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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

 ベラルーシ男子チームの絶対的なエースであるブラディミル・サムソノフ。世界ランキング8位の彼がいながら、ベラルーシはグループDで6番目の位置。サムソノフが抜ければ一気にセカンドディビジョンまで落ちるレベルだが、サムソノフは決して腐ることなく、真摯なプレー。今日のオーストリア戦でも、シュラガーとの玄人好みな「卓球マスター」対決をストレートで制し、2点を奪ってエースの重責を果たした。チームは敗れたが、今日これまでで一番の歓声がサムソノフには送られた。
 サムソノフの試合をコートサイドで熱心に見つめていた高橋発行人。「決して強くはないチームにあって自分の責任を全うし、ベンチに入って応援に声をからすその姿に感動を覚えた。一方で、デンマークのメイスはドイツ戦を欠場。試合後、ドイツチームのボルやオフチャロフとおしゃべりをしていた。その態度はいかがなものか…」。
 
 日本のエースとして抜群の安定感を見せた水谷隼選手のコメント
──ナイスゲームでした。
「トップは1戦目で緊張したんですけど、3-0で勝てて良い形で健太につなぐことができた。4番では余裕を持ってプレーすることができた。自分が勝ったらチームも勝ちだったので気合いも入った。内容はあまり良くなかったけど結果がついてきた。今日の出来は50点くらいで自分の持っている力はこんなものじゃないので、その力をこれからの試合で出していきたい
 カメラとかあるんでそっちが緊張しました。どこに行ってもカメラがあるから。明日から相手もどんどん強くなってくるので、気持ちを切り替えてやらないといけない。今日もちょっと間違ったら、日本が負けていた可能性もあるので、明日からがんばります」
 〈日本 3-1 ハンガリー〉
○水谷 9、5、8 パジー
 松平健 -6、5、-8、-8 ヤカブ○
○岸川 -11、4、-8、6、6 コシバ
○水谷 8、9、9 ヤカブ

 4番、ヤカブの威力あるドライブを浴びながらも、中陣でがっちり受け止めた水谷隼。思い切ってフェイクモーションをつけるフォアサービスも要所で効き、競り合いながらも安心して見ていられる試合展開でヤカブを下した。これで日本男子も白星発進。とはいえ、世界チームランキング24位のハンガリー相手に、「ラストまで回ればもしや」とヒヤリとさせる勝利。この勝利で兜(かぶと)の緒を締め、明日のクロアチア戦に臨みたい。

下写真右は、松平健太を下したものの、水谷に敗れたヤカブ。
 〈日本 2-1 ハンガリー〉
○水谷 9、5、8 パジー
 松平健 -6、5、-8、-8 ヤカブ○
○岸川 -11、4、-8、6、6 コシバ
 水谷 ヤカブ
 松平健 パジー

 日本男子とハンガリーの一戦は、2番に出場した松平健太がヤカブに苦戦。得意のしゃがみ込みサービスが台から出るところをヤカブに痛打され、打球点の高い攻撃も一球しのがれてから両サイドへ大きく振られ、惜敗した。
 3番の岸川も昨年の世界ジュニア選手権で混合複2位のコシバに強烈な連続バックドライブを浴び、ゲームを1-2とリードされる苦しい展開だったが、最後まで自分のペースを守り切り、貴重なポイントを挙げた。
 ただいま会場では4番の水谷対ヤカブの試合が行われている。第1ゲーム、出足で離されるも追いつき、11-8で水谷が先取。このまま一気に勝負をつけたい。

下写真左は、水谷の堅陣を打ち抜けなかったベテラン・パジー。右は競り合いながらも要所を締めた岸川聖也
村上恭和監督のコメント
──会心のゲームですか。
「福原のゲームが始まるまでは予定通り。オーダーも大会前から考えていたのと同じで、福原の1ゲームまではこれで全部3-0のストレートと思っていた。でも、あの接戦で締まったかな。福原も『あっ、これが世界選手権だ』と思っただろうし、私自身も緊張を味わいました。もし福原が負けたら4番も危ないし、5番も危ないと思いました。5番で平野は攻撃のベロニカと当たり、前にも競っているので当てたくなかった。そういう意味では福原が勝って当たり前だけど、(2ゲーム目の)あの負け方をして、また冷静になれたのはひとつの収穫」

──福原戦の最終ゲームで8-7でタイムアウトを取りましたがどんなアドバイスを?
「サービスのコースと一球目の打つコースを注意しました。絶対ミドルへ行きなさいと。どの選手も1試合目の1ゲーム目は緊張する。みんな1ゲーム目が良かった。良いスタートを切れた。明日のロシア戦も3-0でいきたい。ルーマニア戦以外はすべて3-0でいくつもりです」
〈日本女子 vs. ベラルーシ〉
1番 平野 9、5、6 Vi.パブロビッチ
2番 福原 9、-10、-9、4、9 Ve.パブロビッチ
3番 藤井 4、5、4 ドゥブコワ 

 日本女子は3番に石川佳純ではなく、藤井寛子を配した。プレッシャーのかかる第1試合、まずは安定感ある試合運びに定評のある藤井でガッチリ3番を押さえる作戦か。

 日本はトップ平野がカットのパブロビッチに対して盤石のプレー。徹底的に対策を積んだカット打ちは凡ミスが全く出ず、パブロビッチは攻撃でしか得点できない展開になった。特に平野が長身のパブロビッチの足下に落とす短いループドライブが効果的だった。

 2番はエース福原が登場。長身をかがめて放つバックドライブが強烈なVe.パブロビッチに対し、両ハンドでしっかりブロックし、落ち着いてラリーを展開。第1ゲームを先取し、第2ゲームは逆モーションの流しフリックに打球点の早いカウンターシュートドライブなど完璧なプレーで10-3とゲームポイント。福原、このまま一気に勝利かと思われたが、ここからなんとパブロビッチが7点連取で追いつき、そのまま大逆転。第3ゲームも8-5のリードから逆転され、苦しいムードになった福原だったが、とにかく我慢のプレー。最終ゲームも10-7から10-9に迫られながら、最後はフェイクモーションを加えたフォアサービスでパブロビッチのレシーブミスを誘い、薄氷を踏む勝利を挙げた。

  3番で出場した藤井は、カット主戦型のドゥブコワを全く苦にせず。安定感バツグンのカット打ちで、ドゥブコワにほとんどリードを許さず、完勝。頼れる主将の貫禄で、村上監督の起用に完璧な回答を示した。
 モスクワに到着して3日目、ついに世界選手権団体戦が開幕する。会場内のプレスシートは過去の大会に比べると半分くらいの少なさ、しかも昨日はネットに接続できず、あちこちで不満の声が上がっていた。ホテルの部屋でネットに接続すると、なんと1時間につき338ルーブル、1000円ちょっとの料金がかかる。速報を取り巻く環境はなかなか厳しいのですが、8日間張り切ってお伝えします!

 チャンピオンシップディビジョンの予選グループ、A~Dの24チームがすべて登場する大会第1日目。日本女子チームは10時(日本時間15時)からベラルーシと、日本男子チームは13時(日本時間19時)からハンガリーと対戦。テレビ東京の中継専用台となった第5コートに続けて登場する。
 いずれも格下の相手との対戦だが、チャンピオンシップディビジョンに「勝って当然」の相手は存在しない。ハンガリーは長身のエース・ヤカブに加え、経験豊富なパジーと世界ジュニア混合複2位のコシバがいる。ベラルーシは言わずとしれたパブロビッチ姉妹、姉でカットのVe.パブロビッチと、妹でシェークドライブのVe.パブロビッチが健在だ。前回の広州大会で日本がアベック銅メダルを獲得できたのも、予選グループで強敵を破り、1位通過できたのが大きなポイントだった。男女ともスロースタートになってはいけない。序盤からエンジン全開で、男子はドイツとデンマーク、女子はルーマニアという同グループの強敵にぶつかっていきたい。

 また、今日は19時(日本時間24時)から開幕式も行われる。ロシア初開催の世界卓球選手権、かなり気合いの入った演出をしてくるかもしれない。こちらにもご期待ください。

Photo:昨日の練習終了後、高橋発行人が卓球王国の最新号をプレゼント。「今までの表紙の中でも一番」と愛ちゃんは会心のスマイル。今大会も、何度でもこのスマイルを見せてほしい!
 モスクワ大会で選手やマスコミの多くが宿泊しているホテルコスモス。この大型ホテルの中華レストランで今夜、タマス社のパーティが開催され、ティモ・ボルやミカエル・メイスといったビッグスターが集結した。ここでもボル様の人気はさすがで、たくさんの人に写真を頼まれても、嫌な顔ひとつせずに笑顔で応えていた。パーティはバイキング形式だったが、果物とミネラルウォーターだけで過ごしていたボル、そのプロ根性はやはり並ではない。
 クラブのような洒落た内装、女性の店員にはスコートのウェアでコーディネイトする演出もさすがだった。選手たちにとっては、嵐の前のひと時の休息か。
 IDカードを取るのに一苦労した卓球王国チーム。中でも幸せ薄い発行人(薄幸人)高橋はIDカードのローマ字がTAKAHASHIではなく、TAKASHIになりHAが抜けている。歯抜けの発行人、高橋。横で渡辺が毛だけでなく、ついに歯もぬけたかと一言。
 会場では試合開始前から興奮状態の高橋。ドイツのある人が「彼はいつものことだけど、大会が始まる前に疲れないかな」とポツリとつぶやいた。
 会場となったモスクワ。オリンピックスタジアムはとにかくでかい。取材班の巨人、柳澤太朗が小さく見えるほどだ(!?)。普通に歩いていても迷子になるし、体育館の外周を一周していると、体育館なのにいろんなお店が付随していて、洋服や写真屋、スポーツショップなどがある。
 もっと驚いたのは、体育館の中に入ると書店がずらりと並んでいるのだ。まるでブックフェアのようで、しかも体育館の二階席の裏側が書店の倉庫のようになっている。体育館だけでは使い道があまりないので、普段はこのスタジアム内は書店ストリートになっているようだ。

 プレスセンターで仕事をしていると「ハ~イ」と沖縄のデービット氏が現れる。普段は沖縄の米軍基地で働いている卓球好きのデービッド(太っているからデブビットとも言う)は、横浜大会からITTF(国際卓球連盟)のミュージアムを手伝っていて、モスクワ大会でもチーフとしてミュージアムで働いている。美人の通訳が4人もついて鼻の下は伸びているが、まだミュージアムが設営されていないという。なんと本屋が邪魔なのだ。つまり、夕方の4時まで書店が出ており、その店が閉まったあとに設営が始まるという。メーカーのブースも全く同じ状況というから、たぶん明日の初日にはメーカーブースも間に合わないだろう。

 モスクワ大会はこの調子です。いったいどうなるんだろう。