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欧州リポート

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 自動車事故のために重傷を負い、選手生命が危ぶまれている女子クロアチア代表のパオビッチ。高額な治療費が必要となるため、ETTU(ヨーロッパ卓球連合)では特別に銀行口座を開設し、パオビッチへの寄付金を募っていたが、3月1日現在で30723.86ユーロ(約380万円 ※1ユーロ=125円換算)集まったことがわかった。

 ITTFプロツアーやヨーロッパネイションズリーグなどの大会でも募金活動を行っており、多くの金額が若き卓球プレーヤーの未来のために集められているが、パオビッチ自身の容体はまだまだ厳しい状況のようだ。

 募金は今でも受付中。日本からの送金も可能だ。

Account Name: ETTU - Sandra Paovic Solidarity Fund
Bank: BCEE  - Banque et Caisse d’Épargne de l’État
Bank BIC (SWIFT) code: B C E E  L U  L L
Account IBAN code: LU 81 0019 2955 7649 1000
 先週末、ヨーロッパ各国で国内選手権が行われた。その中からピックアップしていくつか紹介しよう。

 まずはドイツ。男子優勝はやはりボル。決勝でダブルスパートナーのズースを下し、9回目の優勝を自身の誕生日に決めた。女子優勝はシャール。過去に4回決勝に進出していたが、4回とも敗れており、悲願の優勝となった。

 メイスが欠場した、デンマーク男子シングルスを制したのは、04年アテネ五輪でメイスと組んで銅メダルを獲得したツグウェル。ダブルスでもベンツェンとのペアで優勝した。

 イングランドでは男子のドリンコールが圧倒的な力を見せ、一般・U-21・ダブルス・混合ダブルスの4冠王となった。昨年の世界ジュニア準優勝のドリンコールは、2012年に自国で開催されるロンドン五輪でのメダル獲得を目標にすえているが、すでに国内では敵なし。より良い練習環境を求めて、ドイツ・ブンデスリーガへの挑戦や中国合宿などを行い、ここ数年で急激に力をつけてきている。

 ポーランドでは男子で新チャンピオンが誕生。国際的にはまだまだ無名のダニエル・アーチャーだ。昨年まで7年連続で決勝に進出していた大本命のブラシュチックを下したダニエルは、決勝では帰化選手のワン・ツォンイーを0-2からの逆転勝利を収め、国内初タイトルをゲット。女子はリー・チェンが1ゲームも落とさずに優勝した。また、女子ダブルスではシュー・ジエ/パルティカ組が初優勝を飾った。

 ベルギーでは、男子のJ.セイブが優勝。1985年から積み重ねたシングルス優勝回数は実に21回にも達する。この他に、ダブルスで6回、混合ダブルスで7回、団体(シャルロワ)で18回の優勝を誇る。

 セルビアは、男子シングルスでイェフトビッチが優勝。シングルス準優勝のペテとのダブルスでも優勝し、2冠に輝いた。カラカセビッチは不出場だった。

 ロシアは、男子のスミルノフが貫禄の優勝。クズミンと組んだダブルスでも優勝し、2冠を達成した。女子はコチヒナが初優勝。

 以上、主だったトピックスを列挙したが、デンマークのメイス、セルビアのカラカセビッチの欠場が気になった方もいるだろう。上記の他に、クロアチアでは男子のプリモラッツ・譚瑞午、女子のボロスが欠場するなど、ヨーロッパでは国内選手権にトップ選手が出場しないことが多いのだ。
 2月28日と3月1日、梅村礼(ホルスターハオゼン/文化シヤッター)がドイツ・ブンデスリーガ女子1部の試合に出場した。2月28日はザールルイ・フラウラウテルンと対戦。梅村は3番でP.ゾルヤを3-2で、5番ダブルスではマツケ(ドイツ)とのペアでゾルヤ姉妹を3-0で下し、ダブルスでは今季初勝利を記録。チームも3-2で勝利した。

 翌3月1日にはビューゼンバッハとの試合。梅村は3番でシャール(ドイツ)と対戦したが、1ゲームを奪うにとどまり、チームも1-3で敗れた。

梅村礼(ホルスターハオゼン)
2月28日 vs.ザールルイ・フラウラウテルン
○梅村 12、10、-14、-7、7 P.ゾルヤ
○梅村/マツケ 6、12、9 A.ゾルヤ/P.ゾルヤ

3月1日 vs.ビューゼンバッハ
 梅村 -7、5、-6、-11 シャール○
通算:単11勝5敗、複1勝2敗
 2月27日と3月1日にECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)男子準々決勝第1戦が行われた。

 昨シーズン王者のニーダーオーストリア(オーストリア)は、昨年優勝に大きく貢献した柳承敏(韓国)がいるエヌボン(フランス)と対戦し、1-3で敗戦。エースのシュラガー(オーストリア)がクレアンガ(ギリシャ)、柳承敏に2失点。陳衛星の1点のみにとどまり、連覇に向けて赤信号が灯った。
 優勝候補と名高いデュッセルドルフ(ドイツ)はカジャグラナダ(スペイン)と対戦。トップでオフチャロフ(ドイツ)がサムソノフ(ベラルーシ)をシャットアウトして勢いに乗ると、ボル(ドイツ)、ズース(ドイツ)も続いて3-0で勝利した。

 松平健太が所属しているフリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ(ドイツ)は昨年まで7年連続決勝に進出している強豪のシャルロワ(ベルギー)と対戦し、1-3で敗戦。松平は2点起用されたが、1番でJ.セイブ(ベルギー)、4番で王健軍(中国)に敗れて期待に応えることが出来なかった。
 オクセンハオゼン(ドイツ)vs.ボゴリア(ポーランド)はオクセンハオゼンが3-1で勝利。初参戦ながら、グループDで台風の目となり1位通過を果たしたボゴリア。巻き返しはなるか。

 準々決勝第2戦は3月27~30日の間に行われる予定だ。

●ECL男子準々決勝 ※左側のチームがホーム
2月27日
エヌボン 3-1 ニーダーオーストリア
カジャグラナダ 0-3 デュッセルドルフ

3月1日
フリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ 1-3 シャルロワ
オクセンハオゼン 3-1 ボゴリア
 ヨーロッパの国別対抗団体戦「ヨーロッパネイションズリーグ(以下、ENL)」がついに開幕。2月24日にヨーロッパ各地で一斉に予選リーグが行われた。ENLはヨーロッパ卓球連合(ETTU)主催のヨーロッパ卓球全体のレベルアップのための団体戦で、4年がかりで行われる壮大な試合だ。参加国をプレミアディビジョン、チャレンジディビジョン、スタンダードディビジョンを3つに分け、各ディビジョン内でホーム&アウェー方式で試合が行われる。試合方式は3人による1複4単で、ダブルスはラストの5番。北京五輪団体戦と同様に、シングルスで2回出場した選手はダブルスには出場できない。

 男子プレミアディビジョン優勝候補のドイツは、サムソノフ率いるベラルーシと対戦。ドイツはヒールシャー、バウム、フェイヤー-コナートと“2軍”で、サムソノフに2点奪われたが、残りはきっちりと得点し3-2で勝利した。層の厚さを見せつけた。
 チャレンジディビジョンでは若手主体で挑んだフランスが、カラカセビッチから2得点を挙げて3-1で勝利した。

 混戦が予想される女子。昨年のヨーロッパ選手権を制したオランダはスペインをストレートで下した。リー・ジャオ、リー・ジエの“リーコンビ”が強力だ。呉佳多、バーテル、ジルベライゼンと戦力がまとまっているドイツはオーストリアに3-0で勝利した。

予選リーグ第1戦の結果 ※左側のチームがホーム
●男子
〈プレミアディビジョン〉

グループA:ベラルーシ 2-3 ドイツ、ロシア 1-3 スウェーデン
グループB:オーストリア 3-2 デンマーク、ルーマニア 2-3 チェコ

〈チャレンジディビジョン〉
グループA:ポーランド 3-0 イタリア、ベルギー 0-3 スペイン
グループB:セルビア 1-3 フランス、ハンガリー 1-3 クロアチア

〈スタンダードディビジョン〉
グループA:スロベニア 3-1 ラトビア、スイス 2-3 ルクセンブルク
グループB:ポルトガル 1-3 イスラエル、イングランド 1-3 トルコ

●女子
〈プレミアディビジョン〉

グループA:イタリア 3-2 ハンガリー、クロアチア 3-2 ルーマニア
グループB:ドイツ 3-0 オーストリア、スペイン 0-3 オランダ

〈チャレンジディビジョン〉
グループA:スウェーデン 3-0 ロシア、チェコ 3-1 セルビア
グループB:フランス 1-3 ポーランド、イングランド 0-3 ベラルーシ

〈スタンダードディビジョン〉
グループA:イスラエル 1-3 ポルトガル、リトアニア 3-1 ギリシャ
グループB:ベルギー 3-0 スイス、トルコ 3-0 スロベニア
 2月22日、ドイツ・ブンデスリーガ女子1部の試合に梅村礼(ホルスターハオゼン/文化シヤッター)が古巣のラングバイト戦に登場。ここまで、シングルスで10勝2敗と大きく勝ち越していた梅村だったが、この日は2試合ともゲームオールでの敗戦。チームも1-3で敗れ、ラングバイトに今シーズン初白星を献上してしまった。これでホルスターハオゼンは4連敗で7位に後退した。

梅村礼(ホルスターハオゼン)
vs.ラングバイト
 梅村 -8、11、10、-13、-8 シュナイダー
 梅村 9、-6、9、-8、-7 リュウ・ユアン
通算:単10勝4敗、複2敗
 世界ランキング上位のヨーロッパ男子選手8人によって争われる、優勝賞金50,000USドルというヨーロッパ最高賞金大会として定着してきた『ヨーロッパスーパーカップ』。第1回はカザン、第2回はモスクワで開催されたが、09年の開催地が、ロシアのサマラ州の州都サマラに決定した。サマラといっても、もちろんルーマニアの女子選手ではない。サマラはロシア西部に位置し、人口約113万人の大都市。自動車工業が盛んだ。アジア、ヨーロッパ、アフリカをつなぐ国際空港もあり、アクセスも便利。

 ヨーロッパ卓球連合会長のボッシは「サマラは、多くの卓球プレーヤーがいるロシアの都市のひとつ。大会が成功する条件が揃ったいい場所だ」と、成功を確信している様子。

 大会は今年の12月1~2日に行われる。過去2回はボル(ドイツ)が優勝しているが、今回は果たして。
 2月15日、ドイツ・ブンデスリーガに挑戦している松平健太(フリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ/青森山田高)がブレーメン戦に登場。3番でチオティ(ルーマニア)を下したが、チームは1-3で敗れた。そして1週間後の22日はデュッセルドルフと対戦。松平は2番でオフチャロフをゲームオール9本で下した。しかし5番ではボル(ドイツ)に完敗し、チームも1-3で敗戦。フリッケンハオゼン・ヴュルツブルグはこの2連敗で3位に落ちてしまった。

松平健太(フリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ)
2月15日 vs.ブレーメン
○松平 -6、7、-8、4、5 チオティ

2月22日 vs.デュッセルドルフ
○松平 -8、-9、8、9、9 オフチャロフ
 松平 -3、-11、-4 ボル○

通算:9勝3敗、複1勝1敗

 ユーリッヒの高木和卓は、22日のフルダ-マーバーツェル戦に登場。1番でR.スベンソン(スウェーデン)に快勝、2番ではロスコフ(ドイツ)も続いて勝利したが、3番でドリンコール(イングランド)がワルドナー(スウェーデン)が敗れると、4番で再び登場した高木和が王熹(中国)に敗れて、2-2のタイに。この嫌な流れを断ち切れなかったユーリッヒはラストのダブルスも落としてまさかの逆転負け。今期7敗目を喫し、2部降格の危機を迎えている。

高木和卓(ユーリッヒ)
2月22日 vs.フルダ-マーバーツェル
○高木和 5、9、5 R.スベンソン
 高木和 5、-9、5、-8、-9 王熹○

通算:単8勝8敗、複1勝1敗

 ETTU(ヨーロッパ卓球連合)は、先日の交通事故で選手生命が危ぶまれているパオビッチ(クロアチア)のために銀行口座を開設。手術費などにかかる高額な治療費の募金をつのっている。

 北京五輪代表のパオビッチは1月30日、ETTUカップの試合のために空港へと向かう途中に自動車事故に遭い、頸部脊髄損傷という重傷を負った。2回の手術を行ったが、1回目の手術が終わった時点では両足が動かせない状態。これからの女子クロアチア卓球界を引っ張っていくと見られていた実力者だったが、早期の現役復帰はかなり難しそうだ。また、治療費も高額になることが予想されるため、ETTUはパオビッチに5,000ユーロの寄付。さらに、一般にも広く寄付を募るために、口座の開設に踏み切った。
  パオビッチ募金口座は以下の通り。もちろん、日本からの募金も可能だ。

Account Name: ETTU - Sandra Paovic Solidarity Fund
Bank: BCEE  - Banque et Caisse d’Épargne de l’État
Bank BIC (SWIFT) code: B C E E  L U  L L
Account IBAN code: LU 81 0019 2955 7649 1000
 1月30日、ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)女子準決勝が行われた。昨シーズン、決勝に進出しヘーレンと対戦したクロッパッハ(ドイツ)。第1戦に勝利しながらも公式審判員不在での試合だったため、無効試合とされてその再試合に敗れたクロッパッハが第2戦を棄権するという前代未聞の事件が起きた。そして今シーズン、再出発となったクロッパッハがグループリーグで思わぬ苦戦。3チームの勝ち点が並ぶ中、辛くも2位で準決勝に進出していた。そして迎えた、準決勝の相手は因縁のヘーレン(オランダ)だった。1番王越古(シンガポール)がリー・ジャオ(オランダ)をゲームオールで下すと、2番ではトート(ハンガリー)が林菱(香港)を下す金星。1、2番のゲームオールでの接戦をものにしたクロッパッハが3-0でヘーレンに勝利。昨年の雪辱に向けての大きなストレート勝ちを収めた。

●ECL女子準決勝
 クロッパッハ 3-0 ヘーレン
○王越古 4、-8、9、-11、8 リー・ジャオ
○トート 3、8、-7、-9、8 林菱
○呉佳多 16、9、7 倪夏蓮

 準決勝もう1試合はグループA1位通過のフロシュベルグ(オーストリア)vs.グループB2位のベルリン(ドイツ)。聞き慣れないフロシュベルグだが、主力メンバーはリュウ・ジャ、リ・チャンビンのオーストリア勢に、クロッパッハから移籍してきた朱虹(中国)とかなり強力。チェコのバチェノフスカも控えている。そのフロシュベルグがベルリンをゲームオールで下した。

●ECL女子準決勝
フロシュシベルグ 3-2 ベルリン
 リュウ・ジャ -10、-9、-9 桑亜嬋○
○朱虹 -6、7、9、10 ハイン-ホフマン
 リ・チャンビン -5、-7、15、-8 ポータ
○朱虹 -6、-9、6、3、-5 桑亜嬋
○リュウ・ジャ 10、7、-9、6 ハイン-ホフマン