標高5,600m。それは氷点下20℃という酷寒と、時に猛烈な強風が吹き荒れる極限の世界。そんな世界に自ら乗り込んでいくばかりか、なんと卓球台を持ち込み、卓球に興じてしまったスゴい人たちがいる。
7月31日、ウクライナ卓球協会のセルゲイ・コルキン副会長率いる14名(男性10名・女性4名)の登山チームが、ヨーロッパの最高峰であるエルブルス山(標高5,642m・ロシア)への登頂に成功。その山頂で卓球の試合を行うという快挙を成し遂げた。
「Table Tennis on Elbrus(エルブルス山で卓球を)」と銘打たれたこのチャレンジは、ETTU(ヨーロッパ卓球連合)の後援を受け、さらにドイツの卓球メーカーであるティバーが特別な卓球台を制作。非常に軽量な素材で作られ、70×40×36cmの16のユニットに分割し、持ち運べるというものだ。標高5,600mの山頂でも、彼らはあくまで正規の規格の卓球台にこだわり、「人類史上、最も標高の高い地点で行われた卓球のゲーム」として、ギネスブッグなどに申請される予定となっている。
7月20日に現地入りしたメンバーは高山病による脱落者も出たものの、予定より1日遅い7月31日午前2時、山頂に向けてスタート。15分ごとに変わる天候と戦いながら見事に登頂。風の弱い地点を選んで卓球台がセッティングされ、「人類史上、最も標高の高い地点で行われた卓球のゲーム」の第1試合は、セルゲイ・コルキン氏がビクター・カヌニコフ氏を3-1で破り、栄誉ある勝利を手にした。
「なんと物好きな…」という方もいるだろうが、卓球人ならなんとなく血が騒いでくるようなこのチャレンジ。果たして日本でも、これに匹敵するようなチャレンジは可能だろうか…?
Photo:エルブルス山頂でのプレーの様子(写真提供:ETTU)。地上の半分ほどの気圧しかない山頂、空気抵抗が少なくなり、ボールは非常によく飛ぶはずだ。プレーそのものは、かなりローリスクになると推察されます