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全中国運動会・速報2009

 女王・張怡寧に対し、前陣で一歩も引かずに両ハンドの強打を打ちまくり、好試合を展開した王シュアン(黒龍江)。福原愛のコピー選手として有名になってしまったが、その技術レベルは非常に高い。黒龍江女子チーム監督としてベンチに入ったのは、日本名:吉富永剛として全日本選手権にも出場した王永剛。このふたり、ベンチでは何となくほほえましい雰囲気を醸し出している。

 男女団体準々決勝のうち、この女子団体の北京vs黒龍江が最も早く終わり、北京が3-0で黒龍江を下して3連覇まであとふたつとした。男子団体でも北京が3-0で河北を破り、こちらも準決勝進出を決めている。
 06年フォルクスワーゲンオープン荻村杯3位などの実績を持つペン粒高攻守型の陳晴(チェン・チン/江蘇)。遼寧戦の3番で07年世界ジュニア優勝の実績を持つ楊楊と接戦を展開。現在は国家チームを引退してヨーロッパを舞台に活躍しており、現役時代と比べるとかなり体重が増えた感じだ。今野編集長もメディアシートに向かってジェスチャーで「太ったね」と苦笑い。

 プレースタイルは粒高の変化球で粘りまくるというよりは、相手が持ち上げてきたボールをとにかく叩きまくるという攻撃的なもの。あまり粒の高くない、攻撃もできる粒高を使用しているのだろう。特に相手のバックサイドへ流し打つフォア強打は「エグい」のひと言。サイドを切ったボールが、大きく切れて審判に当たるかと思うほど曲がっていくのだ。

 楊楊との一戦は大激戦の末、ゲームオール10-7のマッチポイントを決めきれなかった陳晴が逆転負け。楊楊という選手、超級リーグでも非常に逆転勝ちが多く、今シーズン所属している遼寧鞍鋼では何度もラストの重責を担っている。顔はかわいらしいが、勝負度胸満点の選手だ。
 第1コートで行われた許シンvs王皓は、許シンがゲームオール6点で王皓を下し、上海が先制点を挙げた。
 
 許シンは5-0のリードから9-10と逆転され、苦しい展開だった第3ゲームを12-10でしのぎきり、最終ゲームは0-2から6-2と6点連取。最後は10-6のマッチポイントから、王皓の3球目回り込みドライブを裏面カウンタードライブでクロスに打ち抜いた!
 王皓は体全体がややふっくらとして、動きにもキレを欠いた。第4ゲームは打球点の早い両ハンドのカウンターが冴えてエンジン全開かと思われたが、若い許シンの粘りと思い切りの良さに押し切られた形だ。「非常精彩!(すばらしい!)」と会場の大声援を集めた一戦だった。

 上海vs解放軍、2番は王励勤vs張継科。打球点の早いフォアドライブの打ち合いで、観客は大喜びだ。その他のコートでは、張怡寧(北京)が「愛ちゃんのコピー」こと王シュアン(黒龍江)とゲームカウント1-1。カットマンの姿も多く見られ、女子では世界最強のカット主戦型と言われる范瑛(江蘇)が常晨晨(遼寧)を打点の高い、素晴らしい両ハンドカットで下している。

 フロアとメディアシートが離れているため、写真のアップはやや遅くなりますが、ご了承ください…。
 男女団体準々決勝が行われている青島体育センター体育館。会場ではすでに馬琳(広東)vs李平(天津)、王皓(解放軍)vs許シン(上海)を始め、好カードが目白押しだ。
 センターコートである第1コートで行われているのは、王皓vs許シン。中国中央電視台(CCTV)の生中継も行われているようだ。裏面ドライブは相変わらずの冴えを見せている王皓に対し、許シンは中陣から後陣まで下がり、回転量の多いフォアドライブで対抗。球速はさほど早くないが、カウンターを主体に前陣で戦う王皓はこの弧線の高いボールがやりづらそうだ。ゲームカウント1-1の第3ゲームは許シンが8-5でリード。大金星を挙げることができるか?
 全中国運動会卓球競技で、マスコミが泊まるホテルに指定されたのが「米蘭風尚酒店」。日本語に翻訳すると「ミラン・ファッション・ホテル」。部屋に入ってみると、黒と赤に統一されたシックな内装に、どどんとダブルベッドが。なぜこの部屋にひとりで? 
 写真だけ見ると「こんな良い部屋に泊まれるのか!」という感じだが、ツッコミどころは満載。その辺はまた後ほど…。

 ベッドの横に日本から買ってきた栄養ドリンクを2本並べて置き、ひとりニヤリとしてみました…。まもなく団体準々決勝が行われる青島体育センターへと出発!
 人口約750万人、山東半島の南に位置する青島市に到着した卓球王国編集部チーム。空港では全中国運動会のボランティアの人が出迎えてくれ、マイクロバスでホテルまで送迎。皆さん、非常に親切。地元の大学生だろうか。
 取材に必要不可欠なIDも無事取得。これまで中国の大会では、IDの取得だけで一日かかってしまうこともあったそうで、それから比べると滑り出しは極めてスムーズ。会場でもこのままスムーズにいってほしい…。

 下写真右が、全中国運動会の卓球競技の会場となる青島市体育センター体育館。
 明日26日に日本を発ち、山東省青島へと向かう卓球王国編集部チーム。出発の準備に余念がない中、中国初上陸となるユウキMAXがモジモジしながらひと言「あの…、天気的には…、青島はどうなんですかね?」。さすが全国第3位の面積を誇る福島県出身。この大らかさ、大陸にフィットするかもしれません。

 ちなみに山東省全域で開催される第11回全中国運動会は3つのステージに分かれています。第1ステージで今年1月と4月にモーグルやスピードスケートなどの冬季競技が行われ、第2ステージでは7~10月にかけて卓球やサッカーや体操が開催。正式な開幕式は大会も半ばの10月16日にようやく行われるということで、卓球競技の選手たちは、開幕式を見ることができないんですね。

 卓球競技は昨日24日に男女団体戦がスタート。昨日行われた男女団体予選リーグから、好カードをいくつかピックアップしましょう。

★男子団体予選リーグ

◎A組
[解放軍 3-1 四川]
○張継科 11、-6、6、7 許鋭鋒
○王皓 5、9、6 邱貽可
 雷振華 -10、-1、8、5、-9 王建軍○
○王皓 8、7、-8、4 許鋭鋒

◎B組
[山東 3-1 香港]
○方博 6、5、-9、7 唐鵬
○呉ハオ -9、7、2、5 李静
 楊暁夫 -11、9、-8、13、-5 梁柱恩○
○呉ハオ -12、7、9、-9、9 唐鵬

☆女子団体予選リーグ
◎A組
[北京 3-0 四川]
○郭炎 9、5、-6、7 李天一
○丁寧 10、8、2 李茜
○張怡寧 8、8、7 ニエ維

◎B組
[山東 3-0 上海]
○李暁霞 -9、2、5、9 王大琴
○曹臻 4、-3、-6、6、8 姚彦
○彭陸洋 -7、-5、3、4、7 宋佳チィ

◎D組
[遼寧 3-1 香港]
○郭躍 9、5、9 林菱
 常晨晨 11、-6、3、-4、-9 姜華君○
○楊楊 8、-6、8、6 帖雅娜
○郭躍 -5、-7、3、4、7 姜華君

 男子団体は優勝候補筆頭の解放軍が、雷振華が1点を落としたものの白星発進。B組では国家2軍チームが主力の山東省が、強豪・香港を破る金星を挙げている。女子団体で3連覇を狙う北京市は、格下の四川省を相手に張怡寧を3番手に下げる余裕のオーダーでストレート勝ち。D組の遼寧vs香港は郭躍がきっちり2点を挙げた遼寧省が勝利を収めた。
 
 また、今日の試合結果も、続々と速報で入ってきている。男子団体C組、北京vs上海の大一番は、4番で馬龍(北京)と王励勤(上海)が大激戦。なんとゲームオール16点で馬龍が勝利を収め、北京が3-1で勝利している。各グループとも2位まで決勝トーナメントに進むことができる。

 世界最高のナショナルゲーム、全中国運動会。感性と知識をフル活用して、大会の模様をお伝えします!
「真の中国チャンピオン決定戦」とも言える全中国運動会。男女シングルス(決勝トーナメント)に出場するのは、男子38人、女子39人。妙な端数(はすう)であるうえ、女子のほうがひとり多いあたりが何となく「大陸的」だ。
 下は男子シングルスと女子シングルスのトーナメント表(※クリックで拡大)。黒数字は現在世界ランキングを持っている選手のランキング、グレー数字は以前世界ランキングを持っていた選手の最高位のランキングを表している。第1シードの王皓と張怡寧、第2シードの郭躍と馬龍はともに世界ランキングの1位と2位。男子は15人、女子は14人が世界ランキングのトップ50に入っており、「世界選手権より勝つのが難しい」と言われるのも決して誇張ではないことが、お分かり頂けるだろう。

★★★ 男子シングルス ★★★

 チャンピオンは、100%に近い確率で8人の重点強化選手(王皓・馬龍・馬琳・王励勤・陳杞・ハオ帥・張継科・許シン)の中から誕生するだろう。その中でもやはり優勝候補の筆頭は、現世界チャンピオンの王皓(解放軍)。今年は念願の世界選手権のタイトルを獲得。やや体重が増えているのが気になるが、プレースタイルの完成度は高く、ビッグタイトルを獲得したことで精神的にも余裕を持って戦えそうだ。対抗は第2シードの馬龍(北京市)。超級リーグで今季34勝6敗、弱冠20歳にして技術的にはチャンピオンの名に恥じないものがあり、長丁場の全中国運動会では体力面のアドバンテージも優位に働くだろう。
 優勝候補の双璧である王皓と馬龍だが、王皓は今回優勝を逃すと4年後の第12回大会では30歳と、選手としてのピークをやや過ぎてしまう。一方の馬龍は24歳、まさに選手としてのピークに差しかかる。前回の05年大会決勝で王励勤に完敗を喫していること、年齢的に今回がほぼラストチャンスであることを考えると、大会にかける意気込みという点では王皓がやや上回っているか…?
 王皓、馬龍に続く3番手には、ともに優勝経験のある王励勤と馬琳のふたりが入ってくる。ドローを見ると馬琳が許シンか李静、王励勤がハオ帥に準々決勝で当たる組み合わせ。ここはしっかり勝ち抜きそうだ。王励勤が優勝すれば、男子では大会初の2連覇ということになる。そして注目すべきは、昨年の全中国チャンピオンである張継科。精神面の脆(もろ)さにやや不安があるが、全中国選手権では馬琳・王励勤・王皓を連破して優勝。準々決勝で馬龍と当たる厳しい組み合わせだが、地元青島の出身ということもあり、ダークホースのひとりと言える。

☆☆☆ 女子シングルス ☆☆☆

 第1シードの張怡寧が大会2連覇を狙う。ブロックのドローを見ても、準決勝までは問題なく勝ち上がるだろう。近年やや故障が多いが、死角のない両ハンド攻守のプレースタイルは円熟の極みにあり、女子ダブルス・混合ダブルスに出場しないため、体力的にも不安はなさそうだ。
 第4シードの劉詩ウェンのブロックは、劉詩ウェンがシードを守って勝ち上がりそうだが、劉詩ウェンの運命を左右するのは、世界ランキング11位の丁寧の勝ち上がり。2回戦の范瑛vs.馮亜蘭の対戦で范瑛が勝利すれば、范瑛は続いてカット打ちの苦手な丁寧を破り、準々決勝まで上がってくるだろう。そうなれば、カットを苦にしない劉詩ウェンの準決勝進出はまず問題ない。しかし、范瑛が馮亜蘭に敗れた場合、丁寧がその馮亜蘭を破って準々決勝に進む可能性が高く、劉詩ウェンにとっては準決勝進出を賭けた厳しい一戦となる。
 第3シードの李暁霞のブロックは、準々決勝で李暁霞vs.郭炎の大一番が実現しそうだ。郭炎はおそらく今大会が現役最後の全中国運動会、これまで全中国のシングルスでは良いところがないが、侮れない実力者。そして第2シードの郭躍は、首の故障からどこまで復調してくるか。準々決勝の対戦相手は世界選手権横浜大会で大苦戦した姜華君か、全中国チャンピオンの文佳。準決勝で李暁霞との「永遠のライバル対決」に臨むまでは負けられない。

 会場も熱い盛り上がりが予想される全中国運動会・卓球競技。中国リポート担当も大会に潜入、大会の模様をリポートする予定です。ご期待下さい!
 9月24日~10月2日に行われる全中国運動会・卓球競技は、正式には全中国運動会・卓球競技の決勝トーナメントだ。たとえば男女シングルスに出場できるのは、予選が免除されたシード選手と予選を勝ち抜いた選手24名、合わせて38名しかいない。今年5月に内モンゴル自治区のフフハトで行われた全中国運動会予選ではダブルスで波乱が続出、男子ダブルスで馬琳/張超(広東)、混合ダブルスで馬琳/劉詩ウェン(広東)、陳杞/陳晴(江蘇)らが敗れている。これまで全中国運動会では個人戦3種目を全て制した「三冠王」はひとりもいないが、馬琳や劉詩ウェンにはすでに三冠王挑戦への資格がないのだ。
 今大会の男女団体・シングルスのドローを見る前に、前回の無錫大会(05年)の決勝のスコアをおさらいしておこう。

■第10回全中国運動会・卓球競技 2005.10.11~18/江蘇省無錫市
[男団決勝]江蘇省(陳杞・單明杰・秦志ジェン) 3-1 解放軍(王皓・柳洋・李陟)
[女団決勝]北京(張怡寧・郭炎・丁寧) 3-1 山東省(李暁霞・彭陸洋・姜華君)
[男単決勝]王励勤(上海) 3、1、6、5 王皓(解放軍)
[女単決勝]張怡寧(北京) -6、6、-8、-6、7、6、9 王楠(遼寧)
[男複決勝]王励勤/劉杉(上海) 10、-7、-12、4、-9、11、8 馬琳/張超(広東)
[女複決勝]李暁霞/彭陸洋(山東) 10、-13、5、3、7 李楠/唐娜(天津)
[混複決勝]徐輝/郭躍(遼寧) 9、8、7、9 王励勤/張晶(上海)

 王励勤が男子シングルス・ダブルスを制し、混合ダブルスも決勝まで進出して三冠王にあと一歩まで迫ったが、混合ダブルス決勝で徐輝/郭躍ペアに完敗した。女子団体優勝の北京市は、準決勝で王楠・郭躍・常晨晨を揃えた遼寧省を相手に0-2から逆転勝ちし、団体2連覇を決めている。
 それでは、まず男子団体戦の予選グループの組み合わせから見ていこう。

★男子団体
A:解放軍、河北省、四川省、新彊ウイグル自治区
B:山東省、天津市、河南省、通信体育協会、香港
C:上海市、北京市、浙江省、福建省
D:江蘇省、広東省、遼寧省、黒龍江省、マカオ

 各グループの上位2チームまでが準々決勝へ進む。断トツの優勝候補筆頭は昨年の全中国選手権・団体戦を圧倒的な強さで制した解放軍。超級リーグでは孤軍奮闘の王皓だが、本来は解放軍の所属であるふたり、山東魯能・中超電纜のエース張継科と錦州銀行のエース雷振華がチームに加わり、層の厚さでは群を抜いている。3番手の雷振華はシングルスで予選落ちしたため、団体戦に力を尽くすだろう。
 もっとも、戦力が充実したチームがあっても、全中国運動会には「楽勝」という文字は存在しない。超級リーグの最多勝男・馬龍に閻安・侯英超がいる北京市、王励勤と伸び盛りの許シンがいる上海市、馬琳と張超を擁する広東省などが虎視眈々と優勝を狙う。続いて女子団体の組み合わせはこちら。

☆女子団体
A:北京市、山西省、四川省、河北省
B:山東省、広東省、上海市、浙江省、マカオ
C:解放軍、湖北省、江蘇省、雲南省
D:遼寧省、黒龍江省、天津市、広西チワン族自治区、香港

 …団体戦に出場するのは当初16チームずつだったのだが、予選が終わったあとで突然香港とマカオが組み込まれ、男女とも18チームで戦うことになった。マカオはともかく、香港は男女とも強豪チーム。女子の黒龍江省などは、2位通過が望める組み合わせだったところに香港が入ってきたのだから、災難としか言いようがない。この香港とマカオの参入には、かなり批判の声が上がったようだ。
 女子団体の優勝候補はやはり北京市だ。大黒柱の張怡寧に、郭炎と丁寧が両脇を固める陣容で、3連覇へ向けて死角はない。北京市を倒す可能性があるとしたら、郭躍・常晨晨・楊楊の遼寧省と李暁霞・彭陸洋・曹臻の山東省か。特に山東省は戦力的には北京市に劣らないものがあるが、李暁霞は右肩痛、彭陸洋は腰痛と故障を抱え、全力でプレーできるかどうかは微妙だ。劉詩ウェンがいる広東省も上位進出の可能性はあるが、2番手以下が不在なのが痛い。

 その3ではシングルスのドローと優勝者予想をお伝えします!

Photo左:01年第9回大会で優勝した王楠。国内外で無敵を誇った女王の貫禄です
Photo中:第9回大会決勝で王楠に逆転負けし、感情を爆発させた張怡寧。「不動心の女王」もまだ19歳、試合態度の悪さゆえに大会後、謝罪文の発表、国際試合の出場停止などキツいお仕置きを受けた
Photo右:05年第10回大会の決勝で王皓に完勝、笑顔でベンチに戻る王励勤
 中国リポートで9月10~14日に3回に渡って掲載した「大会前特集・4年に1度の全中国運動会」を、速報ページにもアップいたします。ご参照下さい!

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 中国では9月24日~10月2日まで、第11回全中国運動会・卓球競技が開催される。開催地は山東省青島(チンタオ)市。青島ビールと家電の「海爾(Haier/ハイアール)」で有名な港湾都市だ。

 全中国運動会は日本で言えば国民体育大会に相当するが、開催は4年に1回。別名「中国のオリンピック」とも言われ、熱く盛り上がる大会だ。指導者にとっては、この大会での成績がひとつの手腕のバロメーターにもなる。
 第1回全中国運動会が行われたのは1959年。容国団が世界選手権ドルトムント大会で中国人初の世界チャンピオンになってから、半年後のことだ。卓球ももちろん正式競技に加えられていたが、旧中華民国時代(1912年~1949年)に行われていた「全国運動会」では、度重なる加入要求にも関わらず、卓球がなかなか正式競技に加入できなかった。「卓球を入れるならカルタも入れよ」と明治神宮競技大会への加入が進まなかった日本と同様、卓球が競技スポーツとして認知されていなかったためだ。1948年の第8回全国運動会で正式競技に加わるまで、全国運動会への加入は中国の卓球人の悲願だった。そして中国初の世界チャンピオン・容国団の登場により、卓球は花形競技のひとつとして第1回全中国運動会に登場することになる。
 やや長くなるが、全中国運動会の歴代チャンピオンを下にあげておこう。

第1回大会(1959) [男単]王伝耀 [女単]胡克明  [男複]姜永寧・庄家富 [女複]邱鐘恵・叶佩ジン [混複]荘則棟・邱鐘恵
第2回大会(1965) [男単]荘則棟 [女単]林慧卿  [男複]徐寅生・李富栄 [女複]梁麗珍・黄玉環  [混複]陸巨方・梁麗珍
第3回大会(1975) [男単]王文栄 [女単]閻桂麗  [男複]梁戈亮・趙卓敏 [女複]李明・劉新艶   [混複]李鵬・李明
第4回大会(1979) [男単]王会元 [女単]斉宝香  [男複]廖福民・黄堅果 [女複]戴麗麗・沈剣萍  [混複]王会元・劉新艶
第5回大会(1983) [男単]恵鈞  [女単]焦志敏  [男複]江加良・黄文冠 [女複]戴麗麗・沈剣萍  [混複]滕義・趙曉雲
第6回大会(1987) [男単]王涛  [女単]焦志敏  [男複]陳龍燦・成応華 [女複]耿麗娟・李恵芬  [混複]王振義・劉偉
第7回大会(1993) [男単]呂林  [女単]トウ亜萍 [男複]王涛・劉国梁  [女複]李菊・ウ娜    [混複]王振義・喬雲萍
第8回大会(1997) [男単]王涛  [女単]トウ亜萍 [男複]王涛・劉国梁  [女複]トウ亜萍・張輝  [混複]秦志ジェン・楊影
第9回大会(2001) [男単]馬琳  [女単]王楠   [男複]馬琳・劉国正  [女複]王楠・張瑞    [混複]秦志ジェン・楊影
第10回大会(2005) [男単]王励勤 [女単]張怡寧  [男複]王励勤・劉杉  [女複]李暁霞・彭陸洋  [混複]徐輝・郭躍

 …見てのとおり、文化大革命期の混乱などが原因で、きっちり4年おきに大会が開催されたわけではない。そうそうたるビッグネームが並ぶが、75年の第3回大会の男女チャンピオンはややマイナーか。昔の記録をひも解いてみると、男子単優勝の王文栄は1972年の第1回アジア卓球選手権に出場し、準々決勝で河野満(日本)をストレートで破って3位に入賞。女子単優勝の閻桂麗はダブルスのスペシャリスト、タイトルにこそ恵まれなかったが、世界選手権の女子複・混合複で銀メダル2個、銅メダル2個を獲得している。第6・7回大会の混合ダブルスで優勝した王振義は、実業団リーグのびわこ銀行で活躍し、のちに日本に帰化した青山振一選手だ。

 その2に続きます…。

Photo左:05年第10回大会の会場となった無錫体育館。中国卓球協会の蔡振華会長の故郷でもある
Photo中:選手たちに声援を送る観衆
Photo右:05年当時まだ現役だった孔令輝、人気は健在だった