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中国リポート

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 今年5月の世界選手権パリ大会。会場で練習をはじめた中国チームのウェアを見て驚いた。胸と背中に入った「五糧液」の文字。中国を代表する銘酒、五糧液(ウーリャンイエ)のロゴだ。五種類の穀物を使って造るためにこの名前がある。日本代表チームにたとえるなら、ウェアに大きく「いいちこ」と入っているようなものか……(?)。

 世界的に見ても、嗜好品(酒・タバコ)の広告・CMなどの露出は、より厳しい規制がかけられる傾向にある。その中で、ビールやワインではなく、アルコール度数52度の白酒(パイチウ/蒸留酒)の広告をドーンとウェアに入れるとは……。横文字ではなく、漢字のロゴもナカナカ渋い。「そんなに強い酒が売れるの?」と思ってしまうが、五糧液は高級酒路線を突っ走ってブランドイメージの向上につとめ、業績を伸ばしている。2年ほど前には、1000mlで3万元(約48万円)という、ものすごい価格の高級白酒も発売した。

 パリ大会の中国代表ウェアでは、右肩に「DUBAI(ドバイ)」の文字が入ったのも大きな変化だ。中国リポートでもお伝えしていなかったが、中国チームは今年1月にアラブ首長国連邦のドバイ政府と、1年間のスポンサー契約を結んだ。企業ではなく、海外の一都市がスポンサーという、非常に珍しいケースだ。ウェアに地名や都市名が入るのは、何だかまぎらわしい気もするが、ドバイでは来年ワールドツアー・グランドファイナル(2013年度)とワールドチームクラシックという、ふたつの国際大会が開催。ドバイ政府も卓球の普及に力を入れているようだ。アメリカのテーブルテニス・バー「SPiN」も、初の海外出店はドバイの「SPiN Dubai」だった。

 唐突ですが、後編に続きます……。
  • 張継科の背中にもクッキリと「五糧液」のロゴ

  • 右肩には「DUBAI」の文字。シンプルです

★★★ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 男子第4節 7.10 ★★★

〈寧波海天塑機 3−0 覇州海潤〉
○馬龍 3、−7、4、4 崔慶磊
○閻安 6、4、10 ジャイ超
○閻安/林高遠 6、8 崔慶磊/程靖チィ

〈八一熔盛重工 3−0 四川長虹〉
○周雨 3、8、−9、10 邱貽可
○王皓 −9、8、3、−8、7-4 許鋭鋒
○周雨/樊振東 8、5 許鋭鋒/王建軍

〈江蘇中超電纜 3−1 広東陳静〉
○馬琳 5、8、−7、5 李洋
○徐輝 8、8、−3、5 胡彬
 林晨/蔡偉 −11、−9 李洋/オフチャロフ○
○馬琳 7、9、9 胡彬

〈上海金邁馳 3−1 渤海銀行・天津〉
 王励勤 6、8、−7、−8、4-7 荘智淵○
○許シン 7、9、5 ハオ帥
○許シン/張洋 7、9 荘智淵/李平
○王励勤 8、6、11 ハオ帥

☆☆☆ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 女子第4節 7.10 ☆☆☆

〈八一冀中能源 3−1 大連新衡業・上方〉
 劉曦 −2、−6、1、−8 文佳○
○木子 −8、10、6、9 常晨晨
○曹臻/劉曦 12、−9、7-4 常晨晨/李佳イ
○木子 3、−4、−3、3、7-4 文佳

〈大同平型関・金地砿業 3−0 広東二沙〉
○武楊 1、4、2 李予冬
○李暁丹 9、6、6 張遅
○李暁丹/劉高陽 −8、7、7-5 李予冬/呉ジエ

〈金華銀行 3−0 鄂尓多斯東方路橋〉
○周シントン −9、7、3、−7、7-4 朱雨玲
○胡麗梅 10、5、12 ユ・モンユ
○周シントン/劉ジン 9、−12、7-5 趙岩/張薔

〈大土河・華東理工 3−1 山東魯能〉
 馮亜蘭 −9、−9、−1 李暁霞○
○劉詩ウェン −3、8、5、9 陳夢
○馮亜蘭/饒静文 8、9 陳夢/顧玉ティン
○劉詩ウェン 5、7、−7、−9、8-6 李暁霞

 アジア選手権開催のために中断していた超級リーグが、7月10日から再開された。男子では、上海が渤海を下して開幕から4連勝。上海より試合消化が1試合少ないものの、山東・八一・寧波も3戦全勝だ。まだ全18節のうち4節が終了しただけだが、この4チームがプレーオフに進出する可能性はかなり高い。
 江蘇と広東の一戦では、広東のオフチャロフが超級リーグデビュー。07年アジアジュニア優勝の李洋と組んだダブルスで勝利したが、チームはラストに控えるオフチャロフまで回すことができず。ちなみにラストの対戦カードはボル対オフチャロフ。……はるばる中国まで来て、同士討ちになるところだった。

 女子では小さな番くるわせがあった。前節の第3節で初勝利をあげた、新規加入の金華銀行が鄂尓多斯(オルドス)東方路橋に完勝。カットの胡麗梅とペン異質攻守の周シントンが主力の「粒高チーム」、他のチームにとっては意外にやっかいな存在かもしれない。トップで世界選手権3位の朱雨玲を破った周シントンの変化ショートは、すでに守備ではなく立派な攻撃。最終ゲーム5−4の場面で、ツッツキとバックハンドで粘る朱雨玲を変化ショートとフォアの攻撃で押しまくり、長い長いラリーの最後はフォア強打で得点。そのまま7−4で勝利を決めた。

photo左:アジア選手権2位の閻安はきっちり2点獲り。ノッてます
photo右:2回連続の登場となった周シントン。国家チームでの練習では、2〜3日で粒高のツブが切れてしまうとか。恐るべし中国女子
★★★ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 男子第3節 6.26 ★★★

〈寧波海天塑機 3−1 四川長虹〉
 林高遠 7、−1、−7、10、5−7 邱貽可○
○閻安 −12、−7、2、4、7-5 許鋭鋒
○朱世爀/林高遠 8、9 王建軍/朱霖峰
○閻安 6、9、6 邱貽可

〈広東陳静 3−2 覇州海潤〉
 胡彬 8、−13、−5、5、1-7 崔慶磊○
○劉吉康 8、9、−8、6 ジャイ超
 李洋/尹航 −7、−7 程靖チィ/ジャイ超○
○劉吉康 2、7、−6、8 崔慶磊
○尹航 −3、8、7-5 梁靖崑

〈上海金邁馳 3−1 江蘇中超電纜・李永紫砂〉
○尚坤 8、5、−7、11 馬琳
 許シン 4、−9、−9、−10 ボル○
○許シン/王励勤 9、5 馬琳/陳杞
○尚坤 5、7、10 ボル

〈山東魯能 3−2 渤海銀行・天津〉
 張超 −12、−7、5、−8 ハオ帥○
○張継科 5、9、3 荘智淵
 張超/方博 −3、−10 荘智淵/李平○
○張継科 7、4、5 ハオ帥
○方博 10、12 李平

☆☆☆ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 女子第3節 6.26 ☆☆☆

〈八一冀中能源 3−0 広東二沙〉
○郭躍 4、8、4 李予冬
○木子 9、7、−7、4 熊欣芸
○木子/曹臻 −9、4、7-2 張遅/呉ジエ

〈金華銀行 3−1 大連新衡業・上方〉
 周シントン −12、−7、11、−11 文佳○
○胡麗梅 −10、9、10、−10、7-4 常晨晨
○周シントン/劉ジン 7、7 常晨晨/李佳イ
○胡麗梅 5、9、2 文佳

〈大土河・華東理工 3−2 鄂尓多斯東方路橋〉
 饒静文 −5、8、−8、−8 朱雨玲○
○馮亜蘭 3、5、−6、5 ユ・モンユ
 饒静文/江越 −9、−9 趙岩/朱朝暉○
○馮亜蘭 2、−3、7、2 朱雨玲
○江越 5、10 趙岩

〈北控燕京啤酒 3−1 山東魯能〉
○丁寧 −6、12、−9、6、7-2 陳夢
○郭炎 −9、−6、−6 李暁霞
○李天一/盛丹丹 −17、4、6-8 陳夢/顧玉ティン○
○丁寧 6、10、3 李暁霞

 6月26日に行われた超級リーグ男女第3節の結果は上記のとおり。
 男子では今季初参戦の広東陳静が、ラスト尹航の勝利で覇州海潤に競り勝った。今シーズンの超級リーグでは本来の母体である八一熔盛重工(人民解放軍チーム)から離れ、広東陳静で巻き返しを図っている尹航。同じ解放軍チームのライバル、樊振東や徐晨皓が注目を浴びる中、「最近、あまり名前を聞かないな」という感じだが、再び上昇気流に乗れるだろうか。広東陳静では、シングルスで2得点を挙げた劉吉康(右シェークドライブ型・21歳)も長く国家チームに所属しながら、女子チームの「培練(トレーナー)」を務めるなど、表舞台とは無縁のプレーヤー。不遇の選手たちが新興のチームで旋風を巻き起こす、なんてことになったら面白いが、現実は甘くなさそう。
 江蘇中超電纜は前節に続いてボルが出場し、2番で許シンとのサウスポー対決を制したが、4番で同じくサウスポーの尚坤に完敗。チームも元気なく3連敗となった。

 一方、女子も新規参戦の金華銀行が初勝利。パリ大会で一躍名を馳せたカットの胡麗梅が2勝を挙げ、ジャパンオープン荻村杯から帰国したばかりの周シントン(右ペン粒高反転攻守)もトップで文佳を苦しめた。中国のごく一部の粒高愛好者から、熱い注目を集めている周シントン。先輩の陳晴(06年ジャパンオープン3位)とよく似たスタイルで、横回転を加える粒高ショートは安定性抜群。女子卓球の「男性化」という潮流の中でも、こういう選手を育成できるのが、中国卓球の懐の深さか。
  • 最近は少々伸び悩んでいる尹航

  • 裏面打法も駆使する周シントンの粒高ショート

★★★ 2013中国卓球クラブ超級リーグ・男子第2節 6.23 ★★★
※1・2・4番は5ゲームズマッチ、3・5番は3ゲームズマッチ、すべて第5ゲームは7点先取で行う


〈寧波海天塑機 3−0 広東陳静〉
○馬龍 7、5、8 劉吉康
○閻安 8、2、3 尹航
○閻安/林高遠 8、−6、9-7 劉吉康/李洋

〈上海金邁馳 3−1 覇州海潤〉
○許シン 5、5、8 ジャイ超
○尚坤 −9、6、10、6 梁靖崑
 尚坤/張洋 −9、−11 ジャイ超/程靖チィ○
○許シン −8、8、3、−8、7-4 梁靖崑

〈八一熔盛重工 3−0 渤海銀行・天津〉
○王皓 9、8、4 潘登
○周雨 6、7、11 李平
○周雨/樊振東 5、−10、7-1 潘登/張ユク

〈山東魯能 3−2 江蘇中超電纜・利永紫砂〉
 張超 −8、−5、9、10-12 ボル○
○張継科 9、−8、7、−6、7-5 馬琳
○張超/方博 2、11 馬琳/陳杞
 張継科 6、−3、8、−6、1-7 ボル○
○方博 9、−6、7-4 陳杞

☆☆☆ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 女子第2節 6.23 ☆☆☆

〈八一冀中能源 3−1 金華銀行〉
○木子 9、−10、7、9 胡麗梅
○郭躍 −9、10、−9、7、7-4 楊楊
 木子/曹臻 −11、−8 劉ジン/楊楊○
○郭躍 6、10、−7、9 胡麗梅

〈大土河・華東理工 3−1 大連新衡業・上方〉
○劉詩ウェン 7、8、−10、7 常晨晨
 馮亜蘭 6、−6、−7、10、6-8 文佳○
○饒静文/馮亜蘭 −8、4、15-13 常晨晨/李佳イ
○劉詩ウェン −7、7、8、6 文佳

〈大同平型関・金地砿業 3−1 山東魯能〉
○武楊 8、12、6 陳夢
 李暁丹 13、−9、−6、−5 李暁霞○
○李暁丹/馮天薇 9、7 陳夢/顧若辰
○武楊 −2、11、3、−11、7-5 李暁霞

〈鄂尓多斯東方路橋 3−2 北京燕京啤酒〉
○朱雨玲 9、8、9 李天一
 趙岩 −10、−1、−6 丁寧○
 趙岩/張薔 −8、−10 李天一/盛丹丹○
○朱雨玲 10、10、−2、−2、7-5 丁寧
○張薔 −4、7、7-3 盛丹丹

 超級リーグは6月23日に第2節が開催された。
 男子の最大のトピックスは、江蘇に「外援(ワイユエン/助っ人外国人選手)」として登録されたボルが初出場し、張超と張継科を連破したこと。今月17日に行われたチームメイトの陳杞の結婚式にも招待されたボル。昨シーズンは、所属するボルシア・デュッセルドルフがヨーロッパチャンピオンズリーグとブンデスリーガのタイトルを逃し、過去数年間で最も厳しいシーズンだった。それでも32歳という年齢で、本来ならオフシーズンであるこの時期に超級リーグに参戦し、練習を積んでいるのはさすが。超級リーグでこれだけ勝てる選手は、世界広しといえどもボルくらいのもの。

 ここで少し紹介しておくと、男子のニューフェイス・広東陳静は、昨シーズンの甲Aで優勝した河北覇州海潤から超級の参戦権を買い取ったクラブ。クラブ名を見てピンと来た方も多いと思うが、代表は88年ソウル五輪金メダリストの陳静。現役引退後、広東省の華南師範大学で心理学の博士号を取得し、中国チームのメンタルケアも行っていたが、低迷する広東省の卓球界のためにひと肌脱いだというわけだ。オフチャロフ(ドイツ)のスポット参戦でも話題を集めているが、馬特・劉吉康・宋講演・尹航という顔ぶれは、今ひとつ決め手に欠けているようだ。
 女子の金華銀行も、昨シーズンの甲A女子優勝の八一解放軍(2軍)から参戦権を買い取った。スポンサーの金華銀行は、金華ハムで有名な浙江省金華市にある銀行。パリ大会代表の胡麗梅がエースだが、断トツで(失礼)戦力が低い広東二沙に次ぐ、8位が定位置となりそうな気配だ。
★★★ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 男子第1節 6.19 ★★★
※1・2・4番は5ゲームズマッチ、3・5番は3ゲームズマッチ、すべて第5ゲームは7点先取で行う


〈上海金邁馳 3−1 広東陳静〉
 許シン 6、−8、3、−7、2-7 劉吉康○
○尚坤 −8、−8、4、7、4 尹航
○許シン/張洋 7、−7、7-4 尹航/胡彬
○尚坤 10、−5、6、−9、8-6 劉吉康

〈渤海銀行・天津 3−2 四川長虹〉
 潘登 −10、−8、−7 邱貽可○
○荘智淵 9、9、8 許鋭鋒
○潘登/李平 7、10 王建軍/朱霖峰
 荘智淵 8、9、−9、−7、7-9 邱貽可○
○李平 6、6 王建軍

〈山東魯能 3−2 覇州海潤〉
 張継科 −8、−7、9、2、1-7 ジャイ超○
○張超 7、−7、4、9 梁靖崑
○張超/呉ハオ 12、7 ジャイ超/程靖チィ
 張継科 6、−10、−5、8、6-8 梁靖崑○
○侯英超 6、4 范勝鵬

〈八一熔盛重工 3−1 江蘇中超電纜・利永紫砂〉
 周雨 −5、−5、9、−8 馬琳○
○王皓 3、4、−6、5 陳杞
○周雨/樊振東 5、5 陳杞/徐輝
○王皓 7、11、8 馬琳

☆☆☆ 2013中国卓球クラブ超級リーグ 女子第1節 6.19 ☆☆☆

〈大土河・華東理工 3−0 金華銀行〉
○馮亜蘭 8、8、−5、9 胡麗梅
○劉詩ウェン 7、−5、−8、5、7-4 楊楊
○范瑛/鄭詩暢 6、8 楊楊/劉ジン

〈山東魯能 3−0 広東二沙〉
○陳夢 2、6、−6、7 熊欣芸
○李暁霞 5、6、5 李予冬
○陳夢/顧若辰 8、9 張遅/呉婕

〈北京燕京啤酒 3−0 大連新衡業・上方〉
○丁寧 4、10、9 常晨晨
○郭炎 4、8、9 文佳
○丁寧/盛丹丹 −9、4、7-4 文佳/李佳イ

〈大同平型関・金地砿業 3−1 鄂尓多斯東方路橋〉
○武楊 5、−9、9、4 趙岩
○李暁丹 11、−10、6、−7、7-4 朱雨玲
 李暁丹/李茜 −9、6、6-8 趙岩/張薔○
○武楊 8、−7、5、−10、7-5 朱雨玲

 6月19日、中国超級リーグの2013年シーズンが開幕!
 男子のプレーオフ決勝が行われる11月13〜17日まで、5カ月に渡る厳しい戦い。メンバーの紹介もしないまま、開幕を迎えてしまいましたが、取り急ぎ第1節の結果をお伝えします。3番ダブルスと5番ダブルスは3ゲームズマッチ、5試合ともすべて最終ゲームは7点先取。昨シーズンからの新しい試合方式をもう一度思い出してください。

 男子の広東陳静、女子の金華銀行は昨シーズンの甲Aリーグからの昇格組。実際に甲Aを制したのは、男子は河北覇州海潤、女子は八一解放軍だったが、超級リーグへの参戦権を譲渡した形になった。女子の北京燕京啤酒は北京控股集団、鄂尓多斯(オルドス)東方路橋は内蒙古銀行からのスポンサー変更。その他は、少々クラブ名が変わっているところもあるが、大きな変更はない。

 第1節で最大のトピックスは、世界選手権パリ大会を制した張継科がシングルスで2失点を喫したこと。昨シーズン10勝を挙げているジャイ超はともかく、相手チームの5番手・梁靖崑(リャン・ジンクン/11年香港ジュニアオープン優勝)に負けたのは信じられない。昨シーズンは第1・2節でともに単2勝を挙げ、上々のスタートだったが…。6月12〜16日の中国オープン、男子シングルス2回戦の樊振東戦を右肩の故障により途中棄権しており、心身ともに万全の状態ではないようだ。
 一方、女子の世界チャンプ・李暁霞は広東の李予冬に余裕を持ってストレート勝ち。今シーズンも超級リーグは甲Aとの入れ替えがなく、来シーズンに10チーム体制が正式にスタート。全敗でも降格はしないが、それにしても広東の戦力は、超級リーグを戦うには余りに厳しい。

photo左:張継科はまさかの2失点
photo右:中国オープンでもきっちり優勝した李暁霞、超級でのV奪還を狙う
(写真はともに13年世界選手権)
■男子
★ワン・ヤン(スロバキア/アメリカ・シリコンバレー) ……単6勝4敗/複2敗

 −11、−10、−5 黄鎮廷(香港)
 −4、−7、8、6、7 柳洋
 ワン・ヤン/陳照舜(チャイニーズタイペイ) −6、7、−9、−8 O.アサール/K.アサール(エジプト)
★シモン・ゴーズィ(フランス/寧波臨海ピン校) ……単7勝0敗/複1勝1敗
 8、10、4 孔令軒(10年ITTFジュニアサーキット香港大会3位)
 9、8、3 周啓豪(11年アジアジュニア選手権カデット優勝)
★O.アサール(エジプト) ……単4勝5敗/複2勝2敗
 8、−8、12、−5、−8 ガオ・ニン(シンガポール)
 4、8、−12、9 崔徳和(韓国/11年ITTFジュニアサーキットファイナル2位)
★ラシン(エジプト) ……単3勝6敗/複1勝3敗
 サイド/アリ-サレー −11、−6、−7 パーソン(スウェーデン)/鄭培峰
★パーソン(スウェーデン/天津富士達) ……単1勝0敗/複5勝3敗
 5、−9、10、5 魏世皓(2012年ITTFジュニアサーキット太倉大会優勝)
★ガオ・ニン(シンガポール/天津富士達) ……単9勝0敗
 9、4、−7、7 陶文章(11年全国城市運動会男子複2位)

■女子
★リー・ジャオ(オランダ/湖南鳳凰神鳳文化景区) ……単2勝3敗/複1勝1敗

 6、7、7 李彦瑾(元国家2軍チーム)
★石賀浄(韓国/重慶康徳渝中) ……単9勝2敗
 9、5、5 ジョウ・イーハン(シンガポール)
 −7、1、6、3 肖萌

 上は甲Aリーグ第1ステージでの主な海外選手の結果。健闘したのはフランスのゴーズィだ。やや打球点が落ちるプレーなので、中国卓球に対しては厳しいというイメージを持っていたが、予選リーグのみの出場ながら単7戦全勝と実績を残した。シンガポールのガオ・ニンは甲Aに出場するのが不思議なほどの実力者で、こちらの単9戦全勝は順当なところ。ガオ・ニンのチームメイトであるパーソンは、パリ大会では「天津チームのジュニア選手たちのコーチをする」とコメントしていたのだが、プレーヤーとしても右ペンホルダードライブ型の鄭培峰と組んだダブルスで5勝。さすがの技術の幅を見せている。
 ドイツ・ブンデスリーガ男子1部のフリッケンハウゼンでプレーしているナックルチョッパー、ワン・ヤン(汪洋)はアメリカチームから出場し、シングルス6勝4敗とまずまずの成績だった。

 ちなみに地元・中国の選手は、あまり目立った成績を残した選手がいない。男子でカット主戦型の劉イ(火×4)が単10勝1敗と活躍したのが目立つくらいで、若手の有望選手はいずれも超級リーグでプレーしている。劉イもそろそろ超級に上がらなければ、このまま甲Aに定着してしまうだろう。今シーズンの甲Aリーグは2ステージ制で、第2ステージは9月25〜29日に重慶市で開催される予定だ。

photo左:パリ大会からの過密日程ながら、結果を残したゴーズィ
 スミマセン、お伝えするのがすっかり遅くなってしまいましたが、5月23〜27日に湖南省・懐化市体育センターで行われた甲Aリーグ第1ステージの結果をお伝えします。

 世界選手権パリ大会の閉幕からわずか3日後のスタート。パリ大会・日本女子代表の平野早矢香、松平志穂をはじめ、パリから中国へ直行し、出場した選手も多い。男子のエジプト、ロシア(若手選手が主体)、アメリカ・シリコンバレー、女子のMIKIHOUSE(日本)は海外選手のみのチームで参戦している。まずは日本選手の成績から見てみよう。

★★★ 2013中国卓球クラブ甲Aリーグ・第1ステージ 5.23〜27 ★★★

★吉田海偉(雲南電網/DIOジャパン) ……単6勝1敗
 8、−9、4、7 頼佳新(12年ワールドジュニアサーキット成都大会3位)
 4、10、−9、1 孫健(09年全中国運動会ベスト32)
 −6、8、−7、4、4 黄鎮廷(香港)
★張一博(上海澹泊/東京アート) ……単1勝1敗/複4勝2敗
 張/趙子豪 −8、13、−5、6、8 パーソン(スウェーデン)/鄭培峰
★平野早矢香(四川川威勁力先鋒汽車/ミキハウス) ……単5勝4敗
 7、−1、8、8 徐孝元(韓国)
 −8、−8、−4 肖萌
 8、−6、8、−8、−7 キム・ジョン(北朝鮮)
 12、4、12 郭琳(12年全中国女子複ベスト8)
★松平志穂(日本MIKIHOUSE/四天王寺高・ミキハウスJSC) ……単4勝8敗
 4、8、−11、8 リー・ジャオ(オランダ)
 −10、−7、−12 馬越斐(11年ユニバーシアード3位)
 −8、5、−11、−8 周芳芳(元国家1軍チーム)
★酒井春香(日本MIKIHOUSE/ミキハウス) ……単2勝5敗/複3勝5敗
 5、9、8 リン・イエ(シンガポール)
 −4、−6、9、4、−10 周芳芳
★松本優希(日本MIKIHOUSE/ミキハウス) ……単1勝3敗/複3勝5敗
 8、−7、−11、−3 石賀浄(韓国)
 松本/酒井 6、−7、3、2 リン・イエ/ジョウ・イーハン(シンガポール)

 日本勢では吉田海偉がシングルス6勝の活躍。左ペン表ソフトの孫健、香港のホープである右ペンドライブ型の黄鎮廷とのペンホルダー対決にも勝利した。吉田の所属する雲南電網は総合3位、張の上海澹泊は総合5位と健闘している。
 女子の平野早矢香は、パリからそのまま中国へ移動する強行軍だったが、パリ大会でベスト16に入ったカットの徐孝元に勝利。パリ大会混合ダブルス優勝のキム・ジョンにはゲームオールの接戦の末、惜しくも敗れた。また、松平・酒井・松本の3選手で編成されたMIKIHOUSEチームは、第1ステージ(予選リーグ)でリー・ジャオがエースの強豪チーム、湖南鳳凰神凰文化景区に勝利。パリ大会ベスト32の松平がリー・ジャオを破り、ラストで酒井がシンガポール女子チームのリン・イエに完勝した。酒井は13〜25位決定戦の山東体彩戦でもラストで勝利を収め、チームは総合15位となった。

photo:甲Aリーグではまだまだ強い吉田海偉
(写真は平成24年度全日本選手権)
「メシは最高だ!ぜーんぶ野菜!肉なんてどこにもない!これで1日120元!
 言葉もないね!ただ「貪(=どん欲)」のひと文字だよ!」


 微博(マイクロブログ)で発せられた怒りのコメント。その主は中国男子チームの暴れん坊・邱貽可だ。
 今日5月31日から、江西省の省都・南昌市の南昌国際体育センター体育館で行われる全中国運動会予選。27日から四川省チームの一員として南昌市に入り、予選に備えている邱貽可は、選手団に提供される食事に我慢がならないようだ。

 『華西都市報』の取材に対して、四川省男子チームの陳宏宇監督は、次のように答えている。
 「毎回の食事では6つか7つの料理があるけれど、肉や魚が入っているのはひとつかふたつ。しかもボリュームのある料理じゃなくて、ほんのちょっと入っているだけなんだ。そんな料理がテーブルに上がったら、誰もがすばやく群がって、すぐに野菜だけになってしまう。みんな成都の料理を恋しがっているけど、そんな話をするほど、つらくなるばかりだからね」

 ……ちなみに選手たちは、外で食事をするとドーピングの禁止薬物を摂取してしまう可能性があるため、外食は禁止されているのだという。選手団の間では、「ここで肉にありつきたかったら、『快・准・狠』でいくしかないね」というジョークが言い交わされているとか。快(速さ)・准(正確さ)・狠(パワー)の三文字は、いずれも中国卓球の伝統的なスローガン。ほじくり返されて、野菜だらけになったお皿が目に浮かぶようだ。
 全中国運動会予選は6月7日までの長丁場。「お腹が減って力が出なかった」という悲しいコメントが、新聞に載らないことを願いたい。

photo:28歳になってもやんちゃな邱貽可。確かに1日120元出せば、相当豪華な食事ができるでしょう
 5月25日、CCTV-5(中国中央電視台・スポーツチャンネル)のテレビ番組『風雲会』に、世界選手権パリ大会(個人戦)を戦い終えた中国女子チームの孔令輝監督が出演。スタジオの観覧席で李暁霞や丁寧ら、女子チームの選手たちが見守る中、司会者の張斌さんと軽妙なトークを繰り広げた。

 「コーチから監督になって、大会中はちゃんと眠れていましたか?」と尋ねられ、「大会の時はいつもよく眠れています。選手時代に比べると、寝る時間はどんどん遅くなってきているけど、眠れないということはないですよ」と答えた孔令輝監督。
 「今回のドローでは、上半分(第1・3シードのブロック)に5人の選手が固まり、下半分(第2・4シードのブロック)には2人の選手しかいなかったので、すこしプレッシャーが大きくなりました。
 第4シードの馮天薇(シンガポール)が下半分にいて、同じブロックには若手の朱雨玲しかいなかった。朱雨玲は過去2回馮天薇に勝っていますが、ビッグゲームで対戦したことはないし、ビッグゲームでの若手選手のメンタルは正確に把握しにくい部分もありますからね。そして、準決勝で馮天薇と当たるのが第2シードの劉詩ウェンという組み合わせ。10年モスクワ大会で負けた相手です。全体で見れば分が良いとはいえ、少なからずプレッシャーがあったことは確かです」(孔令輝監督)。

 結果的に、朱雨玲は4回戦の姜華君(香港)戦でややもたついたものの、準々決勝で馮天薇をストレートで破り、中国女子は今大会もベスト4を独占。女子ダブルスも、タイトルを失った他のダブルス2種目とは違ってベストのペアリングで臨み、盤石の戦いぶりを見せた。「今大会で、将来中国女子の脅威となり得る若手選手はいましたか?」と聞かれ、孔令輝監督はこう答えている。

 「ヨーロッパの若手は伸びが止まっていると言わねばならないでしょう。やはり有望な若手はアジアに集中している。そして若手選手の育成という点では、日本が比較的進んでおり、力も入れています。今年のカタールオープンでは、すでに14歳前後の選手たちを派遣してきている。将来、彼女たちは我々にとって、大きな脅威になる可能性があります」。

 カタールオープンに出場していた14歳前後の選手たちというのは、平野美宇、伊藤美誠、浜本由惟、加藤美優らを指している。日本女子チームの将来を担う「黄金世代」と呼ばれる選手たちにも、中国は油断なく目を配っている。この強さにして、この用心深さ。最強軍団の最強たる所以(ゆえん)だろう。

photo:世界選手権も、個人戦なら枕を高くして眠れた様子の孔令輝監督。来年の団体戦はより難しい戦いとなりそう
 パリから帰国後、なかなか時差ボケが治らず、毎日朝4時半に目が覚めてしまう中国リポート担当です。
 パリの夢から覚めてみれば、今年は9月初旬に、4年に1回の全中国運動会が遼寧省鞍山市で開催される年。中国の卓球雑誌「ピンパン世界」のカメラ班として、ひとり奮闘していた辺玉翔くんと「鞍山見!(鞍山で会おう!)」と握手を交わして、パリを後にしたのでした。

 さて、パリ大会の男子シングルスで注目を集めた選手といえば、なんといっても松平健太。特に北京五輪金メダリストの馬琳に完勝した一戦は、中国でも大きく報道された。馬琳戦のベンチで「なす術(すべ)なし」という表情を見せた劉国梁総監督の、試合後のコメントが『羊城晩報』に掲載されている。
 「馬琳は全力を尽くしたよ。でも、誰だって時の流れにはかなわない。馬琳のフットワークは、たしかにピーク時とは明らかに違っていた」。

 劉国梁監督はまた、大会後に松平健太の出現を「パリ大会の最大のハイライトだった」とも述べている。
 「松平は馬琳、サムソノフに勝ったばかりでなく、許シンからも2−1とゲームをリードした。これは少しも意外ではなかったし、さらに番狂わせを起こす可能性が十分にあった。また、4回戦で馬龍と対戦した丹羽孝希のプレーも非常に良かったね。
 ただ、我々中国チームの選手たちは、『最後に勝利するのは自分たちだ』ということに、少しも疑いを抱いていない。時にその自信が、技術よりもずっと重要になるんだ」(劉国梁/出典『羊城晩報』)

 パリ大会での活躍で、松平健太は中国にとって「リオデジャネイロ五輪での最大の脅威」としてインプットされたはずだ。これまで以上に、四方八方から研究を重ねてくるに違いないが、中国をもってしても健太の仮想(コピー)選手は簡単には作れないはず。中国の養狼計画(ライバル育成計画)が本格的にスタートする中で、期せずして現れた「天然モノ」の強力なライバル。まずは来月末から韓国・釜山で行われる、アジア選手権での戦いに注目だ。

photo左:見事なスタートダッシュで馬琳に完勝した松平健太
photo右:馬琳対松平戦、馬琳にアドバイスする劉国梁総監督