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世界選手権ザグレブ大会(個人戦)

 出足で韓陽はクレアンガの台上から攻め、レシーブもうまく止まっていたが、2ゲーム目にクレアンガが手を台にぶつけ、少しの治療の時間と、スペアラケットに替えてから、動揺したのか、流れが変わった。3ゲーム目からは打ち合いになり、パワーで上回るクレアンガが4ゲームを連取した。
男子シングルス3回戦
クレアンガ(ギリシャ) 4(6-11,4-11,11-4,11-5,11-8,11-6)2 韓陽
 水谷対ガオ・ニンの16決定戦。水谷は出足が良く3ゲームを連取した。良かったのはサービスからの連続得点。水谷の特長である、台上からの攻撃、レシーブ力がこの世界選手権では得点能力を発揮した。誰もが4-0で水谷完勝と予想したゲーム展開ではあったが、3ゲーム目のジュースに持ち込まれたときに、アミズィッチはタイムアウトを取り、この3ゲーム目に勝負をかけた。この点を見ても、水谷の体力、気力の疲労度がピークに達していたように見えた。
 残りの4ゲームのうち、気力を振り絞ってラストの1ゲームを取りに行ったが、フットワークを使った両ハンドでの先手攻撃を仕掛けるも、相手のフットワークの早さによって先手を取ることができず、受け身のプレーに持ち込まれた点が悔やまれる。
 残りの4ゲームのプレー内容を見ても、相手に6ポイント連取が1回、4ポイント連取が4回、3ポイント連取が4回あった。この展開を見ても、体力・集中力の限界に達していたと思われる。世界戦で上位に勝ち進むためには、瞬発力、プラス持久力が必要である。自分にあったフィジカルトレーニングを徹底的に行えば、近い将来、必ずや世界でメダルを取れる選手のひとりとして、大いに期待できる。
 サービス、3球目の速攻を多用したが、両ハンドに切れがなくミスを連発した。後半まで福原自身のペースをつかむことができず、相手の威力あるバックハンドに気を取られ、無理に先手攻撃を試みるパターンが多くなり、窮地に追い込まれた。
 この展開から見ると、福原は今大会両ハンドでスマッシュを打ちすぎた。前陣で徹底してコースを突くブロック技術が、福原の卓球の根幹になっている点を考えて、もっと粘り強くラリー戦に挑んでほしかった。自分のテクニック、戦術をいかに最大限に生かすのか。先手先手と攻めることも大切ではあるが、プレースタイルを変えてまで強打型になる必要はないと思う。これまで努力してきた前陣での両ハンドの粘りを生かせれば、現段階でも世界のレベルに十分通用する。自分自身のプレーに自信を持って、プレーそのものを見失わないようにすることが勝利をつかむ第一歩ではないだろうか。
 平野はサービスから、積極的にフットワークを生かしたフォアハンドドライブを相手の両サイドに打ち分け、素晴らしい滑り出しを見せた。しかしながら、3ゲーム目以降はサービス、レシーブに甘さが出て、次第に中陣へと下がる傾向が出てきた。そのため、速攻で得点することができず、逆にラリー戦になり、大きく振り回される戦いになったのが敗因だろう。4ゲーム連取される中で、このゲームは徹底してコースを突くとか、思い切って前について速攻に切り替えるとか、技のバリエーションを戦術に生かしてほしかった。勝機は十分にあったと思われる。
 男子ダブルス、岸川・水谷対馬龍・ハオ帥の試合。このゲームではラリー展開になれば水谷のオールフォアからのドライブのコース、岸川のバックのカウンタードライブの組み合わせが中国ペアに対して五分以上だった。水谷のフォアの台上攻撃、岸川のバックハンドの台上攻撃において中国より先手を取れたことが勝因だった。
 準々決勝での王励勤・王皓組に対しては、前半の1、2ゲームは台上で先制攻撃され、受け身に回った。ボールの切れ、コース、威力においてはダブルスの王者らしく、隙のないプレーで攻め切られた。しかし、4ゲーム目から日本ペアは世界選手権の高いレベルに順応し、ラリー戦でも互角に戦えるようになった。台上での先手攻撃にも積極的に打ち抜く勇気が出せるようになり、4、5ゲームを連取。それはすでにダブルスにおいては世界レベルに達していたことの証明だった。
 しかしながら、中国ペアの作戦として最後は水谷がバックに回り込めない厳しいコースを突かれた。その結果、最終的に、水谷と岸川の特長を封じ込まれた点は、中国ペアの底力を示したものだ。
3-0とゲームをリードしながら逆転負けを喫した水谷。世界ランクからすれば格上だが、実力的には互角。
ガオ・ニンは試合後、「3ゲーム先取されたが、諦めなかった。自分に言い聞かせた。そしてバックハンドを速いボールに変えた。ラリーになれば自信はあった」と語った。
水谷は疲れた表情だった。「3-0と出足でリードしながら、そこから4ゲームを取られたのは記憶にない。昨日は動けててボールが走っていたけど、今日はいまいちボールの切れがなかった。実力的には五分五分で、戦術面、競ったときの勝ち方を知らないとダメですね。最初の3ゲームはバック対バックで相手が慣れてなかったけど、4ゲーム目は慣れてきたようだった。そこから攻め込まれるパターンが多かった。バックは相手はかなり強気で振ってきた。頭でわかっていても体が動かなかった。ボロボロです。簡単なミスも出てきた。3-0になって集中力が落ちたことはない。そこから逆転される人はたくさん見ていたので・・。競った時に良いサービスが出せなかったのが課題。経験をもっと積みたい。格上の選手に二人勝ったけど悔いは残った。出来は50点くらいです」。
男子シングルス3回戦
ガオ・ニン(シンガポール) 4(11-13,5-11,12-14,11-7,11-7,11-8,11-4)3 水谷
 世界ランク11位の日本の福原愛が世界ランク63位のルーマニアの若手ドデアンにストレートで敗れた。福原は終始リードを奪えず、勝機を見いだすことができなかった。ドデアンは福原のバックへツッツキを送り、持ち上げさせてそれをバックのカウンターで狙い、フォアに来たボールは一発のドライブで打ち抜いた。「(昨日の疲れの影響は?)ないです。相手は強い選手というのはわかっていて、マークしていたんですけど、予想以上に相手が強かったです。前回と同じベスト32で終わったのでちょっとショックです。(負けた原因は?)それがわかれば直してます。(北京五輪に向けては)今終わったばかりで考えられないです」。
女子シングルス3回戦
ドデアン(ルーマニア) 4(12-10,11-9,11-8,11-9)0 福原