男子シングルス決勝は、紛れもなく世界最高峰の技と技、力と力のぶつかり合い。全中国運動会という大会のステータス、レベルの高さをまざまざと見せつけられた。世界選手権横浜大会にも、これほど高レベルな試合はなかったのではないか。
1ゲーム目、王皓にレシーブのネットミスが4本出て、馬龍が先制したこの試合。第2ゲームは王皓が序盤で大きくリードして奪ったものの、第3ゲームは馬龍がフリックでレシーブエースを連発して奪取。第4ゲームに馬龍が3-0とリードした時は、「王皓危うし」の空気が流れた。馬龍にも優勝のチャンスは十分にあった。
しかし、王皓はここから4-4に追いつき、信じられないようなフォアクロスのドライブの引き合いが20球近く続く。このパワーボールの応酬を王皓が制し、このゲーム3度のゲームポイントを握られながら、しのぎきった。フォアクロスへの打球点を落とした飛ばないドライブや、台上フリックのモーションからの軽打・ストップなど、そのテクニックを遺憾なく発揮して馬龍の待ちを外した王皓だが、要所ではフォアの力強いドライブ攻撃で、今大会パワーNo.1の馬龍に堂々と打ち勝った。
王皓がゲームカウント3-2のリードで迎えた第6ゲームは、王皓 5-3 馬龍でまたも強烈なフォアクロスの引き合い。このラリーは弧線を低くして王皓のネットミスを誘った馬龍が制したが、王皓 7-6 馬龍でまたもフォアクロスの引き合いを、今度は王皓がフォアストレートへ打ち抜いて得点。王皓 10-9 馬龍で迎えた最初のマッチポイントは、馬龍がバッククロスへのパワードライブ連打でしのいだが、10-10のデュースから王皓が裏面ドライブ連打で2回目のマッチポイントを迎える。
王皓のフォア前サービスに対し、バックフリックした馬龍。そのラケットにボールがミートせず、空を切ったラケットの下をボールが転がってレシーブミス。王皓優勝! 仰向けに倒れ込んだ王皓の体が、3,000人を超える大観衆の爆発的な歓声のスイッチとなり、青島体育センターは興奮のるつぼと化した。
解放軍の応援団の大声援を背中に受けながら、優勝へのプレッシャーに打ち克ち、持てる技術を最大限に発揮した王皓。世界選手権横浜大会での勝利が、大きな自信となっていることは間違いない。前回大会決勝で王励勤に屈辱的なスコアで敗れた雪辱を果たした。それにしてもハイレベルな男子シングルス決勝だった。