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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

 といっても、見ておわかりのようにオフィシャルスポンサー、バタフライのブースにいる物言わないマネキンさんです。日本だったらちょっと恥ずかしくて胸にニプレスを貼るところだが、そこはそこ。ここはモスクワだ(?)。同行した新婚のタローがオロオロして直視できないのは言うまでもない。
 プレスシートからフロアの熱戦をひっそりと見つめる、茹でタマゴ。高橋発行人が毎朝ホテルのレストランからひとつ頂いてくるスタミナ源。入り口のセキュリティチェックでこの卵を出すと、仏頂面のロシアンスキー、ロシアンスカヤも思わずニッコリ。今日はちょっと受けが悪かったかな…。
 昨日の朝は薄曇りだったが、今朝は快晴のモスクワ。昨日は現地時間19時30分スタートの男子団体第2戦のうち、2試合がラストまでもつれた。
 地元ロシア対ギリシャは、ラストで今大会のポスターや横断幕にも大々的に起用されているクズミンが、パパディミトリオウに敗れた。地元観衆の大声援がプレッシャーとなったのか、動きが固くなり、格下の相手に完敗の内容だった。ギリシャは今大会、エースのクレアンガがまたも欠場。しかし、バックカットと強力なフォアの攻撃が武器のイオニスが絶好調だ。そして一番最後までかかったのは、スウェーデン対チャイニーズタイペイ。タイペイはエース荘智淵が2点を奪ったが、ラストで呉志祺がイェレルの粘りに屈した。熱戦の連続に大興奮の高橋発行人、コートに貼り付き、カメラワークが冴え渡っている。6月発売の大会特集号を楽しみにしてください。

 今日は男子がデンマーク、女子がチャイニーズタイペイとの対戦。男子が対戦するデンマークはメイスが2点出場してくるのか微妙。デンマークも今日敗れると1~12位トーナメント進出が厳しくなるのだが、チームスピリットが感じられるような雰囲気ではない。日本は水谷隼、岸川聖也、吉田海偉の3人で臨むだろう。岸川と吉田は2番手以下の選手には負けないので、競り合いになっても日本の優位は動かない。
 むしろ難しいのは女子のチャイニーズタイペイ戦。タイペイのエース黄怡樺は昨日のルーマニア戦でも2点取る大活躍、早くから国際大会に出ていたが、ここ1年ほどで世界ランキングを急激に上げ、トップグループに迫りつつある。回転量の多いパワフルなドライブは要注意。日本としては好調の福原が序盤で黄怡樺をつかまえ、3番をキッチリ押さえたい。

 -5時間の時差のため、日本勢の速報は日本では時間が遅くなってしまいますが、頑張ります!!

下写真左はクズミン、右はイェレルが呉志祺を破った瞬間
 男子チャンピオンシップディビジョンを彩る(?)個性派プレーヤーたちをご紹介。

 写真左はハンガリーのパッタンティス。バック面に粒高ラバーを貼り、バックはカット、フォアは攻撃というスタイル。そう言ってしまうとまるで朱世赫のようなスタイルだが、実際は「何でも屋」という感じだ

 写真中央は知る人ぞ知る、ベラルーシのネクベドビッチ。いつも良い試合をしながらなかなか勝てないが、ベラルーシには欠かせない選手だ。膝のサポーターが泣かせる

 そして写真右が、スペインのカンテロ。なんとドイツ戦でボルをゲームオール8点まで追いつめた。あのボルのドライブをバックプッシュとフォアスマッシュで押しまくるのだから、観ているほうも興奮する。そのプレースタイルはかつての中国式ペン表速攻そのもの。ペン表はどっこい生きているのだ

 ちょっと町の卓球大会で会いそうな面々だが、実力は確か。トップ選手相手に奮闘していると、こちらも思わず応援したくなる

 
 男子のDグループは激戦区だ。1戦1戦、目を離せない対戦が続いている。
 その中でもポルトガルに注目したい。台風の目になると思われた北朝鮮を初戦で3-2と撃破。中でもアポローニャが光っている。北朝鮮戦では2点をたたき出したと思ったら、続くオーストリア戦でもガルドス、シュラガーを連破し、その勢いは止まらない。世界ランク62位だが、今回の活躍で相当ランクアップしそうだ。首都リスボン生まれで、6歳から卓球を始め、現在23歳。ドイツのブンデスリーガ、オクセンハオゼンでプレー中だ。

 ポルトガルはオーストリア戦のラストでフレイタスが勝利し、絶好調。近年アポローニャに加えモンテイロ、フレイタス、そしてジュニアにも有望な選手を抱えるポルトガル。低迷を続けるヨーロッパ卓球界の中でも希望の持てる国になりつつある。全選手に言えるのは多彩なテクニックと、柔らかいボールタッチ。ヨーロッパの中でも注目していきたいチームのひとつだ。

★今大会1戦目の吉田海偉のコメント

 1試合目だったのでめちゃ緊張しました。相手はクロアチアのエースなので勝つか負けるかわからないし、自分が勝てばチームは3-0で勝つと思うし、大事な試合だった。昨日は相手のビデオを何回も見て研究しました。まだ100%ではないけれど、これからですね。強いチームに勝てば満点だし、今日は練習です(笑)。
 フランスリーグでは調子が良くなくて、ドイツの合宿が良かった。毎日おいしいご飯食べられるし、みんなと話できるから。今日の調子があれば、明日も普通にやれば勝てる。今までの世界選手権のことは全部忘れました。今回がデビュー戦の気持ちです。初めての団体戦の気持ちです。対戦相手も若い選手ばかりだし。明日もがんばります
 日本男子 3-0 クロアチア
○水谷 1、7、4 コラレク
○吉田 1、7、4 ガチーナ
○岸川 3、9、-8、12 トシッチ

 3番で岸川が中陣でしつこく粘るトシッチを攻め切って、日本男子が勝利。トシッチの粘りは驚異的で、岸川は水谷とやっているような気分だったのではないか。しかし、岸川はストップを使うことはせず、正面からフォアドライブで打ち切った。強打だけでなく、ループドライブを前に落としてトシッチのミスを誘うなど、昨日に続いて終始冷静なプレーを保った。

 これで日本男子も2連勝。明日の対戦相手であるデンマークは、現在ハンガリーに2-2と苦戦している。メイスが3番で出てきたものの、エースを2点起用しない布陣には疑問符がつく。果たして明日はメイスが2点起用されるのか?
日本男子 2-0 クロアチア
○水谷 1、7、4 コラレク
○吉田 1、7、4  ガチーナ
 岸川  トシッチ

 予選グループ第2戦のクロアチア戦を迎えている日本男子。トップに出場した水谷、2番の吉田ともにまったく相手に付け入るスキを与えない。水谷はコラレクの強打を受け止めてから強打で打ち抜き、吉田はガチーナ(下写真右)に対しフォアクロスへ得意のパワードライブをビシビシ決め、下回転系サービスもよく効いた。昨日スペインに敗れたクロアチアも元気がないが、日本男子はずいぶん硬さが取れてきたようだ。
●女子グループD
〈チャイニーズタイペイ 3-1 ルーマニア〉
○黄怡樺 3、-9、5、8 サマラ
○鄭怡静 2、-8、9、7 ドデアン
 熊乃儀 -7、6、-3、7、-7 スッチ○
○黄怡樺 -3、7、10、7 ドデアン

●女子グループB
〈ドイツ 3-2 オランダ〉
 ジルベライゼン -9、10、-3、-9 リー・ジャオ○
 呉佳多 6、-9、-4、-9 リー・ジエ○
○シャール 11、6、-10、-7 5 クリーマーズ
○呉佳多 8、-6、8、11 リー・ジャオ
○ジルベライゼン -6、-11、4、2、8 リー・ジエ

 日本女子と同じ女子予選グループDで、日本の最大のライバルと見られていたルーマニアがチャイニーズタイペイに完敗。チャイニーズタイペイは中国・甲Aリーグで腕を磨いた黄怡樺がサマラとドデアンを連破した。これで明日のチャイニーズタイペイ戦はより重要な戦いとなってくる。
 女子グループBでは、ヨーロッパ選手権団体2連覇のオランダが、ライバルのドイツに大逆転負けを喫した。

下写真はチャイニーズタイペイの黄怡樺
前日のコメントでは「ルーマニア以外は全部3-0でいきたい」とコメントしていた村上恭和監督は苦笑い。
「(チホミロワは)思いの外、裏裏(両面裏ソフト)には強いですね。平野も少し単調すぎたけど。でも(チームとしては)余裕はありました。石川は最初あわててましたけど、途中で落ち着きを取り戻した。福原は今年に入ってトップ級に勝ったプロツアーは超淡々とやっていた。団体戦は盛り上がりすぎて声を出してしまうけど、それを封印して自分で一番良い状態を作っていた。落ち着いていました。
 平野は自分からつぶれていったわけではないし、良くはないけど、70点くらいの出来でしょ。彼女も立ち直りは早いと思う。自分の単調になりすぎたところを反省して以前の平野に戻るでしょう。タイペイがルーマニアに2-0で勝っていたから、そうなると明日がグループの決勝みたいなもの。タイペイにも3-0で勝つつもりでやります。2戦まではチーム戦らしく、誰かが負けても誰かが補う、助けるという戦い方でチームがまとまっていくと思います」