●女子シングルス1回戦
山本真理（オークワ）4、8、5岩越帆香（希望が丘高）

　今大会、女子最年長選手の山本が、希望が丘高の岩越に快勝し、女子シングルス2回戦へ駒を進めた。

　今や貴重なペン表ソフト速攻型の山本。動きのキレは全く衰えを感じさせず、鍛え上げられたその脚力で動き回り、ドライブとスマッシュのしつこい連打で得点を重ねる。打たれても、豊富な練習量に裏打ちされた体の反応でブロック。ナックル系表ソフトから放たれる独特のクセ球が、強豪高校の若手を大いに苦しませた。

　最年長とはいえ、円熟のプレーではなく、若手顔負けの動きを見せる山本には脱帽だ。「オークワの顔」は、本日午後の2回戦で市川梓（日立化成）と対戦する。

●ジュニア男子4回戦
張本智和（仙台ジュニアクラブ）5、5、7橋本啓（富田高）

　注目の張本はジュニア男子4回戦もストレートで勝利し、ベスト16入りを決めた。富田高の橋本に対しサービス、レシーブで優位に立ち、打球点の早い両ハンド攻撃で常に主導権を握り続けた。橋本も前・中陣での斬り合うようなドライブ速攻のラリー戦で、随所で素晴らしいボールを見せた。しかし張本は打たれてもそのコースを待っていたかのように正確なブロックとカウンターで盛り返す。ジュニアの上位クラスにおいても、その強さは別格だ。危なげない完勝となった。

　今日はこのあと、ジュニアは2試合行われ、ベスト4まで決まる。張本は、この勢いのまま表彰台を確定させるか。続く5回戦では、鶴岡東高の強豪・葉波との対戦となる。

　卓球王国2015年12月号で取材させていただいた関西学院大学。今、西日本学生界で最も勢いがあると言っても過言ではないこのチームだが、全日本でも活躍を見せている。

　男子ダブルスでは岩本／小坂ペアが松岡／北村（信号器材）にフルゲームで勝利して3回戦進出、女子ダブルスでも池田／向山ペアが2回戦で丹羽／佐藤（淑徳大）にフルゲームで勝利を挙げて3回戦進出を決めた。さらに勢いは止まらず、混合ダブルスでは、小坂／新谷ペアが1、2回戦をフルゲームで勝利した勢いそのまま、3回戦で昨年ベスト8のカットペア、英田／根本（信号器材／十六銀行）に勝利し、明日の4回戦に挑む。
　明日からの男女シングルスには計4名が出場するが、今日のダブルスの勢いそのままに関学旋風を巻き起こせるか!?

　吉田海偉（Global Athlete Project）の棄権が発表されたが、その吉田の青森山田の同級生・三田村宗明（リトルキングス）が全日本に帰ってきた。昨年度大会は予選で敗れ、全日本出場を逃していたが、今大会は男子シングルス、男子ダブルスの2種目に出場を決め、2年ぶりに全日本の舞台に立った。
　
　本日、男子ダブルスに登場した三田村は青森山田の後輩である張良（リトルキングス）とのペアで、2回戦では井上／柴田（(株)フジ）に2ゲームを奪われ、4ゲーム目にもマッチポイントを奪われながらも逆転で勝利し、3回戦進出を決めた。一発で抜けるようなフォアドライブこそ減ったものの、緩急をつけたドライブに、フェイクモーションを入れた台上、コース取りなどでじわじわと相手を追い詰めていった。もちろんドライブのラリー戦になれば、フットワークを生かし、フォアでどんどん攻め込んでいくプレーも健在だ。試合中には明るい表情や仕草を見せることもあるが、相手を見つめる目つきはまだまだ鋭い。

　明日は男子シングルス1回戦にも出場する三田村。男子シングルス出場者では最年長の太嶋（信号器材）に次ぐ年長出場者。若い選手の活躍が目立つが、ベテランの意地を見せてほしい。

女子ダブルス2回戦で、姉妹ペアを発見。東筑紫短期大の小野詩織＆瑞歩ペアだ。

2年生の姉・詩織は、シェーク表表の速攻型で、誠修高出身。
1年生の妹・瑞歩は、シェーク裏表で、日南学園高出身。

妹が姉と同じ大学に進んだことで久々にペアを組むようになり、見事全日本選手権の切符を手にした。
1回戦は苦しみながらも勝利したが、2回戦は実業団の実力者ペア、原・松村（アスモ）にストレート負け。しかし、最後まで息の合ったプレーを見せ、敗戦後も充実の表情を見せた。

姉妹でダブルスを組むのはやりやすい？という質問には
「気を遣わないから、やりやすいですね」と姉。
「……やりやすいです（笑）」と、姉の表情をうかがう妹。

姉妹仲良く、これからも頑張ってください！

注目のミウミマこと、平野美宇・伊藤美誠は、女子ダブルス2回戦でまさかの敗戦。記者会見で悔しさをにじませた。

「緊張はありませんでした。ただ今は日本の選手と練習することが少なくて、日本選手のボールに最後まで合わなかった。海外選手のボールは伸びてくるけど、日本の選手はボールが飛んでこない」（伊藤）。
「1ゲーム目の逆転が響きました。相手はラリーで粘ってくるタイプでやりにくかった。日本でもちゃんと勝てるペアになっていかないといけない」（平野）とコメント。

全日本に向けてのダブルスの練習は、昨日と今日の2日しかできず、「練習でもぶつかったりして、動きが合わなかった」といい、いつものコンビネーションの良さは影をひそめてしまった。

「ダブルスは負けてしまったけど、気持ちを切り替えて、ジュニアで優勝、一般でもメダルを獲れるように頑張りたい」（平野）。
「一般シングルスは明後日からなので、明日はしっかりと練習をして、1試合1試合頑張りたい」（伊藤）と最後は笑顔も見せ、明日への抱負を語った二人。
全日本の洗礼を浴びた中学生ペアだが、明日からの巻き返しに期待したい。

ジュニア3回戦を突破した張本は、続いて男子ダブルス2回戦に登場。パートナーの浅利（蒲町中）とともに果敢なプレーを見せたが、大学生ペアに敗れ勝利ならず。

2日目の全試合が終わった張本は、ダブルスの敗戦後に記者会見が開かれた。

「ジュニアは、緊張したし厳しい試合だったけど勝てて良かった。苦しかった2ゲーム目をとれたのが良かった。去年まではリードされると焦って崩れることが多かったが、今日は焦らずに戦うことができた。この1年でいろいろ経験して、気持ちも成長できたと思う。ダブルスは負けてしまいましたが、ジュニアは優勝を目指して頑張りたい。一般シングルスは、まずは丹羽選手のところまで行きたい」とコメント。

昨年から身長も10cmほど伸び、今は163cm、52kgと体格もたくましくなってきた。心も体も成長を遂げた怪物は、明日からも大暴れするだろう。

「リアル全日本ムービー」ページに、動画2本を公開しました。

●ジュニア男子3回戦：張本智和（仙台ジュニアクラブ・宮城）vs松田真哉（長田高・兵庫）の第1ゲーム

●ジュニア女子3回戦：3試合ダイジェスト
早田ひな（石田卓球クラブ・福岡）vs萱嶋沙希（明誠エリートU15プログラム・島根）
浜本由惟（JOCエリートアカデミー/大原学園・東京）vs忠津吏湖（城南高・徳島）
平野美宇（JOCエリートアカデミー・東京）vs大

　女子ダブルス2回戦で波乱。注目の平野美宇／伊藤美誠（JOCエリートアカデミー／スターツSC）がダブルス初戦となる2回戦で龍谷大の桒村／粟屋ペアに敗れた。

　多くの報道陣が囲むなか、試合に臨んだ平野／伊藤。1ゲーム目を逆転で落とすも、2ゲーム目は連続攻撃が面白いように決まり、ゲームカウントを1ー1とする。3ゲーム目も終盤までリードを奪ったが、龍谷大ペアもラリーにミスがなく、粘りを見せて3ゲーム目を逆転で奪い、王手をかける。後がなくなった4ゲーム目は序盤で龍谷大ペアが3-0とリードを奪ったところで平野／伊藤がたまらずタイムアウトをとるも、流れを引き戻せず、龍谷大ペアが金星を上げた。

　勝利した桒村／粟屋ペアは試合後に「とりあえずうれしい。中学生だけど、相手は世界で勝っている選手。とにかくミスをしないように、ということだけ気をつけた」とコメント。龍谷大ペアのベンチに入った、元世界選手権ダブルスチャンピオンの王会元コーチは「相手の連続攻撃の質に、とにかくついていこう、あとは台上のボールを丁寧に、先に攻めさせないようにしようとアドバイスした」と試合後に語ったが、その戦術がピッタリとはまった形だ。龍谷大の桒村は2011年度の全日本シングルスで当時小学生の伊藤にストレートで敗れているが、4年越しのリベンジを果たした。

　

男女ジュニアも3回戦に入り、シード選手が登場している。
男子は注目の張本（仙台ジュニアクラブ）が高校生を相手に出足から快調に飛ばす。2ゲーム目は相手のチキータに手を焼いたが、そこはこちらも負けじとチキータで取り返す。
常に声を出し、気迫前回での初戦突破となった。

女子は12月の世界選手権選考会で優勝した浜本（JOCエリートアカデミー／大原学園）や今年こそはとジュニア優勝を狙う平野（JOCエリートアカデミー）は、キッチリ勝利し、明日の4回戦に臨む。

シード選手であっても松山（愛工大名電高）が渡井（静岡学園高）に、沼村（野田学園高）が石山（開志国際高）にフルゲームに迫られるなど、一瞬の油断もできない実力伯仲の試合ばかり。

その中で三條（四天王寺高）が岩越（希望が丘高）に敗れる波乱があった。
ジュニアといえども今や世界が注目するレベルの高さだ。
ジュニアを制す、それは世界に飛び出すための切符だ！