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速報・現地リポート

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2014世界ジュニア選手権大会速報

●男子シングルス1回戦
ジェリコ(クロアチア) ー3、ー3、ー3、11、8、7、5 酒井
坪井 6、7、4、4 フォルワルスキ(ポーランド)

 酒井がクロアチアの長身プレーヤー、ジェリコにゲームカウント0ー3からの逆転で敗れ、昨年度大会に続いて1回戦で姿を消した。

 第1ゲームから3ゲーム連続で11ー3を揃え、第4ゲームも中盤でリード。相手の攻撃を中陣でしのぎ、反撃のカウンターバックハンドを決めるなど、キレにキレていた酒井のプレー。しかし、第4ゲームを落としてからジェリコに勢いがつき、威力ある両ハンドドライブ、特にフォアストレートへのパワードライブが威力を発揮した。ゲームカウント3ー3に並ばれた最終ゲームも、1ー4でタイムアウトを取ったが2ー5、3ー6、4ー8とリードを広げられ、万事休す。アジアよりもヨーロッパ系を苦手とする酒井が、欧州勢に足下をすくわれた形だ。

 坪井はフォルワルスキを完封。吉村が手こずったフォルワルスキの攻撃も確実にブロック、あまければカウンターで対応。力攻めだけでなく、巧みな緩急とボールの出し入れが光った。カット打ちにもミスがなかった。
  • 酒井、中盤まで抜群のプレーを見せていたが…

  • 最終ゲームは完全に流れを失ってしまった

  • 坪井はさすがの安定感だった

●男子シングルス1回戦
村松 1、1、7、8 テンティ(アルゼンチン)
吉村 12、7、3、6 ニールセン(デンマーク)

 第1シードの村松は、まだ対戦したことがないというテンティと対戦。対攻撃では抜群のセンスを見せるテンティだが、対カットは完全に経験不足。第1ゲームから強打のネットミスを繰り返した。
 村松は団体戦に比べ、攻撃の手数を増やし、テンティがカットに対応してきた第4ゲーム8ー8から、ラリー戦からの逆襲のバックドライブ、ネットの横から這い上がるような後陣からのフォアドライブ、そして3球目のバックのパワードライブで3点連取。テンティもあ然という表情だった。「相手がどうこうというより、団体戦で守備的なプレーで負けてしまった。ぼくの持ち味は攻撃だと思うので、シングルスでは思い切って攻撃していきたい」(村松)

 吉村はガッツマンのニールセンに対し、競りながらも1ゲーム目を先取すると、エキサイトする相手を冷静にいなした。サービスがよく効き、バックのパワードライブを連発した。
  • 村松、攻めの姿勢が戻ってきたぞ

  • 吉村は明日、中国の梁靖崑と激突

 男女シングルスとも、中国選手が6名も出場してくる今回の世界ジュニア。日本勢は勝ち進んでいくと、どこで中国選手に当たるのか。もちろん韓国や香港、スウェーデンをはじめ強豪選手は数多くいるが、やはり中国勢との当たりが気になる。日本選手が中国勢と最初に当たるラウンドをチェックしてみよう。

●男子シングルス
村松雄斗  →準々決勝(vs. 呂翔)
吉村和弘  →2回戦(vs. 梁靖崑)
酒井明日翔 →3回戦(vs. 王楚欽)
坪井勇磨  →3回戦(vs. 于子洋)

第1シードの村松は準々決勝まではそれほど難しい相手はいないが、準々決勝で日本戦3番で勝ち星を挙げた呂翔と対戦。ただ、呂翔は3回戦で同じ左腕の趙勝敏との対戦があり、接戦が予想される。
「中国選手と当たりたい」と語っていた吉村は、2回戦で優勝候補の梁靖崑を迎え討つ。梁と対戦するため、確実に今日の1回戦は突破したいところだ。酒井は3回戦で王楚欽と対戦。坪井は3回戦に進出すれば、第2シードの于子洋との対戦となる。

●女子シングルス
平野美宇  →準々決勝(vs. 朱朝暉)
前田美宇  →3回戦(vs. 陳可)
伊藤美誠  →準々決勝(vs. 王曼昱)
佐藤瞳   →3回戦(vs. 何卓佳)

 平野は準々決勝で、第1シードの杜凱琹と中国の朱朝暉、恐らくこのふたりの勝者と対戦することになる。前田は3回戦で、韓国オープンで石川佳純を破った陳可との左腕対決。ここを乗り切ると次は団体メンバーの陳幸同という厳しい組み合わせだ。伊藤は準々決勝で王曼昱とのビッグマッチ。佐藤もメダル獲得までには、3回戦で右シェークバック異質の何卓佳、準々決勝で劉高陽とふたりの中国勢を破らねばならない。

 少し「皮算用」が過ぎるかもしれないが、要は中国選手が早いラウンドで敗れない限り、日本勢は中国に勝たなければシングルスのメダルはない、ということ。団体戦の借りはシングルスで返したい。
  • 村松と準々決勝で当たるか、呂翔

  • シングルスでは優勝候補、王曼昱

★大会第5日目のタイムテーブル
(試合開始時間は日本時間)

11:15〜
●男子シングルス1回戦
村松 vs. テンティ(アルゼンチン)
吉村 vs. ニールセン(デンマーク)
酒井 vs. ジェリコ(クロアチア)
坪井 vs. フォルワルスキ(ポーランド)

13:30〜
●女子シングルス1回戦
平野 vs. ワン・ユエン(ドイツ)
前田 vs. ハヨク(ドイツ)
伊藤 vs. ロイエン(ベルギー)
佐藤 vs. チェルノワ(ロシア)

16:45〜
●男子ダブルス1回戦
坪井/吉村 vs. 予選ラウンドの勝者
18:00〜
●女子ダブルス1回戦
前田/佐藤 vs. アンジェラ・グアン/クリスタル・ワン(アメリカ)
平野/伊藤 vs. 予選ラウンドの勝者
※男女ダブルスは2回戦まで終了

20:15〜
●混合ダブルス3回戦(ベスト8決定)
酒井/前田 vs. エチェキ/バリント(ハンガリー/ルーマニア)
※混合ダブルスは準々決勝まで終了

 大会第5日目の上海は快晴。ビシッと寒いが、きれいな青空が広がっている。
 今日は個人戦5種目が進行。男女シングルスは1回戦が行われる。まず男子シングルス、村松が対戦するテンティは回転をかけるセンスが抜群の天才肌の選手。身長も急激に伸び、これから有望だが、まだ村松のカットを攻略するほどのパワーやうまさはないだろう。このラウンドで最も危険な相手は、吉村が対戦するデンマークのニールセン。昨日の予選リーグでは香港の李漢銘を破った大会No.1ファイターで、威力ある両ハンドドライブでゴリゴリ攻めてくる。気合いにのまれず、サービス・レシーブでしっかり先手を取りたい。坪井は昨日吉村を苦しめたカットのフォルワルスキと対戦する。

 女子シングルス1回戦は、平野がフォア表ソフトのワン・ユエンと対戦するが、それほど危険な相手ではない。このラウンドは4選手ともきっちり突破したいところだ。
 今大会が行われている閔行区は上海の郊外。タクシーと地下鉄を乗り継いで、街の中心部に出てみた。昼の景色と夜の景色(上段写真と下段写真)はこんなに違う。左写真が外灘(ワイタン)から眺めた浦東のビル群。球体と柱を組み合わせたタワーが、上海のランドマーク・東方明珠電視塔です。右写真は上海随一の繁華街・南京路。お土産の絵はがきのようなコースをたどってしまいました。
 世界中から選手が集まっている世界ジュニア。出場選手の中から、目に留まったふたりをご紹介。左写真は、カナダのアントワーヌ・ベルナデット選手。まるで英国王室の王子さまのよう。そして右写真は、プエルトリコのダニエリー・リオス選手。会場でもモテてますね〜。単に速報担当のお気に入りじゃないのかと言われたら、肯定はしませんが、否定もしません。ハイ。
 世界ジュニアの出場選手のサービスは、実に個性豊か。フォームか、球種か、フェイクモーションか、トスの高さか、あるいはそれらの組み合わせか。人にはないサービスがあれば、それだけで大きな武器だ。

 上段写真の2枚は巻き込みサービスのふたり。左は今大会、サービスの威力では1、2を争うシェルベリ(スウェーデン)のサービス。この写真はインパクトだけだが、テイクバックが翼を広げるように大きく、そこから思い切りボールの底をえぐるように巻き込む。変化と回転量は相当なものだ。右のリリー・チャンは、グリップをここまで握り替えて、サービスを出しやすくしている。

 中段写真はバックサービスのふたり。左はチームメイトのケルベリと並んで、サービスエースの山を築いているラネフル(スウェーデン)。フォア〜ミドル前のサービスを中心にしながら、相手のバックへのロングサービスも多用。インパクトの瞬間までコースがわからない。右は「寄らば斬るぞ」という、なんだかカッコいいフォームのオリバミセ(ナイジェリア)

 下段写真はフェイクモーション。左右対称みたいになってますが、左は王楚欽(中国)、右はバベキディオ(コンゴ共和国)。バベキディオのフォームはダンスを踊っているようだった。
●男子シングルス・予選リーグ2回戦
吉村 7、ー6、12、14、2 フォルワルスキ(ポーランド)

 吉村、カットのフォルワルスキを苦しみながらも破り、2戦2勝で予選リーグ1位通過。明日の決勝トーナメントへ駒を進めた。

 「1試合目はそこまで強い相手じゃなかったけど、2試合目はレベルが上がって、しかもカットマン。カットマンに対しては得意意識があったので、あんなに競るとは思わなかった。まだまだ仕上がってないなという感じです」。フォルワルスキとの試合をそう振り返った吉村。第3ゲームを逆転で奪い、迎えた第4ゲーム、7ー10から10ー10に追いつき、互いにゲームポイントを取り合うジュースの連続から、16ー14でゲームを奪取。これでフォルワルスキは集中力が途切れた。「全然納得のいく試合ではなかったけど、気持ちを切り替えて頑張りたい」(吉村)。

 団体決勝ではオーダーから外れた吉村。試合に出られなかったこと、そして中国に0ー3で敗れたことは本当に悔しかったという。その悔しさをシングルスにぶつけてほしいが、まだ彼本来の豪打、相手の戦意を喪失させるような切れ味鋭いカウンターが見られていない。「中国以外の国だったり、格下だったりするとかえって「負けちゃいけない」と空回りしてしまうところがある。早く中国とやりたいです。1回戦から中国でいい」(吉村)。日本にも、中国選手に負けない球威の持ち主がいることを見せつけてほしい。
  • 吉村、決勝トーナメント進出。明日から大爆発だ

  • 低いバックカットとフォアの強烈な攻撃を見せたフォルワルスキ

 会場である閔行体育館の3階には、ボールや審判台のサプライヤーであるバタフライ、卓球台&ネットのサプライヤーであるヨーラのブースも出店されている。

 TBC(タマス・バタフライ・チャイナ)のオフィスは上海にあり、バタフライのブースはさすがにビシッと作り込まれている。上海のお金持ちが来て、ドサドサッと大人買いしていくこともあるんだとか。出場している選手たちもよく来店している。ヨーラのブースは側面にドドーンとロスコフ(89年世界男子複優勝)。ブースの中には「旬な男」、契約選手のクアドリ・アルナ(ナイジェリア)のポスターも貼られていた。
  • 観客入り口の正面にあるバタフライのブース

  • ヨーラはロスコフ様が目立ちます

  • 大会の使用球はバタフライのスリースター40+

 18歳以下の選手が出場できる世界ジュニア選手権。毎年、「本当に18歳なんですか」という選手が必ずいる。そんな「年齢詐称疑惑」(してないですけど)プレーヤーを輩出する国といえばエジプトだ。

 2年前の世界ジュニアでも、ベダイールという身長190センチはあろうかというオジサンプレーヤーがいたが、今年はこの人、モハマド・ファシーくん。……等々と速報を打っていたら、後ろで「ボクの写真があるの? 見せて見せて!」と本人が来てしまった。焦りました。
 せっかくなので少しだけ話を聞くと、10歳の時に卓球をはじめ、エジプトのクラブで毎日4時間は練習しているとか。横からチームメイトが「6時間だろ?」「24時間だろ!」とチャチャを入れてくる。ちなみに一番好きな選手は張継科だそうです。

 そしてこのファシーくん、ボールセンスは抜群。逆モーションのバックブロックや流す台上プレーには思わずうなる。ヨーロッパの強豪と互角の戦いを演じている。
  • ボールセンスは抜群、ファシー選手

  • 大人の魅力の持ち主です