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アジア競技大会・卓球競技

 昨日の土砂降りの雨からうってかわって、今日は快晴に恵まれた水原の街。日本と中国の決戦、女子団体決勝は14時スタート。昨日の準決勝終了後、「中国からまずは1勝、でもその前に第1ゲームを取って相手にプレッシャーを与えないといけない。第1ゲームが勝負だと思います」と語っていた村上恭和監督。
 ロンドン五輪での初の団体銀メダル、今年のJA全農世界卓球での31年ぶりの決勝進出、そしてこのアジア競技大会では48年ぶりに決勝の舞台へと進んだ村上監督。予選グループでは最年少の平野美宇を積極的に起用して、彼女をもり立てる雰囲気を作り、若宮も2試合で起用。チームの士気を高めるマネジメントはさすがだ。

 男子団体決勝は16時半スタート。馬龍・張継科・許シンの最強トリオを揃える中国に、韓国はどのようにして挑むか。今大会、エースの活躍を見せている朱世爀は中国に手の内を知り尽くされているが、それでも起用せざるを得ないだろう。これが最後のアジア競技大会となるであろう朱世爀、地元でもうひと花咲かせてほしい。
 現在、会場では混合ダブルスの3回戦(ベスト8決定戦)がスタート。平野/丹羽ペアが北朝鮮のキム・ナムチョル/キム・ヘソン、岸川/福原ペアがインドのアントニー/パトカルと対戦する。

 下写真はオールドファンには懐かしい方々。左のおふたりは元韓国代表の安宰亨(右)と元中国代表の焦志敏の「韓中カップル」。息子さんはゴルフのトップ選手として全英オープンなどでも活躍している。右は73年世界選手権団体優勝メンバーの李エリサさん。
 準決勝トップで、会心のプレーでリン・イエを下し、チームの勝利に貢献した福原愛。しかし、4番では馮天薇に敗れ、「やっぱり4番で馮選手に勝てなかったという気持ちが強い。1番で勝てたことはうれしいけど、勝たなければいけない試合というのがあるから、4番で負けたことのほうが悔しいです」と試合後に語った。

 明日の女子団体決勝は中国戦。ロンドン五輪に続いて、シンガポールに勝ち、中国と戦うことになる。「ロンドン五輪の準決勝では勝ってみんなで泣いてしまって、私はちょっと満足してしまった部分がある。ロンドン五輪が終わってからは、常に決勝で中国と対戦して、中国に勝つという気持ちでいるので、しっかり準備して明日に備えたいです」(福原)。もう決勝進出では満足できない。力強い福原の意思表明だ。
●女子団体準決勝
〈日本 3ー2 シンガポール〉
○福原 8、7、7 リン・イエ
○石川 8、11、ー7、ー9、5 馮天薇
 平野 11、ー8、3、ー8、ー3 ジョウ・イーハン○
 福原 ー6、ー2、7、ー8 馮天薇○
○石川 2、7、ー7、4 リン・イエ

 日本女子、1966年の第5回バンコク大会以来、実に48年ぶりの決勝進出!

  準決勝という大舞台、やはりすんなりとは終わらなかった。日本は3番平野が、硬さの見えるジョウ・イーハンをゲームカウント2ー1とリードしながら、悔しい逆転負け。第4ゲーム、中盤でリードされながら追い上げ、8ー9としたところでフォア前に浮いたストップを狙い打てず、もう一度ストップしたボールがオーバー。これで流れを失ったか、最終ゲームは硬さの取れてきたジョウ・イーハンの強烈なパワードライブを浴び、敗れた。

 4番はトップで会心の試合を披露した福原の登場。馮天薇を相手に、緩急がどこまで通じるか注目されたが、序盤からピッチの早い打ち合いを挑んでしまった。馮天薇のショートスイングのバックドライブは抜群の安定感で、福原のミスのないバック表ソフトの連打を上回った。第3ゲームから福原も徐々にリズムを取り戻し、非常にコースの厳しいバック連打で対抗したが、及ばず。

 ラストは石川対リン・イエ。リンのパワフルなドライブを、前陣でのライジングをとらえたバックブロックで何本も止める。3球目パワードライブの後の5球目の連打も的確で、第1ゲーム10ー0でゲームポイントを取るなど、一方的な展開に。
 第3ゲームを落としたが、試合後に石川は「東京大会のオランダ戦ラスト(エーラント戦)で、2ー0から2ー2に挽回されて、それがすごく印象深かったので、1ゲーム目取られた後、必ず4ゲーム目で締めようと思いました」と語った。出足から5ー1とスタートダッシュをかけ、中盤で一気にリードを広げる。10ー3でマッチポイントを握り、11ー4で勝負を決めた。
  • ラストで気合いあふれたプレーを見せた石川

  • 強打者リン・イエ、経験不足は否めず

  • 石川、ベンチで福原と笑顔のハイタッチ!

  • そして陳莉莉コーチと歓喜の抱擁!

  • 観客席の声援に応える日本女子チーム

●女子団体準決勝
〈日本 2ー0 シンガポール〉
○福原 8、7、7 リン・イエ
○石川 8、11、ー7、ー9、5 馮天薇
 平野 vs. ジョウ・イーハン
 福原 vs. 馮天薇
 石川 vs. リン・イエ

 日本、シンガポールに対し、前半を終えて2ー0とリード!
 トップ福原は強打者のリン・イエをフォアに振り、バックへ表ソフトのストップ性ブロックで小さく止める。台上に2バウンドしたブロックが、この試合だけで何本もあった。バックストレートへ強烈なパワードライブを見せたリン・イエだったが、福原のテクニックには完全に翻弄された。それにしても今大会の福原は、本当に強い。レシーブでもあまいサービスは決して見逃さない。

 そして2番では石川が馮天薇にゲームオールで勝利。ゲームカウント2ー0から2ー2に追いつかれる苦しい展開だったが、ループドライブでの回転の緩急や、ミドルを攻められた時の落ち着いた対応など、確かな成長のあとが見えた。第5ゲームは6ー2から、馮天薇が上げてきたロビングをシュートしていくスマッシュで鮮やかに打ち抜く。JA全農世界卓球・オランダ戦ラストのプレーを彷彿とさせる一撃で勝負あり。3番は平野対ジョウ・イーハン、ここで決めるぞ!

●女子団体準決勝
〈中国 3ー0 北朝鮮〉
○丁寧 9、7、5 キム・ジョン
○劉詩ウェン 7、3、8 リ・ミョンスン
○朱雨玲 3、6、6 リ・ミギョン

 女子団体準決勝のもうひと試合は、中国が圧巻のストレート勝ち。キム・ジョンを堂々の横綱相撲で打ち破った丁寧、リ・ミョンスンのカットを苦もなくライジングで連打する劉詩ウェン、そして強打にも完璧な反応を見せた朱雨玲。やはり中国女子は強い。先に決勝の舞台で、日本を待っている。
  • バックハンドの緩急が素晴らしかった福原

  • 石川、まさに「してやったり」の勝利

  • そのボールセンスを見せつけた劉詩ウェン

〈韓国 3ー1 チャイニーズタイペイ〉
○朱世爀 6、7、8 陳建安
 丁祥恩 ー8、ー10、ー5 荘智淵○
○李廷佑 9、9、8 江宏傑
○朱世爀 ー7、12、4、1 荘智淵

 5月のJA全農世界卓球・準々決勝で敗れ、メダル獲得を阻止されたチャイニーズタイペイに、韓国男子がリベンジ!

 勝利の立役者は何と言っても朱世爀。以前に比べればわずかに動きの幅は狭くなったものの、ここ一番で決してミスをしない鉄壁のカット、鋭い一発のパワードライブは健在。4番では粘りに粘る荘智淵を、さらに粘り倒すカットで勝利を決め、大観衆を熱狂させた。
  • 殊勲者の朱世爀を迎えるベンチ

  • 荘智淵、朱世爀には根負け…

  • 3番で勝利した李廷佑のフットワークは、相変わらずスゴい!

●男子団体準決勝
〈中国 3ー0 日本〉
○馬龍 6、4、6 松平
○許シン ー5、2、4、11 水谷
○張継科 5、ー6、3、3 村松

日本男子は中国にストレートで敗れ、銅メダルが確定。

3番村松は、世界チャンピオンの張継科相手に堂々たるプレーを見せた。張継科のカット打ちの安定感はすばらしく、第1ゲームの出足で誰もが手こずる村松のバック表ソフトのカットを連続ドライブ。6ー0と一気にリードした。
しかし、第2ゲームで村松のフォアを狙い、フォアクロスへ打ち抜きにきた張継科に対し、村松はフォアサイドまでバックカットを使い、強烈な変化をつける。アップダウンの変化をつけたサービスもたびたび張継科のチキータのミスを誘い、村松が6ー6から5点連取でゲームを奪い返す。チャンスが芽生えたかに見えたが、第3ゲームから張継科は再びバックへの連続ドライブに作戦を切り替え、強烈な回転量で村松を押し切った。

「相手は世界チャンピオンなので、オーラがすごかった。それで凡ミスをしてしまった部分があるのが悔しい」と試合後に語った村松。トップで馬龍と対戦した松平も、第1ゲームの序盤で見せつけられたパワードライブを意識しすぎて、その後のバックハンドの細かいコース変更、球種の変化への対応がややあまくなった感があった。「日本はまだドイツや韓国にも、勝てる保証はない。中国以外には負けないというところまで行って、はじめて中国に勝つチャンスが出てくる」。試合後、エース水谷はそう語った。打倒・中国への挑戦は、まだ道なかばだ。
  • 「許シンとはいつも競るけど、あと1点がなかなか取れない」と語った水谷

  • 世界チャンプと堂々とわたりあった村松

  • 張継科、最後は崩れず

  • 試合後の中国チーム

●男子団体準決勝
 〈日本 0ー2 中国〉
 松平 ー6、ー4、ー6 馬龍○
 水谷 5、ー2、ー4、ー11 許シン○
 村松 vs. 張継科
 馬龍 vs. 水谷
 松平 vs. 許シン

 日本、トップ松平が馬龍に敗れた後、2番水谷が許シンから第1ゲームを先取。ゲームカウント1ー2となった後、第4ゲームに2ー5から8ー5と一気に逆転。10ー6でゲームポイントを握り、ゲームオールに持ち込むかと思われたが、あと1点が遠かった。日本、3番村松が世界王者相手にどんな戦いを見せてくれるか。
●男子団体準決勝
 〈日本 vs. 中国〉
 松平 vs. 馬龍
 水谷 vs. 許シン
 村松 vs. 張継科
 馬龍 vs. 水谷
 松平 vs. 許シン

 日本は試合前に会場での練習をしていなかった村松を3番に起用。一方、中国は世界王者の張継科を3番に持ってきた。トップは馬龍対松平健太だ。
 ひと口に「アジア」といっても、アジアは広い。男女シングルス1回戦は、見た目も人種も実に様々。アジア競技大会というより、まるで世界選手権のようだ。上写真は、男子シングルス1回戦で対戦したハテム(左/パレスチナ)とゲラシメンコ(右/カザフスタン)。パレスチナは西アジア、カザフスタンは中央アジアだ。一番下の写真は中国マカオのマ・チャオイン選手。相撲の仕切りのようなレシーブの構えが、何とも迫力にあふれていた。

 
●女子ダブルス2回戦
平野/石川 4、2、2 モハメド/ファラマルジ(カタール)
福原/若宮 5、1、9 サレム/アブドゥルラヒーム(クウェート)

女子ダブルスで日本勢の初戦となる2回戦、2ペアとも問題なく勝ち上がった。
前回、福原/石川ペアで3位の福原と、藤井(寛)/若宮ペアで3位の若宮で組んだ福原/若宮ペアは、今年のジャパンオープンとチェコオープンで優勝。今大会もメダルの期待がかかる。試合後、福原は「試合中でも言いたいことが言い合えるし、試合が終わってから『こうすれば良かった』と言うことはない」とコンビの良さを語った。