少々古い話になって恐縮だが、ちょうど1カ月前の1月15日、北京国家体育館で「2011CCTV体壇風雲人物頒奨典礼」というセレモニーが行われた。これはCCTV(中国中央電視台)が、その年に最もインパクトのある活躍を見せた中国のスポーツ選手を選出し、表彰するもの。2001年からスタートしている。
男子の最優秀選手は、水泳の世界選手権1500m自由形で世界新記録を樹立した孫楊、女子の最優秀選手はテニスの全仏オープンを制した李娜だった。卓球界からは、男子最優秀選手に張継科、女子最優秀選手に丁寧というふたりの世界チャンピオンがノミネートされたが、中国体育史に残る活躍を見せたMVPふたりには及ばなかった。
MVPには選ばれなかったものの、このセレモニーで話題をさらったのが女子世界チャンピオンの丁寧。日本でもネットで話題になっているので、ご覧になった方もいるかもしれない。金色の衣装に身を包んで登場すると、摩訶不思議なダンスの後で、なんと素振りを始めたのである。曲のリズムに合わせ、大振りな両ハンドにロビング打ち。中国のトップ選手の素振りを見られるのは貴重だが、卓球人としては「バックダンサーの皆さんゴメンナサイ」としか言えない。
丁寧の「隠し芸」について少し解説すると、バックに流れていた音楽は、ボーイッシュな女性歌手・李宇春(クリス・リー)の「我的心里只有ニィ没有他」(心の中はあなただけ、あの人はいない)。中国リポートでたびたびお伝えしてきたとおり、丁寧は昔からこの李宇春に似ていると評判なのだ。「我的心里只有ニィ~♪」というイントロと、背の高い女性のシルエットに、観客が「李宇春?」とざわついたところで、ニセモノ(失礼)が出てきたというわけ。金色の衣装も、李宇春がライブでよく着るものを意識しているようだ。
似ているとはいえ、まさかの「成りきり芸能人」。丁寧本人の発案とは思えないが、中国のスポーツ界もずいぶん変わったものだ。ちなみに丁寧のダンスの後には、中国新体操チームが韓国のアイドルグループ・ワンダーガールズの『nobody』を披露。こちらもダンスを“完コピ”する時間はなかったのか、途中から雑伎団のようになっているから、クオリティは丁寧と良い勝負か。
※丁寧のダンスの映像はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=bBIWVoXoTVY&feature=youtu.be※李宇春の紹介ページはこちら。あまり似てません
http://baike.baidu.com/view/3202.htmPhoto:クールな表情で熱演した丁寧。ドルトムント大会でダンスの感想を聞くのは……NGでしょうね