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中国リポート

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★2009中国卓球クラブ超級リーグ・男子最終順位
1.  寧波北侖海天
2.  浙商銀行
3.  上海明園-金海洋集団
4.  山東魯能-中超電纜
5.  四川全興
6.  錦州銀行
7.  八一工商銀行
8.  江蘇英太青・南体
9.  覇州海潤
10.  海寧皮革城鵬翔 ※自動降格

★2009超級・甲Aリーグ男子入れ替え戦 8.26
覇州海潤 3-1 湖南広電金鷹
※覇州海潤は超級リーグ残留

 2009中国卓球クラブ超級リーグ、男子の最終成績は上記のとおりとなった。シーズン前、来シーズンは8チームでの開催になるという報道がなされていたが、結局降格になったのは10位(自動降格)の海寧皮革城鵬翔だけ。2010年のシーズンも10チームでの開催となるようだ。
 シーズン全体を通じて大きな番狂わせはなかったが、プレーオフに進出した4チームのうち、寧波北侖海天、浙商銀行、上海明園-金海洋集団の3チームの実力差はわずかなものだった。そして3チームの中では最も層が薄いと思われた寧波北侖海天が優勝。すでに「大エース」と呼ぶに十分な貫禄を備えた馬龍、そして劉国棟監督の思い切った用兵術で、紙一重の接戦を乗り切った。
 5位の四川全興はプレーオフの4番目の椅子を獲得してもおかしくなかったが、ハオ帥と張継科(山東魯能-中超電纜)という両エースの勢いの差が出たか。6位の錦州銀行は今シーズンも渋く勝ち星を稼ぎ、特に馬龍から2点を奪って寧波北侖海天を破った1勝が光る。7位の八一工商銀行は相変わらず王皓が孤軍奮闘。8位の江蘇英太青・南体はここ数年主力メンバーが代わらず、ジリジリと降格圏内へ落ち込みつつある。そして9位の覇州海潤は大健闘、「外援」のガオ・ニン(シンガポール)と李静(香港)がふたりで1勝15敗と散々な成績だったが、ベテランのジャン(瞻の右側)健に若手の尚坤と閻安がうまくかみ合い、超級リーグ残留を果たした。
 男子のシングルスの個人成績は以下のとおりだ。

★男子シングルス個人成績 TOP10(勝利数)
1.  馬龍(34勝6敗・寧波北侖海天)
2.  張継科(24勝6敗・山東魯能-中超電纜)
3.  王皓(24勝9敗・八一工商銀行)
4.  馬琳(22勝10敗・浙商銀行)
5.  陳杞(21勝12敗・江蘇英太青・南体)
6.  王励勤(20勝9敗・上海明園-金海洋集団)
7.  ハオ帥(17勝9敗・四川全興)
8.  雷振華(14勝18敗・錦州銀行)
9.  許シン(11勝10敗・上海明園-金海洋集団)
10.  朱世赫(10勝5敗・浙商銀行)

★男子ダブルス 上位ペアの主な成績
1.  呉ハオ/崔慶磊(13勝5敗・寧波北侖海天)
2.  張ユク/張超(10勝3敗・浙商銀行)
2.  許シン/張洋(10勝3敗・上海明園-金海洋集団)
4.  江天一/方博(8勝4敗・山東魯能-中超電纜)
5.  馬琳/張超(7勝1敗・浙商銀行)

 男子シングルスでは開幕から15連勝を記録した馬龍が、34勝6敗と抜群の成績を残した。超級リーグでの通算勝利数も100勝を突破して115勝まで伸ばし、今シーズン同じく通算100勝を達成した王皓(113勝)、王励勤(110勝)らを抑えて早くもトップ。今後どこまで勝ち星を伸ばすのか、想像がつかない。
 男子ダブルスの上位ペアの成績を見てみると、決勝では2敗したものの、優勝した寧波北侖海天の呉ハオ/崔慶磊が13勝をマーク。対照的に最下位の海寧皮革城鵬翔は6パターンのペアを繰り出しながら、なんと通算2勝20敗。4単1複の試合方式ではダブルスが勝利への鍵、この鉄則は超級リーグといえども変わらない。
 続けて超級リーグ女子の最終成績および個人成績もお伝えしましょう。

Photo上:今シーズンの強さは圧巻だった馬龍
Photo中:張継科は来シーズン、ジュニア時代からのライバル馬龍に肩を並べられるか
Photo下:10勝を挙げ、「外援」の役割を果たした朱世赫。決勝でも出場できていれば、あるいは…?
(写真はいずれも世界選手権横浜大会)
★★★ 2009中国卓球クラブ超級リーグ 男子第2ステージ決勝 第3戦 ★★★

[寧波北侖海天 3-1 浙商銀行]
 唐鵬 -7、-5、-10 張ユク○
○馬龍 6、6、5 馬琳
○馬龍/呉ハオ 7、10、9 張超/張ユク
○唐鵬 9、9、7 馬琳

 2009中国卓球クラブ超級リーグ、男子のチャンピオンチームは寧波北侖海天に決定した!

 この決勝第3戦の大きなポイントとなったのは、寧波北侖海天・劉国棟監督の大胆なオーダー変更。1番手の馬龍を2番手に下げ、唐鵬を1番手としてシングルスに2点起用した。第2戦に1-3で敗れた後、寧波北侖海天は1時間に及ぶチームミーティングを行い、奇策とも言うべきオーダーについて意見の交換を行ったという。
 このオーダーは半分は当たり、そして半分は外れたが、どちらかと言うと外れたダメージのほうが大きかった。トップに出場した唐鵬が、香港男子チームのチームメイトである張ユクに完敗を喫したからだ。「我々はこのオーダーで、3番ダブルスまでに決着をつけたかった。しかし、唐鵬が敗れたことで、4・5番の対戦では非常に不利な戦いが予想された」(劉国棟)。

 2番で対戦したのは、両チームの絶対的エースである馬龍と馬琳。馬琳が勝利して浙商銀行が2-0とリードすれば、寧波北侖海天にとってほぼ敗戦宣告に等しい。しかし、馬龍は常に先手を取ってパワードライブで攻め、どのゲームも出足からリードを奪う展開。第3ゲームも馬龍5-1のリードで馬琳がタイムアウトを取ったが、展開は変わらず馬龍がストレート勝ちを収めた。3番ダブルスも馬龍/呉ハオが今シーズン10勝2敗の張ユク/張超に完勝し、寧波北侖海天が2-1と優勝へ王手。しかし、4・5番に馬龍を使えないことを考えると、これでもまだ五分か、浙商銀行がやや有利かと思われた。
 そして4番はともに1・2番で敗れた唐鵬と馬琳の対戦。対戦成績では圧倒的に分が悪い唐鵬だが、シーソーゲームとなった第1ゲームを9-9から2点連取で奪うと、第2ゲームも唐鵬9-6のリードから9-9とされながらも、やはり唐鵬が11-9で連取。第3ゲームはゲーム中盤で馬琳のサービスミスから流れが変わり、唐鵬が11-7で奪ってストレート勝ち。27歳のベテラン速攻プレーヤーが、最後の最後で大仕事をやってのけた!

「本当にすばらしい選手たちだ、今日は全員が実力以上のプレーを見せてくれたし、相手チームに大きなプレッシャーを与えられた。今シーズンの優勝カップを獲得できて非常に嬉しい。鳳県(試合の開催地)は我々の『福地』だ!」(劉国棟監督)。オーダーは必ずしも的中しなかったが、「勝負に出る」という気迫が第2戦での敗戦のムードを払拭し、寧波北侖海天に勝利をもたらしたとも言えるだろう。
 一方の浙商銀行は、エース馬琳がよもやの2連敗。馬龍に敗れることはある程度計算済みだっただろうが、4番で馬琳が勝利すれば、ラストの張超vs呉ハオは問題なく張超が勝っていたはずだが…。3年連続の2位という悔しい結果に終わった。

 寧波北侖海天vs浙商銀行というのは、奇しくも07年シーズンの第17節で寧波北侖海天が優勝を決めた時の対戦カード。そして浙商銀行(当時のメンバーはハオ帥・李平・李虎)から2点を奪い、優勝を決めたのは他ならぬ馬琳(当時:寧波北侖海天)だった。2年の間にチームを移籍し、同じ対戦カードで天国と地獄を味わった馬琳。超級リーグの「優勝請負人」の座は、ついに馬龍へと引き継がれたのか…?

Photo上:優勝を決めた唐鵬。昨年の高礼澤(上海冠生園)に続き、香港勢が優勝のキーパーソンとなった
Photo中:トップが敗れても、きっちり単複2点獲り。今シーズンはシングルスで34勝6敗という圧倒的な勝率を記録
Photo下:第2戦で精魂尽き果てたか、2点を落とした馬琳(写真は3点とも世界選手権横浜大会)
☆☆☆ 2009中国卓球クラブ超級リーグ 女子第2ステージ決勝 第2戦 ☆☆☆

[北京時博国際 3-1 山東魯能・路安集団]
○張怡寧 7、6、10 彭陸洋
 丁寧 7、7、-6、-8、-6 李暁霞○
○丁寧/彭雪 10、4、7 彭陸洋/李楠
○張怡寧 5、-7、7、13 李暁霞

※9・10位決定戦
●第1戦 重慶康徳 3-2 大同雲崗・雁北賓館
●第2戦 重慶康徳 3-1 大同雲崗・雁北賓館

 2009中国卓球クラブ超級リーグの女子決勝は、山東魯能・路安集団に2連勝した北京時博国際が優勝。準決勝・決勝の4試合で1点しか落とさない、見事な勝ちっぷりだった。
 第1戦に3-0で勝利した北京時博国際に対し、山東魯能・路安集団は腰痛の彭陸洋が戦列に復帰。両チームともベストメンバーで試合に臨み、トップで張怡寧と彭陸洋が対戦。彭陸洋が勝利すれば、決勝全体の流れが大きく変わる場面だったが、彭陸洋にラバーが浮いて(気泡が生じて)、ラケットが使えなくなるアクシデントが発生。やむなく李暁霞のラケットを借りてプレーを続けた彭陸洋に、ホームの大声援を背負った張怡寧に対抗する術はなく、ストレートで張怡寧が勝利した。
 それにしても、超級リーグではラケットに問題が発生した場合、スペアラケットではなくチームメイトのラケットを借用することが多い。中国製ラバーの場合、打球感がまったく同一のスペアラケットを作るのは難しいが、他人のラケットよりはずっと使いやすいはずだ。その点、世界最高峰の国内リーグにしてはややお粗末と言わざるを得ない。昨年の北京五輪・男子準決勝で、ラバーがわずかに破れた王励勤が馬琳にそれを指摘され、グルーイングをしていないスペアラケットで戦って敗れたケースもある。

 北京時博国際は2番で丁寧が李暁霞に2-0から逆転負けを喫したものの、3番ダブルスがストレートで勝利し、4番で張怡寧が締める理想的な試合運びを見せた。試合後、張怡寧は次のようにコメントしている。「今シーズンの戦いは非常に苦しかった。これほどタイトなスケジュールを戦い抜いたことはなかったし、それだけに感激も大きいです。チームの勝因はやはりチームワーク、みんなで一致団結して戦うことで、チーム全体の気迫は相手を圧倒していた」(出典『華奥星空』)。03-04年シーズンの北京海菲泰、06・07年シーズンの北京首創に続き、北京市チームに4個目の優勝カップをもたらした張怡寧。表彰式で大観衆の声援に包まれながら、「今日の歓喜は今晩限りのこと」と過去の栄光にとらわれない姿勢が、女王の女王たる所以(ゆえん)か。「超級リーグでの優勝はあくまでも第一歩に過ぎない」と述べた周樹森監督とともに、次なるビッグタイトル、全中国運動会へ向けてモチベーションを上げていく構えだ。

超級リーグ男子決勝第3戦の模様、および男女総合順位・個人成績も続けてお伝えします!

Photo上:プレーオフでは単複で5戦全勝。さすがの勝負強さを見せた張怡寧
Photo下:シングルス17勝7敗の成績で、トップクラスの仲間入りを果たした丁寧。昨シーズンは埋められなかった郭炎の抜けた穴を、今シーズンは見事に埋めた
★★★ 2009中国卓球クラブ超級リーグ 男子第2ステージ決勝第2戦 ★★★

[浙商銀行 3-1 寧波北侖海天]
○馬琳 7、9、-9、12 唐鵬
 張ユク -8、-3、-16 馬龍○
○張ユク/張超 9、3、8 呉ハオ/崔慶磊
○馬琳 6、-8、8、-6、9 馬龍

 超級リーグ男子決勝は、浙商銀行が寧波北侖海天を3-1で下して1-1のタイに持ち込み、決着は第3戦へと委ねられた。
 今シーズンはここまで寧波北侖海天が3連勝しているこの対戦カード。しかし、この瀬戸際で意地を見せたのが馬琳だった。トップで難敵・唐鵬を下し、4番では今シーズン3連敗を喫していた馬龍にゲームオール9本で勝利した。最終ゲームは馬龍5-1のリードから、馬琳が9-6と逆転。さらに馬龍が9-9に追いつく目まぐるしい試合展開となったが、ここから2点連取した馬琳が熱戦に終止符を打った。準決勝でも張継科(山東魯能-中超電纜)に2連敗していたが、若手の台頭の中で、エースとしてのプライドを辛うじてつなぎ止めた形だ。
 試合後、馬琳は次のようにも語っている。「年を重ねるに従って、技術面でも戦術面でも、若い選手のような急激な伸びは期待できなくなる。王励勤もそうだけど、僕らは卓球への熱い思いがあってこそ、こうしてプレーを続けることができるんだ。超級リーグでの勝利は大きな自信になるし、精神面を落ち着かせてくれるよ」(出典『華奥星空』)。…これは馬琳の肉声と言えるかもしれない。決勝第3戦は、今シーズンここまで33勝6敗、チームをひとりで牽引してきた馬龍との「優勝請負人」の名を懸けた戦いとなる。

 敗れた寧波北侖海天の馬龍は、試合後に「今シーズン、これが馬琳とは3回目のフルゲームの試合。これまでの2回は僕が勝って、今回は馬琳が勝った。馬琳は世界最高の選手のひとりだし、どちらが勝っても負けても、不思議なことじゃない」と冷静なコメント。「(第3戦は)特別なプレッシャーはないよ。戦力的には浙商銀行のほうが上だから、全力でぶつかるだけだ」(馬龍)。第3戦での勝利には馬龍の2点獲りが絶対条件だが、呉ハオ/崔慶磊のダブルスがやや不調なだけに、残り1勝を誰がもぎとるのか。

 ちなみにこの超級リーグ男子決勝2戦は、寧波北侖海天のホームゲームだが、ホームである浙江省寧波市から遠く離れた陜西(せんせい)省宝鶏市鳳県で行われている。山あいののどかな町で、会場は大いに盛り上がったようだが、決勝戦すら本来のホームで行えないというのは寂しい。馬琳は試合後、「会場のファンはどちらのチームにも声援を送ってくれるし、試合の内容も素晴らしい。毎試合これくらい盛り上がれば、超級リーグがNBA(米プロバスケットボール)のようになる日も遠くはないと思う」と述べているが…。実際には超級リーグのプロ化への道のりは、まだまだ道半ばと言えそうだ。

Photo上:最後の力を振り絞るか、馬琳
Photo下:超級リーグではまだ優勝の味を知らない馬龍。第3戦に真価が問われる
☆☆☆ 2009中国卓球クラブ超級リーグ 女子第2ステージ 決勝第1戦 ☆☆☆

[北京時博国際 3-0 山東魯能-路安集団]
○丁寧 13、7、-13、9 李暁霞
○張怡寧 8、-9、4、1 肖萌
○丁寧/彭雪 4、-7、6、4 李楠/肖萌

 超級リーグ女子決勝の第1戦は、アウェーの北京時博国際が3-0のストレートで完勝。準決勝に続き彭陸洋が腰痛で欠場した山東魯能・路安集団に対し、北京時博国際は丁寧が李暁霞を下す殊勲の星を挙げた。

 トップに出場した丁寧と李暁霞は、2007年シーズンの最終第18節でもトップで対戦し、丁寧が勝利して北京首創(当時)の2連覇を大きく引き寄せた因縁の一戦。世界選手権横浜大会では4回戦で対戦し、李暁霞が4-1で勝利している。そして今回の勝者は丁寧だった。スコアが離れないシーソーゲームの中で、丁寧が第3ゲーム8-10から11-10としてマッチポイントを握ったところで、李暁霞がタイムアウト。このゲームは李暁霞が逆転で奪い、第4ゲームは丁寧10-8のマッチポイントから10-9となったところで、今度は丁寧がタイムアウト。次の一本で李暁霞のバックハンドが台をオーバーし、丁寧が3-1で勝利を収めた。
 実はこの試合には、思いも寄らぬ裏事情があったことが、試合後の報道で明らかになっている。試合前のラケットコントロールで李暁霞のラケットが規定の厚さをオーバーし、チームメイトの肖萌のラケットを借りて試合に出場したというのだ。競り合った場面やレシーブでのミスが多かったと、山東の于国鵬監督が述べている。肖萌のラケットは1~3番まで、すべての試合に出場したことになるわけだが…。

 北京時博国際の大黒柱・張怡寧は試合後、「どの試合でも、私たちは気迫で相手チームを完全に上回っていたし、すぐに高い集中力を発揮できていた。試合が5番まで回り、すべてのゲームがデュースにもつれても、戦えるだけの準備はしてきた」とコメント。「この勝利は優勝への小さな一歩にすぎない。最も大事なのはホームで戦う第2戦」(張怡寧)。「油断」という言葉を知らない不動のエースが、勝って兜の緒を締めた。

Photo上:膝に故障を抱える丁寧だが、競り合いでの強さはさすがだ
Photo下:エースとしての重責を果たせなかった李暁霞、第2戦での戦いぶりはいかに
★★★ 中国卓球クラブ超級リーグ 男子第2ステージ決勝 第1戦 ★★★

[寧波北侖海天 3-2 浙商銀行]
 呉ハオ -3、-8、3、-8 張超○
○馬龍 7、7、-7、-8、7 馬琳
 呉ハオ/崔慶磊 -3、-8、-7 馬琳/張ユク○
○馬龍 9、9、11 張超
○荘智淵 7、5、-9、-4、10 張ユク

 男子第2ステージ決勝の第1戦は、3時間以上に及ぶ大熱戦となった。
 浙商銀行のホームゲームとして、浙江省杭州市にある蕭山体育中心館で行われたこの一戦。2番で勝敗を大きく左右する、馬龍と馬琳のエース対決が実現。馬龍は膝の故障を抱える馬琳を台から引き離し、ストップで前に攻めてあっさりと2ゲームを連取するが、馬琳も強烈な3球目攻撃を連発して第3ゲームを取り返し、第4ゲームも4-7からの逆転で奪って試合は最終ゲームへ。第5ゲームも7-7まで競り合ったが、ここから馬龍が4点連取で決着をつけた。
 しかし、昨シーズン準優勝に終わった浙商銀行も、ここで引き下がるわけにはいかない。3番ダブルスに激戦を戦い終えたばかりの馬琳を起用。馬琳/張ユクのペアリングは今季2度目、ひとつの賭けとも言えるオーダーだが、呉ハオ/崔慶磊(今季13勝3敗)をストレートで下して見事に期待に応えた。4番の馬龍vs張超は競り合ったものの、要所で張超が決め切れず、馬龍がストレート勝ち。勝負の行方は意外にも、ラストの「外援(助っ人)」選手同士の対戦に委ねられた。

 ラストで対戦した荘智淵と張ユクは、世界ランキングでは15位(荘)と18位(張)で荘智淵がわずかにリードしているが、08年北京五輪団体戦では張ユクが3-0のストレートで荘智淵を下している。試合は荘智淵が得意の両ハンド速攻で2ゲームを先取、しかし次第に調子を上げた張ユクが2ゲームを取り返し、会場のボルテージは最高潮に。
 第5ゲームもつかず離れずのシーソーゲームとなったが、張ユクが6-5、そしてマッチポイントを奪った10-9の場面でチャンスボールを痛恨のミス。荘智淵が12-10で逆転勝利を収め、勝利の雄叫びを上げた!

 試合後、勝利した寧波北侖海天の劉国棟監督は次のようにコメントしている。「5番で荘智淵が張ユクに勝てたのは、かなりラッキーだった部分もある。第1ステージの2試合ではうちのチームが勝っていたが、それは普段以上の力が発揮できたからだ。私たちは常に相手チームに対して全力を尽くすだけだし、そういう心理状態が試合での好プレーを生む。第2戦は荘智淵が韓国オープンのために出場できない。チームにとっては大きな痛手だ」。勝利監督でありながら、浮かれた部分はまったく見られず、第2戦も厳しい戦いとなることを覚悟しているようだ。
 一方の浙商銀行は、準決勝の2試合でともにシングルス2得点と大活躍した朱世赫を温存。朱世赫を外したオーダーは、寧波の劉国棟監督も「予想外だった」と述べている。「たら・れば」の話をしても仕方ないが、ラストが荘智淵と朱世赫の対戦ならば、カット打ちが苦手な荘智淵に勝機は薄かっただろう。朱世赫も荘智淵同様、韓国オープンにエントリーしており、第2戦は欠場する見込み。果たして両チームはどのようなオーダーで、第2戦に挑むのか?

Photo上:ラストで殊勲の星を挙げた荘智淵
Photo下:張ユクはマッチポイントを決め切れず…
 中国の建国60周年を記念して、スポーツ界から60人の優れた選手を選出する「恒源祥-最具影響力的新中国体育人物評選(新中国で最も影響力のある人物コンテスト)」。8月20日時点での、ネット投票のベスト10は以下のとおりだ。

1. 姚明(男子バスケットボール)
2. 劉翔(男子陸上ハードル)
3. 王楠(女子卓球)
4. 羅雪娟(女子水泳平泳ぎ)
5. 胡栄華(男子中国将棋)
6. 伏明霞(女子水泳飛込み)
7. 張軍/高崚(男女バドミントン※混合複のペア)
8. 張昊/張丹(男女フィギュアスケートペア)
9. 李寧(男子体操)
10. 殷剣(女子ヨット)

 …このランキング、たびたび順位の途中経過を覗いてみると、順位の変動が誠に激しい。どうも組織票が動いているようなフシもあり、今後もかなりの変動が予想される。その中で、安定してトップ3に入っているのは姚明(米NBAヒューストンロケッツ)。現在、左足の亀裂骨折の手術を受けて長期離脱中だが、やはりアメリカで成功をつかんだことが人気の理由だ。2位の劉翔は、北京五輪では1次予選のレース直前に棄権し、中国全土を落胆させたが、ジリジリとランクを上げてきた。
 卓球選手では、王楠が堂々の3位にランクイン。ファンによるネット投票ということでやはり現役選手が有利だが、彼女の活躍はまだ記憶に新しいのだろう。ベスト10以外の卓球選手の順位は以下のとおり。

12位:孔令輝 13位:蔡振華 17位:トウ亜萍
19位:容国団 23位:張怡寧 25位:郭躍華
30位:曹燕華 38位:張徳英 41位:劉国梁
42位:王励勤 61位:荘則棟 78位:邱鐘恵
89位:李富栄 99位:張燮林 116位:林慧卿
119位:傅其芳

…ベスト10入りは王楠だけだが、卓球選手は安定して票を獲得しているようだ。この中で目を引くのが、38位と大健闘している張徳英。7月半ばの時点では、林慧卿や傅其芳とともに110位代に沈んでいたのだが、なんと70位以上もランキングを上げてきた。19位の容国団も没後40年以上が経過しながら、中国が生んだ初の世界チャンピオンとして、その存在感は別格だ。
 13位にランクインした蔡振華は、選手時代の実績以上に、指導者として中国男子を復活させた手腕が評価されている。これは余談になるが、この蔡振華のライバルとして知られているのが、11位にランクインしている李永波(中国バドミントンチーム総監督)。卓球の代表選抜リーグに対して李永波が「欺瞞(ぎまん)だ、何の意味もない」と噛み付いたり、中国バドミントンチームが冬季の集合訓練のために国際大会を相次いで欠場した際、蔡振華が「李総監督は大局を見ていない」と名指しで批判するなど、仲の悪さは中国スポーツ界でも有名。現在では卓球とバドミントン、ふたつの協会を束ねる蔡振華のほうが出世してしまい、そのことがまた両者の関係を難しくしているようだ。
 専門家やマスコミの投票結果も加味されるため、誰が60人に選ばれるのか現時点では予想しづらいが、王楠・蔡振華・トウ亜萍・容国団は確実に選ばれそうだ。60人の発表および記念式典は9月に行われる。

↓「恒源祥-最具影響力的新中国体育人物評選」の投票サイトはこちら。自分の選んだ選手にチェックを入れ、一番下の「提交」をクリック。表示された英語と数字の混じったIDを打ち込むと投票できる。「提交」の右にある「査看」で途中経過もチェックできます。
http://sports.sina.com.cn/60ren/

Photo上:中国女子初の世界チャンピオンである邱鐘恵
Photo下:中国スポーツ界を代表する女傑、トウ亜萍
 2009年、中華人民共和国は1949年の建国から60周年を迎える。10月1日の国慶節には人民解放軍による大閲兵式をはじめ、さまざまなビッグイベントが行われる予定だ。

 スポーツ界でも、この建国60周年を控え、国家体育総局と上海メディアグループ(SMG)の主催でひとつのイベントが行われている。紡織・アパレル大手の恒源祥集団がスポンサーとなった、「恒源祥-最具影響力的新中国体育人物評選(新中国で最も影響力のある人物コンテスト)」だ。故人/存命を問わず、20種目以上のスポーツから選ばれた候補者120名の中から、60周年にちなんで60人を選ぶというもの。8月いっぱいまで行われるネット投票に加え、国家体育総局や各省の体育局といった専門家、そしてマスコミの投票によって選出が行われる。いかにも中国人好みなイベントかもしれない。
 卓球はさすが中国の国技と言われるだけあって、候補者120名のうち卓球選手が17名選ばれ、12名のバドミントン、10名の陸上などを引き離して断トツのトップ。卓球界の候補者の顔ぶれは以下のとおりだ。

[男性]
容国団・傅其芳・荘則棟・李富栄・張燮林・蔡振華・郭躍華・孔令輝・劉国梁・王励勤
[女性]
邱鐘恵・林慧卿・張徳英・曹燕華・トウ亜萍・王楠・張怡寧

 …60年代に国家チーム総監督を務めた傅其芳(後に文化大革命で自殺)、79・81年世界選手権女子複優勝の張徳英はやや知名度が低いか。なお、15年前の1994年にも、建国45周年を記念して45人の「体壇45英杰」を選出したことがあり、この時は容国団・邱鐘恵・徐寅生・李富栄・張燮林・郭躍華・トウ亜萍と7名も卓球界から選ばれている。その7人のほとんどが今回の候補者の中に入っているが、徐寅生だけが候補者の選にもれているのは意外だ。何か理由があるのだろうか。
 17人の顔ぶれには納得だが、「この人は入っていないの?」と少々意外な人もいる。男子では江加良の名前がないし、男子選手で世界タイトル獲得数1位の馬琳も選ばれなかった。女子でも、個人的には79年世界チャンピオン、ペン粒高攻守型の葛新愛をぜひ入れてほしかったが…。皆さんも入れてほしい選手はいるでしょうか?

Part2に続きます…

Photo上:65年世界リュブリアナ大会での荘則棟。世界選手権3連覇と実績十分ながら、「体壇45英杰」には選ばれなかった荘則棟だが、今回は果たして?
Photo下:世界チャンピオン(シングルス)にはなっていないが、中国男子チームの「中興の祖」として評価が高い蔡振華。83年東京大会でのプレー
☆☆☆ 2009中国卓球クラブ超級リーグ第2ステージ 女子第2戦 ☆☆☆

◎女子準決勝
[北京時博国際 3-0 遼寧鞍鋼]
○丁寧 -4、6、9、6 郭躍
○張怡寧 5、9、10 常晨晨
○丁寧/彭雪 8、7、6 常晨晨/侯曉旭

[山東魯能-路安集団 3-2 広東珠江怡景湾]
 肖萌 11、-6、-7、-10 劉詩ウェン○
○李暁霞 5、-6、9、9 曹幸ニィ
○肖萌/李楠 5、4、3 周芳芳/曹幸ニィ
 李暁霞 -6、-8、-4 劉詩ウェン○
○李楠 8、-12、5、-6、7 周芳芳

 超級リーグ女子の準決勝は、2試合とも第2戦で決着。北京時博国際と山東魯能・路安集団が決勝に進出した。
 北京時博国際と遼寧鞍鋼の一戦は、1番と2番の試合の順番が入れ替わっただけで、まるで第1戦のリプレイ。丁寧が郭躍を相手に第1ゲームを落としながら3ゲーム連取で勝利し、張怡寧が常晨晨にストレート勝ちしたのもまったく同じ。ダブルスも北京時博国際が完勝し、予想外のワンサイドゲームで決勝に進んだ。この試合のヒロインは、発熱がありながらも単複で2得点を挙げた丁寧。張怡寧・郭炎・丁寧というメンバーで06・07年と超級リーグ2連覇を飾った北京、郭炎の移籍によって昨シーズンは成績が伸び悩んだが、2番手の丁寧の成長で2年ぶりの優勝に王手をかけた。
 敗れた遼寧鞍鋼も、第9節からの郭躍の欠場を考えれば、プレーオフに進出できただけでも上々の成績。決勝に進出した昨シーズンの成績を上回ることはできなかったが、伸び悩んでいた2番手の常晨晨の成長が、大きな収穫として手元に残った。「今シーズンは多くの困難を経験し、選手たちも鍛えられた。ここで培ったガッツとともに、全中国運動会に挑みたい」(遼寧鞍鋼・谷振江監督/出典:瀋陽日報)。

 山東魯能-路安集団は、広東珠江怡景湾のエース劉詩ウェンに2失点を喫しながらも、李楠が単複2得点を挙げて競り勝った。
 彭陸洋の欠場で、戦力的にはかなり苦しくなった山東。チームを救ったのは左ペンドライブ型のベテラン・李楠だった。9歳年下の肖萌とのペアで周芳芳/曹幸ニィに完勝すると、ラストではサービスから威力ある3球目攻撃を連発し、周芳芳を下した。第1ステージ第3節の広東戦ではラストで敗れていたが、その汚名を返上する勝利だ。この勝利で超級リーグ通算49勝の李楠は、通算50勝まであと1勝とした(特に表彰などはないが…)。
 敗れた広東は最後まで、劉詩ウェンの「ワン・ウーマンチーム」でしかなかったようだ。チームを6シーズン連続で優勝に導いた馬琳や、今シーズンの馬龍の活躍を見ていると、「超級リーグではひとりでも勝てる」ように見えるが、ワンマンチームのほとんどは最後で息切れして、タイトルを逃してしまう。劉詩ウェンが選手としてのピークを迎えつつあるだけに、2番手にもう一枚選手が欲しいところだが、即戦力になるような若手も見当たらない。来シーズンも、劉詩ウェンが孤軍奮闘のシーズンとなりそうだ。

 決勝で対戦する北京時博国際と山東魯能・路安集団、第1ステージの対戦成績は北京3-1山東(第6節)、北京3-2山東(第15節)。第15節では張怡寧が欠場したにも関わらず、丁寧が彭陸洋と李暁霞から勝ち星を挙げ、勝利の立て役者となった。戦前の予想では、やはり北京時博国際が有利。山東としてはダブルスで確実に勝利を収め、ラスト勝負に持ち込んで勝機を見出したい。

Photo上:遼寧鞍鋼から2点を奪った丁寧
Photo下:今シーズンはダブルス要員だった李楠、大舞台でベテランらしい勝負強さを見せた
★★★ 2009中国卓球クラブ超級リーグ第2ステージ 男子第2・3戦 ★★★

◎男子準決勝第2戦 8.8
[浙商銀行 3-1 山東魯能-中超電纜]
○朱世赫 8、5、10 江天一
 馬琳 5、-14、-7、5、-8 張継科○
○馬琳/張超 5、7、-7、1 方博/江天一
○朱世赫 -6、7、8、-6、9 張継科
※浙商銀行が決勝進出!

[上海明園-金海洋集団 3-0 寧波北侖海天]
○王励勤 10、8、8 馬龍
○許シン -7、7、-8、7、13 呉ハオ
○王励勤/高礼澤 9、10、9 呉ハオ/崔慶磊
※1勝1敗で第3戦へ

◎男子準決勝第3戦 8.9
[寧波北侖海天 3-1 上海明園-金海洋集団]
 唐鵬 7、7、-8、-9、-6 許シン○
○馬龍 7、-10、10、7 王励勤
○呉ハオ/崔慶磊 -5、7、7、-9、9 王励勤/高礼澤
○馬龍 9、-12、8、6 許シン
※寧波北侖海天が決勝進出!

 超級男子第2ステージ、決勝進出は浙商銀行と寧波北侖海天の2チームに決定した!
 第1戦で朱世赫がシングルス2得点の浙商銀行は、この第2戦でも朱世赫を2点起用。そしてまたも朱世赫が2勝を挙げ、準決勝2試合で4得点を叩き出した。朱世赫を2点起用するオーダーについて、浙商銀行の陳健監督は「山東は若いメンバーで構成されたチーム。張継科はかなりカット打ちのレベルが上がっており、朱世赫とは互角の勝負だが、他の江天一・方博・柳洋はカットにはそう強くない。まず確実に1点、そしてあわよくば(張継科にも勝って)2点。そういう考えで、朱世赫を2点起用した」と述べている。山東魯能-中超電纜はエース張継科が2試合連続で馬琳を破り、4番でも第1戦でストレート負けした朱世赫と接戦を展開。第5ゲーム0-6と大きくリードされながら、9-10まで追いすがったが、あと一歩及ばず。

 準決勝のもう一試合、寧波北侖海天と上海明園-金海洋集団の一戦は、寧波北侖海天が見事に昨シーズンのリベンジを決め、決勝に進出した。
 第2戦で王励勤が馬龍をストレートで破って対馬龍戦の連敗をストップし、上海明園-金海洋集団が3-0で勝利して、第3戦へともつれたこの試合。劉国棟監督とともに入念に対策を練った馬龍が、2番で競り合いながらも王励勤を破り、寧波北侖海天が3-1で勝利を収めた。「第1戦で我々に0-3で完敗したにも関わらず、第2戦を3-0で取り返すというのは容易なことではない。上海は尊敬に値するチームであり、王励勤のプロ根性は見事なものだった。彼は我々のホームに来ても、夜の9時半まで練習に取り組んでいた」試合後、寧波北侖海天の劉国棟監督はこのように上海チームの健闘を讃えた。戦力的にはまったく互角だった両チーム。上海明園-金海洋集団としてはダブルスに王励勤/許シンを起用しなかったのが、やや惜しまれるが…。

 決勝で対戦する2チームは、第1ステージの対戦では寧波北侖海天が3-1(第4節)、3-2(第13節)とともに勝利を収めている。浙商銀行はエース馬琳がなかなか馬龍に勝てなくなってきているが、ここ一番での馬琳の強さは折り紙付き。「馬琳を得た者が天下を制す」の格言はダテではない。馬琳と朱世赫が馬龍から1点をもぎ取ることができれば、浙商銀行が大きく勝利へと前進するだろう。一方の寧波北侖海天は、最後の切り札・荘智淵(チャイニーズタイペイ)の登場があるのか?

Photo上・中:馬琳(上)と馬龍(中)の「馬対決」。チームを勝利へ導くのは、経験の馬琳か、それとも若さの馬龍か?
Photo下:決勝のキーマンとなるのはこの人、朱世赫