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 10月27日、松平健太選手が、株式会社ジェイティービー(本社:東京都品川区 高橋広行・代表取締役社長)とスポンサー契約を締結したことが発表された。所属契約の開始は11月1日、契約期間は2年間。
 旅行会社の大手であるジェイティービーは、グループ本社に「スポーツビジネス推進室」を設置し、「する・みる・支える」の3つの観点からのスポーツへの貢献と新たなビジネス展開を強化している。松平選手には、JTBの事業ドメイン「国際文化事業」の発展と新たなブランドイメージの浸透への貢献が期待されている。(JTBニュースリリースより)
 11月よりJTB所属選手として活動することとなる松平選手。今後のさらなる活躍に期待がかかる。

 ワールドカップも終わり、選手団が泊まるホテルで食事をしていた。10時近くに外へ出るとそこに1台のベンツがスーと入ってきた。助手席から降りてきたのは優勝した張継科。後ろの席から馬龍が降りてきた。そして張継科に「おめでとう」と握手。どこかで食事をしてきたのだろう。
自分のホテルへ戻り、メールを開く。そこにワールドカップ組織委員会とITTFからメディア宛てのメールが入っていた。
『緊急ニュース:大会のジュリー(陪審員)は、優勝後の張継科の行動(フェンスキック)を厳罰に処す。優勝賞金45000ドルを彼は受け取ることはできない』
 「優勝後の中国テレビに対しても、会見でも、本当に申し訳ない。自分の行動は容認されるものではない」と謝罪。しかし、これも優勝直後に近寄ってきた劉国梁監督の指示(?)か。
 メールの時間を見ると、19:01。握手をしたはいいが、車から降りてきた彼が「賞金没収」の命令を知っていたかどうかはわからない。
 タフな試合で興奮していたのはわかるが、衝動的な行動ではなかっただろう。毎回、狙ったようなパフォーマンスをする張継科だが、今回の「フェンス破壊」は明らかに度が過ぎたということか。
 良くも悪くも話題性のあるチャンピオンであることは間違いない。賞金やスポンサーマネーで超リッチなチャンピオンにとって、お金よりも名誉のほうが大切だったのか。
 破天荒な張継科から目が離せない。

*写真は大会の報道担当が卓球王国へプレゼントした破壊されたフェンスの破片。当初、ここに張継科のサインをもらうという予定だったが、会見後「それは勘弁してくれ」と本人に言われた
  • 表彰式での張継科

  • 1回目に張継科が蹴ったフェンスの破片

 決勝では出足から、馬龍がリードして張継科が追いつくという展開。先に3−2とゲームをリードして王手をかけたのは馬龍。しかし、張継科は盛り返す。お互いの人間の限界を超えるような激しいラリーの応酬。近くにいたら彼らのドライブボールを目で追うのは至難だ。
 追い込まれ、集中したときの張継科の強さは格別だ。6ゲーム目を取り返し、勝負は最終ゲームへ。一進一退の展開から10−8と先にマッチポイントを取ったのは張継科だったが、馬龍は意地を見せ10−10に追いついたが、ここでびびらないのが張継科。結局12−10で勝利。
 
 思い出してみる。2011年の世界選手権。優勝した直後にユニフォームを破り、派手なパフォーマンスをした張継科。翌年のロンドン五輪の優勝では、勝った瞬間に走り出し、フェンスを跳び越え、表彰台にキスをした。2013年世界選手権では、やはり優勝を決めていきなり観客席に走り出し、両親と抱き合った。
 毎度何かやる張継科。今回は……勝った瞬間にフェンスに走り出したと思ったらなんと右足でフェンスをキックして、スポンサーのプリントされたフェンスを破壊。
 しかし、これだけでは終わらない。今度は反対方向のフェンスに走り出し、それも破壊。観客からはブーイングと拍手。その後、ユニフォームを脱ぎ、観客席に投げ込み、裸でベンチに戻った。

その後、表彰式に向かう張継科に劉国梁監督が寄ってくる。まずは握手を交わすのだが、1,2分間、顔を近づけ、何やら話す。以前のパフォーマンスでは監督から厳しく注意を受けていた張継科。しかし、両者の表情は固くはないが、笑顔もなかった。

以下は優勝記者会見での馬龍と張継科のコメント。
「張継科の優勝へ祝福を言いたい。信じられないような試合だった。中国同士の試合ではナーバスになることはない。すべての要因は自分のパフォーマンスだと思う」と馬龍。
 張継科はこう語った。
「まず試合後の自分の態度、行動を謝罪したい。そして対戦相手の馬龍にも謝りたい。準決勝のボルとの試合でも、決勝でもハイレベルな試合を観衆に見せることができたと思う。今日の決勝には勝者も敗者もいない」「準々決勝のアルーナは、アフリカのレベルが上がっている証拠だ。彼はライジングスターで将来もっと強い選手になってくるだろう」「2013年に世界チャンピオン(2度目)になってから重圧もあったし、批判されたこともある。確かにそういう大きなプレッシャーから解放されたし、次は今日のようなパフォーマンスをしないようにしたい」
  • 最終ゲームで勝った瞬間の張継科

  • まずはフェンスへ向かい、ギロチンキック

  • わざわざ反対側にも行き、キックでフェンスを粉砕

  • 裸になってユニフォームを観客席に投げ込む

  • 決勝後の会見での馬龍

  • 表彰式後の中国テレビのインタビューを受ける

 男子ワールドカップ(WC)で準決勝に進んだ水谷。準々決勝で荘智淵に勝つところまでは世界のトップランカー(ランキング8位)の実力を見せつけた。一方で、準決勝の馬龍には完敗。3位決定戦のボル戦ではあと一歩の試合を見せた。自身にとっては初のプラボールのビッグゲームで課題も見つかったようだ。

「1ゲーム目は良い形で取れて作戦通りだった。2,3ゲーム目に自滅した。凡ミスも多かった。まだ自分に自信がない。ラケットの角に当たるボールも多かった。(ボールへの対応?)う〜ん、まだまだ練習していかないといけない。ずっと悩んでいるし、手応えがない。ボルに勝つとすれば1ゲーム目みたいに積極的に攻めていって、その精度を上げていくしかない。まだ自分が未熟ということ」とボル戦に負けた後の水谷のコメント。
「プラスチックボールになって初めてのビッグゲームで、うまくできていた部分もあるがいろいろな課題が見つかった。まだ全然対応できていなくて、4,5割の感じ。これからもっと慣れていかないといけない」と準決勝後の水谷選手の総括コメント。
  • 最後は経験の差を見せ、紙一重の勝利を手にしたボル

  • ミックスゾーンで悔しさをにじませる水谷

 男子ワールドカップの最終日、3位決定戦で水谷はボルに競り負け、4位に終わった。決勝は打撃戦になり、最終ゲーム、ジュースまでもつれ、張継科が優勝した。優勝直後にはおきまりのパフォーマンス。両サイドのフェンスをキックで壊し、興奮を抑えきれなかった。

●3位決定戦
ボル(ドイツ) 4(−2、7,8,−6、2,9)2 水谷(日本)
●決勝
張継科(中国) 4(−8、4,11,−7、−2,5、10)3 馬龍(中国)
 ワールドカップの準決勝が行われ、日本の水谷は中国の馬龍にストレートで敗れた。1ゲーム目は競ったが、そこを取れなかったのが響いた。「レシーブが悪かった。試合前はチキータから4球目を狙う戦術を立てていたが、最初にチキータから点が取れなくて、どうしていいかわからなかったし、レシーブで2点取られることが多かった。チキータをうまく狙い打たれた」と試合後の水谷。
 もうひとつの準決勝、張継科とボルの試合。張継科は3−1とゲームをリードして試合は決まったと思われたが、そこからボルが盛り返し、ゲームオールまでもつれこんだが、最後は張継科がパワーで押し切った。

●準決勝
馬龍(中国)  4(9、4、6、7)0  水谷隼(日本)
張継科(中国) 4(7、−5、8、14、−6、−6、6)3  ボル(ドイツ)
  • 水谷をストレートで破った馬龍

  • 3位決定でボルと対戦する水谷

  • 張継科に惜敗したボル

  • 苦しみながらも決勝に進んだ張継科

 10月24〜26日、岩手県の花巻市総合体育館にて、全日本マスターズ選手権が開催された。各年代別が熾烈な戦いを繰り広げ、今年のチャンピオンが誕生した。

各カテゴリーの優勝者は以下の通り

サーティー
男子:田中雄仁(育英高校職員・兵庫)
女子:安部香織(長吉卓球センター・大阪)

フォーティー
男子:西村雅裕(FEVER・静岡)
女子:佐原有美(圓クラブ・愛知)

フィフティ
男子:山鹿泰史(オール長大・長崎)
女子:稲川佳代(COLOR・東京)

ローシックスティ
男子:政本尚(清友クラブ・奈良)
女子:日下部鈴子(チャイム・神奈川)

ハイシックスティ
男子:吉田雄三(ヨシダスポーツ・高知)
女子:持田恵子(サクセス・愛知)

ローセブンティ
男子:鈴木和久(逗子クラブ・神奈川)
女子:大掛まさ美(イーグルス・東京)

ハイセブンティ
男子:黒田幸彦(仙台荻クラブ・宮城)
女子:池田章子(翡翠・大阪)

ローエイティ
男子:唐橋博(代々木クラブ・東京)
女子:崔花子(練馬茜・東京)

ハイエイティ
男子:永井昭爾(川崎ラージ・神奈川)
女子:井上幸子(八日市クラブ・滋賀)

詳しい報道は卓球王国1月号(11月21日発売)に掲載予定です。
  • 男子サーティーでうれしい初優勝を飾った田中

  • 女子サーティーにおいて2度目の連覇を果たした安部

24〜26日まで愛知県体育館で行われていた全日本大学総合選手権大会(個人の部)

男子シングルスは、昨年のインターハイチャンピオン・森薗政崇(明治大)が準決勝で町飛鳥(明治大)、決勝で丹羽孝希(明治大)という名だたる先輩を破り、1年生で頂点に立った。

決勝の丹羽戦は序盤に3ゲームを取られ苦しい展開だったが、森薗は少しずつだが丹羽のスピードについていくようになり、4ゲーム目を取り返す。
そこから丹羽は少し集中力が切れたか、少しずつ崩れていき、勝負は最終ゲームへ。

最終ゲームは5-5まで点数が全く離れない取り合いだったが、5-6で丹羽が仕掛ける。この緊張の場面で丹羽が目の覚めるような台上バックドライブでレシーブエースを取った。5-7となり、このゲーム初めての2点差を作り、「さすが丹羽。これで決まったか」という空気が流れた。
しかし、そこで集中力を切らす森薗ではない。
6-8、7-8、8-8と追いつき、9-8、9-9、10-9と逆転し、チャンピオンシップポイントを握る。
最後は丹羽のチキータを前陣バックドライブで押し込み、王者丹羽を下した。

「疲れました。準決勝、決勝はもうあまり覚えていない。ただ作戦だけは考えて、丹羽さんのフォア前に下回転を出して、チキータを上から叩いていく。ボールがセルロイドだからこれができたけど、プラスチックだとできない。ブンデスリーガはプラ、全日学はセル、ボールの違いに対応するのが難しかった」(森薗)

海外でプレーする選手はボールへの対応、準備も必要となる。その中で抜群の集中力で勝ち取った森薗の優勝は価値あるものだろう。

森薗 -2、-8、-7、5、7、9 9 丹羽

男子の結果は以下のとおり
優勝:森薗政崇(明治大)
2位:丹羽孝希(明治大)
3位:吉田雅己(愛知工業大)、町飛鳥(明治大)
ベスト8:吉村真晴(愛知工業大)、大島祐哉(早稲田大)、神巧也(明治大)、山本勝也(早稲田大)

女子は丹羽美里(淑徳大)が圧倒的な攻撃力を見せて、3連覇を達成。
丹羽は「淑徳大が関東学生リーグで2部に落ちてしまった。全日学で、個人戦で“やっぱり淑徳は強い”というところを証明したかった」と気持ちが入ったプレーで、危なげない勝ち上がり。落としたゲームは全部でわずか2という圧倒的な内容で3連覇を飾った。
決勝の相手は、両ハンドの安定感、バックのミートが強力な小道野結(早稲田大)。平野容子(東京富士大)、佐藤優衣(淑徳大)とのフルゲームの大接戦を制し、準決勝では山本怜(中央大)に完勝して勝ち上がった。
全国大会では全中2位の実績はあるが、シングルスで久々の上位進出。成長を見せた。

丹羽 11、7、-9、7、4 小道野

女子の結果は以下のとおり
優勝:丹羽美里(淑徳大)
2位:小道野結(早稲田大)
3位:高橋真梨子(同志社大)、山本怜(中央大)
ベスト8:佐藤優衣(淑徳大)、鈴木李茄(専修大)、高橋美帆(淑徳大)、市川志穂(日本大)


今大会、ベスト8に入った選手は11月29〜30日の全日学選抜(大阪:なみはやドーム)への出場権を獲得する。
大会後の告知によると全日学選抜はプラスチックボールで行われるとのこと。
学生の試合も徐々にだがプラボールへの移行が進んでいる。
  • 森薗の伝家の宝刀であり、生命戦でもあるチキータ

  • 小さく拳を作り、鼓舞した丹羽だったが・・・連覇はならなかった

  • 女子では1986年以来の3連覇となった丹羽

  • 成長著しい小道野は今大会のダークホース

  • 全中、インターハイ、そして全日学と確実にタイトルを獲っている森薗

  • 笑顔で大会を締めくくった丹羽。「全日本はランク以上を狙います」

 男子ワールドカップ(ドイツ・デュッセルドルフ)の2日目、準々決勝に登場した五輪・世界チャンピオンの張継科(中国)。対するはグループリーグで松平、シバエフ(ロシア)、そして決勝トーナメント1回戦で唐鵬(香港)を、ず抜けた身体能力とパワーボールで連破したナイジェリアのアルーナ。唐鵬に勝った後には「最初からタフな試合だった。しかし、2ゲーム目からうまく対応できた。試合を通じて少しスローダウンすべきだと思っていたが、4ゲーム目の良いタイミングでタイムアウトを取ったのが良かった」とアルーナはコメント。
 張継科戦で1ゲーム目、6本でアルーナが取る。会場は完全にアルーナのプレーに魅了され、観客の応援を背中に受けてプレーする。「1ゲーム目を取った時に、4−0のストレートで勝とうとした。最初自分のサービスをうまくコントロールできなかった張継科は、2ゲーム目からうまく返してきた」という五輪金メダリストの張継科に対して大胆な発言。でも、彼の本気がゲームを熱くしたのは言うまでもない。

 明らかに張継科は焦った。ミスをすると首を振り、2ゲーム目の出足からはガッツポーズを出した。3−1とゲームをリードして勝負あったと思ったが、そこからまたアルーナは盛り返し、会場は大興奮だった。
 張継科は言う。「ものすごい競り合いだった。1ゲーム目を落とした時に私は彼のプレースタイルが理解できなかった。2ゲーム目からうまく対応できて、要所で得点できた。彼はすばらしいプレーヤーだし、だから良い試合ができた」
 目の肥えたドイツの観客を熱狂させたアルーナ。「ミスは多かったけど、五輪チャンピオンと試合ができてハッピーだったし、競った試合になって夢のようだった。もっと頑張って練習して、また今回のワールドカップのような試合をしたい」
 アフリカから恐るべき選手が出てきた。まだ終わっていない男子ワールドカップだが最大の収穫は、このアフリカのヒーローの出現だろう。
  • 焦りを隠さなかった張継科

  • アフリカの至宝、恐るべきアルーナ

大学生の全国大会、全日本大学総合選手権大会(個人の部)、通称・全日学が愛知県体育館で行われている。
2日目となる25日は、ダブルスが決勝まで行われ、男子は平野/有延(明治大)が昨年に続き、2連覇。女子は小道野/高橋(早稲田大)が初優勝した。

そして午後からはシングルス2〜4回戦がスタート。
特に男子は近年稀に見る高いレベルのメンバーが揃い、各コートで熱戦が繰り広げられた。
シングルスはベスト16まで出揃い、本日(26日)の最終日にチャンピオンが決定する。

注目の明日の対戦カードを紹介しよう。
男子シングルスベスト8決定戦
丹羽(明治大)vs.大坂(中央大)
田添(専修大)vs.吉村(愛知工業大)
東(専修大)vs.大島(早稲田大)
定松(中央大)vs.吉田(愛知工業大)
岡田(明治大)vs.山本(早稲田大)
後藤(日本大)vs.森薗(明治大)
神(明治大)vs.平野(明治大)
町(明治大)vs.厚谷(専修大)

鹿屋(法政大)、松下(明治大)、有延(明治大)、藤村(愛知工業大)、上江洲(愛知工業大)、そしてJOCエリートアカデミー卒の大塚(日本大)と松田(駒澤大)という強豪たちがランク入り(ベスト16)できないほどの今の大学男子は層が厚い。
本日の対戦はかなり見応えがあるだろう。

女子シングルスベスト8決定戦
丹羽(淑徳大)vs.山内(立命館大)
小鉢(東京富士大)vs.鈴木(専修大)
高橋(淑徳大)vs.向山(関西学院大)
高橋(同志社大)vs.中川(愛知工業大)
成本(同志社大)vs.佐藤(淑徳大)
平野(東京富士大)vs.小道野(早稲田大)
市川(日本大)vs.長尾(神戸松蔭女子学院大)
山本(中央大)vs.庄司(専修大)

女子は2連覇中の丹羽がいるものの、飛び抜けた本命はいない。そのため、誰が優勝するのか最後までわからないデットヒートとなるだろう。
新たな大学女王、ヒロインの誕生も期待できる。

男女シングルス準々決勝は本日9時30分スタートする!
  • 男子ダブルス優勝の平野/有延(明治大)

  • 女子は早稲田の小道野/高橋が制した

  • 丹羽とて苦しい試合が予想されるだろう

  • 田添に勝ち、丹羽へ挑戦したい吉村

  • 高校の先輩・松下(明治大)に競り勝った田添。1年生でランク入り

  • 女子は丹羽が3連覇に挑戦する