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2014世界ジュニア選手権大会速報

 日本勢の結果が中心になった大会第6日目の速報。時間がなく、詳しく取り上げられなかった選手を少しご紹介しましょう。

 まず上写真左は、男子シングルス3回戦で劉丁碩(中国)に惜敗したカルデラノ(ブラジル)。2ゲームをあっさり連取し、第3ゲームも10ー7でゲームポイント。中国の壁を一気に破るかと思われたが、このゲームを逆転され、完全に流れを失ってしまった。サービスのうまさ、そして中・後陣での両ハンドドライブの威力は大会屈指。しかし、台上プレーはアジア勢と比べるとまだ差があり、しかも台上プレーの後にすぐ台から下がることが多く、攻めが遅くなってしまった。ユース五輪銅メダルの実績を引っさげ、臨んだ最後の世界ジュニアは悔いの残る内容となった。

 上写真右は、男子シングルス2回戦で呂翔(中国)に迫った、チャイニーズタイペイの彭王維(パン・ワンウェイ)。台湾・高雄市にある荘智淵の卓球場「智淵卓球運動館」に所属する選手で、そのプレーは大先輩である荘智淵ソックリ。中陣での旺盛なフットワークでパワードライブを連発するが、強打だけでなく前陣での球さばきのうまさもあり、ダブルスでも試合巧者ぶりを発揮していた。

 下写真は女子シングルス準々決勝で劉高陽(中国)をゲームオールで下した何卓佳(中国)。バック表ソフトの異質タイプで、チームメイトたちが中陣から両ハンドドライブでゴリゴリ打ち合う中、何卓佳は前陣を死守。長く切ったツッツキやストップから、ブロックとミート打ちで相手を振り回す。3回戦での佐藤との超・持久戦でも途切れなかった集中力は見事だった。女子団体決勝の日本戦の前には、出場する選手たちとずっと練習を行い、伊藤や前田を想定したトレーナー役として代表入りしたのかと思ったが、主役たちを食う勢いだ。
  • 豪快な両ハンドドライブを誇るカルデラノ

  • 荘智淵を彷彿とさせるファイター、彭王維

  • メンタルの強さを感じる何卓佳

●男子ダブルス準決勝
趙勝敏/金民爀(韓国) 5、5、9、5 彭王維/王泰威(チャイニーズタイペイ)
呂翔/薛飛(中国) 5、ー8、11、1、8 劉丁碩/王楚欽(中国)

●混合ダブルス準決勝
王楚欽/陳幸同(中国) 12、2、8、5 薛飛/劉高陽(中国)
呂翔/王曼昱(中国) 2、ー9、2、9、8 于子洋/何卓佳(中国)

 男子ダブルスと混合ダブルスの準決勝が終了。閔行体育館の長い一日が終わった。時計の針は現地時間の22時20分を指している。

 男子ダブルスは韓国ペアと中国ペアが決勝に勝ち上がった。韓国ペアは威力あるカウンタードライブを打つ左腕・趙勝敏が光っていた。一方、準々決勝で坪井/吉村ペアを破った中国ペアはダブルスのテクニックが抜群。呂翔のダブルスのうまさは、父親の呂林(92年五輪男子複優勝)譲りか。

 混合ダブルスはタイムテーブルがかなり遅れたせいか(?)、中国ペア同士の完全な出来レース。シングルスでは同士討ちでも真剣勝負を見せていた中国だが、無気力なプレーの連続だった。モチベーションが上がらないのは、わからないでもないが…。審判も選手もすべて中国人。ちなみにこの前に行われた男子複準決勝の同士討ちでは、国際大会なのに途中まで中国語でコールしている審判もいた。卓球の国際化と世界的な普及を推進している中国、足下(あしもと)もしっかりしてくださいよ。
  • 韓国の意地を見せるか、趙勝敏(左)/金民爀

  • 混合複で決勝進出、呂翔(左)/王曼昱

●女子ダブルス準決勝
平野/伊藤 7、8、7、7 ジ・ウンチェ/李ジオン(韓国)
陳幸同/劉高陽(中国) ー10、7、ー5、ー7、2、2、7 何卓佳/朱朝暉(中国)

 日本の平野/伊藤ペア、準決勝で韓国ペアをも下し、決勝進出!
 韓国ペアはシングルスでも平野に敗れたジ・ウンチェが攻撃力不足。平野/伊藤に前後左右に振られると対応できず、ミスを重ねた。平野/伊藤は9ー3と大きくリードした第2ゲーム、9ー8まで挽回されたところでベンチの劉潔コーチがタイムアウト。10ー8から、この大会で非常によく効いている平野のアップダウンサービスでエースを奪い、そこから主導権を譲らなかった。

 それにしても、平野/伊藤のコンビネーションは見事。相手ペアに強打を打たれても、ふたりは正確にコースを予測して、前陣でのカウンターやブロックで跳ね返す。まるで懐の深いひとりの選手のよう。貫禄すら感じさせるコンビネーションだった。
 日本女子の女子ダブルスでの決勝進出は、2010年の石川佳純/森薗美咲ペア以来、4大会ぶり。この種目はこれまですべて中国が制しており、他のチームの優勝はない。明日、平野/伊藤は中国の壁に風穴をあけ、日本勢初の優勝を目指す!
  • 平野/伊藤は、フォア前もバックハンドでうまく攻めた

 過去の世界ジュニアの成績はベスト16、ベスト8、ベスト8。いずれも中国勢に敗れ、メダルに手が届かなかった村松雄斗。しかし、準々決勝では苦しい競り合いの中から勝機をつかみ、精神面でも大きな成長を感じさせた。試合後、日本チームのみならず、韓国やチャイニーズタイペイなど、各国の選手からも祝福を受けた村松。その表情は充実感にあふれていた。

 「世界ジュニアではずっとシングルスは中国勢に負けていた。最後の世界ジュニア、勝てるかどうか自信はなかったけど、楽しもうと思って試合をして、良い結果につながってすごくうれしい。2ー2になって、第5ゲームの中盤の5ー5ぐらいからすごくラリーが続いて、それをものにできてリードを広げられた。第6ゲームは相手の集中力が切れたので、そこが勝負の分かれ目だった。自分の持ち味をすべて出せました。うれしいけど、気持ちを引き締めて、明日の試合が全部終わってから喜んだり、悔しがったりしたいと思います。目標は優勝です」(村松)
●男子シングルス準々決勝
村松 9、ー6、12、ー9、5、3 呂翔(中国)
薛飛(中国) ー5、3、ー5、7、ー4、9、9 梁靖崑(中国)
于子洋(中国) 7、11、10、3 金民爀(韓国)
劉丁碩(中国) 8、7、6、ー9、ー7、4 王楚欽(中国)

やったぜ村松!
男子シングルス準々決勝で呂翔を破り、ベスト4進出。メダルを確定させた。中国勢をシングルスで初めて破ったのは、やはりこの男だった!

競り合いの中で迎えた第5ゲーム、徹底的にフォアにボールを集められていた村松は、呂翔のドライブをカーブロングやドライブでの反撃で返球。呂翔はこれをカウンターで狙えず、流れが変わっていった。第6ゲームは1ー0で村松の強烈なバックドライブが炸裂し、これで呂翔の心が折れたか。フォアドライブのミスを連発し、プレーが大きく崩れていった。

村松、明日の準決勝では右ペンドライブ型の薛飛と対戦。さらに上を目指す!
  • 村松、素晴らしいオールラウンドプレーを披露

  • 最後は集中力が切れてしまった呂翔

  • 歓喜と安堵、すべてを物語る笑顔

  • 村松と準決勝で当たる薛飛。プレーが王皓にソックリ

●女子シングルス準々決勝
朱朝暉(中国) 12、ー9、6、5、6 平野
王曼昱(中国) 5、7、4、6 伊藤
陳可(中国) 7、2、ー12、ー9、ー8、6、7 陳幸同(中国)
何卓佳(中国) ー7、ー7、8、9、8、ー9、5 劉高陽(中国)

女子ダブルスでメダルを確定させた平野と伊藤、女子シングルスはベスト8で進撃ストップ。中国勢の壁に阻まれた。

平野は堂々の体格を誇る朱朝暉に対し、第2ゲーム10ー9のゲームポイントでフォア前のチキータを決めるなど、ゲームカウント1ー1に追いついたが、朱朝暉は中・後陣でどっしり構え、サイドを切る厳しいボールも何本でも返してきた。時折見せるカウンターのバックハンドも強烈。さすがに超級リーグで活躍する実力者だった。
伊藤は王曼昱に対し、フォアの手数が増えず、バックハンド主体になりすぎたか。バックのミート打ちで打ち抜く場面もあったが、長身でリーチの長い王曼昱を攻略することができなかった。残るダブルスに期待だ。

女子シングルスのベスト4は中国が独占。しかし、昨年準優勝の劉高陽、アジアジュニア優勝の陳幸同が敗れるなど、同士討ちの中では予想外の結果になった。
  • 平野、レシーブからの攻めも朱朝暉に包み込まれた

  • 伊藤、王曼昱にストレートで敗れる

  • 王曼昱、大器の片鱗を見せる

●女子ダブルス準々決勝
平野/伊藤 2、ー10、9、7、ー4、6 陳可/王曼昱(中国)
何卓佳/朱朝暉(中国) ー16、5、9、2、15 前田/佐藤
●男子ダブルス準々決勝
呂翔/薛飛(中国) ー10、3、9、9、8 坪井/吉村

やった! 今大会、中国からの初勝利は女子ダブルスの平野/伊藤ペア。
日本、個人戦初のメダルが確定!

 平野/伊藤ペアは長身の中国ペアに対し、連続の強打で打ち合うことはせず、台上での巧みなコース取りと、伊藤のバック表ソフトの変化球で勝負。勝負どころでは、クロスだけでなくストレートにもナイスボールを決め、中国ペアを翻弄した。平野のアップダウンサービスも有効だった。勝利を決め、ベンチに入った劉潔コーチと満面の笑顔でハイタッチしたミウ&ミマ。今夜行われる準決勝で、明日の決勝進出を目指す。
 前田/佐藤は、中国ペアに対し第1ゲームからジュースの連続となる接戦。佐藤のカットを打ってきたボールにも、前田が必死にくらいつき、好ラリーを見せたが、及ばず。

 また、男子ダブルスも準々決勝が行われ、坪井/吉村は中国ペアに1ー4で敗れた。第1ゲーム9ー10からの逆転で奪い、幸先の良いスタート。坪井のチキータ、吉村のカウンターのバックドライブなどで得点を重ねたが、中国ペアは普通なら抜けるようなボールでもしっかり返してくる。第4ゲームは9ー10の場面で薛飛の逆モーションの裏面チキータで抜かれるなど、薛飛の台上プレーと呂翔のカウンタードライブに苦しんだ。メダルも十分に狙えるプレー内容だったが、及ばず。
  • ミウ&ミマ、メダル確定だ!

  • 日本ペアに敗れた陳可/王曼昱

  • ベンチに戻ってこの笑顔!

●男子シングルス3回戦
村松 5、10、14、6 イ・ジャンモク(韓国)
于子洋(中国) 8、8、7、11 坪井

 男子シングルス3回戦、村松が韓国のイ・ジャンモクを下して、日本男子で唯一のベスト8進出を決めた。
 第4ゲーム10ー6のマッチポイントでは、カット対攻撃のラリーからバックストレートへ強烈なバックドライブで打ち抜き、勝負を決めた村松。第3ゲームで相手にたびたびゲームポイントを取られながら、サービスエースを連発してしのぐなど、サービスの変化と回転量も今大会はアップしている。次戦は中国の呂翔との準々決勝。勝利すればシングルスで初のメダル獲得だ。

 坪井は中国男子のエース格・于子洋とのサウスポー対決に敗れたが、フォアで先に攻める展開では優位に立っていた。于子洋は第1ゲーム7ー8と坪井にリードされた場面で、カウンターの後陣からのバックドライブや対チキータのバックドライブなど、威力あるバックハンドを連発して1ゲーム先取。第2ゲームは10ー8で、バック前へのサービスを打点を落としてネットの横からバックハンドで打ち抜くなど、バックハンドのテクニックを見せつけた。
●女子シングルス3回戦
平野 8、6、6、ー7、10 タモルワン(タイ)
陳可(中国) 9、ー8、8、ー7、9、8 前田
伊藤 5、11、2、8 ミッテルハム(ドイツ)
何卓佳(中国) ー9、9、ー9、ー9、9、7、5 佐藤

女子シングルス3回戦が行われ、平野と伊藤が準々決勝進出。平野は堅固なタモルワンのバックを、緩急の変化をつけながら巧みに攻略。伊藤は集中力にムラのあるミッテルハムに対し、2ゲーム目に10ー8から10ー11と逆転されたのを13ー11で押し切り、第3ゲームは10ー1と大量リード。このまま勝負をものにした。

そして、何と言っても素晴らしいゲームを見せたのが前田と佐藤だ。
 前田は中国の陳可とのサウスポー対決。厳しいフォアクロスへのフォアドライブにも前陣で対応し、ラリー戦でも決して集中力をゆるめない。ゲームカウント2ー2の6ー8から見せた、バック対バックからの超高速ラリー戦は、今大会のベストラリーのひとつだろう。第6ゲームも8ー8と競り合ったが、ロビングからの反撃を食らい、わずかに及ばず。しかし、最後の世界ジュニアでまさに集大成と言える前田のプレーだった。

 佐藤は何卓佳の徹底したツッツキ、バック表ソフトの軽打による持久戦術に対し、第2ゲーム8ー9で促進ルールに入る。ここから両者、攻撃の手数が増えるが、佐藤は何の強打もカーブロングでよくしのぎ、ゲームカウント3ー1とリード。勝利まであと1ゲームだったが、ここから何卓佳がより攻撃的なプレーに切り替え、佐藤の打ち気を誘うやや高いボールもうまく使ってきた印象。最終ゲーム、3ー4で勝負をかけた佐藤のスマッシュがミス。そこから4ー7、5ー9と離され、惜しくも敗れた。
  • 前田、惜敗したとはいえ最高のプレーを見せてくれた

  • よく守り、よく打った佐藤。勝利にあとわずか届かず

  • 前田と華々しい打撃戦を展開した陳可

●男子シングルス2回戦
坪井 7、4、7、1 プレテア(ルーマニア)

男子シングルス2回戦、坪井(下写真左)はプレテアをストレートで料理し、ベスト16入り。対戦相手のプレテアは攻撃力がもうひとつ。坪井はレシーブからチキータとストップで完全に優位に立ち、フォアのパワードライブも思いどおりに決まっていた。坪井、続く3回戦の相手は第2シードの于子洋(中国)だ。

下写真右は、その于子洋から2ゲームを奪ったパダサーク(タイ)。于子洋の強打を粘り強くブロックし、機を見てカウンタードライブで反撃。ユース五輪でも活躍した選手だが、順調に強くなっている。タイは今、相当勢いのあるチームだ。