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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

星野美香の眼
* 全日本選手権7回優勝の星野美香さんの日本女子の観戦記をお届けします

 福原選手の今日の試合は圧勝だった。自分の力をどんな時でも出せるのが彼女の強み。加えて、フォアの打球点が高くなった。その分、決め球を打てるようになった。バックで揺さぶり、チャンスが来たらフォアで決めるというパターンだけでなく、高い打球点のフォアで攻めてチャンスボールが来たらフォアでもバックでも決められるという形があって良くなっている。

 サービスがナックル、しかもどナックルになっていて、切れたサービスとの回転の差が大きくなっていて、かなり効いていた。そこで浮かしたボールを狙う打つ形が見られた。今日は彼女の良いところが出ていた。バック対バックで、バックが効いている場合は相手の集中力が切れて、それで試合を投げるか、得点を重ねることができる。
 ただ、相手にバックが効かずに、中陣で待っていてボールの力を殺しきってドライブしてくる時。その効かない時に対応できるバック打法を開発することが大切。そうでないとバックをずっと攻められて、バックをはねとばされる傾向がある。過去にトウ亜萍などの打法も参考になる。福原選手のラバーは後ろで待たれるとボールの威力は減速するので、そこで前後に揺さぶるか、ボールを遅くするか。速いボールと遅いボールの差を激しくすることが必要だろう。

 もう1点は、ミドルを攻めるという概念を持つこと。彼女自身はバックで回り込んでツッツキをする、フリックをするというようにミドルを攻められているけど、相手のミドルを攻めることが少ない。中国選手を見ていたら、いかに相手のミドルを突くのか、ミドルを突かれたらいかに高いところで処理するのかというところでの勝負になっている。ミドル攻めを生かすことで、フォア攻め、バック攻めが効いてくると思う。
 グループリーグ1位を決めた日本の村上恭和監督のコメント
「昨日の反省を生かして、1ゲーム目を取ろうと。練習でもサービスとレシーブを多めにやったのが良かったのかも。5ゲーム目マッチで特に団体だから、出足リードが鉄則です。心配は石川だったけど、今日の2ゲーム目に良くなってきて、3ゲーム目には自分でコントロールしていたから安心です」
 日本女子 3-0 ルーマニア
○平野 6、7、10 ドデアン
○福原 14、5、6 サマラ
○石川 10、3、3 スッチ

 予選グループ最大の難関と思われたルーマニア戦を、なんと日本女子は3試合ともストレート勝ちの3-0で、いとも簡単に乗り越えてみせた。昨日のタイペイ戦で死地を脱したことで、選手たちのプレーは昨日よりもはるかに落ち着いている。選手たちを縛っていた重い鎖がほどけたような感じだ。

 トップ平野とドデアンの一戦は、平野らしい両ハンドの粘り強さが存分に出た試合。中陣から強烈な両ハンドドライブで盛り返されることもあったが、平野は決してペースを崩さず、相手より一本でも多く返すプレーでドデアンを降参させた。2番福原は、1ゲーム目にゲームポイントを握られたものの、2ゲーム目以降はバック表ソフトのナックル性のボールを巧みに使って、サマラのプレーを崩した。フォアのスイングも思い切りが良くなり、威力あるスマッシュが随所で決まった。
 3番石川は、世界ジュニア選手権ベスト8のスッチに対し、レシーブでも3球目でも吹っ切れたような強打の連続。1ゲーム目はややミスが多かったが、2ゲーム目からは圧倒的な攻撃力でスッチを下した。日本女子、これで決勝トーナメント進出は決定。明日のスロバキア戦をきっちり勝ち切れば、準々決勝へ駒を進めることができる。

下写真はトップでドデアンを破った平野(左)と、3番で石川に敗れたスッチ(右)
 昨日の死闘で疲れはないのか、とあらぬ推測をしてしまったが、今日の日本女子は強い。自信をもってやっている感じだ。平野がトップでドデアンをストレートで退ければ、2番で福原(下写真左)がサマラ(下写真右)をやはりストレートで下す。日本は強敵ルーマニアに圧倒的な力を示し、リードした。
 ドイツから2点取り、「日本に水谷あり」を大いにアピールしたエース水谷のコメント

「オフチャロフには相性も良いので、思い切ってできて3-0で勝つことができた。4番のボルには一度も勝ったことがなかったけど、最初の1,2ゲーム目が取れたのが最後まで良かった。
 調子はそれほど良いわけではないし、用具調整もあまりうまくできなくて、試合前に不安があったけど、最後は気持ちで勝てた。気持ちが一番大事です。この結果は変わらないので、次のスペインに勝って、決勝トーナメントでがんばりたい」
<日本男子 2-3 ドイツ>
○水谷 12、10、8 オフチャロフ
 岸川 -4、8、9、-2、-7 ボル○
 吉田 6、9、-9、-9、-4 ズース○
○水谷 10、9、-5、-9、9  ボル
 岸川 -6、7、-8、-10 オフチャロフ○

 オフチャロフと両ハンドのラリー戦を展開した岸川。第4ゲーム10-7でゲームポイントを握り、最終ゲームで決着かと思われたが、ここからオフチャロフが10-10に追いつき、岸川のバックドライブをカウンターで決めて11-10。最後は岸川の決死のフォアドライブがネットを弾いてオーバーし、日本惜敗。結局最後までタイムアウトは取らなかったが、10-8か10-9でタイムアウトを取る選択肢もあったのではないか…?

 試合後、ベンチからしばらく動けなかった日本男子チーム。しかし、まだ上位進出のチャンスは十分にある。3時間半を超える死闘、ビッグマッチに拍手。胸を張って先へ進め!
<日本男子 2-2 ドイツ>
○水谷 12、10、8 オフチャロフ
 岸川 -4、8、9、-2、-7 ボル○
 吉田 6、9、-9、-9、-4 ズース○
○水谷 10、9、-5、-9、9  ボル
 岸川 -6、7       オフチャロフ

 出足はオフチャロフのフォア前バックフリックと、バック対バックから回り込んでのパワードライブに苦しんでいた岸川だが、次第にオフチャロフの剛球にも合ってきた。第2ゲームは3-6からの7点連取でこのゲームを奪取!
<日本男子 2-2 ドイツ>
○水谷 12、10、8 オフチャロフ
 岸川 -4、8、9、-2、-7 ボル○
 吉田 6、9、-9、-9、-4 ズース○
○水谷 10、9、-5、-9、9  ボル
 岸川       オフチャロフ

 エース水谷隼がコートに倒れ込んだ! 水谷ついにボル越えだ!
 2-0のリードから2-2に追いつかれ、しかも第4ゲームは5-0のリードから6-6に追いつかれ、最後は押し切られる苦しい展開。最終ゲームも一進一退、スコアの離れないシーソーゲームが9-9まで続いたが、ここで水谷はボルのわかりにくいサービスをフォアのナックルドライブレシーブ。ボルがネットミスしたところで日本ベンチはタイムアウト。次の一本、ボルの連続フォアドライブをバックブロックでしのぎきって、歓喜の勝利!

 さあラスト岸川、水谷のつないだタスキを受けて、勝利のゴールテープを切ってくれ!
<日本男子 1-2 ドイツ>
○水谷 12、10、8 オフチャロフ
 岸川 -4、8、9、-2、-7 ボル○
 吉田 6、9、-9、-9、-4 ズース○
 水谷       ボル
 岸川       オフチャロフ

 快勝ペースだった3番吉田だが、ズースは中盤から吉田のバックにループを集め、次第に当りを取り戻した。吉田は終盤足が止まり、フットワークを活かした本来の攻撃力を発揮できなかったのは残念。試合は日本が1-2とリードされ、4番水谷とボルのエース対決となった。
<日本男子 1-1 ドイツ>
○水谷 12、10、8 オフチャロフ
 岸川 -4、8、9、-2、-7 ボル○
 吉田 6、9   ズース
 水谷       ボル
 岸川       オフチャロフ

 2番岸川はボルを追いつめるも、バック前に小さく落としてくるボルのループドライブに手を焼き、最終ゲームはリードを奪えず。会場はただいま3番の吉田の試合が進行中、ラリー戦での強さに加えサービスがよく効き、ズースを2-0でリードしている!