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速報・現地リポート

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世界ジュニア選手権大会

●ジュニア男子団体準決勝
〈中国 3ー2 日本〉
 向鵬 ー8、ー6、5、ー7 宇田○
○徐英彬 ー6、ー8、9、8、7 戸上
 劉夜泊 ー7、ー12、9、ー8 曽根○
○徐英彬 ー8、5、9、ー7、11 宇田
○向鵬 11、11、ー9、ー9、9 戸上

〈チャイニーズタイペイ 3ー0 フランス〉
○戴茗葦 9、ー9、ー10、8、7 ピカール
○馮翊新 9、ー7、10、8 バルデ
○黄彦誠 ー6、6、ー7、8、9 レブロン

 ラスト戸上対向鵬の一戦が決着した瞬間、時計の針は23時を回っていた。19時スタートの男子団体準決勝、日本対中国は4時間に及ぶ熱闘の末、中国に軍配。いや、熱闘という言葉すら物足りない!

 ロシアに対して受け身に回り、苦しんだ準々決勝からは一転、トップ宇田があふれる気迫で向鵬に襲いかかった日本。ベンチではチームメイトたちが、今にも獲物に襲いかかるような前のめりの姿勢で、1本取るごとに雄叫びを上げる。宇田は1球も集中力を切らすことなく、前陣でのショートスイングのバック連打と豪快なフォアストレートへのフォアドライブで、前回大会のシングルス準決勝で勝利した向鵬をまたも破った。

 これで2番戸上が燃えないはずがない。「リトル馬龍」と言いたくなる、安定した台上プレーとバックハンド、フォアの一発ドライブを誇る徐英彬に対し、バック対バックから積極的にフォアで仕掛ける。相手に先に攻められても、バックでしのいでからすかさず前に出て盛り返す。退路を断った戦いぶりで2ゲームを連取したが、相手をよく見てロングサービスを混ぜ、バックハンドで緩急をつける徐英彬にうまくかわされ、無念の逆転を許す。

 流れはどちらともつかない日中決戦。一気に日本に流れを呼び込んだのは3番曽根だ。ITTFジュニアサーキットの中国大会決勝で破った左腕・劉夜泊との一戦は、互いにフォア前へサービスを集めてチキータを牽制しながら、ロングサービスを混ぜていく。曽根のレシーブには迷いがなく、フォア前も果敢にバックで回り込んで、劉夜泊のバックサイドをえぐるチキータと、低く止めるストップでミスを誘う。ラリー戦で放つ一撃のバックドライブは素晴らしい破壊力だった。最後は4ゲーム目の10ー8からサービスエースで、曽根が大きな1勝を挙げた。

 追いつき、一気に追い越すと思われた中国の背中。しかし、それは指先をかすめていった。日本は4番宇田が最終ゲーム7ー10から4回のマッチポイントをしのぎながら、徐英彬の5回目のマッチポイントで撃沈。5番戸上は2ゲーム目に7ー0の大量リード、10ー8から3回のゲームポイントを生かせず、痛恨の逆転を許した。向鵬もここからナーバスになって戸上にゲームオールに追いつかれ、最終ゲームも向鵬に1ー6、4ー8とリードされながら、戸上が9ー10まで挽回したのだが、最後は向鵬のチキータに戸上の返球がミス……!

 ベンチから出ていく時に大きな雄叫びを上げて気合いを入れ、チームメイトたちを驚かせていた向鵬が、声を挙げることすらできない。あまりに劇的な結末だった。

 過去、男子団体で二度優勝している日本だが、05年リンツ大会決勝で中国を破った時は、中国は戦力的に落ちる北京市チームを派遣。2016年ケープタウン大会でも中国は準決勝で韓国に敗れ、日本はその韓国を破っての優勝だった。今大会、ベストメンバーの中国に勝ち、胸を張って表彰台の一番上に立って欲しかった。しかし、この試合は間違いなく事実上の決勝戦だ。日本男子よ、胸を張れ!
●ジュニア女子団体準決勝
〈日本 3ー0 チャイニーズタイペイ〉
○木原 ー9、6、9、ー11、3 于修ティン
○長崎 ー5、7、9、1 李婉瑄
○小塩 10、7、ー12、4 簡トン娟

 〈中国 3ー1 北朝鮮〉
 蒯曼 ー9、4、ー10、ー9 キム・クムヨン○
○石洵瑶 9、6、4 ピョン・ソンギョン
○陳イ 4、10、5 キム・ウンソン
○石洵瑶 ー10、9、13、7 キム・クムヨン

 日本女子、チャイニーズタイペイを3ー0で破って決勝進出!

 ストレート勝ちとはいえ、ほぼ2時間の熱戦。チャイニーズタイペイは予想以上に手強い相手だった。
木原がトップで対戦した于修ティンはバックハンド主戦。前陣でのショートスイングのバックドライブにミスがなく、チャンスボールは鋭いフォア強打で狙ってきた。サービス・レシーブをフォア前に集めて揺さぶり、高い打球点のフォアドライブ連打も冴えた木原だが、10ー9でマッチポイントを握った4ゲーム目を逆転されて落とす苦しい展開。しかし、5ゲーム目は3ー3からサービス・レシーブで確実に先手を取り、8点連取で11ー3と一気に決着をつけた。

 2番長崎は李婉瑄との左腕対決。序盤はバック対バックで優位に立てず、サービス・レシーブから深いツッツキにバックドライブを振らされてミスが出る。1ゲーム目を5ー11で落とした長崎だが、ミドル寄りのボールはフォアの手数を増やしてチャンスを作り、バックドライブは待たれているクロスよりストレートへ持っていった。試合が進むに連れ、昨日からの不調を振り払うような強烈な両ハンドドライブが随所に出てきた長崎。4ゲーム目は8ー0、11ー1とエースの復活を感じさせて、日本が2ー0とリードした。

 3番小塩は世界ジュニアのデビュー戦。対戦相手の左腕・簡トン娟はバックツッツキで小塩の変化カットを粘り強く返し、チャンスボールはミート打ちのフォア強打で狙う。小塩は3ゲーム目を落としたものの、4ゲーム目は6ー0とスタートダッシュ。10ー3のマッチポイントでは、浅く浮いたボールをあえて打球点を落とし、横入れ(ネットを迂回して入れる)を狙う強心臓ぶり。これには恐れいった。最後もロビングを使ってからフォアカットをガツンと切り、ミスを誘ってゲームセット。まだまだ底が知れない14歳だ。

 女子団体準決勝のもうひと試合は、中国が北朝鮮の異質左腕キム・クムヨンに1点を落としながらも、3ー1で振り切って決勝進出。明日、決勝でいよいよ日中決戦だ!
 昨日、ジュニア男女シングルスの第1〜16シードの決勝トーナメントのドロー、そして予選グループのドローが行われた。日本勢で決勝トーナメントから出場するのは、男子は宇田、女子は長崎と小塩の3名。残る5名は予選グループからの出場となり、予選グループで1位にならなければ決勝トーナメント(32名)には出場できない。

 中国男子も、第1シードの向鵬以外の3名は予選グループからの出場。現在の世界ランキングは、シニア・U-21・U-18・U-15のランキングポイントがそれぞれ独立しているため、U-18の大会に数多く出場している選手がランキングが高くなる。シニアの大会への出場がメインで、ランキングの低い実力者も多く、必ずしも実力を正確に反映したものではない。

 男女シングルスの1〜16シードのドロー、日本勢のジュニア男女シングルスの対戦相手、および試合時間は下記のとおりだ(カッコ内は現地時間)。

〈ジュニア男子シングルス〉

宇田幸矢:決勝トーナメントからの出場
●11月30日 13:30(11:30) vs.予選グループの勝者

篠塚大登:予選グループ2
●11月28日
12:00(10:00) vs.ジャイン(インド)
17:20(15:20) vs.マルティネス(チリ)
●11月29日
15:45(13:45) vs.ファディーヴ(ドイツ)

戸上隼輔:予選グループ11
●11月28日
13:20(11:20) vs.サングレルチルパチャイ(タイ)
18:40(16:40) vs.ザレービン(アメリカ)
●11月29日
17:15(15:15) vs.デリンカク(スロバキア)

曽根翔:予選グループ16
●11月28日
14:00(12:00) vs.ソランケ(ナイジェリア)
19:20(17:20) vs.ドリアン・ジェン(フランス)
●11月29日
18:00(16:00) vs.グリーン(オーストラリア)

〈ジュニア女子シングルス〉

長﨑美柚:決勝トーナメントからの出場
●11月30日 12:00(10:00) vs.予選グループの勝者

小塩遥菜:決勝トーナメントからの出場
●11月30日 12:45(10:45) vs.予選グループの勝者

木原美悠:予選グループ10
●11月28日
16:00(14:00) vs.ルッツ(フランス)
21:20(19:20) vs.レイチェル・ヤン(アメリカ)
●11月29日
14:15(14:00) vs.リリスカイテ(リトアニア)

出澤杏佳:予選グループ11
●11月28日
16:00(14:00) vs.コルデロ(グアテマラ)
21:20(19:20) vs.エルハケム(エジプト)
●11月20日
14:15(12:15) vs.ゴウティエ(カナダ)
 先日もお伝えしたとおり、今大会の会場であるタイ・コラートの『ターミナル21』は、巨大なショッピングモール。空港のターミナルをコンセプトにしており、施設内の表示も空港にソックリ。2011年にバンコク、2016年にはここコラートにオープンした。

 大会会場がある4F(1階はグラウンドフロアなので実際は5階)はレストランのフロアだが、その1階下は「TOKYO」のフロア。初日の閉店間際に行ったので、お客さんはほとんどいなかったが、日本関連の商品を扱うお店や、雑貨店が立ち並ぶ中に、摩訶不思議な日本風オブジェ、あやしい日本語の看板が散在していた。最近、タイから日本に来る観光客の数が激増中だと聞くが、日本を旅行した人たちはこのフロアに来て、何を思うのか……。会場のすぐ下には、歌舞伎町一番街のアーケードがありますよ。
 その「疑惑の判定」は、日本対ロシア戦1番の宇田幸矢対カツマン、宇田がゲームカウント0ー2とリードされた3ゲーム目の8ー9で起こった。宇田が大きくフォアに飛びついたフォアドライブに対し、カツマンのフォアでの返球がコートをかすめる。

 「もろに真下に落ちていて、完全にサイドに見えました」とベンチの田㔟邦史監督。確かに映像でチェックしてみても、サイドかどうかすら微妙なボールで、どう見てもエッジではない。主審は最初、宇田の得点と判定したが、副審がエッジと判定したため、カツマンの得点とした。日本側の猛抗議も実らず、8ー10でカツマンのサービス。次の一本でロングサービスからのカウンタードライブを決めたカツマンが、それまでのガッツとは裏腹に静かに試合を終わらせたのは、思えば多少の「バツの悪さ」があったのかもしれない。

 試合後、田㔟監督は判定への疑問を語った。「主審は一度こちらの得点にしたのに、副審の主張を受け入れて相手側(カツマン)の得点にしている。選手は審判を選べないんです。宇田の試合でも大事な場面でしたけど、優勝がかかっているようなもっと重要な場面だったら、どうなっていたのかと思います」。試合中、主審があくびをしているのを目にしたという田㔟監督。「今回来ている審判は本当にプロなのか。そこは疑問を感じます」。

 審判の質について、疑問を呈した田㔟監督だが、国際大会でも必ずといっていいほどトラブルの種になるエッジ・サイドの判定について、こう提案する。
 「これだけエッジとサイドで揉めるんだったら、ITTF(国際卓球連盟)にも考えてもらって、もうサイドも卓球台にしてしまえばいいんじゃないですか。サイドは狙って簡単に当てられるわけじゃないし、サイドに当たったら全部『イン』という判定にすればいい。それなら、選手も納得して次のプレーに移ることができる。今のルールで、真下に落ちたボールを『エッジ』と判定されたら、選手は立ち直れないですから」

 確かに「エッジか、サイドか」の判定に比べれば、審判としても「卓球台に当たったか、当たっていないか」の判断のほうが容易なのは間違いない。テニスコートのような平面ではない、立体の卓球台をプレー領域とする卓球において、一考の余地はありそうだ。
●ジュニア男子団体準々決勝
〈日本 3ー1 ロシア〉
 宇田 ー8、ー8、ー8 カツマン○
○戸上 6、8、9 シドレンコ
○篠塚 ー8、10、2、8 グレブネフ
○宇田 9、5、9 シドレンコ

〈中国 3ー0 ドイツ〉
○向鵬 14、13、8 シュトゥンパー
○徐英彬 6、6、4 ファディーヴ
○劉夜泊 9、6、6 ヴェッツエル

〈フランス 3ー0 シンガポール〉
○ピカール 8、ー4、12、11 ベー・クンティン
○バルデ ー2、3、ー6、14、9 パン・イウエン
○レブロン 5、10、ー7、6 チュア・シャオハン

〈チャイニーズタイペイ 3ー2 アメリカ〉
○馮翊新 7、9、10 トラン
 戴茗葦 ー12、7、8、ー6、ー2 クマル○
 黄毓仁 8、ー8、ー7、ー9 ビクトール・リュウ○
○馮翊新 ー10、4、3、11 クマル
○戴茗葦 7、6、5 トラン

 ジュニア男子団体準々決勝、日本男子も女子に続いて準決勝進出!

 メダル確定、とはいえ苦しい戦いだった。「下克上」を狙うロシアは、ヨーロッパのホープである左腕のシドレンコに、前回大会で男子ダブルス準優勝と躍進したカツマン、グレブネフが脇を固める実力派チーム。トップのカツマンから、選手もベンチも気合い全開で日本に挑んできた。

 その気迫に押されるように、日本はトップ宇田がストレート負け。3ゲーム目の8ー9の場面で、サイドに見えたボールを副審にエッジと判定され、主審が判定を覆す不運もあったが、サービス・レシーブで同じ左腕のカツマンを揺さぶることができず、持ち上げたドライブがカウンターの餌食になった。

 しかし、日本は2番戸上が出足からバックのカウンターで、左腕・シドレンコのフォアサイドを切り裂く。サービス・レシーブをシドレンコの弱点であるフォア前に集め、バックハンドで粘り強く得点を重ねた。戸上がストレート勝ちで流れを日本に引き戻し、3番篠塚も序盤はチャンスボールをやや打ち急いだが、2ゲーム目をジュースで取ってからは危なげなく得点を重ねて勝利。

 4番で再びコートに立った宇田は、トップでの課題をしっかり調整できていた。「トップではサービスが、(左利きの)カツマンのミドル前とバック深くに集まり、相手が大きく動かずに対応できて、バック深くへのロングサービスも効かなかった。同じ左利きのシドレンコに対して、フォア前へ厳しく、回転量を増したサービスを出すことで、バック深くへのサービスも効いてきた」(宇田)。名誉挽回に燃える宇田に対し、試合前からベンチ前を歩き回り、ナーバスな表情を浮かべていたシドレンコ。両者の勢いの差は明らかだった。

 準決勝の日本の対戦相手は中国。もうひとつの準決勝の対戦カードは、フランスとチャイニーズタイペイ。宇田は中国に対し、「今大会、一番強いのは中国。絶対に勝つという気持ちで向かっていきたい」とコメント。今日はツインエースの戸上に助けられたが、明日は宇田がチームを勝利に導く番だ。
●女子団体準々決勝
〈中国 3ー0 フランス〉
○石洵瑶 ー6、5、3、3 コク
○蒯曼 7、ー7、10、8 パヴァデ
○陳イ 10、12、4 ルッツ

〈北朝鮮 3ー0 ロシア〉
○ピョン・ソンギョン 9、7、ー5、ー9、4 コリシュ
○キム・クムヨン ー7、3、ー14、8、5 タイラコワ
○キム・ウンソン 9、5、12 アブラーミアン

〈チャイニーズタイペイ 3ー2 ドイツ〉
○于修ティン 7、7、9 ボンダレバ
 簡トン娟 ー7、4、ー8、ー9 シュライナー○
 蔡豊恩 ー10、ー7、ー9 クレー○
○于修ティン ー8、8、4、6 シュライナー
○簡トン娟 5、5、5 ボンダレバ

 女子団体準々決勝、日本対アメリカ以外の3試合の結果は上記のとおり。日本の準決勝の相手はチャイニーズタイペイ、準決勝のもうひと試合は中国対北朝鮮。

 北朝鮮は、大会前の合宿で日本が対策練習を行ってきたという左シェーク・バック粒高のキム・クムヨンが、ロシアのタイラコワとの大激戦を制した。ラケットを横にスライドさせるような粒高ショートが何ともいやらしく、相手が打ちあぐんでツッツキを送れば、伸びのあるフォアドライブ連打で攻める。アジアジュニアの団体準決勝でキム・クムヨンに2点取られて敗れた日本、渡邊監督は「北朝鮮が下に入ってくるぞ」とずっと言い続けてきたという。反対側のブロックに入ったのは、日本にとってはラッキーだった。準決勝では中国相手にどのようなプレーを見せるか。
●ジュニア女子団体準々決勝
〈日本 3ー1 アメリカ〉
 長崎 ー7、ー3、7、ー5 エイミー・ワン○
○木原 6、6、8 クリスタル・ワン
○出澤 2、5、1 レイチェル・ヤン
○長崎 3、8、5 クリスタル・ワン

日本女子、アメリカを3ー1で破って初戦を飾り、ベスト4進出。……しかし、苦しい一戦だった!

 日本はトップに、満を持して大黒柱の長崎を起用したが、相手エースのエイミー・ワンのバックドライブは抜群の切れ味。柔らかい身のこなしに加え、相手のボールの回転とスピードを利用するのが抜群にうまく、長崎の両サイドへ鋭いバックドライブを打ち込む。

 普段はミスの少ない、ツッツキに対する3球目バックドライブのオーバーミスが多かった長崎。「ハーフロングサービスを相手に打たせて、ブロックで振り回す展開に切り替えましたが、リードされている場面での戦術転換なのでどうしても安定しなかった」と試合後の渡邊監督。長崎は3ゲーム目を1ー7からの10点連取で奪っており、本来の実力では上回っていたはずだ。しかし、初戦の緊張感に加え、向かってくる相手に対して受け身に回ってしまった。

日本は2番木原が勝利するも、1・2ゲーム目はともに4ー6から7点連取と、決して楽ではない展開。それでもバック表ソフトの変化をうまく交え、相手のミスを誘った木原のテクニックは光った。これで1ー1。

そして日本に一気に流れを引き寄せたのは出澤。フォア面の表ソフトで相手を前に寄せ、ループドライブやバック粒高の変化球をサイドやミドルに散らして、相手の返球があまくなれば安定感抜群のフォアスマッシュ。「対カットはあまり自信がなかったんですけど、やり方を間違えなければ大丈夫だと思っていた。初戦でもっと緊張するかなと思ったんですけど、あまり緊張せずに自分のプレーをすることができて、チームに貢献できて良かったです」(出澤)。これが世界ジュニアデビュー戦とは思えない落ち着きで、会心の勝利を収めた。

4番は長崎がきっちりストレート勝ちを収め、ここで締めてエースの意地を見せた。しかし、アメリカが(オーダー交換で)ABCを取って、エイミー・ワンが1番と4番に出ていたら……、日本はより厳しい戦いを強いられたかもしれない。元中国代表の高軍がベンチに入るアメリカは、今後も侮れない相手だ。日本女子は明日の準決勝で、ドイツ対チャイニーズタイペイ戦の勝者と対戦する。
●女子団体準々決勝のドロー
中国 vs. フランス
北朝鮮 vs. ロシア
チャイニーズタイペイ vs. ドイツ
アメリカ vs. 日本

●男子団体準々決勝のドロー
日本 vs. ロシア
中国 vs. ドイツ
フランス vs. シンガポール
チャイニーズタイペイ vs. アメリカ

 男女団体準々決勝の予選グループが終了し、準々決勝のドローは上記のように決まった。
 第2シードの女子は準々決勝でアメリカと対戦。長身でバックハンドの名手であるエイミー・ワンを軸に、侮れない戦力を誇る。しかし、地力と層の厚さではやはり日本が上だろう。

 一方、男子は第1シードのロシアの下に入った。ヨーロッパの若手では将来性は随一と言われる左腕のシドレンコに、前回大会の男子ダブルス準優勝のグレブネフとカツマンが脇を固める。さらに勝ち上がれば、準決勝は間違いなく中国との対戦だ。
 日本男子にとっては厳しいドローだが、田㔟監督が語るように中国とはどのラウンドで対戦しても、それが事実上の決勝戦。まずは今日のロシア戦をしっかり乗り切りたい。
 予選グループの2試合を3ー0で制した日本男子チーム。その2試合とも1ゲームを落としたのは宇田幸矢だ。タイ戦の2番でも、1ゲーム目に目の覚めるような快速バックドライブとカウンターを連発しながら、スコアを見れば接戦。そして自らのミスで1ゲームを落としてしまった。

 「なるべく相手に打たせてからの展開を作ろうと思ったんですけど、それも入らなかった。自分で落ち着いて、回転重視でゆっくりドライブをかけてからラリーを作っていきました。」と試合後の宇田。「去年の世界ジュニアに比べると、自分から攻める戦術と守る戦術でパターンが増えたと思います」と語るとおり、実力差のある相手とはいえ、崩れかけた時の「ストッパー」が増えた試合内容だった。

 宇田は用具も昨年から変更した。昨年の世界ジュニアでは、両面に『テナジー05ハード』を貼っていたが、現在の用具はフォアが『ディグニクス05』、バックが『ディグニクス80』。「ハードは硬くて、思い切り打ったら良いボールがいくんですけど、カウンターとかで力を抜きたい時に難しい部分がある。これまではカウンターでも全部パワーでいきすぎていた。ディグニクスに変えて、ボールの威力は少し落ちたかもしれませんが、それほど力を入れなくても回転と弧線が作れる。安定感につながっていると思います」(宇田)。

 荒削りだったプレーの角(かど)を削り落とし、なめらかさを加えながら、勝負所では鋭利に切り裂く。最後の世界ジュニアで、プレーに厚みを増した宇田幸矢の大活躍に期待したい。