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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

 1980年のモスクワ五輪のために建設されたオリンピックスタジアム。モスクワ五輪ではボクシングとバスケットボールの会場になった。コートには34台が設置され、そのうち6台がチャンピオンシップディビジョン用のショーコート。ショーコートと仮設の観客席を隔てて、同じフロアに20台の練習台が設置される。

 観客席の下の部分にはバスケットコートにトレーニングルーム、ありとあらゆる店が入っていて、たくさんのモスクワっ子たちが訪れている。「この人たち、明日が世界卓球選手権の開幕日だって、知らないんじゃないのか…?」。ふと胸をよぎる不安…。

 モスクワと日本の時差は-5時間、やや速報が遅い感覚になってしまいますが、ご容赦ください。
 モスクワ大会、開幕前日の5月22日。宿泊先であるルネッサンス・モスクワホテルから歩いて300メートルほどのところにあるオリンピックスタジアムへ、取材のために必要なメディアアクリディテーション(IDカードの申請)に訪れた王国取材班。

 ところが、このオリンピックスタジアムがとにかく大きいうえ、どこでアクリディテーション(申請)ができるのかもわからない。ジリジリと照りつけるモスクワの太陽に焼かれながら、巨大な円盤のようなスタジアムの周りをぐるぐる回る取材班。たくさんの人に聞いて、ようやく目に入った案内の掲示はA4のコピー用紙サイズ。これでは分かりませんね…。

 会場入り口には、今大会のロシア男子チームのエースであるクズミンの巨大な横断幕が(下写真中央)。下写真右は、メディアアクリディテーションの様子。事前に全員の写真を送っているにも関わらず、新しく顔写真を撮影。担当の女の子が美人なので、逆に表情がこわばってしまいました。
 成田空港を昼の12時ちょうどに出発するアエロフロートSU576便で、モスクワへと飛び立った卓球王国取材班。ロシアの国営航空会社であるアエロフロート、ソ連時代は機体の古さとサービスの悪さで悪評高く、「床が木でできている」「すきま風が入ってくる」などとブラックジョークの標的にされたものの、新しいエアバスの機体は快適。オレンジ色を基調とした明るい機内を、年齢不詳のロシア人CAの皆サマがかいがいしく動き回っていました。

 座席の前にはディスプレイがついていて、映画のプログラムは「アバター」や「シャーロックホームズ」など。ゴルフやパックマンなどのゲームもできますが、いくつかの座席でディスプレイが故障しているあたりは、さすがアエロフロート…。

 機内食は可もなく不可もなく、よりもやや不可寄り。およそ10時間の長旅を経て、定刻よりも早く5月21日17時少し前に、モスクワのシュレメチェヴォ2空港へ到着です。
 リニューアルされた卓球王国HPへようこそ!

 新しくなったHPを見届けて、卓球王国取材班は明日モスクワへと出発。ロシア国営のアエロフロートで10時間の空の旅。世界第1位の国土面積を誇る大国・ロシアで、40mmのピンポン球が縦横無尽に跳ね回る。
 いよいよ5月23日に開幕を迎える第50回世界卓球選手権モスクワ大会(団体戦)。モスクワ大会の見どころは『卓球王国』2010年6月号P.27~34、ドローおよび直前情報については、2010年7月号P.25~32に掲載。しかし、事前に速報ページをチェックしてくださるマニアックな皆様には、ちょっとディープな情報もお伝えします。

 ロシアでは今回が初開催となる世界卓球選手権。これまで18カ国(旧ユーゴスラビア含む)で開催され、インドで3回、また中東のドーハやアフリカのエジプトでも開催されてきたことを考えると、ロシアでの初開催は「意外」という感じもする。実は石油や天然ガスといったエネルギー産業が好調だったロシア、ここ数年立て続けにビッグゲームを開催しているのだ。モスクワ開催のものに限っても以下のとおりだ。

2005年3月 世界フィギュアスケート選手権
2007年4月 世界アイスホッケー選手権
2008年5月 07-08UEFAヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝(サッカー)
2010年9月 世界レスリング選手権
2013年8月 世界陸上競技選手権大会

 …さらに2013年にカザニで夏季ユニバーシアード、2014年にソチで冬季五輪も開催される。昨年は世界的な不況の波にさらされてマイナス成長に転じたロシアだが、オイルマネーはやはり強いらしい。加えてロシア卓球協会の会長はロシア連邦運輸通信大臣のイーゴリ・レヴィチン。日本もたびたび訪問しているバリバリの現役政治家が、卓球界のトップにいるのは心強い。

 ロシアのクラブチームも、スポンサーからの潤沢な資金をバックに、積極的な選手補強を進行中だ。まず男子では、地元ロシアチームのスミルノフとクズミンにサムソノフ(ベラルーシ)を加えたオレンブルグ。来季はオフチャロフ(ドイツ)が加入し、選手層がさらに厚くなる。今シーズン、男子ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)でベスト8まで勝ち上がったUMMCは、プリモラッツ(クロアチア)、ガルドス(オーストリア)、金延勲(韓国)と海外選手が主力のチーム。来シーズンはメイス(デンマーク)、陳杞(中国)、ハオ帥(中国)という超大型補強で、一気に頂点を狙う構えだ。歴史的につながりの深い北朝鮮から、イ・チョルグク(UMMC)、キム・ナムチョル(DESPホリゾント)といったモスクワ大会の代表選手が参戦しているのも興味深い。まさに長い伝統を誇るドイツ・ブンデスリーガを抜き去る勢いだ。

 ロシアの卓球はかつてないほど熱いようだ。少々寡黙なイメージがあるが、ロシアの観衆のノリはどうなのか…? 世界選手権の盛り上がりのポイントになるだけに、熱い声援を期待したいところだ。