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世界卓球クアラルンプール大会速報

日本男女の銀メダルという輝かしい結果で8日間の熱戦に幕を閉じた世界選手権クアラルンプール大会。
最終結果は以下のとおり。

★男子
優勝:中国
2位:日本
3位:韓国、イングランド

☆女子
優勝:中国
2位:日本
3位:チャイニーズタイペイ、北朝鮮

これで大会の速報を終了します。
白熱した戦いの模様は卓球王国5月号(3月19日発売)に掲載します。
お楽しみに!
★倉嶋洋介監督・決勝後のコメント
「中国選手のドライブは、慣れるのに時間がかかってしまう。それに対応できなかった。あのドライブの対策はしんどいですね。水谷も相手ボールに慣れるまで時間がかかった。どこに打ってもカウンターされていたので、台上勝負で優位に立つとか、自分で先手を取って厳しいボールを送ることができなければ、先に打たれたら苦しい、つないだボールを打たれると苦しい。

 水谷は前でブロックできないので、後ろでしのいで打ち合うしかないけど、後ろでも難しかった。中国選手を崩すにはサービス・レシーブで先手を取ったり、優位に立たないといけない。ラリーだけでは難しい。
 吉村はああいう歓声に慣れていないので、集中しきれない部分があったし、音がうるさすぎてサービスのタイミングがわからなかった。相手は世界チャンピオンなので、どこまでできるか期待したけど、思うように試合をさせてくれない。相手が素晴らしかった。
 大島はいつもあのくらいの試合はする。準決勝から決勝まで自分をコントロールして試合ができたので、そこは評価したい。吉村、大島は普段はこういう経験はできないので、これをきっかけに大きく飛躍してほしい。オーダーは選手と相談しながら決めました。

 39年ぶりの決勝進出は非常に素晴らしいし、選手は頑張ってくれました。でも、今は試合が終わったばかりで、悔しい気持ちと、中国に対して「今後どのようにやっていったらいいんだろう」という複雑な気持ちです。もっとタフな試合を経験していかなければいけない。あとは中国のドライブ対策と、カウンターを打たれるので、それをブロックするのか、もう一回それをカウンターするのかという高い技術力は要求されますね」

★水谷隼・決勝後のコメント
「試合前は緊張しましたが、試合に入れば、もうやるしかないのですから。ただ、中国の声援がいろんなところから飛んでくるし、今まで経験したことのない雰囲気でした。結構自分から先に仕掛けたけど、そのボールを狙い打たれて、それに最後まで対応できなかったのが敗因。そのカウンターを1本でも返していればラリーに持ち込めたと思うけど、そのボールに対応できなかった。

 台上でのチキータなど、いつもよりアグレッシブに攻めたけど、その攻めたボールを倍くらいの力で返してきた。普段の自分と違うプレーをした分、それを返された時に対応できなかった。ああいうプレーをもっとしなければ勝てない。もっとアグレッシブにプレーしなければ勝てない。最初から最後まで無駄のないプレーで、つけいる隙がなかった。最初からリードされて追いつくような展開だったので、最初にリードしたかった。

 全体的には、正直自分のプレーができなかった。全部出し切れなかった。持っている3割くらいしか出せなかった。結果もそうだし、自分もそうだけど。環境に慣れるのは難しい。みんな条件は同じだけど、最後まで対応できなかった。
 大会前には、決勝に行き、銀メダル以上ならばオリンピックでのメダルの可能性もあると思っていた。負けたポルトガル戦と中国戦、それに香港戦や準決勝のイングランド戦は良い部分もあれば、悪い部分もある。そこを見直してひとつひとつ改善していきたい」
●男子団体決勝
 〈日本 0ー3 中国〉
 水谷 ー6、ー8、ー8 許シン○
 吉村 ー3、ー8、ー6 馬龍○
 大島 9、ー8、ー6、ー7 張継科○

 3番大島、大会前の合宿でのチキータ対策の成果を見せ、張継科のチキータをしっかりバックハンドで攻撃。10ー9のゲームポイントで下回転系サービスでチキータのネットミスを誘い、この試合初めて1ゲームを先取した。
 第2ゲーム、大島5ー4のリードから張継科が5点連取し、5ー9、6ー10。大島が8ー10まで迫ったところで、またもベンチの劉国梁監督がタイムアウト。先ほどの馬龍戦と全く同じ、第2ゲーム8ー10というタイミング。次の一本で大島のチキータがミスとなり、8ー11でゲームカウント1ー1となる。

 第3ゲーム以降も、張継科のプレーに派手さはなく、チキータから徹底的にバック対バックで勝負。大島が局面を打開しようと、フォアドライブやバックドライブを強振するとミスが出る。第3ゲーム6ー9では回り込みフォアドライブが張継科のバックブロックにつかまり、このゲームも6ー11で張継科。

 第4ゲーム、7ー7までスコアは競る。得意のフォアハンドが振れない中でも、バックハンドで緩急をつけ、得点を稼ぐ大島。勝利への執念が伝わってきたが、次第にチキータを両ハンドで狙い出した張継科の前に4点連取を許し、7ー11。張継科、団体戦ということもあり、勝利のパフォーマンスは意外なほど静かだった。

 日本は女子、男子とも銀メダル。中国にプレッシャーをかけた女子に対し、男子は厳しい結果に終わった。しかし、考えてみれば、前回の東京大会の女子決勝が、内容としては今回の男子決勝に近いものだった。日本女子は前回、31年ぶりに進出した決勝での経験を生かし、今大会で二段、三段とステップを上ったのだ。8月のリオ五輪、そして次回の2018年ハルムスタッド大会では、若手が経験を積んだ日本男子が、グッと中国との距離を詰める番だ。
 〈日本 0ー2 中国〉
 水谷 ー6、ー8、ー8 許シン○
 吉村 ー3、ー8、ー6 馬龍○
 大島 vs. 張継科
 水谷 vs. 馬龍
 吉村 vs. 許シン

 2番吉村、チキータや、レシーブがやや浮いた時の3球目攻撃は馬龍にも十分通用するが、予想以上にサービスが効かない。台上のストップ対ストップの展開では世界一の馬龍、先に吉村にミスが出てなかなか台上を崩せない。馬龍、相手のストップには仕掛けず、ひたすらストップ。そして吉村が打ってきたところで確実にコースを突いてブロックし、吉村のミスを誘う。

 吉村、第1ゲーム2ー4、第2ゲーム5ー7という、ここから差を詰めたいところでのサービスミスは、やはり力みもあるか。第2ゲーム6ー10から8ー10まで挽回したが、ここですかさず中国の劉国梁監督がタイムアウトを取り、流れを切った。
 第3ゲームは1ー4から3ー4としたが、ここから馬龍のレシーブドライブが立て続けに炸裂。少しでも台から出ると打たれるプレッシャーが、サービスの回転量を減らし、結果的により打たれやすくなった感があった。最後も馬龍の強烈なパワードライブに、ブロックがオーバー。世界王者の洗礼は強烈だった。
 〈日本 0ー1 中国〉
 水谷 ー6、ー8、ー8 許シン○
 吉村 vs. 馬龍
 大島 vs. 張継科
 水谷 vs. 馬龍
 吉村 vs. 許シン

 男子団体決勝がスタート!
 水谷、吉村の2点起用は予想どおりだが、3番に昨日敗れた大島を再度起用し、五輪代表の丹羽を外した日本。一方、中国はトップに世界チャンプの馬龍ではなく、許シンを配してきた。3番は樊振東ではなく張継科。

 トップ水谷は、第1ゲームから許シンのループドライブに対し、カウンターのミスが続く。一方、許シンは切れたツッツキやストップから、水谷のチキータ、バックのループドライブをカウンターで狙い打つ。恐るべきフットワークで低くボールの下にもぐり込み、多彩なループドライブを放つ許シン。

 水谷も中陣に下がれば許シンのフォアドライブを何本でもしのぎ、観客を大いに沸かせる。第3ゲームは6ー5とリードを奪ったが、ここから許シンが5本連取で一気にマッチポイント。11ー8で勝利を決めた。最後の一本も、水谷のループドライブを、許シンがフォアストレートへ強烈なカウンタードライブ。シンプルな戦術で攻める許シンを水谷は崩せず。2番吉村が、初対戦の馬龍に挑む!
  • 許シン、恐るべきループドライブ

  • 水谷、バックで何本もしのぐラリーも見せたが…

 大会スポンサー「完美」の動員で、会場の観客席の2/3を埋めている中国応援団。好ラリーの末に中国選手が得点すると「ウォ〜〜!」という地鳴りのような歓声。一方で、丁寧のしゃがみ込みサービスにどよめいたり、選手の名前を読んでの応援はなかったりと、あまり卓球のことは知らない様子。潜入したカメラマン・トモは写真撮影を次々に求められ、脱出に苦労したとか……。
  • 赤と白のTシャツで人文字が浮かび上がった観客席

 試合後、記者会見および囲み取材に応じた日本女子チーム。村上恭和監督は意表を突かれた女子決勝での中国のオーダーについて、「オーダーは最悪でした。まさかああいうオーダーで来るとは思わなかった」と語った。
 「愛と丁寧、佳純と劉詩ウェン、美誠と李暁霞を当てたかった。悪いオーダーでしたが、1ゲーム目が勝負でした。久しぶりに中国の本気は引き出せた。相当に日本を警戒したオーダーだったと思う。佳純は成長しているし、美誠も自分の戦いができるのがわかりましたから、リオは楽しみです」(村上恭和監督)

 決勝に出場した1番福原、2番石川、3番伊藤のコメントは下記のとおり。

★福原愛
「今日の1ゲーム目、攻める隙を与えてもらえなかった点を反省しています。メダルを見ながら、今大会の試合で自分が納得した試合が何試合あったのかと思ってしまいました。今までロンドン五輪から続いた銀メダルで、一番悔しい銀メダルじゃないかと思います。このままじゃリオで納得できる試合ができない。日本に帰って修正したい。
 世界選手権で初めてキャプテンを指名されて、キャプテンらしい試合ができたかとおもうとたくさん疑問点も残る。みんなに助けてもらった。リオではこの借りを返せるようにしたい」


★石川佳純
「やっぱり技術の部分というより、気持ちのうえでの攻める部分がたりなかったかな。中国に対しては早い段階での速い攻めが大切で、それはできた部分もあるし、反省する部分もあります。
 3ゲーム目で勝てたとは思わなかったけど、レシーブが少し弱気になった部分はある。9-9で勇気を持って3球目で回り込んだらエッジだった。それはしょうがない。2年間で成長した面はあるけど、勝てた試合だったので良かったとは言えないけど、次のための宿題をもらいました。自信はついたけど、もっともっと対策練習をしなければいけないし、気持ちの部分をもっと鍛えなければいけない」

★伊藤美誠
「中国選手に対して緊張していたらダメなので、思い切って試合はできました。1ゲーム目は自分のミスも少なかったし、丁寧は自分のボールに合わなかったのだと思います。2ゲーム目からしっかり彼女は入れてきた、しかもしっかり回転をかけて入れてきた。そのゲームから無理に打っていった。
 前よりは体力はついたかなと思います。以前はカットマンとやると体力切れしていたのが、それがなくなった。パワーに対しては対応できるけど、回転のあるボールに対してはまだミスが多い。今考えるとあっという間に終わった大会でした。早かった。あっという間に終わった。もっと試合をしたかった」
 女子団体決勝の終了後、会場では女子団体表彰が行われ、中国、日本、チャイニーズタイペイ、北朝鮮の4チームが表彰台に上がった。表彰に続いて行われた記者会見の模様は後ほど。男子団体決勝も間もなくスタート!
 〈日本 0ー3 中国〉
 福原 ー5、ー6、ー8 劉詩ウェン○
 石川 6、7、ー9、ー3、ー5 李暁霞○
 伊藤 8、ー7、ー8、ー1 丁寧○

 日本、中国に敗れ2位。中国女子が3連覇!

 3番伊藤は、出足からフォアの前陣カウンターで丁寧のフォアを突き、6ー2、9ー6とリード。9ー8となってベンチの村上監督が早めのタイムアウトを取る。10ー8から丁寧のつなぐフォアドライブをフォアストレートにカウンタースマッシュで抜き、1ゲームを先取する。
 バック表ソフトでのブロックではスピードがなく、丁寧に連続ドライブをかけられると展開が不利になる。無理に弾き打つとミスが出る。フォア面で積極的に丁寧のフォアを狙った伊藤のスタートダッシュだった。

 この試合、丁寧の会心のフォアドライブはほとんどなかった。第2ゲーム以降、丁寧は強引に先手を取りにいくのではなく、時に伊藤に打たせ、ミスを誘いながら得点を稼ぐ。伊藤も強打のミスが多くなる。第3ゲーム5ー2のリードも5ー7と逆転され、ここを勝負と見た丁寧は一本取るごとに大きな声を出す。結局、8ー11で丁寧。第4ゲームは出足から0ー7まで離され、ここで勝負あり。

 2番石川、3番伊藤のスタートダッシュは見事だったが、中国の戦術変更に対する対応力はまだ課題を残した。しかし、今大会中国を最も苦しめたのは、間違いなく日本だった。大きな収穫をつかみ、8月のリオ五輪に向かってリスタートだ。
  • フォアの前陣カウンターが序盤は有効だった丁寧

  • 丁寧、3番でも気合い満点のプレー

  • 「こんなに飛んじゃって!」決勝のベンチでも普段どおりの伊藤

 〈日本 0ー2 中国〉
 福原 ー5、ー6、ー8 劉詩ウェン○
 石川 6、7、ー9、ー3、ー5 李暁霞○
 伊藤 vs. 丁寧
 福原 vs. 李暁霞
 石川 vs. 劉詩ウェン

 惜しい! 2番石川、李暁霞に2ー0からひっくり返され、日本0ー2。

 第1ゲーム0ー0で、いきなりフォア前へのサービスを強烈なフォアフリックで打ち抜いた石川。10ー7のゲームポイントでは、李暁霞のバックドライブを強烈なフォアのカウンタードライブではじき返し、第1ゲームを先取。第2ゲームも安定したバックドライブで李のミスを誘い、8ー5から10ー6とリードを広げて11ー7で奪う。

 第3ゲーム、8ー7のリード、さらに9ー9。石川、勝利まであと2点だったが、9ー11で落とす。第4ゲームは2ー1から一気に2ー7まで離された。次第にエンジンがかかってきた李、無理にフォアで攻めず、威力あるバックドライブでグイグイ攻めてくる。
 第5ゲームは競り合って5ー5。ここで石川の3球目バックドライブ、強振の一撃がミスとなり、石川、思わずその場でジャンプ。そのまま流れを失い、5ー11で敗れた。

 中盤までは中国の大応援団が黙るほど、石川の一方的な展開。第3ゲームに勝負を決めたかった。日本、3番伊藤に託す!
  • 李暁霞、五輪女王の意地を見た

  • 石川、李暁霞にあと一歩…

  • 石川が黙らせかけた中国応援団、息を吹き返す