ツー(シンガポール)が登録していたチーム。今シーズンも強力なメンバーを揃えたが、不安材料はダブルス。正規のダブルスである馬琳/張超ペアを起用すると、馬琳を2点起用できなくなる。張超/張ユクをダブルスで起用し、馬琳を2点起用するオーダーが濃厚だが、それでは朱世赫の活躍の場がなくなる。強豪チームではあるが、絶対的オーダーによる横綱相撲ではなく、相手チームに合わせた柔軟なオーダーが求められるだろう。
 ちなみに、馬琳と朱世赫は03年世界選手権パリ大会で朱世赫が勝ち、先日の横浜大会では馬琳が勝った因縁の対決。張ユクは横浜大会で朱世赫のカットを打って脇腹を傷め、単複で棄権という悔しい思いをしている。唯一の心配のタネはチームワークか…?

Photo上:横浜大会で「まだまだ死んでいない」ところを見せた王励勤
Photo中:許シン、パワードライブで大ブレイクか
Photo下:「馬琳を得た者が天下を得る」と言われた馬琳神話、復活はあるか?
 世界選手権横浜大会の終了後、中国では記者会見での中国選手の態度に対して、批判的な記事がいくつか見られた。
 もっとも、その多くはドイツの新聞記者が「どうして中国選手は会見中にあんなに落ち着きがなくて、失礼な態度を取るのか?」と発言したことを伝えるもの。中国選手の態度の悪さが指摘された、と客観的に報道するだけで、積極的に批判するような記事は多くはない。しかし、解放日報がウェブサイトで行ったアンケートによれば、「素行が悪ければ、金メダルを幾つとっても意味がない」と回答した人が87.64%に上ったという。

 中国リポートではお伝えしていなかったが、今年3月、ITTFのシャララ会長が中国を訪れ、中国卓球協会に一通の手紙を渡していた。その内容は、中国選手のプレー態度やファンサービス、マスコミへの対応には多くの不満が出ており、より一層の向上を求める、というものだった。「よりプロフェッショナルであれ」ということだ。
 今大会、確かに中国選手の記者会見での態度は、その多くが一流のスポーツマンにはふさわしくないものだった。中国での報道でも紹介されているが、会見中に携帯をいじったり、選手同士で喋ったり、グッタリしてちゃんと座っていられない選手もいた。しかも、それは今大会に限ったことではなく、なかば常態化しているようだ。コートで見せる素晴らしいプレーとの落差が大きいだけに、余計ガッカリしてしまうことになる。

 もっとも、中国はようやくスポーツのプロ化への道を踏み出したばかり。日本でも、真のプロフェッショナルと呼べるスポーツ選手はそう多くはないはずだ。中国卓球協会の蔡振華会長は会見で「たった一度の大会で、中国選手たちの思想や素行が飛躍的に進歩するというのは難しい。しかし、選手たちやコーチに関しては、以前よりも対応が良くなったと感じている」と発言。一方で、試合に負けると足早にコートを去る中国選手に対して、「日本選手が観客に手を振り、或いは笑顔や涙で応え、四方に深々とお辞儀している真摯な態度に比べると、観客に与える印象ではまだまだ差がある」と率直に認めている。

 今大会の中国選手で、もっともプロフェッショナルだったのは王励勤だ。試合での気迫あふれるプレー、試合後にサインを求めるファンやマスコミへの丁寧な対応など、非常に誠実な印象を残した。シングルスでは優勝を逃したものの、さすがに世界チャンピオンの貫禄だった。

Photo上:準決勝終了後、殺到したファンからのサイン攻めに応じる王励勤
Photo下:記者会見が三カ国語で行われ、かなり長くなったのは気の毒だったが…