試合がなくて暇なうちに売店を回ることになった。
まっ先に行ったのは希代の用具マニア、佐藤祐だ。この男、持っているラケットは120本、ラバーは数え切れずだ。だいたいどのラバーも30分以上は使ったことがないという(これで実力は想像がつくと思う)。先日はエルサルバドルに使い古しの卓球用具を贈る機会があって、70枚送ったという。
カメラマンとして出張に来たはずだが、そのゼッケンを着けたまま用具あさりに余念が無い。TPSのブースで、ヨーロッパで先行発売されたばかりのラバーを手に取り2枚ゲット。ラケットを選ぶときの鬼気迫る様子はちょっと見物で、独特の姿勢で表面をくまなくチェックした後で、指でラケットを叩いて音を聞いていた。しかも両面。なにやら医師が患者を診察しているかのようであった。
ラバーのパッケージの宣伝文句が1文字減ったことすら彼の鋭い眼は見逃さない。彼ほどの用具マニアが日本にあと何人いるだろうか。卓球王国は得がたい人材を得た(しかも、卓球の仕事なら給料なくてもやると言っているらしい)。