例えば卓球の指導者で、選手を見ればすぐに
「この子はここをこうすればもっと良くなる」
「この子はここをこう変えればずっと強くなる」
みたいな感じで、選手をパッと見ただけで、その人の課題やクセみたいなものをすぐに見抜いてしまう人っているじゃないですか。
ぼくは、何の苦もなくそういうことができてしまう人たちに
「何ですぐにわかっちゃうんですか?」
といったようなことを、幾度となく聞いたことがあります。
ただ意外にも、それに対する答えはどれもフワフワしていてよく分からないことが多いんですね。ほとんどの人が『だってわかるでしょ?』みたいなこと言う。いやわかんねーよっていう。
これはおそらくですが、その人が今まで経験してきたこと、そこで培われてきたであろう勘とかに支えられている感覚的なものだから、言葉で正確に、厳密に伝えるのは中々難しいことではあるんだろうなあとは思っているわけですが、それにしたってぼくには中々分からん感覚だなあと頭を抱えています。
経験を重ねればわかってくるもんなんでしょうかね、こういうの。
ぼくは、こういうことが一瞬にしてわかってしまう彼らは、常人は持っていないいわゆる「何かを嗅ぎ分けられる鼻」のようなものを持っているということなんだと思っています。
例えばドラゴンボールでいうところのスカウター的なもの。いや、スカウターは戦闘力だけしか分からんか。じゃスカウターを激しく超えた戦闘力以外のステータスも解るスカウター的なもの(能力)。
そういう力を持っているからこそ、その選手の苦手なところや得意なところ、どうすればもっと強くなって、逆にどう攻められると失点につながるのかみたいなものが、まるで嗅覚で感じられるように、感覚的につかみ取れてしまうんじゃないかということです。
だから、その人たちに『その匂いって、どうやったら嗅げるんですかね?』と聞いたところで、『え?だってそういう匂いするでしょ?』としか言えないのだと思います。
鼻、ついてるでしょ?嗅げば全然わかるでしょ? むしろその穴は飾りものですか?フシ穴なんですか?そういう感覚なんだと思います。
でもね、ぼくらみたいな一般の平々凡々の鼻しかもってない凡百な人間は、いくらクンクンクンクンしてもわからんわけですよ。
随分前に時吉と練習したときも、この「感覚」的なものについて打ちのめされたことがありました。
彼はぼくと練習するときに、やたらと横入れ(ネットの横からボールを入れるアレです)をバンバン決めてくるわけですが、ぼくはいくら挑戦しても全くと言っていいほどできないわけです。
だから「ねえ、なんでそんな簡単に横入れできるの?」と聞いてみたところ、彼は「むしろ何でできないの?」と逆に質問してきたのです。
だから!それを聞いてんだろうがよ!・・・っていう、まあ、それだけなんですけどネ。わかりますかね、このじれったい、というかもはや腹立たしささえ覚える、この感じ。誰に腹立ててるかという事でもないんですけど、強いて言うなら、世界に対して、ですかね。。
まあこういういわゆる「感覚的なも」というのは、本当にむずかしい。何って、体得するのも、それを誰かに伝えるのも。
『感覚をうつす(マネする)』作業というのは、ひたすら練習して研究して、考えてまた練習してということを繰り返すことでしか得られないんだと思っていますが
あまり力みすぎず、力をストーンって抜いた感じでやってみるといいかもしれません。
で、『あ、なんか掴めそうかも!』ってなってきたらそこで止めずに、一気にやり抜いてしまう。
それを繰り返していくと、少しずつではあるけども、自分がほしいと思っている感覚的なものが、ちょっとずつ身についてきますよきっと。