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中国リポート

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 4月19~22日、中国・香港のクイーンエリザベス・スタジアムで行われる「2012オリンピックアジア大陸予選」。日本からは丹羽孝希(青森山田高)と平野早矢香(ミキハウス)が出場し、五輪出場権の獲得を目指す。出場する主な選手リストは以下のとおり(赤字は女子/WR=2012年4月の世界ランキング)。

◆日本 丹羽孝希(WR19) 平野早矢香(WR12)
◆中国 馬龍(WR1) 郭躍(WR5)
◆韓国 柳承敏(WR15) 石賀浄(WR21)
◆香港 梁柱恩(WR35) 李皓晴(WR78)
◆チャイニーズタイペイ
呉志祺(WR142) 李佳陞(WR334)
陳思羽(WR57) 林佳慧(WR181)
◆北朝鮮
ジャン・ソンマン(WR55) キム・ヒョクボン(WR90)
キム・ソンナム(WR244)
イ・ミョンスン(WR44) イ・ミギョン(WR99)
◆インド
アチャンタ(WR69) アントニー(WR189) ゴーシュ(WR206)
ダス(WR238) クマレサン(WR242) ガタク(WR246)
◆タイ
コムウォン(WR153) ムアンスク(WR231)

 アジアで五輪代表権を獲得できるのは11名。すでに西アジア・中央アジア・東南アジアの各地区では男女ひとりずつ代表が決定している。その顔ぶれもチェックしておこう。

★西アジア代表 アルハサン(クウェート) モウムジョグリアン(レバノン)
★中央アジア代表 アラミヤン(イラン) シャハサヴァリ(イラン)
★東南アジア代表 詹健(シンガポール) リ・ジャウェイ(シンガポール)

 残る8つの出場枠のうち、1つは南アジア代表に与えられるため、日本・中国・韓国・香港などの東アジア勢からは7名が出場権を獲得する。
 プレッシャーのかかる戦いの中で、危険なダークホースとなるのは北朝鮮とインド。北朝鮮は男子のジャン・ソンマン、女子のイ・ミョンスンというチョッパーふたりが各国の脅威となる。男子の2番手キム・ヒョクボンも、昨年の世界選手権個人戦で岸川聖也(スヴェンソン)を追い詰めた実力者。ただ、3番手のキム・ソンナムは堅固なバックブロックを軸にしたオーソドックスなシェークドライブ型なので、あまり怖さはない。

 そしてインドは、特に男子チームが強い。92年バルセロナ五輪のアジア大陸予選では、男子チームの主力だったメータが91年世界選手権ベスト8の李哲承(韓国)、タイペイのホープ蒋澎龍を連破して五輪代表権を獲得した前例もある。昨年10月に元ポーランド代表のクハルスキー(89年世界選手権複2位)と1年間のコーチ契約を結び、ロンドン五輪で過去最高の成績を狙っている。

 ドイツ・ブンデスリーガのブレーメンで活躍する男子チームのエース、アチャンタは中陣でのパワフルな両ハンドドライブが武器。好不調の波が激しいが、当たりがついた時は世界ランキング10位台の選手にも勝つ。北朝鮮勢とともに、このアチャンタがグループリーグのどこに入るかが、ドローのひとつの焦点になりそうだ。2番手の現インドチャンピオン、アントニーも身体能力が高く、キレのある両ハンドドライブを放つ危険な狙撃手だ。

上写真:馬龍、世界ランキング1位でアジア大陸予選に登場
中写真:予選は長丁場、丹羽孝希は体調管理にも注意したい
下写真:バンダナが目印。インドの巨人アチャンタ
(写真はすべて12年世界選手権団体戦)
 4月2日、04年アテネ&08年北京五輪の2冠王である張怡寧が、香港で女の子を出産していたことがわかった。体重は6斤(3,000g)少々で、母子ともに健康とのこと。名前はまだ発表されていない。

 昨年末に「オメデタ」が伝えられた張怡寧。昨年の世界選手権(個人戦)ロッテルダム大会の際は、留学先のアメリカからオランダへ駆けつけ、後輩たちのサポートに回ったが、今年は世界選手権団体戦ドルトムント大会にも帯同せず。女児誕生のニュースは、ドルトムントの中国チームのコーチ・選手たちにも伝えられ、女子団体のコービロン杯奪還に花を添えることになった。
 北京市チームの後輩である丁寧は、次のようなお祝いのコメントを寄せている。「寧姐(張怡寧)に心からお祝いを言いたいです。寧姐がいつも私たちの試合を気に懸けてくれている。出産前はゆっくり会えなかったけど、寧姐の体調が戻ったらまたゆっくりお喋りをしたい」(出典:『城市快報』)。

 卓球ファンなら誰しも、「張怡寧の娘さんなら、打球センスは抜群では?」と考えてしまうところ。かつて張怡寧は「もし子どもが卓球が好きなら、少しやらせてみてもいいですね。でもプロとしてやるかどうかは、素質も見てみないとね」と語っている。張怡寧は女子選手の中では背が高い168cmで、旦那さんの徐威さんも180cmを超える長身。すらりと背の高い娘さんになりそうだ。

photo:昨年のロッテルダム大会での張怡寧
 昨日23日から中国・マカオで開催されている第20回アジア卓球選手権。昨年9月にレバノンで開催される予定だったのが延期となり、世界団体選手権直前の開催となったが、各国ともベストメンバーに近い陣容で臨んでいる。中国男子チームは王皓、張継科、馬龍、馬琳、許シン。中国女子チームは李暁霞、丁寧、郭炎、劉詩ウェン、武楊という顔ぶれだったが、直前のエントリー変更で武楊に代わり郭躍がメンバーに入った。

 今回のアジア選手権では、長く香港男子の屋台骨を支えてきたふたりの名選手がシングルスにエントリーしていない。02・05年大会で男子ダブルス2連覇を果たした李静と高礼澤だ。04年アテネ五輪の男子ダブルスで銀メダルを獲得した、香港スポーツ界の英雄たちは、今年4月のロンドン五輪・アジア大陸予選には出場しない意向を表明している。

 1975年3月7日生まれの李静は来月で37歳。あと2年で大学院の修士課程を修了するため、それまではプレーを続けるそうだ。アジア大陸予選へ出場しないことに関しては、「これが最も正しく、そして賢明な決断だと思っている」とコメント。アジア選手権も団体のみの出場で、シングルスには若手の謝嘉俊が出場する。
 1976年5月10生まれ、35歳の高礼澤はすでに現役を引退。香港男子チームのコーチとして、現任の陳江華(チャン・コンワ)コーチをアシストする。切れ味抜群のシュートドライブが見られなくなるのは残念だ。

 すでに男子は唐鵬と江天一、女子は帖雅娜と姜華君がロンドン五輪の出場権を獲得している香港。4月19~22日に地元のクイーンエリザベススタジアムで行われる五輪アジア大陸予選には、誰が出場するのか。男子は若手とベテランの経験の差が大きく、順当に行けば梁柱恩と張ユクのどちらかだろう。女子は李皓晴、呉穎嵐、于國詩という若手から選ばれる可能性が高そうだ。

Photo上:06年世界団体戦、メダル獲得を決めて爆発した李静
Photo中:10年世界団体戦、ポルトガル戦ラストで勝利。李静、またも爆発
Photo下:李静よりクールだった高礼澤。どちらも寿司屋にいそうです
 2007年6月にスタートした中国リポート。これまでに600本近いリポートをお伝えしてきたが、最も内容が卓球から縁遠かったのが、2007年9月20日にアップした一本。タイトルは「北京市の夏の風物詩 ピンパン葡萄」。ピンパン葡萄という大粒のブドウが、北京市内で人気を集めているというニュースだった。……よほど話題がなかったのだろう。

 そして今、中国ではブドウではないある物がピンポン球に例えられ、大きな反響を呼んでいる。その名も「ピンパン蛋(ダン)」、つまりピンポン卵だ。
 ウミガメの卵のような、ピンポン球大のかわいらしい卵……と思ったらとんでもない。ゆで卵にしてみると、ホロリと崩れるはずの黄身がテーブルの上から落としても崩れず、それどころかピンポン球のように弾むというから驚く。まさに究極の“ハードボイルド”だが、そんな「ピンパン蛋」が昨日は山東省、今日は広東省というように中国各地で発見され、消費者の間に不安が広がっている。

 実は以前から中国では、本物と見分けがつかないほど精巧なニセモノ卵(人造卵)の存在が指摘されていた。殻は炭酸カルシウムや石膏、黄身と白身はアルギン酸ナトリウムなどの化学物質。なんと食べても気づかない人もいるという。ネットでは「安心して卵を食べたいなら、ニワトリを飼おう」という声もある。
 そのため、「ピンパン蛋」も一時はニセモノ卵と決めつけられてしまったが、その後の検査では本物の卵と判定されるものも出てきた。凍って変質した卵で、昔から時々混ざっているという業者の声や、ニワトリに与える飼料が原因という説もある。

 本物か、はたまたニセモノか。身近な食材だけに、なんともお騒がせな「ピンパン蛋」。…たまにはこういう話題もいかがでしょうか?

Photo:スイス・ローザンヌのITTFミュージアムに展示してある、初期のピンポン球。ゆで卵の器のようですが、こちらは正真正銘のピンポン球
 2月11日まで行われたITTFワールドツアー・カタールオープン。陳夢の殊勲の優勝をリポートで取り上げたが、女子シングルスでもうひとり、衝撃的な活躍を見せた選手がいた。世界ランキング5位の馮天薇(シンガポール)、同22位の梁夏銀(韓国)を連破し、ベスト8に入ったカット主戦型のハン・イン(ドイツ)だ。攻撃力はそれほど高くなく、プレースタイルとしてはクラシックな印象だが、よく切れたカットと巧みなカーブロングで相手の打ちミスを誘った。

 ハン・インの漢字表記は韓イン(草かんむり+宝)。中国・遼寧省出身の28歳で、すでにドイツ・ブンデスリーガで10年もプレー。今シーズンは女子1部のトステドに所属し、開幕からの6連勝を含むシングルス15勝を挙げ、リーグ全体でも2位の勝利数を記録している。一方で中国では、2011年シーズンは甲Cリーグの雲南電網に所属。超級、甲A、甲Bのさらに下のリーグだ。甲Cの選手が、超級リーグでも実績を残している馮天薇に勝ったのだから、かなりの番くるわせに違いない。「あんなに世界ランキングの高い選手に勝てるなんて想像できなかった。初めての対戦だったし、とにかくアグレッシブにプレーしようとした」と馮天薇戦の後でコメントしている。

 考えてみれば、ドイツ女子チームには昔から、帰化選手のカット主戦型の系譜がある。ジィ・ショップ(施捷/93・95年世界選手権ベスト16)、ティエン・ジン(田静/99年世界選手権ベスト8)、ゴッチュ(何千紅/00年シドニー五輪ベスト8)などが世界のトップクラスで活躍してきた。中国の范瑛(ファン・イン)と紛らわしいこのチョッパーも、ドイツ女子チームの新しい戦力なのか。…と思いきや、まだドイツ国籍は取得しておらず、あくまでも自費参加とのこと。
 馮天薇にしてみれば、思わぬ伏兵に足元をすくわれた形だが、彼女にしても中国ではエリートコースを外れた選手だった。この中国女子の層の厚さには恐れ入るばかりだ。

Photo:準々決勝では、優勝した陳夢にゲームオールジュースで惜敗したハン・イン。後ろ姿はどことなく金キョン娥に似ている(写真提供:ITTF)
 少々古い話になって恐縮だが、ちょうど1カ月前の1月15日、北京国家体育館で「2011CCTV体壇風雲人物頒奨典礼」というセレモニーが行われた。これはCCTV(中国中央電視台)が、その年に最もインパクトのある活躍を見せた中国のスポーツ選手を選出し、表彰するもの。2001年からスタートしている。
 男子の最優秀選手は、水泳の世界選手権1500m自由形で世界新記録を樹立した孫楊、女子の最優秀選手はテニスの全仏オープンを制した李娜だった。卓球界からは、男子最優秀選手に張継科、女子最優秀選手に丁寧というふたりの世界チャンピオンがノミネートされたが、中国体育史に残る活躍を見せたMVPふたりには及ばなかった。

 MVPには選ばれなかったものの、このセレモニーで話題をさらったのが女子世界チャンピオンの丁寧。日本でもネットで話題になっているので、ご覧になった方もいるかもしれない。金色の衣装に身を包んで登場すると、摩訶不思議なダンスの後で、なんと素振りを始めたのである。曲のリズムに合わせ、大振りな両ハンドにロビング打ち。中国のトップ選手の素振りを見られるのは貴重だが、卓球人としては「バックダンサーの皆さんゴメンナサイ」としか言えない。

 丁寧の「隠し芸」について少し解説すると、バックに流れていた音楽は、ボーイッシュな女性歌手・李宇春(クリス・リー)の「我的心里只有ニィ没有他」(心の中はあなただけ、あの人はいない)。中国リポートでたびたびお伝えしてきたとおり、丁寧は昔からこの李宇春に似ていると評判なのだ。「我的心里只有ニィ~♪」というイントロと、背の高い女性のシルエットに、観客が「李宇春?」とざわついたところで、ニセモノ(失礼)が出てきたというわけ。金色の衣装も、李宇春がライブでよく着るものを意識しているようだ。

 似ているとはいえ、まさかの「成りきり芸能人」。丁寧本人の発案とは思えないが、中国のスポーツ界もずいぶん変わったものだ。ちなみに丁寧のダンスの後には、中国新体操チームが韓国のアイドルグループ・ワンダーガールズの『nobody』を披露。こちらもダンスを“完コピ”する時間はなかったのか、途中から雑伎団のようになっているから、クオリティは丁寧と良い勝負か。

※丁寧のダンスの映像はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=bBIWVoXoTVY&feature=youtu.be

※李宇春の紹介ページはこちら。あまり似てません
http://baike.baidu.com/view/3202.htm

Photo:クールな表情で熱演した丁寧。ドルトムント大会でダンスの感想を聞くのは……NGでしょうね
 2月7~11日に行われたITTFワールドツアー・カタールオープンで、陳夢(チェン・ムン/中国)がワールドツアー(旧:プロツアー)初優勝を飾った。
 3回戦で対戦するはずだった馮天薇(第1シード/シンガポール)がカットの伏兵ハン・イン(ドイツ)に、準々決勝で当たる組み合わせだった福原愛(ANA)が李暁丹(中国)に敗れるなど、当たりが楽になった部分もあるが、頂点まで上りつめた価値は大きい。1994年1月15日生まれ、現在18歳の陳夢。早くから頭角を現す選手が多い中国女子にあって、18歳でのワールドツアー優勝は特筆すべきことではないが、ツアー出場2大会目での優勝は評価できるだろう。

 カタールオープンでの優勝後、報道陣の取材に対し、陳夢はこんな初々しいコメントを残している。「大会前から優勝が目標だったけど、決勝を戦い終えた時は頭が真っ白になりました。相手(石賀浄)が握手しに来たのを見て、やっと感じたんです。自分はチャンピオンになったんだって」。母親に「4-0で勝ったよ」とメールしたところ、母親からは「勝ったのは誰なの?」との返信。なかなか優勝を信じてもらえず、「そんなに自分の娘が信用できないの?」とメールで怒ったそうだ。
 目標とする選手は張怡寧で、「いつか彼女を超えるような選手になるのが夢」だという陳夢。確かに冷静なプレーと身のこなしの柔らかさ、優れたボディバランスは張怡寧を彷彿とさせる。決して動きが速いようには見えないが、的確なポジショニングで、ノータッチで抜かれることはまずない。

 これまで中国リポートでも触れてきたが、この陳夢、中国の若手男性俳優のトップスター・黄暁明(ファン・シャオミン)の「表妹(ビャオメイ)」として知られている。「表妹」は従兄弟(いとこ)という意味で、年下の女の従兄弟のこと。陳夢は黄暁明より16歳も年下だ。国家チームに入った頃は、チームメイトからよくサインをねだられたそうだが、「私の目標は五輪の金メダリスト、そしてスポーツ界のトップ選手になること。皆さんに黄暁明の従兄弟としては覚えてもらいたくない」という。その意気や良し、だ。

Photo:昨年の世界ジュニア選手権での陳夢のプレー
 2月4~5日、フィリピン・マニラでロンドン五輪・東南アジア予選が開催。男子はジャン(擔の右側)健、女子はリ・ジャウェイとともにシンガポール勢が代表権を獲得した。

 男子シングルス予選の決勝でサントソ(インドネシア)に完勝したジャン健は、左シェーク・フォア表ソフトの前陣速攻型。中国代表として01年世界選手権混合複3位(白楊とのペア)の実績を持つが、日本リーグのグランプリでプレーしていたのをご記憶の方も多いだろう。29歳でシンガポールに移籍したジャン健は、ITTF(国際卓球連盟)協会間移籍の規定により、世界選手権やワールドカップには出場できないが、ITTFの規定は五輪には適用されない。シンガポールへの移籍時に「本当はもう引退するつもりだったが、オリンピックに出るという夢をかなえたかった」と語っていたが、きっちりその夢を実現させた。

  リ・ジャウェイについては今さら説明する必要もないだろう。これで五輪出場は4大会目。女王・王楠(中国)を敗戦の瀬戸際まで追い詰めた00年シドニー五輪、その王楠を破ってベスト4に入った04年アテネ五輪。08年北京五輪ではシンガポール女子の団体銀メダル獲得という、国家的慶事の立役者となった。今回の女子シングルス予選の決勝では、1歳年上のコムウォン(タイ)に4-1で勝利。今年で31歳になるが、北京五輪後に結婚・出産を経ての代表権獲得はさすがのひと言。

 ジャン健とリ・ジャウェイはともに団体3番手としての五輪出場であり、シングルスには出場できない。すでに男子のガオ・ニンとヤン・ツー、女子の馮天薇と王越古が推薦出場枠を獲得したシンガポール。男子の3番手の層の厚さを移籍選手でカバーし、中国や日本よりも早く団体メンバーの3人を揃えた。これで五輪団体戦への出場は確定的だ。

写真:東南アジア予選をあっさり通過したジャン健(上)とリ・ジャウェイ(下)。写真もあっさりしててスミマセン
(写真は11年プロツアーファイナル)
 韓国の卓球NT(ナショナルチーム)は、直訳すると「国家代表常備軍」という名称になる。2012年度に選抜される「国家代表常備軍」の定員は、男女16名ずつの計32名。日本の男子NTは候補選手を含めて16名、女子NTは同18名なので、規模としてはほぼ同じだ。その「国家代表常備軍」のメンバー選考会、および世界選手権(団体戦)代表の最終選考会が、1月8日まで韓国・忠北提川体育館で行われた。
 今回の選考会では、男女とも上位8名が「国家代表常備軍」入りが確定し、男子1位と女子1・2位の選手が世界団体選手権(団体戦)ドルトムント大会の韓国代表に選出される。なお、すでにロンドン五輪の推薦出場枠を獲得している男子の朱世爀と呉尚垠、女子の金キョン娥と朴美英は、すでに「国家代表常備軍」と世界団体代表の両方に内定している。

 男子選考会で1位となったのは鄭栄植(大宇証券)。17勝1敗という抜群の成績で初の世界選手権・団体代表入りを決めた。続いて李廷佑(国軍体育部隊)と李尚洙(三星生命)が14勝4敗で並んだが、直接対決の勝敗で李廷佑が2位。4位には13勝5敗の徐賢徳(三星生命)が入っている。柳承敏(三星生命)は12勝6敗で5位に終わったが、代表常備軍には選ばれた。

 一方、「若手三銃士」の中でくっきり明暗を分けたのが20歳の金珉鉐(KGC人参公社/旧KT&G)。10勝8敗で9位に沈み、自力で代表常備軍入りを決めることができなかった。実は所属チームであるKGC人参公社では、MBC最強戦(昨年12月)での呉尚垠の「無気力試合」を理由に、監督・コーチとエースの呉尚垠が突然解雇され、チームは内紛状態に陥っている。チーム最年少の金珉鉐のプレーに影響が出てしまったのも、無理からぬところか。劉南奎監督は、協会推薦枠としてこの金珉鉐と高校生の金東寅を代表常備軍にすくい上げている。

 女子は1位が石賀浄、2位が唐イェ序、3位が梁夏銀と大韓航空勢がトップ3を独占。帰化選手ふたりが15勝2敗、梁夏銀が13勝4敗だった。石賀浄は昨年、右肩の故障により国内外の大会で成績がふるわなかったが、「自分の実力を証明したかった。必ず1位を獲りたいという決意で臨んだ」とその心境を述べている。若手が次々に育っている男子に比べ、女子は梁夏銀以外には大化けしそうな選手は少ない。ロンドン五輪の女子団体3番手は、石賀浄と唐イェ序、このふたりのどちらかになりそうだ。

Photo上:並み居る先輩たちを連破し、世界団体代表に名を連ねた鄭栄植
Photo下:女子選考会で1位となった石賀浄
 大変遅ればせながら、明けましておめでとうございます。旧年中は年末の締めの挨拶もなく、誠に失礼しました。ますますスローペースになりつつある中国リポートですが、伝えるべきニュースは山積しております。2012年、一発目の話題は元世界チャンピオンの近況から。

 昨年12月、中国の海南日報にこんなタイトルのニュースが掲載された。「卓球の元世界チャンピオン・江加良、現在はゴルフに夢中」。
 オールドファンには言わずとしれた江加良(ジァン・ジァリアン)。85・87年世界選手権2連覇の名選手だ。87年世界選手権ニューデリー大会、体調不良で頬がげっそりと削げ落ちたワルドナーとの決勝は、今でも語りぐさになっている。現役引退後は卓球界から身を引き、実業家として建設関係のソフトウェアの会社を経営しながら、TVリポーターや解説者なども務めている。私生活では、女優の呉玉芳さんと結婚してふたりの娘さんに恵まれ、上の娘さんはアメリカの大学に留学中だという。

 そんな江加良が今最も熱中しているのがゴルフ。「最近はラケットを握ることはめったにないんだ。一番夢中なのはゴルフ、週に2~3回はコースに出ているよ。上海近郊のゴルフ場はほとんど回ったと思う」(江加良)。47歳になった今も、その体つきは現役時代と変わらず、シャープなままだ。「これもゴルフのおかげなんだ。緑のあふれるコースに出て、気持ちの良い空気を吸って、とても良い気分になれる。交友関係も広がるしね」。
 卓球で培ったボールタッチとメンタルの強さを活かし、ベストスコアは「76」となかなかの腕前。4年前のベストスコアは「85」だったので、確実にレベルアップしている。ゴルフ好きのワルドナーとの異種競技対決はまだ実現していないが、ぜひ見てみたいものだ。

 ちなみに筆者、すっかり忘れておりましたが、ずいぶん前に同じようなニュースを伝えておりました(中国リポート2007/12/19『江加良、卓球よりゴルフに夢中』)。ワルドナーとの対決を望むくだりも全く同じ。4年経っても、あまり進歩していないということか…。

Photo上:85年世界選手権での江加良のプレー
Photo下:04年アテネ五輪でTVリポーターを務めた江加良。日焼けしているのは半分くらいゴルフ焼けか?