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平成25年度全日本選手権大会速報

 下写真左は12年全日本カデット13歳以下の竹崎千明(野田学園中)。貴重なカット主戦型のホープ、守備技術の高さを見せたが、残念ながら初戦でゲームオールで敗退。勝負所で攻撃のミスが目立ち、粒高でのバックハンドにもミスが出ていた。
 もう少し早い段階から攻撃を混ぜ、試合のペースを握っていきたい。カットもすくい上げるタイプのカットで、打球点が落ちるのは少々気になるところ。

 下写真右はJOCエリートアカデミー/帝京の森田彩音。長い手足から繰り出す両ハンドドライブには回転量と威力があるが、産みの苦しみか、ややプレーに精細を欠いている印象もある。小学6年生で一般4回戦に勝ち進んだ頃のように、自分の長所を活かして、思い切りの良いプレーを見せてほしい。
 昨年の全日本カデット男子13歳以下を小学6年生で制した、将来が期待されるサウスポー・宇田幸矢(Meiji c.s.c/東京)。今大会は一般男子シングルスにも最年少で出場するが、大会初日はまず男子ジュニアに登場。対戦相手のカットを切れ味鋭いフォアドライブ、威力あるバックドライブで打ち抜き、ストレート勝ち。小学生とはいえ、貫禄を感じさせる勝利だった。

 水谷、丹羽、森薗とサウスポーのツワモノが次々に現れる日本男子だが、宇田はその一翼を担う可能性がある。小柄だが、フルスイングしても体の軸がブレないあたり、小学生ながら体幹の強さもありそうだ。技術的には、バックドライブの威力が目を引いた。3球目から一発で決まる破壊力だ。
  • 初戦から臆せず、グイグイ攻めた宇田

  • 取材攻勢には、まだ慣れない様子。初々しいです

 開会式後、男子の水谷、岸川、松平健、丹羽、女子の福原の5人が記者会見に臨んだ。各選手のコメントは以下のとおり。

「昨年から海外の試合が多くて、大会が続く中で自然にこの大会を迎えられた感じ。今までにないほどリラックスしています」(水谷)

「選考会で優勝できて、年末年始もあまり休まず練習をやりこんできた。自分は金曜日から出場するので、しっかり調整したい。代表権は獲得しているのでプレッシャーはないけど、全日本は何が起こるかわからないので、目の前の試合を一つひとつしっかりやるだけ」(岸川)

「コンディションはかなり良いです。後は試合を迎えるだけ。去年は成績は良かったけど、競った時に取りこぼす場面が多かったので、その1本、2本を大事にして試合をしていきたい」(松平健)

「自分も去年はすごい試合が多くて、グランドファイナルにも出たばかり。練習をやり込んだというよりは試合感覚が良くなっている感じ。去年一年を通して自分のプレーが安定してきた実感がある。気持ちとしては挑戦者として、まずは最終日に残れるように頑張りたい。」(丹羽)

「全日本は私にとって特別な大会で、毎年そこまで調子が良いということはない。一戦一戦で調子を上げていけたら良いと思います。
 2014年は一年を通してずっと攻める姿勢を忘れないようにしたい。去年は世界選手権でも、気持ちの部分などですごく守りに入っていた気がする。全日本はオリンピックよりも緊張する大会。自分が一番緊張する大会が年の初めにあるので、そこでしっかり結果を残していきたい」(福原)
 2年ぶりに全日本が戻ってきた東京体育館で、午前10時半から行われた開会式。昨年から入場行進などは行われず、男女スーパーシードの選手たちが出席して行われている。

 日本卓球協会の前原正浩・専務理事による開会宣言、大林剛郎会長による開会の辞などに続き、男女シングルスのチャンピオン、丹羽孝希と福原愛から天皇杯と皇后杯が返還された。丹羽の表情はいつもどおり淡々としたもの。その後の選手宣誓も、ひと言もよどむことなく、キッチリこなした。…実は緊張しているのかな?

 福原の表情は明るい。「全日本は一番緊張する大会」と言いながら、大会2連覇の自信も垣間見える。果たして女子シングルス3連覇は成るのか。
  • 堂々たる丹羽の選手宣誓

  • 愛ちゃん、開会式前の笑顔

  • 選手宣誓後のひとコマ。やっぱり緊張していた?

 1月14〜19日に東京・東京体育館で行われる全日本選手権。ちなみにゴールデンウイークに開催される「JA全農世界卓球2014東京大会」は、代々木第一体育館で日本が入るチャンピオンシップディビジョン、東京体育館でセカンドディビジョン以下を開催。日本男女チームの試合は代々木第一体育館での開催なので、お間違いなきように!

 女子シングルスは2大会連続で、決勝は福原愛(ANA)と石川佳純(全農)の顔合わせ。今年もこのふたりが優勝争いをリードする。
 かつて全日本で、タイトル獲得へのプレッシャーに苦しみ続けた福原は、初優勝を境に別人のように自信にあふれたプレーを見せている。かつての課題だった対カットもかなり克服しており、バック表の異質スタイルでありながら、より死角ののないスタイルへと進化。大会前の中国合宿でも好調との情報もある。
 一方、石川には「対表ソフト」という、わずかなアキレス腱がある。昨年のジャパンオープン荻村杯で右ペン表ソフトのシャン・シャオナ(ドイツ)に敗れている。ベスト8決定で、かつて敗れたことのある左シェークバック表の阿部恵(サンリツ)に当たることになれば……、果たしてどうか。

 福原・石川のふたりを追うのは昨年3位の松澤茉里奈(淑徳大)と藤井寛子(日本生命)。松澤は昨年の準決勝で石川をあと一歩まで追い詰めた。両ハンド強打の威力は国内屈指、故障を抱えず、万全の体調で大会に臨めるか。
 過去準優勝3回の藤井は、この全日本で現役引退を表明している。日本女子チームの精神的支柱として、世界選手権8大会に出場。最後の全日本は、自分ひとりのためにすべてを出し切ってほしい。もし彼女の初優勝が成れば、それはあまりにもドラマチックだ。

 全日本5回優勝の実績を誇る平野早矢香(ミキハウス)は、近年はやや成績が低迷。前回は初戦となる4回戦でまさかの敗戦を喫し、昨年12月の世界代表選考会でも代表切符を獲得できなかった。まだまだ日本女子チームには欠かせない存在だけに、今大会でプラスアルファの何かを見せられるか。これに続くのは、世界代表選考会優勝の田代早紀(日本生命)、全日本学生2連覇の丹羽美里(淑徳大)、世界ランキング上昇中の森薗美咲(日立化成)、社会人の成長株・天野優(サンリツ)という顔ぶれだ。

 そして楽しみなのはJOCエリートアカデミーの浜本由惟、加藤美優、平野美宇、スターツSCの伊藤美誠といった「スーパー中学生」たちのプレー。加藤、平野、伊藤は世界ジュニア選手権で貴重な経験を積み、浜本もワールドツアー・グランドファイナルU-21で3位に入った。今年は一般でも上位を狙っていきたい。

★女子シングルスの組み合わせはこちら
http://www.jtta.or.jp/result/2013/alljapan/ippan/13ajWS.pdf
★各種目のスーパーシードの組み合わせはこちら
http://www.jtta.or.jp/result/2013/alljapan/ippan/13alljapanseed.pdf
  • 福原、三たび皇后杯をその胸に抱くか

  • 3大会連続決勝進出の石川、2回目の優勝を狙う

  • 全日本6回目の優勝に挑戦する平野

  • 強打者・松澤の面目躍如なるか

  • 代表選考会Vの田代、東京大会に弾みをつけたい

  • 攻守自在のプレーを見せる中学2年の加藤

 1月14日に開幕を迎える全日本選手権。昨年は東京体育館の改装に伴い、代々木第一体育館での開催となったが、今年はまた会場が東京体育館に戻る。

 まずは男子シングルスの見どころから。優勝候補の「四天王」と言えるのは、丹羽孝希(明治大)、水谷隼(DIOジャパン)、岸川聖也(ファースト)、松平健太(早稲田大)だ。
 王国編集部が見る優勝候補の一番手は水谷隼(DIOジャパン)。昨年はロンドン五輪後のブランクによって、決勝の最後に詰めの甘さが出てしまったが、今シーズンはロシア・プレミアリーグのUMMCでプレー。1月3〜5日に台湾で行われたオールスタートーナメントでも、決勝で荘智淵(チャイニーズタイペイ)に4−0で完勝した。苦手とする戦型や選手がいないのも大きい。
 「苦手がいない」ということで、水谷の対抗馬に挙げられるのが、昨年12月の世界代表選考会で優勝した岸川聖也(ファースト)。選考会ではカットの塩野と丹羽を連破し、自信を深めている。全日本では高校2年時の3位が最高成績だが、そろそろ決勝の舞台に立ちたい。

 昨年度優勝の丹羽は、ドイツ・ブンデスリーガのフリッケンハウゼンで開幕から15連勝。素晴らしい成績を残しているが、水谷・岸川・松平健に対しては分が良いとは言い難く、カットの塩野という天敵もいる。2連覇への道のりはなかなか険しいが、昨年の優勝がフロック(まぐれ)とは言わせたくない。
 世界戦パリ大会ベスト8の松平健は、初の決勝進出からはや5年。独創的な前陣攻守に少しずつパワーを加え、虎視眈々と頂点を狙う。すでにJA全農世界卓球への推薦出場を決めており、精神的なアドバンテージもあるはずだ。

 この4人を追う第二集団にも、魅力的な顔ぶれが揃う。社会人では松平賢二(協和発酵キリン)と、大矢英俊・高木和卓・張一博・塩野真人という東京アート勢、学生では前々回大会優勝の吉村真晴(愛知工業大)、吉田雅己(愛知工業大)、上田仁(青森大)と実力者ばかり。爆発力では吉村、安定性では松平と張を推すが、今大会はやはりワールドツアー・グランドファイナルベスト8の塩野のプレーが楽しみ。全日本では数々の名勝負を演じながら、「悲劇のチョッパー」の印象が強いが、今年の塩野は昨年までとは別人。ベスト8決定でカットに強い松平賢と当たる組み合わせだが、ここを乗り切れるか?

 波乱を起こすダークホースに上げるとしたら、勢いに乗る若手。明治大1年の有延大夢と、青森山田高3年の森薗政崇。有延はボールスピードでは国内トップクラス、森薗は集中力とメンタルの強さで上位進出を狙う。

★男子シングルスの組み合わせはこちら
http://www.jtta.or.jp/result/2013/alljapan/ippan/13ajMS.pdf
★各種目のスーパーシードの組み合わせはこちら
http://www.jtta.or.jp/result/2013/alljapan/ippan/13alljapanseed.pdf
  • 3大会ぶりの王座返り咲きを狙う水谷

  • 岸川、初優勝へ機は熟した

  • 丹羽、2連覇で真の実力を示したい

  • 世界ベスト8の松平健、5年ぶりの決勝狙う

  • 昨年大きく飛躍した塩野が会場を沸かせる

  • ドイツで腕を磨く一昨年の王者・吉村