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欧州リポート

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 ヨーロッパ選手権3日目、男女団体準決勝までが行われた。男子では3連覇を目指すドイツがルーマニアを3-0で下して決勝進出。しかし、2番でボルがチオティに2ゲームを先取され、ヒヤリとした場面もあった。
 もう一方の準決勝はデンマークが、オーストリアを撃破。3番でツグウェルがゲームオール10本でフェゲルルを下すと、エース対決となった4番ではメイスがゲームオール13本でシュラガーを下し、決勝進出を決めた。

 女子はオランダとポーランドが決勝進出。世界選手権横浜大会で躍進したバチェノフスカとシュトルビコバがいるチェコも、昨年優勝のオランダには及ばなかった。

●男子団体チャンピオンシップディビジョン準決勝
ドイツ 3-0 ルーマニア
○オフチャロフ 3-2 クリサン
○ボル 3-2 チオティ
○ズース 3-0 フィリモン

デンマーク 3-1 オーストリア
○メイス 3-1 ガルドス
 モンラッド 0-3 シュラガー○
○ツグウェル 3-2 フェゲルル
○メイス 3-2 シュラガー

●女子団体チャンピオンシップディビジョン準決勝
オランダ 3-0 チェコ
○リー・ジエ 3-2 シュトルビコバ
○リー・ジャオ 3-1 バチェノフスカ
○ティミナ 3-1 ハドコバ

ポーランド 3-1 クロアチア
○リー・チェン 3-1 ボロス
○シュー・ジエ 3-2 バクラ
 パルティカ 1-3 バイダ○
○リー・チェン 3-1 バクラ
 13日に開幕した09ヨーロッパ選手権。種目は団体戦から行われ、14日までに男子は準々決勝まで、女子は予選リーグが終了している。

 チャンピオンシップディビジョン、チャレンジディビジョン、スタンダードディビジョンと3つのカテゴリーに分けて行われている団体戦。男子チャンピオンシップディビジョンは、予選リーグでプリモラッツが陳衛星とシュラガーを破る活躍を見せ、3-2でクロアチアがオーストリアを下す波乱があったが、ほぼ順当に予選リーグが終了。続けて行われた準々決勝の結果、準決勝のカードはドイツvs.ルーマニア、デンマークvs.オーストリアに決まった。2連覇中のドイツはやはり強いが、故障を抱えるボル、そして2番手オフチャロフは予選でレグー(フランス)に敗戦しているなど、決して不安がないわけではなく、気の抜けない戦いが続く。

●男子団体チャンピオンシップディビジョン準々決勝
ドイツ 3-1 スウェーデン
ルーマニア 3-2 クロアチア
デンマーク 3-0 チェコ
オーストリア 3-1 ベラルーシ

 一方、過去5大会で4カ国が優勝するなど混戦模様の女子チャンピオンシップディビジョン。ディフェンディングチャンピオンのオランダは、予選通過したもののドイツに2-3と追いつめられた。そして、07年優勝のハンガリー、03年優勝のイタリアは予選敗退している。ドデアン、サマラのいるルーマニアは勝ち上がれば準決勝でオランダと対戦。優勝争いを占う一戦となりそうだ。
 9月5日、ドイツ・ブンデスリーガ女子1部が開幕。昨季と同じくエッセン-ホルスターハオゼン(昨季のチーム名はホルスターハオゼン)に所属している梅村はホームでホルスターハオゼンと対戦。2番でシャン・シャオナ(シンガポール)をストレートで下したが、ラストのダブルスでは1-3で敗れ、チームも敗戦。昨季は梅村とバーテル(ドイツ)で3点を取らなければ苦しかったエッセン-ホルスターハオゼン。今回は出場しなかったが、今季からシャール(ドイツ)が加入しており、次戦からの巻き返しに期待したい。

 そして、今季からは森薗美咲(青森山田高)がブンデスリーガでプレー。初戦となったザールルイ-フラウラウテルン戦の3番でP.ゾルヤと対戦。初舞台での緊張からか第1ゲームを3点で落とし、第2ゲームを取り返したものの、第3・4ゲームを連取され、敗戦。チームも敗れてしまった。今年1月の全日本選手権では思い切りの良い速攻で3位入賞し、世界選手権にも出場を果たした森薗。持ち味を発揮し、ドイツで旋風を巻き起こしてほしい。

梅村礼(エッセン-ホルスターハオゼン)
●9月5日 2-3 ビューゼンバッハ
○梅村 7、8、7 シャン・シャオナ
 梅村/ミュールバッハ -9、6、-4、-8 ジルベライゼン/ゴーベル○
通算:単1勝、複1敗

森薗美咲(ハノーファー)
●9月6日 0-3 ザールルイ-フラウラウテルン
 森薗 -3、8、-3、-9 P.ゾルヤ○
通算:単1敗

 9月4~6日、セルビア・スボティツァにてヨーロッパミックスダブルス選手権が開催された。同大会は、以前まではヨーロッパ選手権の一種目として行われていたミックスダブルスを今回から分離開催したもので、今年が第1回目の大会。試合は、出場20ペアを4つのリーグに分けて予選を行い、各リーグ上位2ペアがトーナメントに進出し、覇権を争った。

 記念すべき第1回目の“ベストカップル”に輝いたのはカラカセビッチ/パスカウスキーン(セルビア/リトアニア)組。準決勝でフィリモン/サマラ(ルーマニア)組をゲームオール9本で辛くも退けると、決勝ではカットペアのチチェチニン/Vi.パブロビッチ(ベラルーシ)組を4-1で下した。
 カラカセビッチ/パスカウスキーン組は、05・07年とヨーロッパ選手権ミックスダブルス種目を連覇しており、今大会でも優勝候補の筆頭であった。そして、今回の優勝で事実上の3連覇を達成。ヨーロッパ選手権では、00年にも優勝しており、ヨーロッパミックスダブルス種目において4度目の戴冠となった。
 9月5~6日、ドイツ・ブンデスリーガの試合が行われた。

 デュッセルドルフの岸川はハナウ戦の3番でロスコフ(ドイツ)と対戦し、完勝。今季初勝利を収めた。
 しかし、松平健と高木和は不調。白星を飾れず、ともにチームも敗れている。とくに松平はエースとして起用されていたので、何とか期待に応えたいところであった。

 そして、男子2部南部では松平賢二がドイツデビュー。09年ヨーロッパジュニア準優勝のフロリッツ(ドイツ)相手にヒヤリとさせられる場面もあったが、エースとして単複で計3勝を挙げる活躍。上々のスタートを切るとともに、チームを勝利に導いた。

岸川聖也(デュッセルドルフ)
9月6日 3-1 ハナウ
○岸川 2、5、5 ロスコフ
通算:単1勝1敗

高木和卓(ブレーメン)
9月6日 0-3 ザールブリュッケン
高木和 -10、-7、-8 トキッチ○
通算:単1勝1敗

松平健太(フリッケンハオゼン)
9月6日 1-3 オクセンハオゼン
 松平 -8、-11、-5 クリサン○
 松平 -6、10、10、-6、-8 荘智淵○
通算:単1勝2敗、複1勝

松平賢二(男子2部南部・グレンツァオII)
9月5日 9-6 ヒルポルトシュテイン
○松平/ミチェリ 9、8、6 フロリッツ/ポトピンカ
○松平 3、-5、-11、6、4 フロリッツ
○松平 4、7、7 フレミング
通算:単2勝、複1勝

 8月29日、ドイツ・ブンデスリーガ09/10シーズンが開幕した。29日にはデュッセルドルフに移籍した岸川が登場。ザールブリュッケン戦の3番手で起用された岸川は、トキッチ(スロベニア)に敗れて移籍後初勝利は持ち越しとなった。チームは3-1で勝利している。

 30日には高木和卓と松平健太も登場。昨シーズン岸川が在籍していたブレーメンに移籍した高木和は、プリューダーハオゼン戦の2番でカラカセビッチ(セルビア)をゲームオールで下して、チームの勝利に貢献。
 松平は昨年と同様にフリッケンハオゼン-ヴュルツブルグでプレー。初戦の相手はハナオ。3番でフランジスカ(ドイツ)を下し、ラストでは譚瑞午(クロアチア)と組んだダブルスで、ロスコフ/フランジスカ組(ドイツ)に勝利し、いきなり2勝を挙げた。

岸川聖也(デュッセルドルフ)
8月29日 vs.ザールブリュッケン
 岸川 7、-10、-3、-7 トキッチ○
通算:単1敗

高木和卓(ブレーメン)
8月30日 vs.プリューダーハオゼン
○高木和 -6、9、-5、9、9 カラカセビッチ
通算:単1勝

松平健太(フリッケンハオゼン)
8月30日 vs.ハナウ
○松平 8、6、8 フランジスカ
○譚瑞午/松平 9、7、-4、10 ロスコフ/フランジスカ
通算:単1勝、複1勝

 標高5,600m。それは氷点下20℃という酷寒と、時に猛烈な強風が吹き荒れる極限の世界。そんな世界に自ら乗り込んでいくばかりか、なんと卓球台を持ち込み、卓球に興じてしまったスゴい人たちがいる。

 7月31日、ウクライナ卓球協会のセルゲイ・コルキン副会長率いる14名(男性10名・女性4名)の登山チームが、ヨーロッパの最高峰であるエルブルス山(標高5,642m・ロシア)への登頂に成功。その山頂で卓球の試合を行うという快挙を成し遂げた。
 「Table Tennis on Elbrus(エルブルス山で卓球を)」と銘打たれたこのチャレンジは、ETTU(ヨーロッパ卓球連合)の後援を受け、さらにドイツの卓球メーカーであるティバーが特別な卓球台を制作。非常に軽量な素材で作られ、70×40×36cmの16のユニットに分割し、持ち運べるというものだ。標高5,600mの山頂でも、彼らはあくまで正規の規格の卓球台にこだわり、「人類史上、最も標高の高い地点で行われた卓球のゲーム」として、ギネスブッグなどに申請される予定となっている。

 7月20日に現地入りしたメンバーは高山病による脱落者も出たものの、予定より1日遅い7月31日午前2時、山頂に向けてスタート。15分ごとに変わる天候と戦いながら見事に登頂。風の弱い地点を選んで卓球台がセッティングされ、「人類史上、最も標高の高い地点で行われた卓球のゲーム」の第1試合は、セルゲイ・コルキン氏がビクター・カヌニコフ氏を3-1で破り、栄誉ある勝利を手にした。

 「なんと物好きな…」という方もいるだろうが、卓球人ならなんとなく血が騒いでくるようなこのチャレンジ。果たして日本でも、これに匹敵するようなチャレンジは可能だろうか…?

Photo:エルブルス山頂でのプレーの様子(写真提供:ETTU)。地上の半分ほどの気圧しかない山頂、空気抵抗が少なくなり、ボールは非常によく飛ぶはずだ。プレーそのものは、かなりローリスクになると推察されます
 9月13~20日、ドイツ・シュツットガルトにて行われるヨーロッパ選手権の団体戦のドロー抽選会が行われた。

 今回は男子45チーム、女子37チームがエントリー。男女チャンピオンシップディビジョンのドローは以下の通り。男子2連覇中で今年も大本命のドイツは、デンマーク、フランス、スペインと同組となった。オーストリア、ロシア、クロアチア、ポーランドが入ったグループDが混戦模様か。
 女子のディフェンディングチャンピオンのオランダはドイツと同じ組。ドイツにはシャール、呉佳多がおり、予選から熱い戦いになりそうだ。

●男子チャンピオンシップディビジョン
グループA:ドイツ、デンマーク、フランス、スペイン
グループB:ベラルーシ、ルーマニア、セルビア、スロベニア
グループC:ベルギー、スウェーデン、ハンガリー、チェコ
グループD:オーストリア、ロシア、クロアチア、ポーランド

●女子チャンピオンシップディビジョン
グループA:オランダ、イタリア、ドイツ、トルコ
グループB:ハンガリー、チェコ、ポーランド、リトアニア
グループC:クロアチア、オーストリア、ベラルーシ、ウクライナ
グループD:ルーマニア、スペイン、フランス、ロシア
 7月10~19日、実に10日間にわたってヨーロッパユース選手権(チェコ・プラハ)が行われた。

 男子ジュニアシングルスはロビノ(フランス)が優勝。今年からワールドジュニアサーキットに参戦し始め、チュニジアオープンで準優勝している。
 女子ジュニアシングルスはペソツカ(ウクライナ)が2連覇。06年はカデットで3冠、昨年はジュニアで3冠を達成するなど毎年上位をにぎわせており、今回の優勝で8個目のヨーロッパユース選手権のタイトル獲得となった。

 シニアではドイツが強いヨーロッパだが、今大会で6個のタイトルを獲得したフランスの健闘が光った。しかし、ドイツ、ハンガリー、スウェーデン、ルーマニアなどもタイトルを獲得しており、ヨーロッパのジュニア以下世代は混戦模様。今後どの国が抜け出してくるか注目だ。

各種目の優勝記録は以下の通り

【ジュニア種目】
●男子団体:フランス
●女子団体:ルーマニア
●男子シングルス:ロビノ(フランス)
●女子シングルス:ペソツカ(ウクライナ)
●男子ダブルス:K.カールソン/オベシュロ(スウェーデン)
●女子ダブルス:イリチ/セベ(ルーマニア)
●混合ダブルス:コシバ/マダラス(ハンガリー)
●男子コンソレーション:フィゲル(スロバキア)
●女子コンソレーション:ダウブネロバ(スロバキア)

【カデット種目】
●男子団体:フランス
●女子団体:ドイツ
●男子シングルス:ゴージー(フランス)
●女子シングルス:P.ゾルヤ(ドイツ)
●男子ダブルス:ゴージー/アングレス(フランス)
●女子ダブルス:ノスコワ/スゾクス(ロシア/ルーマニア)
●混合ダブルス:ブロシーア/ノスコワ(フランス/ロシア)
●男子コンソレーション:グレイ(イングランド)
●女子コンソレーション:シュー(ドイツ)

 7月10~19日まで、チェコの首都プラハでヨーロッパユース選手権が開催されている。ジュニア男女/カデット男女の団体戦が終了したので、その結果をお伝えしよう。

〈ジュニア男子団体〉●準々決勝
フランス   3-0  ロシア
ポルトガル  3-1  イタリア
ドイツ    3-2  チェコ
スウェーデン 3-2  ハンガリー
●準決勝
フランス   3-1  ポルトガル
スウェーデン 3-1  ドイツ
●決勝
 フランス 3-1 スウェーデン
○ルブルトン -9、11、9、6 K.カールソン
 ロレンツ -6、-8、9、-9 オベシュロ○
○ルグエン 10、9、8 アンデルソン
○ロレンツ 10、6、-10、7 K.カールソン

〈ジュニア女子団体〉●準々決勝
ルーマニア  3-2  フランス
ポーランド  3-1  ベラルーシ
ハンガリー  3-1  スロバキア
ドイツ    3-1  ルクセンブルク
●準決勝
ルーマニア  3-0  ポーランド
ハンガリー  3-1  ドイツ
●決勝
 ルーマニア 3-2  ハンガリー
 ポストアカ -8、-8、5、-5 マダラス○
○イリチ 5、-18、5、8 アンブルス
 セベ -9、-5、4、5、-5 E.トート○
○イリチ 6、14、4 マダラス
○ポストアカ -5、9、8、10 アンブルス

 ジュニア男子団体は、近年有望な若手の多いフランスが決勝でスウェーデンを下して優勝。ルブルトンとロレンツがスウェーデンのエース、K.カールソンを破った。フランスと並んで有力な優勝候補と見られたドイツは、準決勝でK.カールソン(スウェーデン)に2点獲りを許し、競り負けている。また、女子では前評判の高かったルーマニアが優勝。決勝ラストではフォア攻撃+バックカットのポストアカ(08年世界ジュニアベスト16)がアンブルスを破り、チームを優勝へと導いた。

〈カデット男子団体〉●準決勝
フランス   3-1  チェコ
スウェーデン 3-0  ルーマニア
●決勝
フランス   3-0  スウェーデン

〈カデット女子団体〉●準決勝
ドイツ    3-2  ポルトガル
セルビア   3-2  ルーマニア
●決勝
ドイツ    3-0  セルビア

 カデット男子団体はフランスが制し、ジュニア男子団体との2冠。欧州カデットランキング1位のゴージーが単複全勝の活躍でチームを優勝へと導いた。カデット女子団体はドイツが優勝。エースのP.ゾルヤは昨年の世界ジュニア2位のA.ゾルヤの妹。右シェーク異質攻守の変化卓球が持ち味の姉に対し、P.ゾルヤは左シェークドライブ型。カデット女子シングルスの優勝候補筆頭だ。

Photo左:ジュニア男子団体決勝のトップで先制点を挙げたルブルトン
Photo中:ジュニア女子団体決勝ラストで勝利、ルーマニアに栄冠をもたらしたポストアカ
Photo右:アメリーとペトリッサのゾルヤ姉妹。妹のペトリッサ・ゾルヤ