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 今回の世界卓球はテレビを通して多くの一般の方に卓球の面白さを存分に知ってもらった。
 一方、全国ネットではないテレビ東京系列しか放送しないために、『見える人』と『見えない人』との温度差が大きいことも事実だ。
 5年、10年で考えた時に、すべての全国の卓球ファンや一般の方が見える世界卓球にするのか、それとも現状のまま日本の半分の人しか見えない世界卓球にするのか。放映権にからむ日本卓球協会の対応に注目してみたい。義理人情だけで片付く問題なら良いのだが、地方の卓球人の声は反映されないのだろうか。

 さて、東京大会の運営に関しては、国際卓球連盟のシャララ会長との単独インタビューの中で「私が大会中に会った人で不平を言う人は誰ひとりいなかった」と会長自らがコメント。「こんな世界選手権は日本でしかできない」と絶賛だった。

 気の早い関係者の間では、「次日本でやるのはいつだろう?」「2020年東京五輪の前か?」という話が始まっている。
 大会運営が大変なのは承知の上で、世界選手権は日本の卓球界へのプラス面は計り知れない。世界卓球期間中、もしくはその直後の卓球場や公立の体育館の卓球場などは満員になったとも聞く。その人たちのうちの何%でも卓球愛好者として続けてくれるかもしれない。

 日本卓球協会自体は、毎年のように繰り越し金が剰余金として計上されている。卓球の普及を考えたら、その繰越剰余金を使ってでも大会を誘致することは非常に重要な気がする。
 09年の横浜大会から5年後の今年に開催した。10年に一度と言わず、5年に一度でも日本の組織力なら開催可能だろう。

  • 本誌との単独インタビューは明日発売の最新号で

 昨日関東学生リーグ優勝を決めた、全日本準優勝者の町飛鳥選手(明治大)。
 本日20歳の誕生日、おめでとうございます!
 日本の大砲がさらなる高みを目指します。頑張ってください!

 5月13〜19日に、所沢市民体育館・代々木第二体育館で行われた春季関東学生リーグ1・2部。男子1部は明治大、女子は専修大が優勝した。1部の順位、個人賞は以下の通り。

=男子=
1位:明治大(6勝1敗)
2位:中央大(5勝2敗)
3位:早稲田大(5勝2敗)
4位:専修大(5勝2敗)
5位:駒澤大(3勝4敗)
6位:法政大(2勝5敗)
7位:日本大(2勝5敗)
8位:大正大(0勝7敗)

=女子=
1位:専修大(6勝1敗)
2位:東京富士大(6勝1敗)
3位:淑徳大(5勝2敗)
4位:早稲田大(4勝3敗)
5位:日本体育大(3勝4敗)
6位:中央大(3勝4敗)
7位:大正大(1勝6敗)
8位:東洋大(0勝7敗)

[個人賞]
=男子=
殊勲賞 森薗政崇(明治大)
敢闘賞 大島祐哉(早稲田大)
優秀選手賞 大島祐哉(早稲田大)、田添健汰(専修大)、森薗政崇(明治大)
最優秀ペア賞 大島祐哉・上村慶哉(早稲田大)
最優秀新人賞 森薗政崇(明治大)、田添健汰(専修大)

=女子=
殊勲賞 鈴木李茄(専修大学)
敢闘賞 温馨(日本体育大)
優秀選手賞 劉莉莎(専修大)、温馨(日本体育大)
最優秀ペア賞 平野容子・岡れいさ(東京富士大)
最優秀新人賞 山本怜(中央大)、相原なつみ(日本体育大)

 男子優勝の明治大は豪華メンバーをずらっと揃え連覇を果たした。新戦力として加わった森薗が6勝1敗と大活躍し優勝に貢献した。

 女子優勝の専修大は劉莉莎と鈴木が確実に勝ち星をあげ、第6戦で早稲田大を破り最終戦を前にして優勝を決めた。また、2部男子は筑波大が、2部女子は日本大が優勝した。

 なお、本大会の模様は6月21日(土)発売の卓球王国8月号に掲載予定です。

写真(左から):男子1部優勝の明治大、女子1部優勝の専修大
 プロリーグに関しては、松下浩二委員長(プロリーグ設立検討委員会)はまだ口に出せない。なぜなら、まだ検討委員会レベルなのだから。もし準備委員会という形で昇華されていったら、その構想をマスコミにも語ってくれるだろう。
 相当にミーティングでもんでいるし、ある程度具体的なところまで進んでいるはずだ。注目すべき点は、企業スポーツとしての日本リーグとの共存共栄だ。プロリーグではJサッカーのリーグなどもそうだが、自治体・地域レベルでのクラブチームになり、チーム名から会社名は消えるものと予想される。そうなった時に企業スポーツが『了解』と簡単に参戦しないだろう。
 卓球関係者は短絡的に、「プロリーグができると日本リーグが衰退する」という強迫観念だけは捨てなければいけない。どこかで妥協し、お互いが栄えていく方法があるはずなのだから。

 思えば、サッカーのJリーグ(プロサッカーリーグ)も日本サッカーリーグ(卓球の日本リーグと同じ)が前身となっている。1980年代後半、世界的スポーツだったサッカーだが、国内での人気、マスコミでの取り扱われ方、選手の待遇は低く、サッカー協会を後ろ盾、もしくは一体となって、プロリーグ設立のために動いた経緯がある。この部分では今回の卓球のプロリーグ設立の動きとは違う。

 もしも日本リーグ側が「プロリーグ設立案」に反対の立場を取ったらどうなるのだろう。
 それはつまり、「プロリーグ設立準備委員会」から外れると言うことを意味している。
 将来的に全く別組織の「プロリーグ」と「日本リーグ」ができてしまう。バスケットボールのJBL(日本バスケットボールリーグ)とbjリーグ(プロバスケットリーグ)との対立構図を連想させるが、違う点は卓球の「プロリーグ設立準備委員会」は、日本卓球協会主導で動いていくプロジェクトであるという点だ。
 
 決断を迫られるのは日本卓球協会だけではない。日本卓球リーグも「協力する・一緒にやる」のか「協力できない・一緒にはできない」という大きな決断を迫られることになる。 
 荒野(海外)をめざさない日本選手。
 それでも構わない。もし日本にめざすべきものがあれば……。
 それがもし「プロリーグならば……」ということだ。

 現在の日本リーグは企業スポーツの集合体。企業スポーツという環境で卓球を続けている選手の中にはフルタイムで卓球をやっている人はいるが、ほとんどが会社の仕事をしながら夕方からの練習、試合前の時だけ半日練習、という環境で行っている。
 この日本独自のシステムは、戦後、世界をめざす選手が大学卒業と同時に現役を辞める、もしくは理解のある会社が選手を続けさせるために卓球部を作ったものだ。一時は企業の宣伝になるという名目もあったが、いつの間にかそれも消え、社員の士気高揚、という非常に見えにくい理由に取って代わった。
 しかし、士気高揚にも限界がある。企業が好調な時はバックアップされるが、景気が悪くなると真っ先に切られるのも運動部だ。
 記憶に新しいのは、名門だった日産自動車卓球部がある日突然、会社のリストラという理由で休部になった。休部というのはやさしい言い方だが実質的には廃部。部員たちは、他の企業の卓球部に移ったり、会社に残ったりと散り散りになった。
 
 企業スポーツでやっていた選手は現役引退すると会社に残る。つまり保証されている。これは日本独自の素晴らしいシステム。ヨーロッパでは職業としての卓球選手なので、プロ生活が終わると言うことは、仕事がなくなることを意味する。ところが日本の企業スポーツは選手を終えた人を会社に残す。この制度はヨーロッパ選手がうらやむものだが、元一流選手でも一流企業で成功した人は多くいたのも事実だ。
 運動部出身は昔であれば営業に回されることが多かった。体力があって、夜の接待にも強そう(?)。デスクワークは苦手(?)という理由か……。

 ところが最近、別の問題が発生している。
 近年、卓球エリート校出身の選手は、中学・高校の時にスポーツコースという名の部活動をしている。遠征もある。強い選手になると協会派遣の海外遠征も多い。正直、勉強する時間が通常の学校の生徒と比べると圧倒的に少ない。
 ところが、企業スポーツで卓球に力を入れているような卓球部は一流企業が多い。職場で周りを見れば、一流大学を出て、難関の就職試験をかいくぐった社員なのだ。かたや小さい頃から卓球を生活の一部としてやってきた選手。勉強よりも卓球が優先された人たちだ。そんな卓球部の選手が入社した後の職場や、現役引退してからの職場で、書類作成を頼まれた時にまともに文章が書けなかったという笑うに笑えないエピソードは、ひとつやふたつではない。

 1993年、プロ宣言した時の松下浩二氏はこう語った。「卓球だけをやってきた自分。会社に入って、冗談抜きに、社長にでもなろうかと思って職場を見たら、優秀な大学を出た連中ばかり。彼らは頭が抜群にいい。仕事ではかなわないと思った」
 この気持ちは、企業スポーツに入った多くの卓球選手が実感する。
 ラケットを置いた後、ひっそりと職場、もしくは営業回りで汗を流す元卓球選手。これは企業スポーツ選手の悲哀であり、限界とも言える。
 一方で、まだ実体が見えないプロリーグ。ましてやもしスタートするとしてもその人数は多くはないだろう。将来的にプロリーグが定着し、そこで切磋琢磨できる環境ができれば、わざわざ海外へ行く必要もなくなるかもしれない(とは言っても、海外リーグで鍛えられる面は計り知れないが……)。もしくは、海外から日本のプロリーグに入ってくるようになるかもしれない。
 日本卓球協会は、リスクを冒しても将来のためにプロリーグを育てるのか。それともリスクを冒さず、改革を行わずに息を潜めて選手の受け皿としての企業スポーツを見守っていくのか。
 その判断はいつ下されるのだろう。
 「日本選手にハングリー精神がなくなっている」と嘆く卓球関係者や海外のクラブ関係者がいる。
 プロフェッショナルの選手のモチベーションは二つだ。それは、「強くなること」と「お金」。
 アスリートとしての本能は、「強くなりたい」という上昇志向だろう。日本選手ならば「強くなって日本代表として活躍したい」という切なる思いを持っている。そのためにタフな環境を求めて海外に行く。それは卓球に集中できる環境があり、強い選手と練習ができ、試合ができるという環境を求めるものだ。
 ヨーロッパの選手にとって、卓球選手というのは「仕事」なのである。ドイツのブンデスリーガ1部の選手は10チームのそれぞれ3人ずつ、およそ30名が「卓球で飯を食える」選手で、そのうちの上位何人かはクラブとの契約金で1千万円以上稼ぎ、それにインセンティブ(ボーナス)や自分の用具スポンサーとの契約金、ツアーなどでの賞金などが加わり生活している。
 ところが、上位数名の選手以外は、生活は決して楽ではない。おおむね日本選手はお金へのこだわりが少ないのが常だ。それは日本に帰ると所属母体やスポンサーがあるからなのか。ヨーロッパの選手のように「卓球で稼ぐぞ」という意気込みはない。

 しかし、お金だけでなく、「強くなろう」というハングリー精神があれば、ヨーロッパは特に男子選手にとってはまだ有益だろう。
 世界卓球東京大会で、日本男子のエースとして技術・戦術・そしてメンタルで素晴らしいレベルを見せた水谷隼も、去年の秋からロシアリーグに単身向かい、力をつけ、プロフェッショナルとしての意識がガラリと変わった。その意識の変革とハングリー精神が今回の彼の活躍と無縁でないことは明白だ。

 日本は才能ある選手の宝庫と言われて久しい。しかし、ハングリー精神を持たない、日本という場で満足する日本選手であれば、その秘めたる才能も開花しないで終わるのではないだろうか。
 安住の地で満足するのか。それとも荒野を目指すのか。それは、卓球というスポーツをどこまで極めたいのかという渇望感の大きさ次第である。 
<終わり>
  • ブンデスリーガ1部のグレンツァオで2シーズン目を迎える吉田雅己

  • 世界卓球では技術だけでなくメンタルの強さを見せた水谷隼

 JA全農世界卓球東京大会は無事に終了したが、その開催を記念して、また特別共催だった東京都への都民還元事業として、卓球オリンピアン・ジュニアナショナルチームによる講義と講習会が5月17日、味の素ナショナルトレーニングセンターで開催された。
 対象は東京都内の中体連登録選手、全国ホープス大会東京代表選手、北区、板橋区の小中学生や一般の方、約130人の方が参加した。
 午前中には宮崎義仁さん(日本卓球協会)、田中礼人さん(日本代表フィジカルコーチ)の講義、午後は宮崎さん、馬場美香(旧姓星野)さん、渡辺武弘さんの3名のオリンピアン(元五輪出場選手)と田勢邦史さん(ジュニアナショナルチーム監督)が指導にあたった。
 スポーツ行政を一元化するために政府は来年4月に向けて「スポーツ庁」を新設することはすでにマスコミでも報道されている。
 すでに新聞報道されているが、2020年の東京五輪までに数百億円単位で強化費が投入されるとも言われている中で、超党派のスポーツ議員連盟が、日本スポーツ振興センター(JSC・スポーツくじtotoなどを運営)を改組し、選手強化費の窓口にすることを提言した。これは実質的に選手強化をJOC(日本オリンピック委員会)から分離させる案とも言われているので、JOCは反発している。

 今まではJOCが各競技団体のメダル獲得へのポテンシャル(潜在力)を計りつつ、選手強化のための補助金などを日本卓球協会などの競技団体に配分していた。もちろんJSCからも補助金は出ていた。卓球の場合でも、ナショナルチームやエリートアカデミーの強化費、スタッフの人件費などは、協会の予算と言うよりも、これらのスポーツ団体からの補助金からの拠出に頼っている面が多いのが現実だ。
 もしJSCが選手強化の予算を握ることになると、この補助金のシステムやJOCエリートアカデミーなどの活動にも影響が出るのだろうか。スポーツ庁や強化費の窓口に関するこれからの動向に注目していきたい。
 ドイツなどの海外でプレーする場合、環境面で2パターンある。
 ひとつは、日本人が一緒に住み、共同生活をするケース。こういう場合は、通常の生活は日本語で事足りるので言葉を覚える必要性を感じないし、孤独感もない。卓球だけに集中できる環境ではあるが、「孤独に打ち克つ」というメンタル面が強化される環境ではない。
 もうひとつのパターンは全く単身で住み、練習をし、クラブのコーチや同僚とコミュニケーションを取る場合。当然だが、言葉は必須だ。そして、時に孤独感に襲われる。ホームシックになる選手もいるが、その孤独感と戦いながら、異境の地で腕を磨く。しかし、磨かれるのは実は技術だけではない。孤独に打ち克つ心も磨かれている。最初の頃は言葉がわからずオドオドしていたのに、半年も経てばコミュニケーションも取れて、堂々とした感じになる。もはや「外人コンプレックス」も持たない。ロシアリーグで活躍した水谷隼がそのケースだ。
  
 日本の青年が海外を目指さない理由は二つあるだろう。
 ひとつは、日本の居心地の良さ。食べ物は美味しい。卓球の練習に疲れ、少し息抜きでもしようかという時に、遊ぶ友だちもいるし、場所もある。日本代表クラスであれば、今はナショナルトレーニングセンターで月に一度のペースで合宿もあるし、練習もできるし、練習相手もそれなりにいる。つまり、ある程度、所属スポンサーなどがついて、お金の心配がないのであれば日本での練習は選手にとって「十分な環境」とも言えるだろう。

 もうひとつの理由は、ヨーロッパ卓球の衰退ではないだろうか。今シーズン(2013〜14)、丹羽孝希は『フリッケンハウゼン』に所属し、一時は15連勝するなど圧倒的な強さを見せた。しかし、裏返して考えれば、丹羽にとっては物足りないリーグではなかったか。常に互角の勝負をするとか、緊張を強いられる環境ではなかったのかもしれない。
 それは近年のヨーロッパ卓球の衰退に起因している。97年に松下浩二がドイツでやっていた頃には文字通り最強リーグで、同僚にロスコフ、サムソノフ、メイスなどがいて、世界のトップと練習でき、対戦クラブにも強い選手がひしめき合っていた。またヨーロッパチャンピオンズリーグでもガシアン、プリモラッツ、セイブなどというトップクラスの選手もいたし、中国から孔令輝、劉国梁、馬琳などがヨーロッパのクラブに来ていた。
 ところが、丹羽が圧勝したことでもわかるように、今のヨーロッパには世界で活躍している選手が少ないのが事実だ。 

 ただし、丹羽と松平健太に関しては、2016年のリオ五輪を見据えての判断もあるようだ。以前、両選手にインタビューした時には2014年の今年から来年に掛けての、五輪前の世界ランキングを気にしていた。インタビュー当時はまだ国際卓球連盟が新しい五輪選考方法を発表する前で、「世界ランキングで20人が自動出場する」という方法が適用されると思っていた。ゆえに、世界ランキングは絶対的に重要。
 そうすると毎週のように試合があるブンデスリーガはスケジュールがきつい。ワールドツアーに集中するために国内に止まるという気持ちが働いたようだ。
 <続く>
  • ブンデスリーガで圧倒的な勝率を残した丹羽。今年から来年に掛けて拠点は日本

  • ロシアリーグで心身ともに鍛えられた水谷

 JA全農世界卓球東京大会では、男女メダル無しという結果に終わった韓国。その責任問題ではなく、この大会前からすでに協会はもめていた。
 アメリカから帰ってきた玄静和氏(93年世界チャンピオン)が専務理事に戻ったはずだったのが、辞表を提出。しかし、受理されないまま迎えた大会だった。

 ロンドン五輪後に家庭の事情でアメリカに渡った玄静和氏はその時点で協会の専務理事職を辞し、その後は73年世界団体優勝メンバーの鄭賢淑氏が専務理事に就いた。そして昨年帰国した玄静和氏はそのまま専務理事職に復職し、鄭賢淑氏が副会長になったものの、「鄭氏と玄氏との確執」(関係者)のせいで、玄氏が辞表提出となった。

 以前も会長問題などで、大騒動になった韓国卓球協会。協会内部がもめている時には選手団の成績も良くないというのは当たり前のことかも。
 9月にはアジア競技大会が韓国の水原(卓球)で開催される。韓国卓球協会は内紛から立ち直ることができるのだろうか。

  • 辞表が受理されない玄静和氏