速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

世界卓球クアラルンプール大会速報

 長い長い一戦となった男子グループCのポーランド対シンガポール。明日、日本男子と当たる2チームの対戦は、ポーランドが3ー2で勝利。
 ポーランドはエースの右ペン表ワン・ツォンイが2点を落としながら、若手のディヤスがトップでガオ・ニン、ラストでヤン・ツーを破る大活躍。世界ジュニアなどでも活躍が目立っていたディヤス、世界ランキングは82位とそれほど高くないが、長身で下がっても粘り強く、長い手足から放つ両ハンドドライブは威力満点。粒ぞろいでも爆発力はないイメージのポーランドだが、このディヤスは日本も要注意だ。昨年の国際大会でも、森薗政崇、吉村和弘、木造勇人に三部航平と多くの日本選手が敗戦を喫している。

 一方、シンガポールはガオ・ニンがディヤス戦で右足首を傷め、治療を受けるひと幕も。続く第4戦でワン・ツォンイに勝っており、大事には至らなかったようだが、女子とは違ってもともとあまりチームスピリットは感じられないシンガポール男子。初戦を落としてチームのムードも沈んでおり、日本男子としてはきっちり3ー0で勝利したい。
  • 強打者ながらボールタッチは柔らかいディヤス

  • 傷めた右足首の手当てを受けるガオ・ニン

 「グループリーグで重要なのは初戦のベラルーシ戦、そして第5戦のポルトガル戦」と大会前に語っていた、日本男子の倉嶋洋介監督。「サムソノフは練習場にも顔を見せなかったので、半分くらいは出ないのかと思っていました。トップで水谷をサムソノフにぶつける予定だったので、2番で大島をエース使いしました」と試合後にコメント。サムソノフに関しては、出ない雰囲気はあったものの、余計なことは考えないよう、誰もそれを口には出さなかったという。

 「丹羽はグランドファイナルでサムソノフに負けていて難しいかなと思っていたし、大島は勝ったこともあるので、彼を使いました。選手全員が的確な試合をしてくれた。風とか光の問題もあるけど、徐々に慣れてくるでしょう。サムソノフが出なくなった時点で、みんな緊張がなくなってきたので思い切ってプレーできた。正直相手とは格が違ったけど、選手は自分の持ち味を出してくれた。丹羽のサービスは効きすぎましたね。サービスの力を落として調子を上げようとしたけど、それでも相手はサービスを取れなかった。大島は初戦で緊張するけど、大島らしい戦い方でした」(倉嶋監督)
  • 丹羽にアドバイスを与える倉嶋監督

  • サムソノフ、試合後に水谷と談笑

〈日本 3ー0 ベラルーシ〉
○水谷 5、10、3 プラトノフ
○大島 6、4、6 カニン
○丹羽 3 4 バラバノフ

 日本男子、サムソノフ不在のベラルーシに3ー0で快勝。1ゲームも落とさず、1時間ほどで勝負をつけた。
 試合後、サムソノフに欠場の理由を聞いたところ、「右ひざと右ひじに軽い故障(small injury)があるんだ。明日2試合あって、夕方の試合は出ると思う」とのこと。「日本はすごく強いし、今の状態だと日本選手とプレーするのは難しい。次に出る試合で良いプレーをしたいね」(サムソノフ)。プレーすることはできたが、勝機が薄い中、無理してまで出る試合ではなかったということだろう。「ヨーロッパ選手はこういうエースを温存するケースがよくある。それだけ日本が強いチームになったということの証明。サムソノフが出ても日本には勝てないから、彼を出さなかった」とベラルーシ戦を総括した。

 団体戦デビューとなった大島は、「国として戦う団体戦の雰囲気を感じられたことは、すごく良い経験になりました。大きなプレーはそれなりにできていたけど、台上のプレーがちょっと曖昧だったので、そこを調整していきたい」とコメント。レシーブはやや不安定だったが、回転量の多いフォアドライブで一気に得点を重ね、実力の差を見せた。ベラルーシ戦での起用は、大会前の合宿の段階から伝えられていたという。
 3番丹羽は、2ー0リード、そして格下に相手に対しても出足から集中力の高いプレー。下回転系のサービスが抜群によく効き、サービスエースの山を築いた。風が舞う今大会の会場では投げ上げサービスは使いにくいが、スイングスピードが恐ろしく速く、見た目にもブッツリ切れている。プラスチックボールをものともしなかった。明日のシンガポール戦、ポーランド戦でも存分に暴れてくれるだろう。
  • 「緊張を差し引いても、プレーは良くなかった」という水谷だが、危なげなかった

  • 世界団体デビュー戦を白星で飾った大島

  • 丹羽は猛烈に切れたサービスを連発

  • サムソノフ(右端)はベンチを温めた

 男子グループA、すでに日本男子の試合も始まる中、3時間半を超える大熱戦となった北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)とチャイニーズタイペイの一戦が決着。ラストでチェ・イルが江宏傑に1ー2から逆転勝ちした北朝鮮が勝利をおさめた。

 前回は準々決勝で韓国を破り、銅メダルを獲得したチャイニーズタイペイだが、今大会は大黒柱の荘智淵が故障で欠場。この北朝鮮戦も、陳建安が2点を奪ったものの、江宏傑がリードしてから守りに入るプレーが多く、痛恨の2失点。ボールセンスは抜群であるだけに、勝負に対する淡泊な姿勢が惜しまれる。中国と同じブロックに入り、これからオーストリアやギリシャなどの難敵も待ち構えるチャイニーズタイペイ。決勝トーナメント進出に暗雲が立ちこめる一敗だ。

左写真はトップで江宏傑を下したパク・シンヒョク、右写真は江宏傑
 間もなくスタートする日本男子対ベラルーシ戦。試合を行う3選手は退場し、アナウンスとともに入場してくるのだが、なぜかベラルーシはサムソノフがベンチに残っている。オーダーをチェックすると、なんとサムソノフは欠場。ベラルーシはトップに2番手のプラトノフ、残る2人は若手のカニンとバラバノフ。ちょっと拍子抜けだ。

 一方、倉嶋監督も大島をいきなり2点起用。オーダーを組む時点では、当然サムソノフの欠場は想定していない。昨年8月のヨーロッパチャンピオンズリーグでサムソノフに勝った大島をぶつけにいったオーダーだ。たとえサムソノフに2点取られることがあっても、3番に丹羽を置けば勝算はある。まずは水谷、丹羽、吉村の五輪代表トリオで来るかと思われたが、早くも動いてきた。

〈日本(WTR3) vs. ベラルーシ(WTR14)〉
水谷(WR7) プラトノフ(WR143)
大島(WR20) カニン(WR308)
丹羽(WR14) バラバノフ(WR375)
 現地時間13時からの試合には、中国男子が登場し、ギリシャと対戦。トップの許シンがクレアンガに、3番樊振東がカットのギオニスにともに1ゲームを落とすなど、まだ「感覚の調整」がメイン。2番張継科もゲームポイントを奪われるなど、本来の調子からすれば40〜50%という感じか。

 世界チャンピオンの馬龍を外した初戦のオーダーは、「馬龍は当確、リオ五輪に向けて残り3人の最終試験」という意図を感じる。昨日、劉国梁総監督は「第一の目標はタイトルを守ること、第二の目標はオリンピックの代表選手たちは世界戦で鍛えること」と述べている。馬龍、張継科、許シン、樊振東のビッグ4のうち、どの3人が選ばれるか。劉国梁監督のコメントも拾いながら、今大会はその点にも注目したい。

 下写真はDa.ハベソーンの代役として、直前にエントリーされた03年世界チャンプのシュラガー。「ITTFレジェンドツアー」に活躍の場を移しているが、まだまだフォアのパワードライブには威力と切れ味がある。
  • クレアンガ、許シンの回転量に屈したが、まだまだ元気

  • 許シン、今大会は様々なプレッシャーとの戦い

  • ちょっと若返った? まだまだスイングは鋭いシュラガー

 人口約3千万人のマレーシア。元々イギリスの植民地だったが、1957年にマラヤ連邦として独立し、1963年にマレーシアが成立した。現在はイギリス連邦のひとつだ。公用語はマレーシア語と英語。町中の看板などはローマ字表記で、英語も併記されていて、だいたいどこでも片言の英語は通じる。
 最大宗教はイスラム教で、民族はマレー系が65%、華僑(中華系)が25%で、残りがインド系の多民族国家。イスラム教……

※この記事はWEB会員限定です。続きは会員の方のみ、無料でご覧いただけます。

●女子グループB第1戦
〈北朝鮮 3ー0 ブラジル〉
○リ・ミギョン 7、8、6 グイ・リン
○リ・ミョンスン 2、ー7、8、5 クマハラ
○キム・ソンイ 9、ー12、7、1 シルバ
〈ドイツ 3ー0 タイ〉

 明日の第3戦で日本女子と当たる北朝鮮は、初戦のブラジル戦でサウスポーのリ・ミギョンをトップに起用。2番にエースのリ・ミョンスン、3番にキム・ソンイというカット2枚を配してきた。実力と経験からいえば、キム・ソンイの3番起用は順当なところ。日本女子の村上監督も、3番では伊藤とキム・ソンイが当たる可能性が高い、と読んでいる。ただし、キム・ソンイは昨日の会場練習を見ていても、伸び盛りの勢いを感じる。表情も非常に明るかった。彼女の2点起用の可能性も捨て切れない。下写真は昨日の会場練習でのキム・ソンイ。
〈日本 3ー0 チェコ〉
○福原 5、10、8 マテロバ
○石川 ー9、6、ー8、8、8 バチェノフスカ
○伊藤 7、9、9 チェチョバ

 日本は3番伊藤が、世界団体戦の初陣(ういじん)とは思わぬ堂々の試合運び。サービス・レシーブで先手を取り、要所で得意のバックフリック強打で、チェチョバのフォアを打ち抜く。第3ゲーム10ー5から10ー9となり、ヒヤリとさせたが、ここでベンチの村上監督がタイムアウト。次の一本は下回転のショートサービスでネットミスを誘い、ストレートで締めた。連続得点もあれば連続失点もある伊藤だが、ミスを引きずらずに平気で強打を決めるプレーは、相手に恐怖心さえ感じさせるのではないか?

 相手のチェチョバは旧姓ハダツォバ、五輪にも出場しているベテランだが、最後まで伊藤の球さばきに翻弄された。
〈日本 2ー0 チェコ〉
○福原 5、10、8 マテロバ
○石川 ー9、6、ー8、8、8 バチェノフスカ
 伊藤 vs. チェチョバ

 いよいよ大会開幕!
 日本女子は10時試合開始のチェコ戦に福原、石川の2点起用、3番に伊藤という「主戦オーダー」で臨み、2番を終えて2ー0でリード!

 トップ福原は、回転量の多いマテロバのバックドライブに苦しみ、第2ゲームに9ー10で先にゲームポイントを奪われたが、バッククロスへの正確なフォア連打、中陣に下がるマテロバの意表を突くストップ性ブロックでペースを握り、ストレート勝ちを収めた。

 2番石川は苦しんだ。3球目で得意のフォアドライブ強打が見られず、どちらかというと相手に打たせて受ける展開。バチェノフスカの守りは粘り強く、機を見て石川のフォアに出すロングサービスもスピードがあった。第5ゲーム、4ー2のリードから4ー6と逆転されて、日本ベンチがタイムアウト。さらに6ー8と苦しい展開が続いたが、最後は辛抱強くフォアハンドを連打した石川が、ここから5本連取。09年世界ベスト8の難敵を押し切った。日本、このまましっかり3ー0で勝利したい。
  • 福原、さすがに経験豊富な試合運び

  • 石川を笑顔で迎える日本ベンチ