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速報・現地リポート

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世界ジュニア選手権大会

★大会第8日目・12月1日のタイムテーブル ※カッコ内は現地時間

12:00〜(10:00〜) ●女子シングルス準決勝
長崎美柚 vs. 呉洋晨(中国)
小塩遥菜 vs. キム・ウンソン(北朝鮮)

13:00〜(11:00〜) ●男子シングルス準決勝
戸上隼輔 vs. 向鵬(中国)
モーレゴード(スウェーデン) vs. 馮翊新(チャイニーズタイペイ)

14:00〜(12:00〜) ●女子ダブルス準決勝
木原美悠/長崎美柚 vs. Ca.ルッツ/パヴァデ(フランス)
蒯曼/石洵瑶(中国) vs. A.ヴェグジン/K.ヴェグジン(ポーランド)

14:30〜(12:30〜) ●男子ダブルス準決勝
劉夜泊/徐英彬(中国) vs. チュア・シャオハン/パンイエウエン(シンガポール)
向鵬/曾蓓勲(中国) vs. シドレンコ/ティホノフ(ロシア)

17:00〜(15:00〜) ●混合ダブルス決勝
宇田幸矢/木原美悠 vs. 徐英彬/石洵瑶(中国)

18:00〜(16:00〜) ●女子シングルス決勝
18:45〜(16:45〜) ●男子シングルス決勝
19:30〜(17:30〜) ●女子ダブルス決勝
20:00〜(18:00〜) ●男子ダブルス決勝

 大会もついに最終日。12月1日のタイムテーブルは上記のとおり。男女シングルス決勝の後、男女ダブルス決勝が行われる。日本勢は男子ダブルスを除く4種目でメダルが確定。悔いを残さないよう、ベストのプレーをしてほしい。

 それにしても、男女シングルスのベスト4に中国選手がひとりずつしか残らないというのは、団体戦を終えた時点では予測できなかった。これまでの中国の世界ジュニア代表は、ジュニアの枠を越えてシニアで活躍している選手はエントリーせず、それでも上位を独占してきた。しかし、今大会の代表メンバーは、女子ではカデットの年代の選手がふたりいるものの、ほぼベストメンバーと言っていい。第一目標である団体戦を制したとはいえ、中国にとってもショックが大きいのではないか。

 さあ、2016年ケープタウン大会の張本智和以来となる、世界ジュニアチャンピオンは誕生するのか。今からドキドキが止まりません!
●男子シングルス準々決勝
戸上 6、10、9、10 クルチツキ(ポーランド)
モーレゴード(スウェーデン) 6、−6、8、11、9 劉夜泊(中国)
馮翊新(チャイニーズタイペイ) 5、−9、−9、−11、5、8、9 ピカール(フランス)
向鵬(中国) 6、−9、7、−8、7、5 宇田

 大会第7日目の最終試合は、男子シングルス準々決勝。戸上がポーランドのクルチツキを破り、初のベスト4進出を決めた!

 徐英彬戦という難関を突破した戸上は、出足からエンジン全開。フォアへの瞬間移動のような飛びつきから、バックサイドのボールを回り込んで強打するなど、軽快な動きを見せる。バック対バックでも終始優位に立っていた。2ゲーム目の11−10ではバック対バックで失点してゲームを落としたクルチツキがいら立ちをつのらせ、ボールを叩いて吹っ飛ばし、イエローカードをもらう場面も。

 中陣での威力ある両ハンドドライブと、頭脳的なラリー展開で勝ち上がってきたクルチツキだが、フルパワーの戸上の相手ではなかった。リードを許したゲームもあったが、ストレートで戸上が押し切った。

 「団体戦で負けたショックは、本当に今まで経験したことないくらい大きかった。シングルスも、初戦からネガティブな気持ちが出てしまった。そういうところを乗り越えられたからこそ、競った場面でも我慢できて、プレーできているんじゃないかと思います。
 (2回戦の)徐英彬戦はやりやすい相手。フォアドライブだったり、レシーブの部分では自分のほうが上だと感じているし、ラリーをしていてイヤだなという部分はあまりなかった。相手が中国のエースという意識もなく、団体戦で負けたリベンジをしようと思ってプレーしました。7ゲーム目の最後の場面では、もう壁というか、ひたすらラリーにすればまだチャンスがあると思っていました」(戸上)

 団体戦での失意の敗戦から、シングルスでの躍進。この流れ、戸上がシングルス2連覇を決めた8月のインターハイに通じるものがある。「インターハイを思い出さない?」という質問には「正直思いました。あれは本当に良い経験になりました」と応えた戸上。同じ結末を迎えるとしたら……、再び表彰台の頂点に立つのはこの男だ。

 一方、惜しかったのは宇田。昨年のシングルス準決勝で敗れた向鵬と、真っ向勝負のラリー戦でゲームカウント2−2。5ゲーム目は6−3とリードして中国ベンチに先にタイムアウトを取らせたが、ここからまさかの7連続失点。このゲームを落とし、宇田の鋭い攻撃を中陣で粘り強くブロックし、反撃に出た向鵬に屈した。プレーヤーとしての成長は、今大会存分に見せつけている宇田。明日の混合複決勝に全力を注いでほしい。
●女子シングルス準々決勝
小塩 9、5、11、10 石洵瑶(中国)
呉洋晨(中国) 7、6、2、10 クリスタル・ワン(アメリカ)
キム・ウンソン(北朝鮮) 7、9、−7、−10、9、5 蒯曼(中国)
長崎 −14、−11、4、7、−3、8、6 陳イ(中国)

 なんという14歳だ!
 16年世界ジュニア女王で、今大会の中国女子の精神的支柱だった石洵瑶を、小塩遥菜が4−0のストレートで破った!!

 9月のアジアジュニア選手権でも、シングルス準々決勝で石洵瑶を4−1で破っている小塩。そのリプレイのように、出足からバックカットに強烈な変化をつけ、石洵瑶のミスを誘う。1回戦でキム・クムヨン(北朝鮮)の粒高ショートを粘り強く打ち続けた石洵瑶が、信じられないような打ちミスの連続。小塩のバックカットは強烈な横回転が入り、台の下から這い上がるように石洵瑶のコートを襲う。

「アジアジュニアで勝っていたので、戦術の面ではいろいろわかっていた。勝ててうれしいです。まず相手よりも粘ること、もうひとつ意識したのは、中国選手はまともなボールを送ると強いボールをたくさん打ってくるので、変化のあるボールをたくさん送るようにした。
 アジアジュニアでは、フォアにボールが来た時に取れないことが結構あって、フォアにボールを集めさせたくなかった。バックなら相手の回転も利用できるので、バックカットを多くしました」(小塩)。

 試合後のベンチで、笑顔で山梨有理コーチと握手した小塩。一方の石洵瑶はベンチで涙が止まらなかった。ジュニアと言えども中国の代表選手にとって、あまりに重い敗戦だ。

 ちなみに2回戦の于修ティン(チャイニーズタイペイ)戦でのマッチポイントで、相手のループドライブを打球点を落とし、フォアのカーブドライブで「横入れ(ネットを迂回させて入れる)」を鮮やかに決めた小塩。団体準々決勝のチャイニーズタイペイ戦3番でも、マッチポイントで横入れを試み、観る者をあ然とさせた。「今日の2回戦では(横入れは)狙ってました。普段から結構練習していたので出せてよかった。遊び感覚でセンスを磨いた感じです」。……センスもさることながら、何という強心臓か。

 そして前回ベスト8の長崎も、今大会では準々決勝の壁を乗り越えてベスト4進出。1・2ゲーム目ともリードしながら落とす苦しい展開だったが、ゲームオールで勝ち切ったのは、この1年の成長を証明するものだ。ベスト4のうち、中国勢で勝ち残ったのは第1シードの呉洋晨のみ。明日の準決勝では、小塩とキム・ウンソン、長崎と呉洋晨が対戦する。
●混合ダブルス準決勝
宇田/木原 −9、9、11、−5、5 向鵬/蒯曼(中国)
徐英彬/石洵瑶(中国) 5、7、5 劉夜泊/呉洋晨

混合ダブルス準決勝、宇田/木原ペアが中国の向鵬/蒯曼にゲームオールで勝利。2016年大会の松山祐季/早田ひなペア以来となる決勝進出を決めた!

今回で17回目を迎える世界ジュニア、日本勢の決勝進出は松山/早田ペアの一度きりで、その時は趙勝敏/金智淏(韓国)に敗れて銀メダルとなっている。宇田/木原の決勝の相手は、中国のエースペアである徐英彬/石洵瑶。相手にとって不足なし、明日の決勝で日本勢初Vだ。
●女子ダブルス準々決勝
Ca.ルッツ/パヴァデ(フランス) −9、−6、13、14、8 陳イ/呉洋晨(中国)
木原/長崎 6、−5、3、9 キム・クムヨン/ピョン・ソンギョン(北朝鮮)
A.ヴェグジン/K.ヴェグジン(ポーランド) −7、5、−4、7、3 周穎詩/李嘉宜(香港)
蒯曼/石洵瑶(中国) 6、−8、8、5 エイミー・ワン/クリスタル・ワン(アメリカ)

●男子ダブルス準々決勝
シドレンコ/ティホノフ(ロシア) −10、10、10、−11、10 バルデ/ピカール(フランス)
チュア・シャオハン/パン・イエウエン(シンガポール) −11、6、6、5 馮翊新/戴茗葦(チャイニーズタイペイ)
向鵬/曾蓓勲(中国) −9、8、7、−5、10 クビク/クルチツキ(ポーランド)
劉夜泊/徐英彬(中国) −8、9、11、4 グレブネフ/カツマン(ロシア)

 試合が怒涛のごとく続く大会第7日目、男女ダブルス準々決勝の結果は上記のとおり。木原/長崎が北朝鮮ペアを下し、日本勢2枚目のメダルが確定した。シングルスでは効果を発揮していたキム・クムヨンの粒高ショートも、交互に打球し、左右に大きく動かされるダブルスではシングルスほど威力を発揮せず。木原/長崎も威力ある両ハンドで確実にチャンスボールをものにした。最後の1本がエッジボールだったので、勝利の喜びはちょっと控えめでした。

 男女ダブルスとも熱戦続き。フランス、ポーランド、ロシア、シンガポールと多くの国からメダリストが誕生し、会場を大いに沸かせている。
●女子シングルス2回戦(ベスト8決定戦)
長崎 7、7、5、9 馮慧珠(香港)
小塩 4、8、6、6 于修ティン(チャイニーズタイペイ)
呉洋晨(中国) −6、4、6、−16、8、5 出澤
蒯曼(中国) −10、−5、8、8、8、4 木原
クリスタル・ワン(アメリカ) 7、−3、11、10、6 K.ヴェグジン(ポーランド)
陳イ(中国) 12、5、9、2 モンファルディーニ(イタリア)
石洵瑶(中国) 8、6、2、6 周穎詩(香港)
キム・ウンソン(北朝鮮) 9、−9、−4、7、−6、7、13 ロウレンティ(イタリア)

●男子シングルス2回戦(ベスト8決定戦)
宇田 5、7、5、8 シドレンコ(ロシア)
戸上 11、−6、11、9、−5、−3、9 徐英彬(中国)
向鵬(中国) 10、6、5、12 バルデ(フランス)
クルチツキ(ポーランド) 6、7、14、−9、8 黄彦誠(チャイニーズタイペイ)
ピカール(フランス) −10、−6、10、9、−8、9、9 パナギットグン(タイ)
モーレゴード(スウェーデン) 6、6、9、7 戴茗葦(チャイニーズタイペイ)
劉夜泊(中国) 9、−5、5、5、6 クビク(ポーランド)
馮翊新(チャイニーズタイペイ) 10、5、7、7 曾蓓勲(中国)

 眠れる獅子がついに目覚めた。男子シングルス2回戦で、戸上隼輔が徐英彬を最終ゲーム5−9からの6点連取で逆転勝利。ゲームカウント2−0から逆転された団体準決勝のリベンジだ!

 これまでの余裕のない試合運びに比べ、徐英彬という強敵を相手にしたことで、1ゲーム目から冷静かつ闘志をみなぎらせて戦っていた戸上。攻めるところとつなぐところの打ち分けがしっかりしており、バックハンドにも緩急が生まれていた。一方の徐英彬にはどこか余裕がない。4ゲーム目、8−7とリードした場面で戸上が強烈なフォアフリック。辛うじて返球した徐英彬のボールは明らかにコートを外れていたが、人差し指を立てて「イン」をアピール。もちろん認められなかったが、精神的に追い詰められていたことの現れだったのかもしれない。

 1−3のビハインドから追いつき、最終ゲームも5−3、6−4、9−5とリードしながら、最後まで余裕がなかった徐英彬。一方の戸上は7−9での激しいラリーで、フォアに来たボールを確実にフォアブロックしてから、このラリーを制した。何の変哲もないフォアブロックだったが、大会序盤からフォアのカウンターを強振してミスを重ねていた戸上の変化が見えた。このまま一気に6点連取で勝利。観客席の日本選手団に笑顔で手を振り、次の試合を待っていたT.T彩たまのチームメイト、モーレゴードと固く握手を交わした。

 女子の日本勢は、長崎と小塩がベスト8入り。出澤はアジアジュニアで勝っていた呉洋晨と壮絶なバック対バックのラリーを繰り広げたが、最後は打ち切られた。木原は蒯曼から快調に2ゲームを連取しながら、悔しい逆転負け。蒯曼の精度の高いロングサービスと、フォアサイドへの回転量の多いループドライブに苦しみ、敗れた。

これで男女シングルスでは、男子は宇田と戸上、女子は長崎と小塩がベスト8に入り、今夜行われる準々決勝を戦う。宇田対向鵬(中国)、戸上対クルチツキ(ポーランド)、長崎対陳イ(中国)、小塩対石洵瑶という対戦カードだ。
●男子シングルス1回戦
戸上 10、−7、−10、−7、6、8、5 アフマディアン(イラン)
宇田 7、8、8、−5、9 ロッシ(イタリア)
ピカール(フランス) −8、7、9、9、6 篠塚
徐英彬(中国) 7、3、10、7 グレブネフ(ロシア)
シドレンコ(ロシア) 5、−7、5、7、7 ブルゴス(チリ)
クルチツキ(ポーランド) 8、4、−2、9、−7、−8、4 ベー・クンティン(シンガポール)
黄彦誠(チャイニーズタイペイ) 9、6、8、13 ドリアン・ジョン(フランス)
向鵬(中国) 7、5、6、9 マルティンコ(チェコ)
バルデ(フランス) 8、11、3、−9、8 チュア・シャオハン(シンガポール)
モーレゴード(スウェーデン) 16、−9、−4、4、7、10 クマル(インド)
パナギットグン(タイ) 7、−8、12、−4、10、3 バン(クロアチア)
馮翊新(チャイニーズタイペイ) 7、9、4、−7、8 コソロスキー(ベルギー)
曾蓓勲(中国) 7、6、4、14 パン・イウエン(シンガポール)
戴茗葦(チャイニーズタイペイ) 8、8、9、−8、9 ジャイン(インド)
劉夜泊(中国) 4、8、4、−11、3 アンドラス(ハンガリー)
クビク(ポーランド) 6、6、7、12 カツマン(ロシア)

 男子シングルスも1回戦が終了。日本勢では戸上と宇田がベスト16に勝ち進んだが、篠塚はフランスのピカールに敗れた。戸上は2回戦で徐英彬(中国)と激突、宇田はシドレンコ(ロシア)との左腕対決だ。

 篠塚は長身のピカールに対し、1ゲームを先取したものの、ピカールは中盤から篠塚のフォアにボールを集めた。フォアに振られて大きな打ち合いに持ち込まれると、やはりパワーでは不利。相手の強打をさばくのが抜群にうまい篠塚だが、この試合ではうまく打たされた感があった。

 また、地元タイのパナギットグンがバン(クロアチア)を下し、うれしいベスト16入り。モーレゴードはインドの天才肌の左腕、クマルにゲームカウント1−2でリードされたが、そこから気合いを入れ直して4−2で勝利した。
●女子シングルス1回戦(ベスト16決定戦)
出澤 8、4、−5、6、−5、6 アブラーミアン(ロシア)
長崎 6、−8、2、−7、6、13 李婉瑄(チャイニーズタイペイ)
木原 5、8、6、6 A.ヴェグジン(ポーランド)
小塩 −9、5、5、4、8 レイチェル・スン(アメリカ)
呉洋晨(中国) 6、6、4、4 ピョン・ソンギョン(北朝鮮)
K.ヴェグジン(ポーランド) 8、−7、−9、4、9、12 Ca.ルッツ(フランス)
クリスタル・ワン(アメリカ) −8、−5、7、4、6、4 ゴーシュ(インド)
陳イ(中国) 3、−6、5、9、8 コク(フランス)
モンファルディーニ(イタリア) −5、10、−12、4、1、−7、7 プライアン(ルーマニア)
馮慧珠(香港) キケン ブラスコバ(チェコ)
キム・ウンソン(北朝鮮) 2、3、6、−10、4 エイミー・ワン(アメリカ)
蒯曼(中国) 7、−19、7、7、5 ザハリア(ルーマニア)
周穎詩(香港) 9、9、−8、11、6 パヴァデ(フランス)
于修ティン(チャイニーズタイペイ) 8、9、−10、5、2 ミチャラク(ポーランド)
ロウレンティ(イタリア) 8、8、14、8 クレー(ドイツ)
石洵瑶(中国) 6、−5、−7、7、11、−7、5 キム・クムヨン(北朝鮮)

 ジュニア女子シングルス1回戦の結果は上記のとおり。日本勢は4人揃ってベスト16進出を果たした。長崎が李婉瑄との左腕対決で、打球点の早くバックハンドとミドル攻めに苦しみ、2ゲームを落としたが、ゲームオールに持ち込まれる前にしっかり締めた。

 北朝鮮のピョン・ソンギョンを完封したのは、第1シードの右ペンドライブ型・呉洋晨。裏面連打の安定性が非常に高く、フォアドライブも巧みに緩急を操る。孤高のペンホルダー……かと思いきや、団体戦のベンチでも観客席でも、笑顔で誰にでも話しかける明るいキャラクターの持ち主だ。2回戦ではアジアジュニアのシングルス準決勝で敗れた出澤と相まみえる。
●女子シングルス1回戦
石洵瑶(中国) 6、−5、−7、7、11、−7、5 キム・クムヨン(北朝鮮)

 女子シングルス1回戦がスタート。このラウンドで最も激しい死闘となったのは、石洵瑶対キム・クムヨンだ。

 9月のアジアジュニアの団体準決勝では、日本女子から2点を奪ったキム・クムヨン。小柄なサウスポーでバック面に粒高ラバーを貼り、フォアに飛ばされた後にバックを突かれても、水平に振り下ろすような粒高ショートでズバリと切る。このショートが短く止まるため、石洵瑶としてもなかなか連続攻撃を仕掛けられない。

 石洵瑶が打ちあぐめば、ものすごいフットワークですかさず攻撃を仕掛けるキム・クムヨン。ラケットを横にスライドさせる粒高打法もスピードがあり、クセ球だ。

 実はキム・クムヨンのベンチに入っているのは、2001年世界選手権女子シングルス3位のキム・ユンミ。粒高の裏面ショートとパワードライブで、大きな話題を呼んだ粒高界の「レジェンド」だ。そう言われてみれば、粒高の面の出し方や横回転ショート、面影がある(ような気がします)。初戦で石洵瑶に当たるのはあまりに厳しいドロー、結局ゲームオールで敗れたが、今後の成長が楽しみな選手だ。
 最近の世界ジュニアでは、日本選手団と同じホテルに入ることが多かった編集部タロー。今大会は日本や中国の選手団が入るホテルではなく、会場まで歩いて1キロほどのレオソールホテルに宿泊。8泊3万円、しかし設備は新しくて快適。朝からタイ料理でガンガン飛ばしています。

 少々怖いのが会場までの移動。行きは朝のラッシュの時間帯で、会場のターミナル21の行くためには手前の大通りを渡らないといけない。歩行者信号はないので、信号が切り替わる狭間を狙って、カメラバッグを持ち上げてダッシュ。渡れた時の充実感から1日が始まります。コラートの街には「歩行者」がビックリするくらい少ない。みんなちょっとの距離でも原付や車で移動するので、歩行者は結構大変。

 そしてさらに怖いのが帰り道。野良犬ちゃんに10匹は会います。最初は「噛まれて狂犬病にでもなったら……」とビクビクでしたが、街全体でゆるーく飼われているような雰囲気。あの街角にはこの犬、と大体覚えてしまいました。屋台のところにいるヤツだけ、吠えてきて周りの人に叱られてます。

 日本の家屋内にもよく出没する「G」は、3メートル歩けば1匹はいるイメージ(見た目は大体同じ)。まあ屋外で会う分にはただの虫ですね。そして現地に着いた夜、会場まで歩いて行ってみようとした時、足もとのゴミ袋から4〜5匹のネズミくんが四方八方に散らばった時は、思わず飛び退きました。それから何度も会いますが、なかなかのビッグサイズ。「カサコソ、カサコソ」と絶えず音を立てる、大きなゴミのコンテナの横を通る時は、ヒヤリともニヤリともするのであります。