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速報・現地リポート

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世界卓球ブダペスト大会

 サブアリーナで奮闘していた今大会の男子の最年長は、1966年生まれであるパキスタンのクレシ。バックサイドのボールもすべてフォア面の裏ソフトで処理。よく手首を傷めないものだと思う。オールドファンには馴染みの「シーミラー・バックハンド」、あるいは「ボーガン・バックハンド」(1970年代から80年代にかけて活躍した、アメリカのシーミラーやボーガンが駆使していた打法)だが、最近の選手にとっては驚愕の打法だろう。

 残念ながら予選グループで姿を消したクレシ。打法の構造的に、威力あるバックドライブでサイドを切られたらやはり厳しい。世界選手権の「こだわりすぎた男たち」、2年後の世界選手権は大陸ラウンドがあるために本戦出場はなかなか厳しいが、元気にプレーを続けてほしい。
  • 全面フォア面でカバーするクレシ

  • ワイパー・フォアハンドの変化はスゴい

 男女シングルスの予選グループを見ていると、みんな同じような形になりそうで、意外なほど個性豊かなのがフリーハンド。目についた選手たちをピックアップ!

 あと1時間ほどで、日本の2ペアが出場する混合ダブルス1回戦がスタート!
  • おキツネ系は、ブラジルのジェシカ・ヤマダ

  • 握りしめる系、シポシュ(ルーマニア)

  • キリッと伸ばしたり。。

  • 四本指にしてみたり。。

  • 何となく馬龍系

  • マニキュア+ネコ手

 サブアリーナで行われていた男子シングルスの予選グループ48、メイス(デンマーク)とカラカセビッチ(セルビア)のベテラン左腕対決が実現。このふたりが同じグループになるとは……偶然にしてはできすぎている。試合が行われたコートは超満員の賑わいとなった。

 シングルスは、予選グループもすべて7ゲームズマッチで行われる世界選手権。メイスが3−1とゲームをリードし、勝利に王手をかけたが、昨日から痛がるそぶりを見せていた足の故障が悪化。持ち前のフットワークが影を潜めた。最後は得意のバックハンドにものを言わせたカラカセビッチが大量リードを奪い、勝利を決めた。
  • カラカセビッチが逆転勝利!

  • おお、アナタは! セルビア卓球協会会長の巨人・カリニッチ

  • メイス、シングルスの決勝トーナメント進出はならず…

  • かつての悪童は、静かにコートを去った

 今日、国際卓球連盟のAGM(年次総会)が行われている。その中で2021年の世界選手権個人戦はアメリカのヒューストンで開催され、2022年の団体戦は中国の成都(四川省)で開催されることが決まった。

 2021年の誘致はモロッコとアメリカの一騎打ちになった。アメリカでの世界選手権開催ははじめて。今まで、世界選手権の規模が大きすぎて、中国、ドイツ、日本、フランスなどの大きな組織を持っている国でしか開催できなかったが、規模縮小、大陸予選を行うやり方になるためにアメリカは積極的に誘致に動いたと言われている。

 2022年の誘致に関しては、日本の北九州、中国の成都、ポルトガルのリスボンの3都市の争いになったが、成都に決まった。中国での開催は2015年の蘇州以来となる。
 世界選手権個人戦は、2年後に行われる2021年大会から規模が縮小される。現在は大会の初日や2日目に予選ラウンドが行われるが、2年後からは各大陸で第1ステージが行われた後、勝ち上がった選手たちが世界選手権に出場する。男女シングルスは128名、男女ダブルスは64ペア、混合ダブルスは128ペアが出場できる。

 今大会で予選ラウンドで敗退する選手たちは、今後は世界選手権の本大会に出場することは難しくなるということだ。世界各国から集まる個性あふれる選手たちのプレーが、世界選手権で見られるのは今大会が最後だ。

 一方で、予選ラウンドに出てくる選手たちのレベルは年々上昇。目を疑うような、個性的なスイングの選手も最近はほとんどいなくなった。ネットなどで情報が共有できるようになったことが大きいのだろう。バックハンドの技術の水準も確実に上昇している。
  • コートジボアールのアリ・カナテ選手。年齢が読みにくい

  • 長身のディミトリエフスカ選手は、マケドニアから出場

  • 腕も指も長いサウジアラビアのブシュ選手

  • サウスポーの正統派、ベトナムのドアン選手

  • カタールのアル-マッキ選手は懸命のプレー

  • アゼルバイジャンのイマノワ選手、迫力あり

 大会第2日目の4月22日、ブダペストは相変わらずの快晴。初夏と言ってもいいほど暖かい。
 すでに混合ダブルスで予選が終了し、1回戦の組み合わせが決定したブダペスト大会。男女ダブルスも午後までに予選が終了し、夜に行われる男女ダブルス1回戦での日本ペアの対戦相手が決まる。夜のタイムテーブルは下記のとおり。

★4月22日・大会第2日目の決勝トーナメントの予定
18:00〜(日本時間23日午前1時〜) 混合ダブルス1回戦 ◎森薗/伊藤・吉村真/石川が出場
19:00〜(日本時間23日午前2時〜) 女子ダブルス1回戦 ◎伊藤/早田・橋本/佐藤が出場
19:45〜(日本時間23日午前2時45分〜) 男子ダブルス1回戦 ◎張本/木造、森薗/大島が出場
20:45〜(日本時間23日午前3時45分〜) 混合ダブルス2回戦

 3種目出場の男子の森薗、女子の伊藤は、いきなり3時間あまりで3試合を戦う。対戦ペアとの実力差を考えれば、このラウンドにまだ大きな不安はないが、明日は男女シングルスもスタートしてさらにハードなスケジュール。ペース配分は考えておきたいところだ。
  • 世界屈指のカットペアである橋本/佐藤、世界戦にデビュー!

  • 伊藤/早田の初戦での戦いぶりに注目だ

 混合ダブルスの予選が終わり、ドロー(抽選)によって決勝トーナメントの64ペアの対戦が決まった。

 前大会で優勝した日本の吉村真晴/石川佳純は第2シード。北朝鮮のハム・ユソン/チャ・ヒョシム、ポーランドのディヤス/パルティカあたりが上がってきそうだ。特に北朝鮮のチャ・ヒョシムはワールドツアー・グランドファイナルで韓国の張禹珍と組んで、吉村/石川組に勝っている。もちろんペアリングが違うのだから参考にしかならないが、要注意だろう。

 全日本優勝ペアの森薗政崇/伊藤美誠は韓国の張禹珍/崔孝珠と対戦することが予想され、勝ち上がっていくとメダル決定戦の準々決勝でチャイニーズタイペイの林昀儒/鄭怡静か、ドイツのフランチスカ/ゾルヤの勝者と対戦か。
 日本の2ペアは同じブロックに入っているため、勝ち上がっていけば準決勝で対戦し、中国ペアとは決勝でしか対戦しない。

 中国の樊振東/丁寧という世界ランキング1位ペアは今まで組んでいなかったために予選から出場。そして第1シードの黄鎮廷/杜凱琹(香港)の下に入った。同じブロックには中国の許シン/劉詩ウェンがいるので、ここでも中国が同士討ちの準決勝を行う可能性がある。

 日本の森薗/伊藤は初戦は22日(火)の現地時間18時(日本時間23日午前1時)にスタート、相手はウズベキスタンのテシャボエフ/カジェバ。吉村/石川も同じ時間にスイスのウエーバー/モレと対戦する。
  • 世界選手権2連覇に挑戦する吉村/石川ペア

  • 混合ダブルス1回戦の組み合わせ(クリックで拡大)

 今日4月21日は、キリスト教圏では重要な祭日であるイースター(復活祭)。ハンガリーでも、王国取材班が到着した19日の金曜日から4連休に入っている。天候にも恵まれ、ドナウ川沿いの観光地は大賑わいだ。

 会場でも、フロアでは選手たちの気迫がぶつかり合うが、一歩外に出れば穏やかな青空が広がっている。ハンガリー料理の野外レストランなどもあり、選手や観客で賑わっていた。ただし、お値段はかなり高め。食事のプレートに飲み物をつけると、お店によっては軽く4000円を超えてしまったりする。
  • ハンガリー料理の屋外レストランは盛況

  • ご覧の晴天、選手たちも屋外での食事を楽しんでいる

  • これはラーメンの屋台に違いないと、王国取材班を期待させたのだが。。

  • ラーメンとは似ても似つかぬ、プレートに盛るケバブのような料理だった

  • ベンツもイースター仕様のおめかし

 いよいよ大会が開幕したブダペスト大会。……しかし、会場に用意されたメディア用のWi-Fiの通信環境がかなり悪く、プツプツ切れたり、局地的につながったりという状況。次第に改善されつつありますが、速報が緩やかになってしまったこと、ご容赦ください。

 大会初日の朝10時、いきなりコートに登場したのは世界ランキング1位同士のペアリング、中国の樊振東/丁寧。女子の丁寧のほうがプレー領域が後ろという、面白いペアリングだが、樊振東も中・後陣でのプレーに力強さを増しており、何本もノータッチで打ち抜いていた。

 かわいそうなのは、対戦したアメリカのクマル/リリー・チャン。決勝トーナメントに進むくらいの力はあるのだが、さすがにこれは「交通事故」のようなもの。相手が悪い。ダブルスのペアとしての実績がないからと言って、世界ランキング1位が組んだペアを予選から登場させるのはいかがなものか……。
  • 6歳年上の丁寧とペアを組んだ樊振東

  • インド系と中国系のペアリング、クマル/リリー・チャン

  • 全力投球のプレーを見せたガーナのペア

  • お馴染みのウォーカー(左・イングランド)と、裏面使いのホ・ティンティンのペア

 少し古い話になるが、2005年の世界選手権上海大会で活躍したメイス(デンマーク)を覚えているだろうか。

 メイスは上海大会で、優勝候補にあげられていた王皓(中国)をロビングを混ぜたオールラウンドプレーで下すと、メダルをかけた準々決勝でハオ帥(中国)に0-3のビハインドから、滞空時間の長いロビングでドライブとスマッシュを何本もしのいで観客を味方につけると、驚異的な逆転勝ちで男子シングルスで銅メダルを獲得した。前、中、後陣とコート内の全てのスペースでプレーを行うプレーから「ファンタスティックプレーヤー」の異名を持つメイス。

 一度は引退を決めたメイスだったが、前回の世界選手権(団体戦)で復帰し、今大会では男子シングルスにエントリーした。初日の4月21日、予選リーグに登場したメイスは全盛期ほどのキレはないものの、サービスやレシーブのタッチは健在。初戦を4-0でなんなく勝利した。「身体が万全ではないので、なかなか簡単ではないけれどベストを尽くすよ」と試合後のメイス。
 予選リーグを通過して、大物選手との対戦を見てみたいファンは多いだろう。
  • 2020年東京五輪に出場するため、再び現役に復帰したメイス

  • サービスはこのラウンドでは抜群によく効く