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速報・現地リポート

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アジア選手権2015速報

●男子シングルス準々決勝
黄鎮廷(香港)2、7、3、8 張禹珍(韓国)

今大会、2度も張継科を破った張禹珍が為す術なしだった。
黄鎮廷の裏面のコースが全く見えず、張禹珍は後手にまわった。裏面チキータがどっちにくるかわからず、回り込みも一歩遅れ、フォアに打たれたらノータッチ。
ラリーでも裏面で打たれると張禹珍の足が止まり、明らかに打球を追えていない。

なんとか展開を変えようと、フォア前へサービスを出したり、フォアへツッツキを送るなどしたが、フォア前は強くフリックされ、フォアの打ち合いでも黄鎮廷が上だ。
フォアが弱いペンドラなどいない。

張継科から何本もエースを取ったロングサービスも裏面ドライブで狙い打たれて、万事休す。コースがわかりづらい裏面打法、それだけで野生児・張禹珍は封じ込まれた。
  • 何本もノータッチを奪った黄鎮廷の裏面打法

  • 自分のプレーが全くできず。これほど自信なさげな張禹珍ははじめてだ

●男子シングルス準々決勝
樊振東(中国)6、6、-7、10、5 方博(中国)

恐ろしき樊振東の完璧な方博対策。
方博のショートサービスに対し、どのコースに対してもチキータで先手を取り、打ち合いに持っていく。サービスを出すのが怖い、そう方博に思わせるような完璧な立ち上がりでゲームを連取した。

方博が勝機を見い出すにはロングサービス、そしてフォアドライブでの大胆な攻めだ。世界選手権で張継科に勝ったときのような速攻戦術を3ゲーム目から敢行し、ゲームを奪うと、4ゲーム目も互角の展開に持ち込んだ。
しかし、樊振東は今度はバックストレートを有効に使い、方博の足を止める。4ゲーム目のジュースで方博のロングサービスをバックストレートへはじき返し、勝負あり。
方博の攻めたい気持ちを打ち砕くかのようなボールだった。
  • ウイニングショットもバックストレート。これで方博の足を止めた

  • 飛びついてなんとか返球するも十分な体勢でフォアを打たせてもらえなかった方博

●男子シングルス準々決勝
荘智淵(チャイニーズタイペイ) 8、9、-8、10、5 何鈞傑(香港)

タイペイのベテラン荘智淵と香港の若手・何鈞傑はお互いに台上、サービス、そしてラリーで取り合う好ゲーム。
何鈞傑はサービスの種類が多く、着実に三球目の強打に結びつける。フォアもバックもブンブン振っていく何鈞傑。体も強く、中陣でのフォアの打ち合いでも荘智淵を上回ることもあった。
しかしまだ粗さがある。4ゲーム目のジュースの場面で、台上にあがったチャンスボールをミス。5ゲーム目は丁寧にボールをつないだ荘智淵の術中にはまり、強打のミスを連発した。

それでもベスト8は本人もうれしい結果だろう。馬龍が棄権した山だったが、取りこぼしなく勝ち進んできた。この荒々しさを保ちつつ、さらに手堅くなれば化けるかもしれない。
  • ラリーの安定感では一歩上だった荘智淵

  • ブンブン振っていった何鈞傑。次世代の香港を担う存在になるはずだ

●女子シングルス準決勝
朱雨玲(中国)7、9、-6、9、5 木子(中国)
陳夢(中国)9、7、10、3 馮天薇(シンガポール)

女子シングルス準決勝は朱雨玲と陳夢が勝利。
朱雨玲は木子の強打を前陣でシャットアウト。木子のフォアドライブは強烈だが、ラリーの安定感なら朱雨玲が一枚上手。バックの表ソフトの変化にも動じず、淡々とラリーで点数を重ねた。

そして昨日の準々決勝で劉詩ウェンを破った馮天薇が陳夢に挑戦。
陳夢のバックのドライブとミート打法で回り込みのチャンスをつかめずに2ゲームを落とす。3ゲーム目の後半になってようやく無理矢理フォアで回り込み、展開を変えようとするが、ジュースに持ち込むのが精一杯だった。
劉詩ウェン戦で見せたフォア強引な攻めは影を潜め、今日は中国越えを果たせず。フォアクロスの打ち合いに持ち込めば馮天薇の展開になっていただろう。しかし、バックサイド、バックミドル、そしてフォアミドルを巧に突いた陳夢の戦術により、満足にフォアを振らせてもらえなかった。
昨日の劉詩ウェンはバックサイドにボールが集まりすぎて馮天薇に待たれてしまい、狙われたが、そのパターンにさせない陳夢の戦術が光った試合だった。
  • ラリーの女王・朱雨玲は木子の強打を跳ね返した

  • 木子はフォアの連打があれば勝機はあったが、朱雨玲のコース取りがそれをさせない

  • 徹底した戦術で陳夢が馮天薇を料理

  • 馮天薇、昨日の強引さはどこへいった。金縛りにあったかのようにバックに詰められた

●男子ダブルス準決勝
鄭栄植/李尚洙(韓国) -5、-9、12、5、8、8 森薗/大島  
樊振東/許シン(中国) 10、-9、6、5、9 丹羽/吉村

チャンス活かせず。
男子ダブルスは2ペアとも銅メダルに終わった。
2ペアとも勝負所でのミスが重なり、特に森薗/大島は試合を優位に進めながら、3ゲーム目を決めきれずにチャンスを逃した。

「最後はサービスとレシーブが乱れた。1台進行になったとき、こういう大舞台での試合はサービス・レシーブで決まる。サービスが出てしまったり、台上も狙っていきたかったけど、ミスしてしまう。世界選手権であれだけの試合をしたペアだから各国もすごく研究していると感じた。ふたりのフォア前に落とし、時々バックへ長いボールを送ってくる。それで大島がフォアで打てるチャンスが少なくなった。このペアは大島がフォアで攻めるペア、守備的になってしまっては難しい。
 この2人なら金メダルを獲れると思っていたので結果は満足できない。ふたりは経験と、そして大舞台の勝負所でのひらめき、勝負を仕掛けるアイディアがほしい。でも経験、経験とずっと言ってはいられない。そろそろ金メダルを獲ってほしい」(田勢コーチ)

五輪を見据えた丹羽/吉村のペアは中国の広角な攻めについていき、1ゲームを奪取。しかし、徐々に許シンがギアをあげ、強烈なシュートドライブを打ち込む。そしてクロスに待っていると意表を突いたカーブドライブでバックストレートを攻めてきた。

「丹羽/吉村は戦術的には勝っていて、あと1本のところだった。でも中国は後半にミスをしてくれない。吉村が戦術を組み立てて、コース取りと台上で先手をとっていたが、丹羽が決めきれなかった。
 ふたりはまだこれから五輪に向けてお互いを知る必要がある。丹羽も吉村も強力な変化サービスがあるので、レシーブも変化がついてくる。それに対してどこで待って良いのかがまだつかめていない。パターンができてくればもっと強くなるペアだ。この大会でいろいろな感覚を覚え、大舞台で中国とやり、手応えをつかんだはずだ。負けたが、今はこれくらいできると自信をつけたと思う」(倉嶋監督)
  • 大島が守備的になると苦しい

  • 3ゲーム目後半からイケイケモードに入った韓国ペア

  • 五輪に向けてコンビネーションを増やしていきたい丹羽/吉村

  • 許シンの強烈なフォア。中国は隙を見逃さない

  • 試合後、落ち込む大島。しかし全4種目よく最後まで戦った

  • 「金メダルを取れるペア」と田勢コーチの期待も高い

馬龍が棄権した山を勝ち上がってきたフィリピンのゴンザレス選手。
No.アラミヤンをストレートで破り、続くサウジアラビアの選手をフルゲームで倒し、ベスト16入りを果たした。

カットに攻撃やカーブロング、そしてポンと当てただけの粒高の釣り球など、引き出しが多く、見ていて楽しい選手だ。
ラケットをくるくると回して、いきなりバックハンドを打ってきたり、はちゃめちゃなプレーにNo.アラミヤンもたじたじだった。

彼の用具が気になり、話を聞いた。

ラケットはチェンディフェンダー
裏ソフトはブルーファイアM1ターボ
粒高はピラニアフォーミュラ-TECのOX

「スポンジがないほうが切れるし、変化がつくからこれを使っている。相手にミスをさせるのが一番だからね。
 ブルーファイアはすごく硬いラバーだけど、ぼくはカットよりも攻撃を重視している。攻撃が一番やりやすいラバーがイイ。それでカットを練習すればいいんだ」(ゴンザレス)

カットマンはカットが軸とは言うが、彼は全くの反対で、攻撃が軸でその用具でカットをできるまで修練する。
逆転の発想の用具考は、参考になる人もいるだろう。
  • 反転してフォアも粒高カット

  • バックの変化にアラミヤンは手こずった

  • 浮いたボールはすかさずバックハンド

  • ベスト16入りに大満足の笑顔だった

大会も残すところ2日間
佳境を迎えるアジア選手権7日目は以下のスケジュール(日本時間)

12時〜 男子ダブルス準決勝
14時〜 女子シングルス準決勝
16時〜 男子シングルス準々決勝
21時〜 男子ダブルス決勝
22時半〜 女子シングルス決勝

12時からの男子ダブルスには森薗/大島、丹羽/吉村が登場する。
森薗/大島は鄭栄植/李尚洙(韓国)と、丹羽/吉村は樊振東/許シン(中国)と対戦する。

女子シングルス準決勝の対戦カードは
木子(中国)vs. 朱雨玲(中国)
陳夢(中国)vs. 馮天薇(シンガポール)

男子シングルス準々決勝の対戦カードは
何鈞傑(香港)vs. 荘智淵(チャイニーズタイペイ)
方博(中国)vs. 樊振東(中国)
張禹珍(韓国)vs. 黄鎮廷(香港)
鄭栄植(韓国)vs. 許シン(中国)

残念ながら、シングルスは昨日で日本勢は姿を消した。このメンバーの中に入れないのは悔しいが、ダブルスでみせてくれるに違いない。
●混合ダブルス決勝
樊振東/陳夢(中国) 8、3、5、9 ヤン・ツー/ユ・モンユ(シンガポール)

大会6日目の最終試合、混合ダブルスの決勝が行われ、圧倒的な力で樊振東/陳夢が勝利した。
とにかく樊振東のボールは速い。前陣はもちろん、中陣からでも閃光のようなボールが相手のコートをとらえる。女子ではブロックするのが精一杯で、ユ・モンユが止めても陳夢がそれを叩きにくる。
シンガポールペアもダブルスの名手のヤン・ツーが荒らしにかかる。3回戦では方博/木子を下したトリッキーなプレーを駆使するが、樊振東/陳夢は連続でミスをしてくれず、力あるプレーに終始押されてしまった。

表彰式では、樊振東と陳夢が金メダルをぶら下げて、中国国歌の義勇軍進行曲が流れる。今大会、あと何度、この曲を聴くことになるのだろう。

日本はダブルスで男子が2ペア、女子が1ペア残っている。明日の男子ダブルス、明後日の女子ダブルスの活躍に期待したい。

表彰式には日本の大島/若宮も出席し、銅メダルを授与された。
  • 中陣からでも飛んでくる樊振東の剛球

  • シンガポールペアの快進撃も決勝でストップ

  • これでふたりは団体とあわせて2冠。4冠王の可能性を残す

  • 大島/若宮も笑顔の銅メダル!

●女子シングルス準々決勝
朱雨玲(中国) 6、4、5、-8、-20、9 伊藤

序盤、ラリーをことごとく取られ、あっという間に3ゲームを奪われた伊藤。
伊藤の超絶ストップレシーブ、フォアのブロック、バックのハーフボレーのどれを打たれても朱雨玲は対応してボールを繋ぐ。伊藤が速く打てば打つほど朱雨玲の返球も速くなり、完全にラリーを支配していた。

しかし4ゲーム目、伊藤はさらに打球のスピードを上げた。今までよりも強いフォアハンドとバックハンド、そしてそれまで三球目をバックで打っていたところでも、回り込んで強いフォアスマッシュを打つ。ラリーの中でもフォアのカウンタースマッシュを積極的に打ち、朱雨玲のブロックを打ち崩していった。打っても抜けない朱雨玲に対し、緩急崩すのではなく、朱雨玲の予測スピードを超えるスピードで打ち込んだ。

5ゲーム目の壮絶なスコアはお互いに一進一退のラリー。打ち込む伊藤、守る朱雨玲。何度もマッチポイントを握られながら、伊藤は思いきり打ち込み、5ゲーム目を奪取した。

6ゲーム目は紙一重で朱雨玲が取ったが、伊藤の非凡さを象徴するような試合で、対中国の突破口が見えたような濃厚な内容。これが中学3年生の試合とは思えない。

「最初は前半はついていけたけど、後半は離されて3ゲーム取られたけど、ラリーにはなっていたからやりにくくはなかった。自分のミスも多かったし。
 3−0に離されてから開き直って打っていったし、相手のボールも速くなって、そのボールが合っていた。回転量はあるほうだけど、それほどでもなくて、中国選手の中では少ないほうだからチャンスはあると思った。ラリーになるので、そういう選手には競れるようになっていると思う。
 3−0くらいに離されないとこういうプレーができない。思い切りいける状況にならないと難しい。3−0だからこそですね。でも序盤からできればいけるかもしれない。
 今まで一度も朱雨玲とやっていないので、やれてよかったです。中国選手はひとりひとり違うから、回転量とかサービスとかに慣れないといけない。でも朱雨玲はやりやすい。もう一度やりたいですね。サービスの組み立てとか、攻略法とかどんどん浮かんでくる。次対戦したらいけるかもしれないです」(伊藤)

敗戦後に落ち込むこともない。それどころか攻略法がどんどん浮かんでくるという伊藤。次の対戦が楽しみで仕方がない。
最後に伊藤は「おもしろかったです」とコメント。試合を楽しむ余裕、それが伊藤の強さなのかもしれない。
  • 中国と対戦するのが楽しみという伊藤はまだまだ底が見えない

  • 試合後、松崎コーチと試合分析をしていた伊藤

  • なんとか勝利したが、その顔に余裕は全くなかった

  • 孔令輝監督も声を荒げて朱雨玲に指示を出す

●女子シングルス準々決勝
朱雨玲(中国) 6、4、5、-8、-20、9 伊藤
陳夢(中国) 7、9、8、5 福原
木子(中国) 4、3、6、8 宋マウン(韓国)
馮天薇(シンガポール) 7、-7、-8、6、7、11 劉詩ウェン(中国)

福原、伊藤がメダルをかけて中国の山に挑んだが及ばず、ベスト8で姿を消した。
福原は陳夢の攻守を崩せず、緩急をつけて前に落としたボールを逆に狙われてしまう。何度も互角のラリーを展開していたが、後半の勝負所の点数がなかなか取れず、陳夢の粘りに屈した。
「陳夢は中国の中でも4・5番目の選手なので、試合回数があまりないし、苦手な選手。スコアは4-0ですが、リードした場面もあるし、8本、9本であと1本取れれば、というゲームもあった。でもその1本が大きな一歩なんですよね。
 今大会、団体戦を含めてシングルスの試合がたくさんできた。団体戦はキャプテンとして負けちゃいけないというプレッシャーの中で、良い試合もあれば反省する試合もありました。大会全体を反省して来年の五輪に向けてしっかり強化していきたい」(福原)

これでアジア選手権の全種目を終えた福原。シングルスは中国以外には負けておらず、ほぼ完勝の内容。間違いなく福原は強くなっている。
  • 攻めのバリエーションが増えている福原。今大会は強かった

  • 福原の速攻を跳ね返した陳夢