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速報・現地リポート

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世界ジュニア選手権大会

●予選グループ1・第2戦
〈日本 3ー0 タイ〉
○戸上 3、12、6 パナギットグン
○宇田 ー9、2、6、9 サムランボン
○篠塚 4、4、6 プティクンガサーン

 日本男子、予選グループ第2戦のタイ戦は確実に3ー0で勝利!
今日夜に行われる準々決勝で、第1〜4シードのロシア、チャイニーズタイペイ、中国、フランスのいずれかのチームと対戦することが決まった。

 ツインエースの戸上と宇田を2点起用し、3番は世界ジュニアのデビュー戦となる篠塚を起用した日本。トップ戸上が対戦したタイのエース、パナギットグンは長身で、高い打球点からたたきつぶすようなバック強打を連発するタイプ。フットワークはないが、そのバックハンドに戸上も苦しめられた。

 一方で、出場したタイの選手は3選手ともバックハンド主戦で、フォアのフットワークがなく、落ち着いて戦えば怖さはない。戸上は7ー10でゲームポイントを奪われた2ゲーム目を逆転で取り、サービス・レシーブからの攻守に精度の差を見せて勝利した。2番宇田の相手、サムランボンもプレーの7割ほどをバックハンドでカバーするスタイルで、宇田は1ゲーム目に台から下げられて落としたが、中盤以降はループドライブからうまく展開を作り、逆転勝ち。

 3番篠塚は「緊張はあまりしなかったけど、感覚はあまり良くなかった」というが、1ゲーム目からミスのない攻守で7ー0とリードを奪い、ストレート勝ち。ボールが吸いつくような抜群のボールタッチを見せつけた。試合態度はクールだが、チームの一員として「決勝トーナメントでは、3番で出られたら相手に向かっていく気持ちで1試合1試合戦っていきたい」と闘志を燃やしている。
 大会第2日目の世界ジュニア、タイ・コラートは快晴。最高気温は33度、最低は20度くらい。大会期間中はずっとこんな天候だ。

 今大会、3大会ぶりに予選グループからの出場となった日本男子。ジュニア男子団体出場も「すべり込み」という感じだったが、田㔟邦史監督は「南アフリカで団体10年ぶりの優勝を果たしたときも、ルーマニアとロシアに苦戦して3ー2、3ー2で勝ち上がっていって優勝したし、予選があることは特に気にしていない」と語る。2016年のケープタウン大会は予選でルーマニアの敗戦の瀬戸際まで追い詰められながら、松山祐季(現:愛知工業大)の活躍で辛くも1位通過。そして韓国との決勝では、エース木造勇人の復活劇で優勝を果たし、ジュニア男子シングルスでは張本智和が史上最年少優勝。今大会の予選グループはやや力の差がある相手だったが、3年前と同じように勢いに乗っていきたい。

「選手のコンディションは良いです。そこまで緊張感もなく、自分たちのプレーができている。宇田と戸上がもう最後の世界ジュニアなので、最後だからこそ自分たちのプレーをして、思い切りやってほしい。ふたりを軸に団体を戦っていくし、今大会をステップにして、彼らにはシニアの大会で頑張ってほしい。これで終わりではないということを頭に入れて、思い切って暴れてほしいですね」(田㔟監督)。

 宇田も戸上も、責任感の強さゆえに団体戦になるとややプレーが硬くなる傾向がある。特に戸上は、真面目すぎるほどの性格ゆえ、プレーでも少し考えすぎてしまうところがある。卓球は対人競技、正直にプレーしすぎると、相手にコースを読まれ、逆を突かれやすくなる。もっと「やんちゃ」にプレーしてもいい。田㔟監督の言うとおり、この大会はジュニア最高峰の大会であると同時に、あくまでも通過点なのだ。悔いのないプレーをしてほしい。
 やって来ました、タイ・コラート!
 東京・羽田空港からタイ・バンコクのスワンナプーム空港まで約7時間。そこから車で、なんと約4時間の道のり。今大会の開催地であるコラートに到着した時には日がとっぷりと暮れていた。途中、休憩したパーキングエリアのトイレは、水槽から洗面器で水を汲んで流すスタイルだった。

 開催地への移動が年々厳しくなっている世界ジュニア。最寄りの空港から車で2時間近くかかることも多く、17年大会の開催地であるリーヴァ・デル・ガルダ(イタリア)、18年大会が開催されたベンディゴ(オーストラリア)などは、ほとんどの人には馴染みのない街だろう。メディアには交通手段は用意されていないので、スポンサーや選手団のバスに「コバンザメ」的に乗せてもらうケースがほとんど。有り難い話ですが、少々スリリングなのだ。

 会場から1kmほどのホテルにチェックインした後、会場まで歩いてみた。今大会の会場は、真新しい巨大なショッピングモールである『ターミナル21』。その雰囲気は、まさに日本のショッピングモールそのもの。国際空港を模した作りになっており、ツッコミどころ満載の施設なのだが、それはいずれ紹介するとして……。

 「この建物のどこで世界ジュニアをやるんだ??」。頭をひねりながら進んでいくと、4階の「ターミナル・ホール」が会場だった。まるでショッピングモールやデパートの屋上で、ヒーローショーをやっているかのようだ。率直な感想は「空港から4時間も移動させて、この会場で試合をさせるのか?」ということ。世界大会でこのロケーション、選手へのリスペクトはあるのか??

 今日は現地への到着が遅くなったので、試合を取材できるのは明日25日から。今日、予選グループ第1戦でチリを破った日本男子は、地元タイとの一戦が控えている。まずは会場の雰囲気を肌で感じて、選手にもちょっと感想を聞いてみたい。
 今大会の男子団体のシーディングリストで、第5シードとなった日本男子チーム。準々決勝から出場する第4シードまでに入ることができず、予選グループからの出場となる。同じ予選グループ1に入ってきたのはチリとタイ。大会初日の11月24日にチリ、翌25日にタイと対戦する。タイのエースは、18年ジュニアサーキット・セルビアオープン2位のパナギットグン。侮れない相手だが、オーソドックスな右シェークドライブのスタイルなので日本にとっては戦いやすい。

 日本は予選グループ1を1位で通過すると、準々決勝でロシア(第1シード)、チャイニーズタイペイ(第2シード)、中国(第3シード)、フランス(第4シード)のいずれかのチームと対戦する。予選2試合でペースをつかみ、準々決勝で今大会の初戦を迎える中国を一気に呑み込む……というシナリオも描けるが、果たしてどのチームと準々決勝で当たるか。ロシアと中国、フランスとチャイニーズタイペイが同じブロックなので、まずはフランス・チャイニーズタイペイのブロックに入りたい。

 一方、日本女子はジュニア女子団体の第2シード。第1シードの中国とは決勝まで当たらず、準決勝ではチャイニーズタイペイと当たる組み合わせだ。日本にとって怖いのは、アジアジュニアのジュニア女子団体準決勝で日本が2ー3で敗れた北朝鮮が予選グループを勝ち上がると、準々決勝で当たる可能性があること。バック面に粒高を貼る左腕のキム・クムヨンがエースで、女子団体の勢力図を大きく変える存在だ。
[中国男子チーム]
徐英彬 XU Yingbin シュ・インビン 18歳 右シェークドライブ型
向鵬 XIANG Peng シャン・パン 16歳 右シェークドライブ型
曾蓓勲 ZENG Beixun ツォン・ベイシュン 16歳 右シェークドライブ型
劉夜泊 LIU Yebo リウ・イエボー 18歳 左シェーク両面裏ソフトドライブ型

[中国女子チーム]
蒯曼 KUAI Man クアイ・マン 15歳 左シェークドライブ型
陳熠 CHEN Yi チェン・イ 15歳 右シェークドライブ型
石洵瑤 SHI Xunyao シ・シュンヤオ 18歳 右シェークドライブ型
呉洋晨 WU Yangchen ウ・ヤンチェン 17歳 右ペンホルダードライブ型

 今大会、中国代表として出場する男女各4選手の顔ぶれは上記のとおり。まず男子は、16年ケープタウン大会から2大会連続3回目の出場となる徐英彬と、前回大会3位の向鵬がチームの主軸。このふたりがアジアジュニア選手権のジュニア男子シングルスでも決勝を戦い、徐英彬がゲームオール12ー10という激戦の末に勝利した。徐英彬は「まだ世界ジュニアを卒業させてもらえないのか……」というのが正直な感想だが、今大会で優勝してシニアでの活躍の足がかりとしたい。向鵬は体格は決して大きくないが、ボールセンスとパワーを兼ね備えた有望株だ。

 そして中国男子は、残るふたりも侮れない。曾蓓勲は機敏なフットワークと両ハンドのバランスに優れ、将来性という点では他の3選手と同等か、それ以上。劉夜泊は長身の左シェークドライブ型で、チキータからのバック連打を得意とするバックハンド主戦型。今年2月のITTFチャレンジプラス・ポルトガルオープンでは梁靖崑をゲームオールまで追い詰めた実力の持ち主だ。

 一方、女子はどうか。男子と同じく、16年世界ジュニア女王の石洵瑤がまたも代表入り。過去には2009〜2013年大会で顧玉ティンが5大会連続出場という記録があるが、顧玉ティンは13年大会で初優勝してめでたく世界ジュニアを卒業したのに対し、石洵瑤は初出場の16年大会で優勝し、まだ世界ジュニアにエントリーされている。ジュニアの大会なのにベテランの貫禄だ。他の中国女子に比べるとやや打球点が遅く、回転半径の大きいスイングだが、最強軍団で頭角を現すにはもう少し際立った特長がほしい

 そしてジュニア女子シングルスの第1シードである呉洋晨は、貴重な右ペンドライブ型。「世界ジュニアの中国女子代表で、ペンホルダーは始めて?」と思ったら、2008年マドリッド大会に出場した右ペン表ソフトの王大琴がいた。アジアジュニアのジュニア女子シングルス準決勝では、出澤にストレートで完封されているが、今大会で存在感を示せるか。残る蒯曼と陳熠はともに15歳。長身から両ハンドで攻める左右のシェークドライブ型だが、技術的にはまだまだ未完成。しかし、今大会で自信をつけ、急成長する可能性もあるので侮れない存在だ。
 これまで世界ジュニアの女子団体で、2度の優勝を飾っている日本女子チーム。2010年のブラティスラバ大会優勝時は、石川佳純をエースとして森薗美咲、前田美優、そして谷岡あゆかというメンバー。2016年ケープタウン大会は、加藤美優・伊藤美誠・平野美宇・早田ひなという「黄金世代」を揃えての優勝だった。そして今大会の日本女子チームも、女子団体優勝のみならず、全種目で優勝を狙える強力なメンバーが揃った。代表4名は下記のとおり。

[日本女子チーム]
長崎美柚 ながさき・みゆう

JOCエリートアカデミー/大原学園高2年 17歳 左シェーク両面裏ソフトドライブ型
出澤杏佳 いでさわ・きょうか
大成女子高2年 17歳 右シェークフォア表ソフト・バック粒高攻守型
木原美悠 きはら・みゆう
JOCエリートアカデミー(稲付中3年) 15歳 右シェークフォア裏ソフト・バック表ソフト攻撃型
小塩遥菜 おじお・はるな
JOCエリートアカデミー(稲付中2年) 14歳 右シェークフォア裏ソフト・バック粒高カット型

 左シェークドライブの長崎、右シェーク異質攻守の出澤、右シェーク・バック表攻撃の木原、そしてカットの小塩。個々の高い実力に加えて戦型も多彩だ。アジアジュニア選手権では長崎が優勝、出澤が2位、小塩が3位と3人がベスト4入り。女子シングルスの表彰台独占も夢ではない。

 今年のワールドツアーで朱雨玲(中国)を二度破るなど、シニアの大会で堂々たる成績を残している長崎は、女子シングルスの優勝候補筆頭と言っていい。女子団体、木原とペアを組む女子ダブルスも強く、3冠も射程圏内だ。全日本ジュニアチャンピオンの出澤はチームの「秘密兵器」として、対戦相手を混乱に陥れるはずだろう。木原と小塩はまだカデット(15歳以下)の年代だが、シニアの国際大会でも結果を残し、木原は世界ランキング52位、小塩は98位とトップクラスをうかがう位置まで来ている。

 世界ジュニアの個人戦のうち、男子シングルスでは松平健太・丹羽孝希・張本智和という3人のチャンピオンが誕生し、男子ダブルスでも岸川聖也/村守実(2003年)、岸川聖也/水谷隼(2004年)、町飛鳥/丹羽孝希(2010年)と3ペアが優勝している。しかし、これまで女子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルスの3種目では日本勢の優勝はまだない。特に中国勢が16大会連続で優勝している女子シングルスでのタイトル獲得は、日本チームにとってひとつの悲願とも言える。さあ、時は満ちた。
 11月24日~12月1日、タイ・コラートで行われる『NSDF 2019 ITTF世界ジュニア選手権』。ジュニア世界一を目指して、男子80名、女子81名の計161名がエントリーしている。現在の日本男女ナショナルチームや、中国ナショナルチームの主力選手の顔ぶれを見ても、ほとんどの選手が世界ジュニアを経験し、好成績を残し、シニアの国際大会で大きく飛躍していった。5年後、10年後の卓球界の未来が見えてくる大会。それが世界ジュニアだ。

 日本からは男子4名、女子4名の精鋭が出場する。今大会の日本男子の顔ぶれから紹介していこう。

[日本男子チーム]
宇田幸矢 うだ・ゆきや

JOCエリートアカデミー/大原学園3年 18歳 左シェーク両面裏ソフトドライブ型
戸上隼輔 とがみ・しゅんすけ
野田学園高3年 18歳 右シェーク両面裏ソフトドライブ型
曽根翔  そね・かける
愛工大名電高2年 16歳 右シェーク両面裏ソフトドライブ型
篠塚大登 しのづか・ひろと
愛工大名電高1年 15歳 左シェーク両面裏ソフトドライブ型

 左右のシェークドライブ型をふたりずつ揃えた日本男子。前回大会でもペアを組んだ宇田/戸上と、インターハイ学校対抗決勝でもペアを組んだ愛工大名電高の曽根/篠塚。ダブルスのペアリングもバッチリだ。9月のアジアジュニア選手権では宇田/戸上が優勝、曽根/篠塚が準優勝と大活躍した。

 実は今回、日本男子は団体出場が危ぶまれる状況だった。アジアジュニア選手権の準々決勝で韓国に2ー3で敗れてベスト8となり、上位3チームに与えられる世界ジュニアの団体出場枠を獲得できず。U-18チームランキングの上位3チームの3枠目で、「すべりこみセーフ」の出場枠獲得だった。
 世界ジュニアでは団体戦の出場選手4名には、自動的に個人戦の出場権が与えられるが、それを逃すとU-18の世界ランキング(2019年9月発表)の上位16名しか個人戦には出場できない。U-18のランキングが低い戸上や曽根は個人戦への道が閉ざされるところだった。

 今大会、選考会優勝の篠塚は初出場だが、昨年のベンディゴ(オーストラリア)大会を経験した宇田、戸上、曽根にとってはリベンジに燃える舞台でもある。宇田は徐英彬、向鵬という中国勢を連破しながら、決勝で入念に対策を練ってきた徐海東に惜敗した。魂のこもったプレーを見せた戸上は向鵬との熱戦に敗れ、緊張を隠せなかった曽根はカナダの変則サウスポー・ハジンに敗れた。それから1年。涙を流した青年たちは、ひと回りもふた回りも大きくなって世界の舞台へ戻ってくる。彼らの全力のプレーを、全力で取材します!!