一時期、ぼくがトレーニングとか理学療法とか東洋医学とかについてやたらとマニアックにしていたのはほんのごく一部の人しか知らないことだと思うんですが、
これはぼく自身が「チョー健康になりたいっ!」とか「結果にコミットして2ヶ月で自分史上最高のカラダを手に入れたいっ!」とか、そういう理由でやってたわけじゃないんですよね。
この時ぼくが考えていたことというのは、どうにかこうにかこの知識うんぬんを卓球とかコンディションづくりに活かせないものなぁという、まぁそれなりにありきたりなことだったりするわけです。
実はこういう心境になったのにはワケがありましてですね、少し前にアストロズで子供達を教えていた時、台上プレーがやたらとできない子がいたんです。
相手のコートに入れるだけならまだなんとかできるんですが、何度やっても鋭い球が出ない。
たぶんその球じゃ何球打っても一撃でぶち抜かれますけどっていうような球しか出ないんです。
ぼくはラケットの動かし方もしっかり見本を見せていたし、その子はイメージだってしっかり頭に描けていたはずなんです。
でも、何度やらせても正直言ってうまくなっていく気が全くしなかったんですよ。
ただ、練習の後に彼と何気ない会話をしていてわかったことなのですが、彼は手首がふつうの人と比べて尋常じゃないくらい硬かったのです。
手首を持って反対側に反らすストレッチをしても、多くの人であれば大体90度くらいまで曲げられるところ、彼はほんのちょっとしか曲げられなくて、最初「ふざけてやってるのかな。」って思いました。いやいやいやと。それはないと。なんでやねんと。
とにかくそんな状態だったものですからね、まずは手首を柔らかくする為のストレッチとか手首を強くする為のトレーニングを教えて少し続けさせたとことろ、 これまたビックリするくらいいいボールが出始めたんですよ。
多分ですけど、あの手首の状態だったらどんなに沢山台上技術の練習をしても、ざるに水をドバドバいれてるのにちっとも水が溜まらないんですけどって言ってるようなもので、何年たっても威力のあるネットプレーは身につかなかったと思うんです。
その事がきっかけで、『ああ、技術を身につけるためにはある程度身体も正しい状態にしとかなきゃいけないんだな』って思うようになったんです。
そのできごとが、まーきっかけでした。
それでね、やっぱり何か複雑な動きをする為には基本的な動きがちゃんとできていなきゃいけないわけです。
例えば走ることと歩くことのどっちが方が基本的な動きですかって言ったらそれはもちろん「歩く」です。
ただボールを投げる動作とイチローのレーザービームのように ボールを投げる動作だったら、当然「ただボールを投げる動作」の方が基本的な動きです。
普通の呼吸と、腹圧を最大限に高めるような呼吸とでは、前者の方が基本的な動きになります。
ノーベル文学賞を取るような文章を書くことと、ひらがなが読み書きできることで言えば、後者が基本的な動きです。
微分積分を問題なくできることと、九九を暗唱できることで言えば、やっぱり後者が基本的な動きになります。
ほとんど全てのことにおいて、基本的な動きが「先に」あって、それがちゃんとできて初めて特殊な動きができるようになるというわけですよね。
これをかいつまんで言うと基本的な動きができなかったら、特殊な動作はもっとできない。
っていうことになるわけですね、当たり前のこと言ってますけど。
だからまずは基本的な動きのレベルをある程度のものにしとかなきゃいかんなあと思ったわけなのですはい。
卓球の技術だけじゃなくて、身体も、その身体をつくる食事なんかのことも、勉強していかなきゃなぁと思ったわけであります。
ということで、引き続き卓球の技術だけじゃなくて体の動かし方とかメンテナンスとか、トレーニングとかそういうことも、勉強していきたいなあと思っているんですの。
そんなわけで、最近は書店でよさげな本を見つけては手にとって、見つけては手にとってをくり返しています。