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速報・現地リポート

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卓球ワールドカップ団体戦

●女子団体準々決勝
〈中国 3−0 アメリカ〉
○陳夢/孫穎莎 10、10、7 エイミー・ワン/リリー・チャン
○劉詩ウェン 3、8、4 ウー・ユエ
○孫穎莎 −8、8、5、5 リリー・チャン

 女子団体準々決勝の第1試合、中国対アメリカは劉詩ウェン・陳夢・孫穎莎の3人を起用した中国がストレート勝ちを収めた。アメリカのメンバーはいずれも中国系で、帰化選手のウー・ユエ、中国系2世のリリー・チャンとエイミー・ワン。「本家」中国が貫禄を見せた形だ。

 しかし、試合内容を見ればアメリカは予想以上の健闘を見せた。ダブルスではリーチが長く、バックハンドに秀でたセンスを見せるエイミー・ワンが活躍し、1・2ゲーム目はいずれもジュースまで持ち込んだ。2番ウー・ユエも、2ゲーム目に0−4のビハインドから決死のバックハンドで劉詩ウェンのフォアを狙い、7点連取。再び逆転を許したものの、世界女王に食い下がった。

 そして、3番のリリー・チャン。銅メダルを獲得した14年ユース五輪からプレーを見ているが、相当強くなっている。両ハンドともミート系の打法をうまく使うプレーで、特にバック深くに突き刺さるバック強打は素晴らしい威力。相手の回転や球威を利用する「借力」が抜群にうまい孫穎莎も手を焼いた。思い切って胸を借りて戦える強みがあるとはいえ、孫穎莎とここまで打ち合える選手はなかなかいないだろう。アメリカは日本女子にとっても、警戒すべきチームになりつつある。
●男子団体準々決勝
〈韓国 3−1 ブラジル〉
○李尚洙/鄭栄植 2、4、−6、8 ツボイ/ジョウティ
○張禹珍  6、8、4    イシイ
 李尚洙 −7、−8、4、−8 ジョウティ○
○張禹珍  6、1、7    ツボイ
 
 南米チャンピオンのブラジルが韓国に挑んだ。ただし、世界6位のカルデラノの姿はなかった。この大会の後、オーストリアオープン、T2ダイヤモンド(シンガポール)、男子ワールドカップ(中国)があるため、ヨーロッパとアジアの移動が多すぎる。
そして東京五輪と同じ会場とは言え、ボールも卓球台もフロアマットも違うこと、獲得ポイントも低いために世界ランキングに影響しないことが欠場の理由。
 2−0と韓国がリードした後、一気に韓国が決めるかと思いきや、世界ランキング85位のジョウティが世界18位の李尚洙を破った。ジョウティの切れ味のあるフォアドライブが李尚洙を苦しめた。
 4番で張禹珍がツボイを一蹴し、3−1で韓国が準決勝進出を決めた。

●男子団体準々決勝
〈 チャイニーズタイペイ  3−0 イングランド 〉
○陳建安/廖振ティン 9、8、2 ドリンコール/ジャービス
○林昀儒 9、6、11 ピッチフォード 
○陳建安 6、8、9 ドリンコール

 日本を破ったイングランドがチャイニーズタイペイの前に完敗した。注目したのはエース対決の林昀儒とピッチフォード戦。日本から2点奪ったピッチフォードだが、林の柔らかいスイングから放たれる伸びのあるボールに手こずり、得意の強打を封じられ、ストレートで敗れた。
 3番のドリンコールも完敗し、チャイニーズタイペイが一気に、イングランドを下し、準決勝進出を決めた。
 
 日本男子チームに、謝らなければいけない。ドイツ戦トップのダブルスで丹羽/吉村ペアが敗れた時点で、日本の勝利をイメージするのは難しかった。残るシングルス4試合、ドイツはオフチャロフの2点とボル、そしてフランチスカ。この4試合で3勝をもぎ取るのがどれほど困難か、卓球ファンならお分かりだろう。しかし、日本はラストにすら持ち込ませず、2番から3連勝で準決勝進出を決めてみせた。恐るべき底力だった。

 「ぼくらは1回負けているし、向かっていくだけという点では優位でした。逆にドイツは日本が下に入ってくるのは嫌だったんじゃないですか。選手たちも一度負けて吹っ切れて、今日は昨日より良いプレーを見せてくれた。明後日、中国とできるのが楽しみです」。ドイツ戦後のミックスゾーンで、倉嶋洋介監督は語った。「このままドイツに負けたら、嫌なイメージのままで東京五輪を迎えていた。今日ドイツに勝って、それを払拭できて良かった」(倉嶋監督)。本当にそのとおりだ。

 欧州の盟主から2勝をもぎ取った張本のプレーは、シニアの日本代表として戦う団体戦ではベストのものだろう。「今日は勝ったのを素直に喜びたいですけど、反省もしっかりやりたい。水谷さんがいない中、厳しいドローでもメダルが取れたのは大きな自信になりました。誰が抜けても日本は強いんだと示すことができた」(張本)。試合後、時間が経っていたためにその口調は冷静だったが、語る言葉の一つひとつが力強かった。

 そして今日の殊勲者は、何と言っても吉村真晴。大舞台での強さに加え、団体戦でチームに流れを引き寄せてしまうこの「陽」の力は一体何だろう。ムードメーカーとしての吉村真晴の存在感は、唯一無二のものだ。以下は吉村のドイツ戦後のコメント。

「ぼくはもともと3番で、フランチスカに当てるオーダーでした。フランチスカには今年の香港オープンでも4−0で勝っているし、苦手意識はない。フランチスカも調子良さそうに見えたんですけど、3番には出てこなかったですね。ボルが3番だということがわかって、短い時間でもしっかり調整することを心がけた。
 今大会は智和が2点起用で、エースの自覚を持ってプレーしてくれている。ぼくと孝希のダブルスがしっかり勝って、智和が2点取るのが理想なんですけど、今日はサプライズでぼくがボルに勝てたということですね。3ゲーム目を落としていたら、もっとサービスに慣れられて、粘られていたかもしれない。サービスは効いていたし、自分のフォアドライブで攻めきれるというイメージを持っていた。」(吉村)

 「初戦(イングランド戦)で負けたことで冷静になれた。自分が弱いんだと改めて認識して、そこからチャレンジャーになれたのは非常に良かった。次の中国戦はぶつかっていくだけです」と語る吉村。倉嶋監督が「ぼくの物差しでは計り切れない」という大舞台での強さを、中国戦でもぜひ見せてもらいたい。
●男子団体準々決勝
〈日本 3−1 ドイツ〉
丹羽孝希/吉村真晴 7、−2、−5、−5 ボル/フランチスカ○
○張本 8、−9、8、2 オフチャロフ
○吉村 7、9、11 ボル
○張本 −7、7、7、12 フランチスカ
丹羽 − オフチャロフ

4番張本、フランチスカを3−1で破って日本がついに勝利!
ドイツを破ってメダル確定だ!

国際大会で好調をキープするフランチスカは、現時点の実力ではオフチャロフをしのぐと言っても過言ではない。バック対バックで高い打球点から打ち込むバックドライブは「バズーカ砲」のような迫力があった。

互いにバックハンド主戦型、サービスのコースはフォア前を中心に、チキータを封じるバック深くのロングサービスを混ぜて牽制しあう。張本はたびたびロングサービスでバックを突かれながらも、フォア前のサービスに対して思い切ったチキータを連発。コースもフォアクロスとフォアストレートに打ち分けて先手を取った。中盤からフランチスカはサービスのコースを変え、バック前へサービスを出してチキータさせてからバック対バックに持ち込んだり、ミドルに出してストップさせてから深くツッツキを送るなど、何とか張本のペースを崩そうとするが、張本は常に冷静だった。

ゲームカウント2−1の4ゲーム目は、フランチスカのフォア前をチキータしにくいYGサービスで突き、ついに10−8でマッチポイント。ここから3回のマッチポイントを逃したが、12−12から弧線の高いチキータでフランチスカのフォアの空振りを誘い、最後はフォア前への縦回転サービスをフランチスカがチキータミス。張本の勝利が決まった!

ダブルスを落とした時点では、完全に劣勢だった日本男子。その逆境を跳ね返した選手たちの精神力には驚嘆した。明日は試合がなく、明後日は圧倒的な強さを見せる中国との対決。万全の準備で最強軍団に挑む。
〈日本 2−1 ドイツ〉
丹羽孝希/吉村真晴 7、−2、−5、−5 ボル/フランチスカ○
○張本 8、−9、8、2 オフチャロフ
○吉村 7、9、11 ボル
張本 vs. フランチスカ
丹羽 vs. オフチャロフ

勝利の瞬間、豪快なスイングガッツポーズ!
吉村真晴、ヨーロッパの帝王・ボルに圧巻のストレート勝ち!

ボルに対して過去の国際大会では0勝3敗ながら、今年の香港オープンでは3−4の接戦を演じた吉村。1ゲーム目に8−2と見事なスタートダッシュをかける。6−2からボルが2本連続でレシーブをネットミスするほど、吉村のサービスはよく効いた。2ゲーム目の10−9でも、ボルのレシーブでのフォアフリックがオーバーミス。

そしてレシーブでは、威力あるチキータも要所で見せておきながら、両サイドに送ると強烈なループドライブがあるボルのミドルを徹底して突いた。ミドルへのフリックやストップに対し、ボルは効果的な3球目攻撃を仕掛けられず。吉村は3ゲーム目に2度のゲームポイントを握られるも、12−11でマッチポイントを握り、最後もミドルへのレシーブからフォアドライブを連打して勝利を決めた。吉村真晴、やはりここ一番で「持ってる」男だ!

写真は後ほどアップします!
〈日本 1−1 ドイツ〉
丹羽孝希/吉村真晴 7、−2、−5、−5 ボル/フランチスカ○
○張本 8、−9、8、2 オフチャロフ
吉村 vs. ボル
張本 vs. フランチスカ
丹羽 vs. オフチャロフ

日本男子対ドイツの準々決勝は、2番を終えて1−1!
2番張本が会心のプレーでオフチャロフを下した!

トップのダブルスは、出足から丹羽のチキータがボルのフォアを何本も抜き、吉村も打球点の高い両ハンドドライブを連発。幸先良く1ゲーム目を奪ったが、2ゲーム目はボル/フランチスカが9−0まで一気に引き離す。ボルが打球点を落としてもミスの少ないプレーで確実につなぎ、フランチスカが打球点の早いバックドライブを連発。バックストレートへのバックドライブは抜群の決定率で、丹羽/吉村はなかなか反応できなかった。
何とか展開を打開したい丹羽/吉村だが、台上や相手のレシーブに対する丹羽の反応が、ベストの時に比べるとどうしても1テンポ遅れる。チャンスをつかみ、たたみかけてきた時のボル/フランチスカの攻撃は強力だった。

2ゲーム目はエース張本がオフチャロフと激突。過去の国際大会では意外に対戦が少なく、張本の0勝2敗。直近の対戦は17年ワールドツアー・グランドファイナルでオフチャロフが4−3で勝っている。

張本は出足から、声を出しながらも冷静なプレー。バック対バックから先にストレートに回されてフォアを突かれても、しっかり動いてフォアクロスへ、厳しいコースに打ち返して得点。フォア対フォアの打ち合いに持ち込ませない。ゲームカウント1−1の3ゲーム目、7−8からの4点連取でゲームカウント2−1とすると、4ゲーム目の3−1で鮮やかなフォアストレートのカウンターを突き刺す。この一撃でオフチャロフの集中力が落ち、ミスを連発。久々にクロスへの「ハリパンチ」も決めた張本が3−1で勝利し、力強く観客席へ拳を突き上げた!

●男子団体準々決勝
〈中国 3−0 アメリカ〉
○許シン/梁靖崑 5、5、0 フォン・イジュン/ジャン・カイ
○樊振東 3、5、5 ジャー
○梁靖崑 3、5、3 ジャン・カイ
樊振東 − フォン・イジュン
許シン − ジャー

男子団体準々決勝のもうひと試合、中国対アメリカは中国があっという間にストレート勝ち。しかもオール3−0で、相手に与えたポイントは最大でも「5」という圧勝だった。アメリカはエースのジャーが樊振東と打撃戦を展開したのだが、打ち合うほどに回転量と球威に押され、最後はミスが出た。エース馬龍を下げても、全く危なげのない中国の戦いぶりだった。
 東京五輪を目指していたチャイニーズタイペイの荘智淵が、代表引退を突然表明し、以降の国際大会に出ないと発表してから2カ月が経った。そして、当然のことながら今大会のチャイニーズタイペイのベンチに荘智淵の姿はない。

 実は、10月中旬に沖縄で行われたTリーグで、試合に出場していた荘智淵に「本当にもう代表の試合は出ないの?」と聞くと、「イエス」との返事が。彼のプレーを17歳から見て、幾度もの感動的なゲームを見てきた身としては、「ノー」という答えを期待していたのだが……。

 長らくチームのエースを務め、精神的支柱になっていた荘智淵なき今、チャイニーズタイペイを引っ張るのは陳建安、もしくは世界ランキング10位に成長した林昀儒になるのか。だが、どちらの選手も実力はあるが精神的な押しが弱く、荘智淵のようなオーラはない。

 チャイニーズタイペイの準々決勝の相手は日本を倒したイングランド。団体戦では選手個々の力に加えて、チームの一体感、団結力が必要になる。チャイニーズタイペイがさらに上に行くためには熱い魂を持った荘智淵を引き継ぐ選手が急務だ。
 女子のオセアニア大陸からの代表として今大会出場のバヌアツ。実はオセアニア1位はオーストラリアだが出場を辞退したため繰り上がりでバヌアツが参加になった。

 世界選手権には参加しているバヌアツだが、上位進出がないためメディアに登場することはまずない。そのバヌアツがどこ辺りにある国かと聞かれて、正しい位置を答えられる人は何人いるだろうか?!

 バヌアツ(正式にはバヌアツ共和国)は、南太平洋のシェパード諸島の火山島上に位置する国。わかりやすく言うとオーストラリアの右上にある人口29万人の共和制国家。

 エースのトミーは2008年の北京五輪に出場し、開会式でバヌアツの旗手を務めている。今大会でバヌアツは、チャイニーズタイペイとルーマニアと対戦し、2試合とも0−3で敗れ、1ゲームも奪うことができなかったが、選手たちに悲壮感はなく、力は出し切っただろう。今大会に出場した選手の中から来年の東京五輪の切符を手にする選手は出るのか。選手たちを写真に収めた者としては、密かな楽しみでもある。
●女子第1ステージ(予選リーグ)結果
ウクライナ 3−1 エジプト
イングランド 3−0 オーストリア
ルーマニア 3ー0 バヌアツ
韓国 3−0 ブラジル

●女子グループ順位
A組 1位中国 2位ウクライナ 3位エジプト
B組 1位日本 2位アメリカ 3位オーストリア
C組 1位チャイニーズタイペイ 2位ルーマニア 3位バヌアツ
D組 1位韓国 2位香港 3位ブラジル

●女子準々決勝の組み合わせ
中国 vs. アメリカ
日本 vs. ルーマニア
チャイニーズタイペイ  vs. 香港
韓国  vs. ウクライナ

 グループを1位通過の日本は、準々決勝でルーマニアと対戦することがきまった。ルーマニアは、スッチ、サマラ、モンテイロ・ドデアンとベストメンバーで来ている。
●男子第1ステージ(予選リーグ)結果
チャイニーズタイペイ 3−1 ナイジェリア
イングランド 3−0 オーストリア
ブラジル 3ー0 オーストラリア
アメリカ 3−2 スウェーデン

●男子グループ順位
A組 1位中国 2位チャイニーズタイペイ 3位ナイジェリア
B組 1位イングランド 2位日本 3位オーストリア
C組 1位ドイツ 2位ブラジル 3位オーストラリア
D組 1位韓国 2位アメリカ 3位スウェーデン

●男子準々決勝の組み合わせ
中国 vs. アメリカ
イングランド vs. チャイニーズタイペイ
ドイツ  vs. 日本
韓国  vs. ブラジル

 日本はグループを2位通過となり、ドロー(抽選)の結果、ドイツと準々決勝で対戦。もし勝ち上がると中国との準決勝となる。