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アジア選手権2015速報

決勝戦後、倉嶋洋介監督のコメント
「吉村は練習不足が否めない。肩の調子が悪かったので、十分に練習できていない。サービスは良いが、ラリーになると足がなくて動けていなかった。練習量が足りないのでミスも多くなってしまった。しかし彼を出さないと中国には勝てないと思い、2点使いした。
 彼は100%の力を出せれば、ひらめきや長いレシーブからのラリーなどができるが、今はそこまでいかない。休息をとって、徐々に100%にしてほしい。このアジア選手権の団体決勝を経験したことが、世界選手権や五輪につながっていくと思う。

 丹羽は今までの反省を踏まえたプレーが見えた。負けたが内容は良くなってきている。チキータだけではなく、バックプッシュやサイドスピンツッツキのレシーブもしていた。丹羽は技術があるので、もっと自分で先手を取り、台上で勝負していく戦術ができればもっと良くなる。サイドスピンも下回転だけでなく、上回転を混ぜていけるといいだろう。

 大島は苦手のバックにかなり攻められていたが、対等にラリーをしていた。実は大島は本当にバックが強い選手を相手にすると、自分もバックがうまくなる不思議な選手で、張継科ともバック対バックで十分に渡り合っていた。相手のピッチが早いので回り込めないからというのもあるが、バックに絞れば『こんなにうまかったのか』と思うほどうまい。
 しかし、それだと相手のプレーに合わせているだけなので、自分からコースを変えたり、うまいタイミングでコースをついたりする技術力がほしい。大島はまだ中国との対戦経験が少ないので、レシーブミスも多かったが、それでもこれだけやれるんだというのは大きな収穫だ。

 内容的にはあと1本でどう転ぶかわからないところに持ち込むようなチャンスは作れた。オール3−0でしかも4点とか5点で負けることもなく、1ゲームを取ったり、ゲームの後半まで勝負できている。差は詰まっているが、まだまだ課題はあるし、トータル的に勝たないと中国に勝つことはできない。技術はもちろんだが、フィジカル、メンタルも鍛えないといけない。
 中国が相手だから諦めるというのではずっと勝てない。張継科に負けて大島は泣いていた。相手が中国でも負けて泣くぐらい悔しいと思わないと勝てないだろう。それでもまだ時間がかかると思う。10年前は16位だった日本が準優勝した。この位置は当たり前じゃないし、勝ち取ったものだと思う」
  • 熱く日本を引っ張る倉嶋監督

●男子団体決勝
○許シン 7、11、5 吉村
○樊振東 -6、6、6、6 丹羽
○張継科 8、-1、8、9 大島

男子団体の決勝は日本がゲームを取るが、中国にストレートで敗れた。
1番の許シンはジャパンオープン以来の吉村との対戦で、序盤はサービスに手こずったが、2ゲーム目からはギアを上げて、強烈なフォアドライブで抜き去る。
吉村は許シンの完璧なレシーブにラリーに持ち込むのが精一杯。威力で打ち込む許シンの攻撃を受けきれずに後手にまわってしまった。

2番の丹羽は新たなプレーを開拓しているように見えた。今までのようなチキータからの展開ではなく、サイドスピンツッツキやフォアフリック、そしてロングサービスを多くだし、1ゲーム目を奪取した。
2ゲーム目からは樊振東がコースを散らし、丹羽を下がらせる。下がるといっても中陣ではなく、台から少し距離を取らせるくらいだ。しかし、この距離だと樊振東の強打に対してのカウンターで狙うのは難しい。丹羽はブロックになり、強打に押されて、バックも押し込むことしかできなかった。
「今までの反省を活かして、違うプレーをしていた。しかし、2ゲーム目からまたいつもの展開になってしまった。ロングサービスをもっと出したほうが良いと言ったが、樊振東の雰囲気に飲まれたのか、ショートサービスになってしまう。試合での雰囲気、怖さが樊振東にはある」と倉嶋監督。当たって砕けろの強攻策でいく勇気は相当なものだ。丹羽を責めることはできない。

そして急成長中の大島が張継科に挑戦し、あと一歩まで追い詰めた。大島の短く切れたサービスに対し、張継科はストップとチキータのミスを連発。時折出すロングサービスにも体がつまり、張継科らしからぬレシーブミスを重ねた。
バック対バックでも大島は全く引けを取らなかったが、張継科はそこからさらにスピードのあるボールをバックストレートに打ち込む。それに対し、大島のフォアが間に合わず、得意のフォアを十分な体勢で振らせてもらえなかった。
しかし、ワールドクラスの選手と十分に戦えることを証明した大島。経験をつみ、さらなる成長を遂げてくれるはずだ。

悔しいが銀メダルに終わった日本男子。
しかし、十分に内容があった決勝戦と言えるだろう。
  • 肩の痛みからか、ラリーでの強さが影を潜めた吉村

  • 吉村のアップダウンサービスを強気のフリックで攻略した許シン

  • 下げられない戦術を徹底したい丹羽

  • 負けられない気迫に満ちていた樊振東。前でも後ろでも強い

  • 大島のバックは張継科と引けを取らなかった

  • 決して本調子ではないが、それでも勝つ張継科

  • 大会はまだ半分。個人戦に向けてチーム日本が一致団結だ

  • 9連覇を達成した中国。その牙城は高い

カットマンと一言で表現すれど、そのタイプは様々。
粘りきる、変化をつける、攻撃するなど、選手によって戦い方は違う。

バックに「フェイント・ソフト」を貼るリ・ミョンスン(北朝鮮)に話を聞いた。

「私は下がって粘るタイプだから回転量と攻撃力の両方が必要。ラケットは少し弾むし、フォアのラバーも弾むから、下がっても問題ない。
 でもバックのラバーはよくわからない。私が選んでいるわけじゃないから、コーチが私に合っていると思って使わせているんだと思う」(リ・ミョンスン)

 「コーチが選んでいるから」という言葉に少々ガックリきてしまったが、その後にチームメイトのキム・ソンイが「安定するから」と一言添えてくれた。彼女もバックにフェイント・ソフトを貼っているからわかるとのこと。
  • ラケットは朱世赫、フォアはテナジー・05

  • バックは安定タイプのフェイント・ソフト

●混合ダブルス3回戦
大島/若宮 3−0 ゴーシュ/ダス
森薗/伊藤 3−0 李佳陞/陳思羽

波に乗ってきた日本ペアが3回戦も快勝し、ベスト8入り。今朝の速報でベスト16入りと書いてしまいました。3回戦突破でベスト8入りでした。失礼いたしました。

大島/若宮は目に見えてコンビネーションが良くなり、森薗/伊藤も勝負所での強気な攻めが冴えて、一気に勝負をつけた。

「初戦は私が緊張して難しいボールを大島くんに送ってしまった。大島くんが乗っていけるような仕掛けのボールを多く使うようにしたら良くなっていきました。ミックスは楽しいので、明日の準々決勝も勝ってメダルを決めたい」(若宮)


「中国オープンでひじを傷めて、休養を多くしていたので、久々の試合だけど、悪くない入りでした。不安だったけど、男子ダブルスでは大島さんに、混合では美誠に助けられました。
 混合は苦手でしたが、日本代表として選ばれたからには打ち合わせや一緒に練習することを多くしてきました。その中でいろいろなパターンを見つけることができて、練習通りに出せたのが良かった。ぼくは大島さんとやるときは前陣だけど、美誠とやるときは少しさがったほうが良いということに気づいてからは良いプレーができるようになった」(森薗)

明日、メダルをかけて大島/若宮は黄鎮廷/杜凱栞(香港)、森薗/伊藤はチョ・イル/リ・ミギョン(北朝鮮)と対戦する。

そして本日は日本時間21時から男子団体決勝が行われる。
中国の高き壁を日本がどう崩すか、注目の一戦を待て!
  • 大島が得意の足を活かして強打を放つ

  • 底が見えないペアリング。明日はメダルを決めたい

混合ダブルスで森薗/伊藤を少々苦しめたインドネシアペア。
女子のインドリアニは快速フォアと変化バックのプレーが印象的で、どのような用具を使っているのか気になった。

ラケットは初代ゲルゲリー、フォアはオメガⅡ、そしてバックは双魚の1615だ。
スピード系裏ソフトとカーボンラケットとの組み合わせは叩く卓球にピッタリ。女子でもスピードのあるボールを打つことができる。

バックの1615はベトナムの監督曰く
「粒高だけど、粒は低め。どちらかというと粒の高い表ソフトのように使う。ブロックで下回転にもなるし、防御と攻撃ができるラバーだよ」とのこと。
粒高で相手につながせて、こちらの男子選手がドカンと打つのが彼らのパターンのようだ。

混合ダブルスのパートナーとしては頼もしいサポート役だろう。
  • フォアの威力もすごい

  • 笑顔がキュートなメガネプレーヤーだ

●混合ダブルス2回戦
森薗/伊藤 3−0 アジ/インドリアニ(インドネシア)
大島/若宮 3−1 タラン/ヌグエン(ベトナム)

日本ペア、混合ダブルスも勝利で、3回戦へコマを進めている。
森薗/伊藤はインドリアニの変化ブロックに苦しめられて、3ゲーム目はジュースに持ち込まれたが、インドネシアペアの反撃もそこまでだった。
大島/若宮はタランのパワー攻撃にやられ1ゲームを落としたが、次ゲームでは修正し、地力の差を見せた。

混合ダブルスは本日3回戦まで行われる。
キッチリ勝利して、明日に残りたい。
  • 森薗兄さんが引っ張り、なかなかのコンビネーション

  • インドリアニ(左)の変化は強烈

  • 受けにまわったが、すぐに修正した大島/若宮

  • パワー自慢のベトナムペア

●男子ダブルス1回戦
森薗/大島 3-0 エルハベッチ/モウジョゲリアン(レバノン)
丹羽/吉村 3-0 タンビリヤベチャック/ウドンシリプ(カザフスタン)

男子ダブルスに日本ペアが登場し、難なく勝利を挙げ、2回戦へ進出した。
大会に入って初の試合となる森薗はサービス、レシーブを入念にチェック。試合はないが、毎日の練習をキッチリとこなしており、動きは良い。

五輪団体のダブルスを見越した丹羽/吉村はまだまだ調整状態。
丹羽は「実力差がある相手だからサービスとレシーブで決まってしまうが、強い相手はぼくと吉村さんのサービスが出てしまった時に見逃さずにしっかり打ってくる。そういう相手とやったときにどうなるのか、まだわからない」

五輪に向けて、今は一段ずつ吉村とのコンビネーションを高めていく必要がある。
  • 森薗/大島ペアのチキータの精度はさすが

  • これからギアをあげていきたい丹羽/吉村

アジア選手権で撮れたいろいろな写真を紹介します。

まず上段左は往年のペン表なら思わずバックショートを教わりたくなる陳龍燦。
88年五輪複優勝、89年世界複優勝、そしてこのアジア選手権では88年の新潟大会で団体、単、複の三冠王に輝いています。
現在はアラブ首長国連邦の監督に就任し、指導に当たっているとのこと。
アラブ首長国連邦といえば、ドバイという都市が中国チームのスポンサーになっています。そのつながりから陳龍燦が派遣されたのでしょうか。

上段右は同じく元中国代表で09年横浜大会混合複優勝の李平。
カタールに帰化し、今大会もエースとして常に2点使いされ、圧倒的な力を見せつけています。ただ、応援時にはベンチにはおらず、自分が試合の時だけどこからともなくヒョッコリ現れる。チーム内のコミュニケーションは少々よろしくないようだ。

中段写真の中国チームは劉国梁監督が熱い指導をしているが、チームメイトは全員隣のコートが気になるよう。隣でやっていた試合は日本vsチャイニーズタイペイの大島vs江宏傑。中国選手もみんな大島をチェックをしているようです。

下段写真は表彰式でのひとコマ
2位のチームに送られた盾の重さを全員がチェック。
重いと言ったのか、軽いと言ったのかはわかりませんが、田代選手までリレーされました
  • アラブ首長国連邦を強くできるか陳龍燦

  • 李平はプレーでは申し分ない活躍だが、まだチームの輪には入れていないよう

  • みんな視線が隣コートへ

  • 昨日の決勝戦の観客席は空席が目立った。良い試合なだけにもっと盛り上がってほしい

  • もってごらんと村上監督

  • この表情は、、、重いほうか!?

大会4日目、本日から個人戦がスタート。
そして男子団体の決勝では日本が中国へ挑む。

競技スケジュールは以下のとおり(日本時間)
12時〜 混合ダブルス1回戦
13時10分〜 男子ダブルス1回戦
14時20分〜 混合ダブルス2回戦
15時〜 女子ダブルス1回戦
15時40分〜 混合ダブルス3回戦
17時〜 男女団体5〜8位決定戦
21時〜 男子団体決勝

男子ダブルス1回戦には丹羽/吉村、森薗/大島が登場。
丹羽/吉村はカザフスタンのタンビリヤベチャック/ウドンシリプと、森薗/大島はレバノンのエルハベッチ/モウジョゲリアンと対戦する。

混合ダブルスの2回戦には大島/若宮と森薗/伊藤が出場する。2ペアはシードのため、まだ対戦相手は確定していないが、実力を出せば問題ない相手だろう。
続く3回戦ではベスト16入りをかけた戦いになる。大島/若宮の相手は恐らくインドのゴーシュ/ダス、森薗/伊藤の相手は李佳陞/陳思羽(チャイニーズタイペイ)が上がってくると予想される。
決勝を振り返って村上監督はトップで流れをつかめなかったことを悔やんだ。
「愛は最高のスタートを切り、6-0リードまで良かったが、そこから逆転されて、チームとしても流れを持って行かれた。2番の伊藤は難しいと思っていたが、3番は力を出せば勝てるかなと思っていた。流れはうちにきていたけど、グイッと朱雨玲が持って行ったね。当然、実力が違うのでうまく流れをもってこないといけない。
 収穫は美誠が決勝までの相手に対し、寄せ付けずに勝利したこと。これからライバルになる選手に大きな舞台で勝てたことは大きい。美宇も大きな舞台でやれて、自信をつけている。石川が抜けて、戦力はダウンしているが、それでも決勝へ行けたのは日本が強くなっている証拠だと思う」(村上監督)

福原は
「1番の役割は団体の流れを作る人。いい流れで美誠につなぎたかったけど、悔いが残る試合になってしまいました。勝ちたい気持ちが強すぎて逆にペースを持って行かれた。決勝は食いが残る試合だったけど、良いプレーもあったので明後日からのシングルスとダブルスで良いプレーができるようにつなげていきたい」とコメント。

今大会、キャプテンに任命された福原。
選手の中でもいつの間にか最年長になり、チームのお姉さんになっている。
村上監督は「よくまとめている。キャプテンにして良かったと思う。任命したらすぐに藤井寛子にキャプテンの心得を聞きに行った」と太鼓判を押す。

伊藤と平野も「引っ張っていってくれるし、どんな場面でも大丈夫って言ってくれるから安心できる」と信頼を寄せる。
今回の日本チームの強さは、福原キャプテンが良い雰囲気を作っていたのは間違いない。
  • チームを団結させる村上監督

  • コートでもコート外でもチームを引っ張った福原