速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

ジャパンオープン・荻村杯2014

 U-21男子シングルス予選リーグ、会場に多くのマスコミを集めている小学5年生の張本智和(仙台ジュニア)と、中学1年生の宇田幸矢(JOCエリートアカデミー)は、残念ながら予選リーグ突破はならず。

 昨日、フランスにアシャールに1ー3で敗れた張本は、チャイニーズタイペイの呂柏賢に対してもゲームカウント1ー1としたが、ゲームを奪うチャンスがあった第3ゲームを11ー13で落としたのが痛かった。打球点の高い両ハンドドライブが冴えたが、大きなラリー戦になると苦しくなることから、厳しいボールに対して勝負にいったボールにミスが出た。「フォア前へのサービスに対して、レシーブで決めようとしてミスが出てしまった。3ゲーム目を取れなかったのが悔しかった。U21シングルスの点数をつけると60点くらいです。40点は打ちミスと、リードされた時に立て直せなかったところ」(張本)。

 一方、昨日シンガポールの辛朝旭を破った宇田は、チャイニーズタイペイの彭王維にストレート負け。3選手が三つどもえになり、結局予選グループ3位となった。バックドライブでの攻撃は相変わらず強力だったが、こちらも決めに行ったボールのミスが多かった。ふたりは今日の夜に行われる男子ダブルスの予選トーナメントにも登場。決勝トーナメント進出を目指す。
  • 打球点の高い両ハンドで会場を沸かせた張本

  • 宇田は1勝を挙げるも予選リーグ敗退

 Uー21男子シングルス・予選グループ、2戦2勝で決勝トーナメント進出を決めた及川瑞基(青森山田高)。回転とスピードとコース取り、この3つの要素を巧みに組み合わせるラリー展開は、見ていて実に面白い。特にループドライブの使い方のうまさには思わずうなる。会心の強打も相手のミスも同じ1点。劣勢に立たされそうになった時は、絶妙なコース取りのループドライブでピンチの芽を摘み、相手のミスを誘う。故・荻村伊智朗氏の「卓球は100メートル走を走りながらチェスをするようなスポーツ」という言葉を思い出した。

 今年8月のインターハイでは、昨夏失った団体タイトルの奪還を目指す及川。卓球王国では同期の三部航平とともに、「新時代の旗手」として彼にショートインタビューを行う予定。7月発売の9月号に掲載されるので、お楽しみに!
 大会第2日目の6月19日、U-21男女シングルスの予選ラウンドが進行している。テクニックと打球点の早さの日本、パワーの韓国とチャイニーズタイペイ。そして充実ぶりが光っているのが香港だ。左写真の何鈞傑(ホ・クゥワンキ)は、ITTFワールドツアー・フィリピンオープンで優勝し、衝撃的なデビューを果たした選手。回転量の多い両ハンドドライブを操る長身のサウスポーで、台から下がっての打ち合いには滅法強い。まだ17歳だが、この数年間はひたすら中国で練習に明け暮れてきたという。これは先日のJA全農東京大会で活躍した女子の李皓晴や呉穎嵐にも言えることで、中国でどんどん選手を強化できるのは香港ならではの「強み」になっている。

 右写真は昨年の世界ジュニアで日本の酒井明日翔を破った李漢銘(リ・ホンミン)。上背はそれほどないが、精悍なルックスで、キビキビとキレのある前陣速攻を見せる。香港は現在、イタリア発祥のアパレルブランド・フィラ(FILA)がウェアのオフィシャルサプライヤー。シンプルながら地味すぎないデザインは、なかなか良い感じ。
  • 香港チームのユニフォーム。ソックスもFILAで統一

 Uー21男子シングルス予選ラウンド1回戦に登場した、中学1年生の宇田幸矢(JOCエリートアカデミー)。堂々たる体格を誇る辛朝旭(シンガポール)を相手に、レシーブからトレードマークのバックドライブをガンガン振りまくる。「この大会で当たる相手は全部格上なので、強く打たれたボールはカウンターで狙っていく気持ちでプレーした」というとおり、相手の強打に一歩も退かない堂々たるプレー。3ー1で見事な勝利を挙げた。

 身長は現在153cmというが、昨年の全日本よりも少し背が伸びていて、まだ大きくなりそう。「まずは予選リーグを抜けることが目標」と語るが、パワーの差が大きい男子では、決勝トーナメントに進出できれば大健闘と言えるだろう。試合後もJOCエリートアカデミーの渡邊隆司・男子監督とともに、試合後の反省に余念がなかった。
 張継科が大会出場をキャンセルし、昨年にも増して小粒な感は否めない中国男子。しかし、その中でキラリと光るのがふたりの左腕、呂翔(リュ・シャン)と于子洋(ウ・ズーヤン)。呂翔は92年五輪男子複金メダリストの呂林の息子。父は右日本式ペンドライブで、息子は左シェークドライブ。「最近はラケットを握っても、父もぼくにはかなわない」としばらく前にインタビューで語っていたが、まあ当たり前の話か……。強烈なパワーはないが、低く難しいボールでも正確な両ハンドドライブで狙っていける選手。

 もうひとりのサウスポー、于子洋は超級リーグの山東魏橋で馬琳とダブルスを組む選手。韓国オープンでは優勝した許シンからも2ゲームを奪った。台上プレーが巧みで、フォアのパワードライブは打球点が早く、決定率が高い。選手層の厚い中国で、ダブルス要員ではなく、シングルス代表の座をつかむことができるかどうか。それは今後の頑張りにかかっている。
  • 中国では珍しい親子鷹の呂翔

  • 于子洋はピシッと揃った前髪が気になる

 昨年、モロッコで行われた世界ジュニア選手権で、男子シングルスを制した韓国の張禹珍(ジャン・ウジン)。男子シングルスの予選ラウンド1回戦は、危なげないプレーで勝利を収めた。

 筋肉質ではあるが細身の体と、まだ少年という感じのルックスだが、内に秘めた打球センスは計り知れない。相手の位置取りを見切って、自由自在にフォアドライブを打ち分け、プレー領域を選ばない真のオールラウンダー。まだ勝負勘の部分は発展途上で、打球センスにおぼれかけてスコアが競るシーンも多いのだが、その才能に疑いの余地はない。まさに「ボールはトモダチ」という感じ。

 日本にとっては強敵になるが、中国に対抗して世界の卓球界を盛り上げていくためにも、より一層の成長が望まれる。写真右はベンチに入った先輩の鄭栄植。
ジャパンオープン荻村杯が開催し、朝10時からの試合に続々と日本選手が登場している。
女子一般予選リーグは伊藤美誠(スターツSC)、阿部恵(サンリツ)、中島未早希(サンリツ)、森さくら(昇陽高)、加藤美優(JOCエリートアカデミー)などが登場。
伊藤、阿部、加藤は勝利したが、中島、森は敗戦。しかし、まだ予選リーグなので、他の試合で勝利し、決勝トーナメント進出を決めてほしい。

そして男子では吉田雅己(愛知工業大)が先陣を斬る。序盤から強打が好調の吉田は、温侑傑(チャイニーズタイペイ)を終始圧倒。サービス・レシーブの精緻さと、丁寧な台上プレーなど、「ミスター完璧男」が素晴らしい試合を見せた。

日本リーグ明けの忙しいスケジュールだが、体調は万全のようだ。
最近は仲間との「漢気(おとこぎ)ジャンケン」でも勝ちまくっている(涙)という吉田だが、試合でも漢気を見せるか!?
  • 吉田の台上は丁寧でミスが非常に少ない

 大会初日の6月18日は、男女シングルスおよびU-21男女シングルスの予選ラウンドが行われるジャパンオープン。序盤の2日で行われるのは予選ラウンドのみ。平日ということもあり、なかなか足が向かないかもしれない。しかし、大会初日の男女シングルス/Uー21男女シングルスの予選ラウンドに出場する、日本選手の顔ぶれは実に豪華だ。

 まず男子シングルス予選には1月の全日本選手権2位の町飛鳥(明治大)、3位の上田仁(協和発酵キリン)、ベスト8の吉田雅己(愛知工業大)といずれ劣らぬシェークドライブ型の猛者(もさ)たちが顔を揃える。先週の韓国オープンで金ミン鉐(韓国)やシバエフ(ロシア)を破った大島祐哉(早稲田大)のプレーも見逃せない。パワフルなフォアドライブに加え、バックハンドの攻撃力も向上してきている。

 女子シングルス予選は多士済々。JA全農世界卓球で銀メダリストの一員になった田代早紀(日本生命)、森さくら(昇陽高)のプレーで、あの世界卓球での感動をリフレインするか。「黄金世代」と言われる中学3年の加藤美優(JOCエリートアカデミー)、中学2年の伊藤美誠(スターツSC)のプレーに驚嘆するか。加藤のプレーには独特の間合いとすぐれた予測能力があり、伊藤の両ハンドのパンチ力は、早くから「日本女子屈指のハードヒッター」とすら言われてきた。

 そして、19時試合開始予定のUー21男女シングルス予選では、男子に木造勇人(愛工大附中)、宇田幸矢(JOCエリートアカデミー)、張本智和(仙台ジュニア)といったスーパー中学生、スーパー小学生が登場。宇田の豪快なバックドライブ、同年代で無敵を誇る小学5年生の張本の両ハンド攻撃に、「この年代で、ここまでやれるのか」と驚くこと請け合いだ。これだけの選手が一堂に会するのは、全日本選手権とジャパンオープンだけ。会場でじっくり観戦すれば、きっと強くなるためのヒントが見つかるはずだ。
 大会の開幕前に伝えるにはいかにも残念なニュースだが、今回のジャパンオープン荻村杯は男子を中心に、有力選手の欠場のニュースが相次いでいる。

 まず今大会の第1シードになるはずだった世界ランキング5位の張継科(中国)が出場をキャンセル。超級リーグのシーズンまっただ中ではあるが、韓国オープンには世界ランキング1位の許シン(中国)が出場し、優勝しているだけに張継科にもぜひ勇姿を見せてほしかった。その他のアジア勢では世界ランキング12位のガオ・ニン(シンガポール)も欠場だ。
 ヨーロッパ勢では世界ランキング13位のフレイタス(ポルトガル)がキャンセル。ジャパンオープンにはこれまで出場したことがなく、ついに初出場かと思われたが……。ロシア男子のエース・シバエフ、フランスのホープ・ゴーズィもキャンセル組。6月半ばという開催時期は、中国では超級リーグのシーズン中であり、ヨーロッパではプロリーグのオフシーズン。強豪選手を集めるにはなかなか難しいタイミングだ。

 女子では平野美宇(JOCエリートアカデミー)も欠場。世界ランキングを30位まで上げ、今大会も上位進出が期待されていた。また伊藤美誠(スターツSC)と組むダブルスでも、今年に入ってワールドツアーで優勝2回・準優勝1回と絶好調だっただけに残念。
  • 張継科、6年ぶりのジャパンオープンは幻に…

  • 欧州で最もノッている男、フレイタスも欠場

 明日、6月18日に開幕するITTFワールドツアー・ジャパンオープン荻村杯。昨年に続き今年も横浜・横浜文化体育館での開催となる。日本からは先日のJA全農世界卓球東京大会代表メンバーをはじめ、多くの選手がエントリー。海外の強豪選手との好ゲームに期待したい。

 男子シングルスは昨年まで日本勢が3連覇(11年・岸川、12年・水谷、13年・塩野)を果たしており、今大会も水谷、丹羽、松平らの世界卓球代表組をはじめとする日本勢が連覇を狙う。海外選手では荘智淵、陳建安のタイペイコンビ、パワーのあるマテネ、ルベッソンらのフランス勢、世界卓球でも活躍し、それぞれ代表チームの主力になりつつあるフランチスカ(ドイツ)、鄭栄植(韓国)、クセ者の譚瑞午(クロアチア)、唐鵬(香港)らに注目だ。中国勢も若手中心のエントリーだが、各選手ともポテンシャルは高い。今大会での活躍を足掛かりに次代の中国代表の座を虎視眈々と狙っており、油断はできない。

 女子シングルスは故障から復帰2戦目となる昨年の覇者・福原に注目が集まる。先日の韓国オープンでは2回戦で梁夏銀(韓国)にストレートで敗れるなど、まだまだ本調子とはいかない様子だったが、横浜の地で「福原復活」をアピールできるか。また、石川、平野、石垣ら世界卓球準優勝メンバー、伊藤美誠、加藤美優らの若手も上位を狙う。日本以外の出場選手を見ると、アジア勢が上位争いの中心となる。男子同様に若手中心のエントリーで臨む中国、世界ランク5位の馮天薇、同12位のユー・モンユ(ともにシンガポール)、パワーヒッターの鄭怡静、黄怡樺(ともにタイペイ)らが日本選手の前に立ちはだかる。ヨーロッパ女王のリ・フェン(スウェーデン)、13年世界選手権ベスト8のフー・メレク(トルコ)にも注目だ。

 他の種目を見ると、U-21にも高校生、大学生を中心として多くの日本選手がエントリー。男子U-21には小学5年生の張本智和、昨年度の全日本でも注目を集めた中学1年生の宇田幸矢が出場。各国の若手を相手に思い切ってぶつかって欲しい。
 昨年の男子シングルスでは塩野が予選リーグで1敗を喫しながらも、決勝トーナメントを勝ち抜き優勝。この優勝をきっかけに一気に世界のトップ選手へと駆け上がった。今大会も新しいスターの誕生を横浜で見ることができるかもしれない。
  • 2年ぶり2回目の優勝を目指す水谷隼

  • 11年度大会の3位が最高成績。石川佳純が狙うは頂点のみ

  • 世界卓球で健在ぶりをアピールした荘智淵

  • 日本女子の最大のライバルはこの人、馮天薇

  • 福原愛、国内復帰戦で元気なプレーを見せてほしい