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 なぜかINSEPでフランスのコーチ70人を前に講演する羽目になったのだが、その後に、フランスチームの練習場を訪れた。知っているコーチや選手ばかりでなんだかうれしくなってきた。
 エロワはまだ選手としてがんばって出場しているし、シーラはコーチになったということ。そして、彼らをまとめているのが、ミッシェル・ブンロンデル。1988年からの友人だが、この人のせいで講演をする羽目になったのだ。相変わらず、明るい男で、大会期間中に食事をする約束をして別れた。(今野)
 メインコートに設置された審判台は、大きなバタフライのスリースターボールと地球があしらわれている。明かりを落とすと、ライトアップされた地球が浮かび上がるのだ。
 試合の合間には、コンサートさながらの凝ったライティングや、盛り上げるアナウンスもあり、これから強豪選手が登場してくればさらに会場はヒートアップしそうだ。
 男子シングルスの予選トーナメントに出場した、スウェーデンのファビアン・オーケストレム。05年世界ジュニア3位の彼を、ご記憶の卓球ファンもいるはず。右シェークフォア裏ソフト・バック粒高の異質攻守型。バックハンドは相手に攻められた時はカットも多用する。スウェーデン選手権の現チャンピオンだ。

 1988年12月生まれなので、年齢はまだ24歳なのだが、……少々お年をめされたような気も。パワーに頼らない配球重視の頭脳派卓球だから、、、きっと苦労が多いんですよね?
 男子シングルスの予選トーナメントに出場した、キューバのホルヘ・カンポス。フィンランド男子チームの第一人者・オラーとゲームオールの大激戦を展開。メインコートで行われているため、試合が続くにつれて観客の声援が集まりはじめ、最終ゲームには大騒ぎに。観客席の女の子たちが、画用紙に手書きで「jorge(ホルヘ)!」と書いて高く差し上げ、まるでアイドルのコンサートだ。

 最終ゲームは序盤のビハインドをオラーが追いついたが、最後はカンポスがきわどく競り勝ち、吠えた。試合後、観客席の子供たちからサイン攻めにあったカンポス。「何でこんなにオレを応援してくれるんだろう?」と思ったはずだが、黄色い声援はやっぱりうれしそう。フランスの観客、さすがにスポーツ観戦の楽しみを心得ている。
 曇り空で肌寒い5月14日のパリ。大会第2日目は、まず混合ダブルスで本選となる1回戦がスタート。日本から3ペアが出場する。ただし、試合が行われるのは夜、つまり日本の深夜か明け方くらいなので、皆さんが速報を目にするのは5月15日の朝ということになる。日本とパリとの時差は-7時間だ。

★5月14日・大会第2日目の日本選手のタイムテーブル ※( )内は日本時間
19:15~(26:15~) 岸川聖也/福原愛 vs. レク・ダルドッソ/ヴィレッリ(イタリア)
20:00~(27:00~) 吉村真晴/石川佳純 vs. ラミレス/エストラダ(グアテマラ)
20:45~(27:45~) 松平賢二/若宮三紗子 vs. コーデュ/ハー・リー(ニュージーランド) 

※混合ダブルスの注目ペア
王励勤/饒静文(中国)、フランチスカ/P.ゾルヤ(ドイツ)、フィリモン/サマラ(ルーマニア)、ヤン・ツー/ユ・モンユ(シンガポール)、徐賢徳/石賀浄(韓国)、陳建安/黄怡樺(チャイニーズタイペイ)、ガオ・ニン/馮天薇(シンガポール)、陳杞/胡麗梅(中国)、邱貽可/文佳(中国)
 午前中、フランスの卓球メーカー「コニヨール」社を訪問。パリから車で1時間半の田舎にある。さすがフランスという感じでオフィスがおしゃれ。会社の中に鯉も泳いでいる!
 運転手をつとめてくれたのは元世界チャンピオンのガシアン(93年世界選手権優勝)。コニヨールはフランスで唯一の卓球メーカーで、卓球台で有名。75カ国に卓球台を輸出している。特にホビーマーケットでは強く、ガシアンは外の屋外用テーブルの前でにっこりポーズ。ちなみにガシアンは今、コニヨール社のプロダクト・コンサルタントを務めている。 (今野)
世界ランキングが低いため、中国選手で唯一予選リーグに出場する胡麗梅。CCTVの記者たちが今か今かと、コートを囲み、その期待に応えるかのように初陣を飾った。

多彩なサービス、ツッツキの変化、そしてビージャオ(鋭角に入るツッツキ)の鋭さはとても予選リーグの選手ではない。
ほとんどラリーにもならず、2、2、0、1、という7ゲームスマッチで5点、約11分の圧倒劇だった。

ボールを薄くとらえて、ふわっと釣り球のように入るブチ切れカットを果たして日本選手が打てるのか。
本選のドローが気になるところだろう。
 今大会最年少、ジャージーのジョルダン・ワイクス選手。あどけない表情とは裏腹に、ミスをした時は思う存分悔しさをあらわにし、バチンと太ももを叩く熱さももった13歳だ。
 戦型は、バック表ソフトのシェーク異質攻撃型。弾くバックからの回り込みフォアドライブが得意パターン。身長は150cmほどで、一方の相手は190cmあろうかという大男。残念ながら1-4で敗れたが、懸命なプレーで会場を沸かせた。
 サブアリーナでザカリア・メルカデ選手(モロッコ)のベンチに入っていた坂本卓也さん。2010年10月から青年海外協力隊の一員としてモロッコに派遣され、本来なら2年で帰国となるところが、モロッコ卓球協会の要請を受けて在任期間を延長。2年半前から指導しているザカリア選手は、4月に16歳になったばかりだが、パリ大会でうれしい世界選手権出場を果たした。

 「彼はすごい真剣に選手を教えてくれるし、ぼくにすごい変化を与えてくれた。この2年半でぼくは成長して、この大会に来ることができたから、すごい幸せです」とザカリア選手。大好きな選手は「100パーセント、馬龍(中国)!」だそうだ。まだまだプレーは発展途上だが、シャープな身のこなしで、積極的なフォアドライブ連打を見せていた。

 今年の12月には世界ジュニア選手権も開催される北アフリカのモロッコ。ザカリア選手いわく、日本は「ピンポンと野球と柔道、それからスシ」の国。逆に日本の人たちにとって、モロッコと言って何が思い浮かぶだろうか。パッと何かが出てくる人は少ないだろう。しかし、卓球の指導に情熱を燃やし、信頼を勝ち得ている日本人が、そんな国にもいるのだ。下写真左は坂本さん、右はザカリア選手
 今大会で唯一の日本人審判員の藤本成子さん(写真左)。世界選手権は、01年大阪大会、09年横浜大会に続いて3回目だと言う。今日は第2会場でのお仕事。「正直、英語が得意じゃなくて少し不安ですが、頑張ります!」
 もうひとりは、日本人のボランティアスタッフ・梶原えみこさん(写真右)。梶原さんは現在スイス在住で、インターネットでスタッフ募集をみつけて申し込んだとか。ラケットコントロールルームや会場内のカフェなどで仕事をしているそうだ。