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速報・現地リポート

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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

 ただいま現地時間は午前2時51分。宿泊先であるルネッサンスホテルの部屋でインターネットのLANケーブルを繋ぎ、速報の作業をしていたら突然接続がストップしてしまった。仕方なくロビーに降りて、無料の無線LANを使って速報を書いています。

 部屋でのインターネットの接続には、それほど早くもない回線で1時間336ルーブル(1ルーブル=約3円なので1000円くらい)の接続料がかかる。ロビーは混み合っているのと、手元に資料を置きたいので毎日1時間限定で部屋でネットに接続していたが、それにしても1時間1000円は高い。昨日近くのスーパーで缶ビールと瓶ビールを2本ずつ、ピロシキと魚のフライ、ポテトチップひと袋を買っても300ルーブルにはならなかった。今大会はプレスシートでのネット接続にも料金がかかり、料金を払うのを忘れていたらしっかり接続できなくなった。モスクワの物価は東京と同じくらいで、場所によっては東京よりも割高に感じられる。

 今日の大会最終日、朝の時点では、男女とも中国の優勝は固いと思っていた。しかし、女子決勝でシンガポールが中国を破った。表彰式で中国の五星紅旗が、シンガポール国旗より一段低いところに掲げられているのを見ても、まだ実感が沸かなかった。
 海外に行くと現地に馴染もう、溶け込もうとする日本人に対し、中国人はどの国に行っても中国人だとよく言われる。チャイナタウンを構成し、自分たちの習慣を崩さず、故郷への愛情と絆を忘れない。中国からの帰化選手で構成されたシンガポール。香港とは違い、中国とも「ガチンコ勝負」をするというイメージはあったが、本当に祖国・中国に勝ちにくるチームだとは正直考えていなかった。シンガポールが中国を追いつめても、どこかで「中国は負けないだろう」という思いが片隅にあったのは確かだ。中国が敗れた瞬間は鳥肌が立った。男子決勝の中国対ドイツも、ドイツに十分チャンスのある内容だった。

 今大会の詳報については、6月21日発売の卓球王国8月号で詳しくお伝えします。ご期待ください。速報の誤字・脱字や記録の間違いが多かったことをお詫びいたします。早朝5時の飛行機でアメリカへ帰る伊藤ジョータ氏が、渡辺トモと一緒にロビーに降りてきました。明日は赤の広場とクレムリンを見物して、日本への帰路に着きます。それでは皆さん、お休みなさい…。

下写真:2大会連続でアベック銅メダルの日本男女チーム。次回大会は2012年にドイツのドルトムントで開催される
 今日の女子決勝は必見の価値のあるすばらしい一戦だった。
 馮天薇が強かった。戦術も良く、落としているゲームでも主導権を握っていた。特に4番の劉戦では完全に主導権を奪い、馮天薇が入るか、ミスするかという展開になっていた。相手が戦い方を変えてくると、またそれに合わせて馮天薇が変えるというような試合の流れ方でした。
 今回の中国は、強いけど少しレベルが低かったのかもしれない。今までと比べても、大エースがいなかった。頼るべき選手がいなかったのが敗因。
 馮天薇の才能はすばらしい。フォア前は少し弱いけど、ブロックとかボールを見る余裕、ボールさばきが素晴らしかった。ラリーが終わったあとの次球の読みがすごかった。
〈中国 3-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
○馬琳 9、7、5 オフチャロフ
○張継科 -7、9、9、7  ズース
○馬琳 -14、4、8、7  ボル

 10-7でボルの大きく浮いたレシーブを、馬琳がパワードライブで決めた!
 中国男子優勝! 馬琳は観客席へ向かって、「見たか!」と人差し指を突き出した!
〈中国 2-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
○馬琳 9、7、5 オフチャロフ
○張継科 -7、9、9、7  ズース
 馬琳 -14、4、8    ボル

 第3ゲーム、出足で馬琳がフォアクロスへ強烈なカウンタードライブを決めるなど、馬琳5-0でリード。ボルが7-5、7-7とよく追いついたが、馬琳9-8で馬琳がストップからフォアストレートへ4球目パワードライブ。このまま逃げ切って馬琳2-1のリード。中国男子、勝利まであと1ゲーム。

 第4ゲームはボルが3-1でリード。
〈中国 2-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
○馬琳 9、7、5 オフチャロフ
○張継科 -7、9、9、7  ズース
 馬琳 -14        ボル

 第1ゲーム、6-10から10-10に追いついたボル。互いにゲームポイントの取り合いとなったが、最後はボルのフォアフリックに馬琳の3球目ドライブがオーバー。ボル先制!
〈中国 2-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
○馬琳 9、7、5 オフチャロフ
 張継科 -7、9、9、  ズース

 張継科、2ゲーム目を逆転で取ってから、動きにキレが戻ってきた。ズースのナイスボールを1球上回るフットワークで、フォアの決定打が次々と決まる。第4ゲーム、張継科7-2ズースから7-5となったところで、ズースが痛恨のサービスミス。張継科にも勝利への硬さは見られたが、最後は10-7のマッチポイントで、レシーブから回り込みドライブ。ズースがブロックできず、張継科が勝利。

 これで中国2-1ドイツと中国が逆転。4番は馬琳対ボル!
〈中国 1-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
○馬琳 9、7、5 オフチャロフ
 張継科 -7、9     ズース

 ドイツ男子の3番手はズース。荒々しい攻撃が持ち味だが、出足から非常に冷静なプレー。張継科のバックドライブをしっかりバックでブロックして巧みなラリーを展開し、レシーブではストップからフォアストレートへ4球目パワードライブを決める。第1ゲームを先取し、第2ゲームも7-3と一気にリードを広げたが、張継科はここから6-9、9-9に追いつく。張継科の3球目フォアドライブと、バックドライブからの回り込みドライブが決まって張継科が1ゲームを取り返した。
〈中国 1-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
○馬琳 9、7、5 オフチャロフ
 張継科       ズース

 馬琳、打球点の早いツッツキからフォアストレートへのカウンタードライブ、強打の構えからオフチャロフの心理を見透かすようなループドライブなど、そのテクニックを存分に発揮して強打のオフチャロフを完封した。
 これで中国1-1ドイツ。重要な3番は張継科対ズース、バック対バックの攻防が大きなポイントになりそうだ。
〈中国 0-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
 馬琳 9、7、オフチャロフ

 中国の国内選考会では不振を極めた馬琳だが、ヨーロッパ選手にはやはり強い。第1ゲーム10-9の場面では、オフチャロフが馬琳のフォアサイドを攻めたパワードライブを、飛びつきざまにクロスへねじ込んで先制。第2ゲームも要所で台上からの速攻を決め、オフチャロフを2-0とリードしている。
 第3ゲームはオフチャロフ3-3馬琳。
〈中国 0-1 ドイツ〉
 馬龍 9、8、-10、-5、-7 ボル○
 馬琳             オフチャロフ

 ボルが馬龍に0-2からの3ゲーム連取で逆転勝ち。ボル8-7の場面で、ボルが絶妙のフォアストップから馬龍のミドルへ4球目ドライブ。最後は10-7で馬龍のレシーブドライブをバックブロックで止め、ラリー戦からバッククロスへパワードライブを叩き込んだ。

 ボル、膝をついてドイツベンチへ会心のガッツポーズ!