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速報・現地リポート

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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

〈中国 0-2 シンガポール〉
 丁寧 8、3、-8、-9、-9 馮天薇○
 劉詩ウェン -7、-8、2、-10 王越古○
 郭炎 -6、 スン・ベイベイ
 劉詩ウェン vs. 馮天薇
 丁寧 vs. 王越古

 シンガポール、3番スン・ベイベイも徹底的にミドルへボールを集め、フォアへ振ってきたボールにカウンターを合わせる作戦。スンの小さく合わせるようなボールに、郭炎もなかなか回り込めず、豪快な両ハンドが出ない。場内は異様な雰囲気、ロシアの観客からは「シンガポール!シンガポール!」の声援も飛んでいる。
〈中国 0-2 シンガポール〉
 丁寧 8、3、-8、-9、-9 馮天薇○
 劉詩ウェン -7、-8、2、-10 王越古○
 郭炎 vs. スン・ベイベイ
 劉詩ウェン vs. 馮天薇
 丁寧 vs. 王越古

 中国が序盤でまさかの2失点。中国が団体戦で2点落としたのは、04年ドーハ大会の日本戦以来だ。
 劉詩ウェンは3ゲーム目から声を出し、王越古のフォアサイドを厳しく切るドライブでグイグイ攻めて1ゲームを取り返したが、王越古のプレーは冷静だった。第4ゲーム王5-2劉で劉詩ウェンがタイムアウト、5-5となったところで王越古がタイムアウト。劉詩ウェンが10-9で先にゲームポイントを取ったが、王越古が逆転し、11-10で王越古が劉詩ウェンのフォアに来るドライブを、苦しい体勢ながら飛びつきスマッシュ。これが劉のバックに決まって王越古が勝利!

 銅鑼(どら)を打ち鳴らしていた中国の大応援団も、予想外の展開に静まりかえっている。こうなると中国といえどもプレッシャーは大きい。
〈中国 0-1 シンガポール〉
 丁寧 8、3、-8、-9、-9 馮天薇○
 劉詩ウェン -7、-8 王越古
 郭炎 vs. スン・ベイベイ
 劉詩ウェン vs. 馮天薇
 丁寧 vs. 王越古

 中国2番の劉詩ウェンも、王越古に2ゲームを先に奪われた。王越古、抜群に安定感の高い表ソフト面のバックハンドで劉詩ウェンの威力ある両ハンドドライブを受け止める。フォアの強打にも威力のある王越古だが、無理な回り込みはクロスへのカウンターを浴びるため、台の中央に構えて貫禄のプレーだ。第2ゲームは10-8で王越古がバック対バックからフォアクロスへフォアドライブを決め、声は出さないが熱いガッツポーズ。

中国ベンチの施之皓監督の表情には、まだまだ余裕があるが…?

〈中国 0-1 シンガポール〉
 丁寧 8、3、-8、-9、-9 馮天薇○
 劉詩ウェン vs. 王越古
 郭炎 vs. スン・ベイベイ
 劉詩ウェン vs. 馮天薇
 丁寧 vs. 王越古

 丁寧が敗れ、中国は今大会初めて1点を落とした。丁寧は最終ゲームも5-2のリードでチェンジエンドしたが、馮天薇は丁寧の焦りを見透かすように回転量の多いドライブで攻め、打球点の早いバックハンドでコースを突いた。最後は馮天薇10-9のマッチポイントで、丁寧の3球目フォアドライブがネットを弾いてオーバー。

 シンガポールのベンチに入っているのは、北京市女子チーム監督時代に丁寧を育てた名監督・周樹森。丁寧攻略の秘策を授けたか?
〈中国 vs. シンガポール〉
 丁寧 8、3、-8、-9 馮天薇
 劉詩ウェン vs. 王越古
 郭炎 vs. スン・ベイベイ
 劉詩ウェン vs. 馮天薇
 丁寧 vs. 王越古

 丁寧が威力ある両ハンドライブとバック面で出すしゃがみ込みサービスで出足からリード。馮天薇は丁寧のサービスに対してレシーブに苦しみ、打球点を落としたドライブを丁寧に前陣で合わせられ、劣勢に立たされる。3ゲーム目途中までは完全に丁寧ペースだったが、丁寧ここで勝利を意識したのか、7-5から5点連取で逆転され、第4ゲームも8-3から6点連取されて逆転された。19歳の若さが出ているが、最終ゲームの展開は?
★女子決勝[中国vs.シンガポール]対戦オーダー

 〈中国 vs. シンガポール〉
1. 丁寧 vs. 馮天薇
2. 劉詩ウェン vs. 王越古
3. 郭炎 vs. スン・ベイベイ
4. 劉詩ウェン vs. 馮天薇
5. 丁寧 vs. 王越古

 会場には中国の大応援団が陣取り、「加油(がんばれ)!」の大合唱。観客の半分が中国人では、と思えるほどだ。
73~81位トーナメントを勝ち抜き、女子73位のフィンランドと男子73位のパラグアイが決勝前に表彰を受けた。フィンランドは美少女チーム、パラグアイには08年北京五輪にも出場したサウスポーのアギレがいる。まだ会場には観客の姿は少ないが、メディア席から十人分の拍手を送った。

 下写真左がパラグアイ男子チーム、写真右から2番目がアギレ。下写真右はフィンランド女子チーム
◎5月30日のタイムスケジュール

★13:00(日本時間18:00) 女子決勝[中国 vs. シンガポール]

・大会最終日は女子決勝からスタート。93年イエテボリ大会から優勝を続けている中国が、史上初の9連覇に挑む。なんと中国女子は初優勝した1965年のリュブリアナ大会以降、欠場した67・69年大会を除いて、必ず決勝に進出しているのだ。まさにあきれるほどの強さだが、今大会も張怡寧と王楠が抜けた穴を、世界ランキング1位の劉詩ウェンと4位の丁寧が埋めるという豪華すぎる布陣。シンガポールはエース馮天薇が孤軍奮闘するだろうが、中国の9連覇の可能性は限りなく100%に近い。中国にわずかなスキがあるとすれば、故障で出場機会の少ない郭躍以外は決勝の出場経験がないこと。昨日の丁寧、劉詩ウェンのプレーもベストとは言いがたく、やはりプレッシャーはあるはず。前半で馮天薇が1点取れれば、シンガポールにも一縷(いちる)の望みが出てくる。

16:00(日本時間21:00) 男子決勝[中国 vs. ドイツ]

・大会のラストを飾るにふさわしいビッグマッチ、アジアとヨーロッパの盟主の頂上対決が実現。ドイツはエースのティモ・ボルが昨日、自ら「エクスプロージョン(爆発)」というほど好調なプレーを見せた。女子のシンガポール同様、このボルが前半で1点を挙げれば、試合は俄然面白くなってくる。前回ドイツが決勝に進出した04年ドーハ大会では、トップでボルが7-11、11-13、2-11で王皓に完敗。ドイツが0-3で敗れているが、昨日のボルの当たりが今日も続けば、熱戦が期待できそうだ。中国のオーダーは馬龍の2点起用は確実だが、もうひとりの2点起用は誰か。意外なオーダーを組んでくるかもしれない。

 長かった大会ももう8日目、モスクワに到着してから10日が過ぎている。最後をキッチリ締めたいと思います!

Photo:自称ルーマニア親善大使の高橋発行人が、とっても気に入ってしまったルーマニア女子チームのスッチ。昨日は伊藤ジョータ氏も、コートサイドでねっとりとした視線を送った。
* 全日本選手権7回優勝の星野美香さんの大会観戦記

 1,2ゲーム目は丁寧が福原選手の裏ソフトと表ソフトのボールに翻弄されていた。3ゲーム目から相手が台との位置を変え、やや台との距離を取り、福原選手のボールの回転が終わったところを攻撃していった。またコースもワンコースに限定してきた。それは福原選手のフォア前からフォアサイドを狙うというコース取り。そうすると裏ソフトだけの打球になるし、台との距離をおいてやや後ろからでも中国選手は脚力があるから強いボールが打てる。
 1,2ゲーム目は、福原選手の相手のフォア前へのナックルサービスが効いていた。それが効いてくると、丁寧は3球目バックハンドを打たせないコース、高さを狙いだして、福原選手のバックハンド3球目をなくした。フォアサイドへのワンコース狙いだが、それをカムフラージュするために意識してバックへ送る。それを徹底して3ゲーム目からやっていた。1,2ゲーム目取られても、競った時でも崩れないで戦い方をできたのはさすが中国選手だった。
 ただ、世界選手権の準決勝1台の中で、プレッシャーのかかる中でいつもの通りに試合ができるのは、福原選手の一番良いところだと思う。 
 中国選手の良いところはレシーブの回転量やコースを早く察知できる点。2番の平野選手の1ゲーム目はフォア前へのナックルサービスに劉詩ウェンが手こずっていて、3球目を狙い打っていた。2ゲーム目から劉はそのサービスを絶対バックに浮かせないという戦術を徹底したので、平野選手は3球目を打てなくなった。
 平野選手と劉と比べると、劉のほうが打球点は早い。同じ前陣であれば、打球点が早い分、劉のほうが押している。平野選手は、劉よりも早い打球点で勝負するか、振り切れる場所まで下がってそこで勝負をかける選択肢しかなかった。劉と同じような位置で打っていくのであれば、もっと早い上昇点で打つしかないのだが、劉のほうが明らかに早い打球点だったから押していた。平野選手が得点していたのは位置を下げて振り切っていた時だった。
 劉と同じ打球点か、もっと早い打球点で打てるのであれば、リーチが長くて脚力のある平野選手はもっと競ると思う。
 3番の郭炎は中陣で回転を強くかけてくるタイプで、石川選手はパワーに押された。郭炎は石川選手のフォアサイドを切って強いサービスを送り、次のボールを中陣からドライブで狙う。相手が強くなってくると、石川選手のバックへ深くガツンと切ったツッツキを送ってくると思う。そのボールを攻められるほどのバックドライブか、回り込んで攻めることができると相手の戦術の幅を狭めることができる。
 今回の日本女子は韓国戦に勝ったことが素晴らしい。韓国戦で戦って、良い試合をして負けることと勝つことは違うので、そういう中で結果として勝ったことが素晴らしい。勝つまでの過程も良かったと思うし、大きな意味があると思う」
●男子準決勝
 〈ドイツ 3-1 韓国〉
○ボル 10、6、9 柳承敏
○オフチャロフ -4、4、7、-11、8 呉尚垠
 ズース -12、-2、-5 朱世赫○
○ボル 3、6、9 呉尚垠

 ドイツは3大会ぶりに世界選手権出場のエース、ティモ・ボルが柳承敏と呉尚垠にストレート勝ち。日本戦では水谷に敗れたが、体がよく動き、相手のフォアドライブも中陣バックドライブで打ち返す好プレーを連発した。明日の中国戦もナイスゲームが期待できそうだ。

★韓国戦で2勝したボルのコメント
 「今日は今大会のベストゲームだった。韓国は強い相手だけど、うちのチームは最高の状態だったので、この調子で中国と対戦したいね。大会前は実はあまり調子が良くなかったけど、今日は最高の当たりだったので中国戦でもこうありたいね。
 中国は全員が強いし、馬龍は今ベストの状態だし、他の連中も同じくらい強い。10回やったら1回くらいしか勝てないかもしれないけど、その1回を明日実現したいね。決勝は特別の状態になるし、選手は緊張するからね。ヨーロッパの代表と言うより、世界の代表でしょ。中国はずっとタイトルを独占してきたんだから。何%の勝率? 今は五分五分と言うことにしておくよ(笑)」

下写真左はボル、中央は勝利を決めたボルを抱きかかえるオフチャロフ、右はやや淡白なプレーで2点を落とした呉尚垠