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 日本卓球協会は今日、3月に開催される2020年世界選手権団体戦・釜山大会の日本代表選手を発表。男女とも5名ずつの代表選手が発表された。

【男子】※:の後ろは選考理由
張本智和(木下グループ):五輪代表内定
丹羽孝希(スヴェンソン):五輪代表内定
水谷隼(木下グループ):五輪代表内定
森薗政崇(BOBSON):選考会優勝
宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園):全日本選手権優勝

【女子】
伊藤美誠(スターツ):五輪代表内定
石川佳純(全農):五輪代表内定
平野美宇(日本生命):五輪代表内定・選考会優勝
早田ひな(日本生命):全日本選手権優勝
佐藤瞳(ミキハウス):強化本部選出

 男子は選考条件を満たした5人で既に内定済み。女子は平野が五輪代表内定と選考会優勝で重複したために、残る1人は強化本部推薦で選出。日本女子世界ランキング4番手の佐藤が世界選手権団体戦では初の代表に選出された。

 今日行われた会見で、宮﨑義仁強化本部長は佐藤の選出理由を「日本選手4番手の世界ランキング17位という点、そして中国選手からも勝利を上げている実力を評価しての選出」と語った。また「五輪に向けて、五輪代表に内定している3選手を中心とした起用になると思うが、その際に強化本部推薦で選出された選手が起用されなかった場合、母体チームから不満が出る可能性もある。そうした可能性は選手の母体チームにも伝えた上で、了承を得て選手選出を行った」ともコメントした。

 日本代表選手団は3月12〜19日にかけて代表合宿を行い、3月19日に日本を発って韓国へ。大会は3月22〜29日にかけて開催される。
  • 日本女子、5人目の代表に選出された佐藤瞳(写真は19年世界選手権)

 1月22日、東京2020オリンピック代表候補選手である石川佳純選手(全農)が、都内で行われた『シスコ アスリートアンバサダー石川佳純選手メディアイベント ~卓球×テクノロジーによる戦い方改革2020~』に登場した。

 シスコは、ITおよびネットワークの世界的なリーディングカンパニー。2017年12月、シスコシステムズ合同会社(東京本社:港区)は石川佳純選手(全農)・張本智和選手(木下グループ)とアスリートアンバサダー契約を締結しており、両選手をサポートしている。

 今回のイベントでは、石川佳純選手が、シスコシステムズ合同会社の鈴木和洋氏(代表執行役員会長)、生田大朗氏(マーケティング本部 東京2020オリンピック・パラリンピック 部長)とトークを行い、石川選手のオリンピック代表候補選出までの戦いと、シスコによる最新テクノロジーによるサポート内容などが紹介された。

 試合映像を活用し、ポイントの推移やラリーの軌跡、自身と相手選手の得失点やサービスレシーブのシーンのみを選択できるという石川選手専用のアプリも披露。また、対戦相手のサービス&レシーブの分析レポートなども行われていることなどが紹介された。

 リオ五輪以降、意識的に攻撃的なプレースタイルに変革してきたという石川選手。シスコのデータ分析により、今まで以上にサービス・レシーブの意識が高くなったとのこと。
 「自分のイメージと実際ではギャップがあることが、データとしてはっきり目で見てわかったりして、とても参考になっています。データを活用することで、サービス・レシーブの意識が強くなりました。特にサービスからの得点率を上げることが重要だと感じ、より意識して練習に取り組むようになりました。12月のカナダの大会(ノースアメリカンオープン)ではサービスが効いて勝てた試合もあり、対戦したことのない選手に対しても、映像を見て分析できたのは大きかったですね」(石川選手)

 「オリンピックまで残り半年。後悔のないように、シスコのサポートをパワーに、オリンピックの舞台で一番強い自分であるようにしたい」と語った石川選手。シスコとのタッグで、東京五輪での最高のパフォーマンスを期待したい。
  • トークショーの様子(左から生田氏、石川選手、鈴木氏)

  • 実際にパッドを使ってデモンストレーションする石川選手

  • 会場のザ・リッツ・カールトン東京のグランドボールルームには、多くのメディアが駆けつけた

  • 卓球×テクノロジーでいざ五輪へ!

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 1月13〜19日に大阪・丸善インテックアリーナで開催された2020年全日本卓球。男子シングルスは宇田幸矢、女子シングルスは早田ひなの初優勝で幕を閉じた。各種目の上位入賞者は以下のとおり。


●男子シングルス
優勝:宇田幸矢(EA/大原学園)、準優勝:張本智和(木下グループ)
3位:吉田雅己(FPC)、戸上隼輔(野田学園高)

●女子シングルス
優勝:早田ひな(日本生命)、準優勝:石川佳純(全農)
3位:橋本帆乃香(ミキハウス)、伊藤美誠(スターツ)

●男子ダブルス
優勝:三部航平/及川瑞基(専修大)、準優勝:戸上隼輔/宮川昌大(野田学園高)
3位:江藤慧/松下大星(クローバー歯科カスピッズ)、笠原弘光/上村慶哉(シチズン時計)

●女子ダブルス
優勝:伊藤美誠/早田ひな(スターツ/日本生命)、準優勝:芝田沙季/大藤沙月(ミキハウス/ミキハウスJSC)
3位:塩見真希/梅村優香(ミキハウス/中央大)、長崎美柚/木原美悠(EA/大原学園/EA)


●混合ダブルス
優勝:森薗政崇/伊藤美誠(BOBSON/スターツ)、準優勝:張本智和/長崎美柚(木下グループ/EA/大原学園)
3位:軽部隆介/松本優希(鹿児島相互信用金庫/サンリツ)、上村慶哉/阿部愛莉(シチズン時計/デンソー)

●ジュニア男子
優勝:吉山僚一(愛工大名電中)、準優勝:松島輝空(木下グループ)
3位:手塚崚馬(明徳義塾高)、横谷晟(愛工大名電高)

●ジュニア女子
優勝:大藤沙月(ミキハウスJSC)、準優勝:小塩遥菜(EA)
3位:横井咲桜(ミキハウスJSC)、杉田陽南(香ヶ丘リベルテ高)

※EA=JOCエリートアカデミー

大会の詳細は「全日本卓球速報」をご覧ください↓
http://world-tt.com/ps_info/ps_report.php?bn=196&pg=HEAD&page=BACK&rpcdno=108#108
※一部、画像が表示されない状態になっております。ご迷惑をおかけしますが、復旧まで今しばらくお待ちください

「天皇杯・皇后杯 2020年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)」の模様は、卓球王国2020年4月号(2/21発売)で掲載します。
 1月10・11日、国際卓球連盟(ITTF)の実行委員会がインド・デリーで開かれ、東京2020オリンピックおよび主要なITTFの大会において、ビデオ判定〈Table Tennis Review(TTR)テクノロジー〉が採り入れられることが決まった。

 サイド・エッジの判定や、サービスでのレットの判定などにおいて、選手が審判の判定を不服とした場合にTTRを要求することができる。

 ビデオ判定(TTR)については、2019 ITTF ワールドツアー・グランドファイナル(12月)で試験的に導入され、権利は1試合に2回までで行われた(成功すれば回数は減らない)。審判の手元にはモニターが置かれ、判定はデータ処理のチームが行っていた。

 2019年の世界選手権(個人戦)女子ダブルスの決勝戦では、日本の伊藤美誠/早田ひな(スターツ/日本生命)が非常に重要な局面でのサービスの判定をめぐり審判に不服を申し出たが認められなかった。その経緯もあり、日本卓球協会はITTFにビデオ判定の導入を要望していた。

 ITTFは、選手からのレビューの要望から最終判定までの時間を短縮するなど、可能な限りベストなシステムを構築していく予定だ。

 また、世界選手権(団体戦)については、将来的に複数都市での開催を認めることを決定。ITTFは中国卓球協会(CTTA)と、中国・成都で開催される「2022年世界選手権(団体戦)ファイナル」において、中国の複数都市での開催を検討している。

 これは、サッカーやバレーボールのワールドカップなど主要スポーツイベントが採り入れている方式で、複数都市での開催により、ファンの増加、より多くの試合をテレビでカバーできるようになることなどが期待される。


  • グランドファイナルより。馬龍のサービスは頭で隠れているということで「UNSUCCESSFUL」

  • グランドファイナルより。判定場面が映された大型ビジョン

 昨日、1月6日に東京・新宿のnaked loftで、卓球王国コラムニストの伊藤条太氏のトークライブ「卓球漫談 ディープ&クレイジー! 奇天烈卓球の世界」が開催された。会場は55人定員のところに立ち見客も出るほどの盛況ぶりで、アルコールあり、食事ありの深くて、おかしなトークショー。笑いの耐えない面白ライブとなった。

内容は・・・
・80年代卓球暗黒時代
・とんでも卓球本
・卓球マニア
・奇天烈卓球史

次々画面に面白写真や映像が流れた。会場には卓球大好きのアナウンサー、福澤さんや、某大手卓球メーカー社長まで駆けつけ、2時間半を楽しんだ。

要望とお客さんがいれば、伊藤氏は全国どこでも出かける意向を表明している。
  • 独特の語り口で深い卓球話を披露する伊藤氏

  • 会場は満員、立ち見のお客さんもいた

 東京五輪・代表候補の男女各3名の発表後、会見場ではNTCで練習中の張本智和選手、石川佳純選手による囲み取材が行われた。

 張本智和選手は「正式な発表なので少し安心しました。ここから新たなスタートとして頑張りたい」とコメント。3人目の代表候補として選出された水谷に対し、「卓球を始めた頃から水谷さんを全日本選手権で見てきたし、団体戦での心強さがあります。小学5年生の時にテレビ番組で、水谷さんに『一緒に団体で戦おう』と言われたので、それが実現できてうれしい」と歓迎のコメントを残した。

 「これから毎日、頑張ることだけなのは同じだけど、近づくにつれて緊張もしてくると思うので、平常心で努力ができることは大事だと思います。大晦日と元旦の2日間は休んで、1月2日から練習をしています。足の故障は痛みもなくなり、一昨日くらいからはテーピングを外して練習しています。
 全日本選手権は去年は自分のプレーができていなくて、今年はオリンピック代表としてもっと負けられない。そのプレッシャーの中で勝つことが、オリンピックで安定して勝つことにもつながるので、全日本で優勝して今年をスタートさせたい。団体では、常に毎回2点を取るのがエースとしての自覚だし、それをやってこそ初めてエースだと思います」(張本)

 一方の石川は、チーム最年長の27歳で東京五輪を迎える。2013年に東京五輪の開催が決まった時には、夜中に母親の久美さんから電話がかかってきて、開催決定を告げられたという。「6年前はメダルを獲るのが夢でしたけど、今は『金メダルを獲りたい』と思う。それは自分自身、すごく変わった部分だと思います」と自らの成長に手応えを感じている。

 「オリンピックは初戦から決勝まで、本当に何が起きるかわからない。その中でどれだけブレずに自分のプレーができるかが大事。そこでのメンタルの調整は、過去2大会を通じて勉強できた部分が大きいと感じています。
 中国を倒すためには、やはり点を取らないとダメ。やっぱりダブルスですね。今までと違って1番がダブルスなので、ダブルスの重要性は今まで以上に高くなっているし、自分もしっかり理解している。これからダブルスの強化は、サウスポーとしてしっかりやっていきたい。それがシングルスに生きる部分も大きい」(石川)

 また、会見には不在だったが、丹羽孝希選手と平野美宇選手のコメントも発表された。両選手のコメントは下記のとおり。

「日頃より、沢山のご支援・ご声援をいただきありがとうございます。この度、東京2020オリンピック代表に推薦していただくことができました。2016年4月にスヴェンソン所属のプロ選手として活動することを決めた際にもコメントしたとおり、今まで以上に勝ちにこだわり、東京オリンピック代表を目指しプレーを続けてきました。
 代表推薦を嬉しく思うのと同時に、2大会連続メダル獲得を目指し、より一層努力し、良い結果が残せるよう頑張って参ります。2020年も多くの試合に出場する予定となっておりますので、今後とも応援よろしくお願いいたします」(丹羽)

「この度は、東京2020卓球女子代表候補に選んでいただき、大変嬉しく思います。金メダルを目指し、石川選手・伊藤選手と共に力を合わせて、チームに貢献できるように精一杯頑張りますので、皆様ご声援の程よろしくお願い致します!」(平野)
  • 「ここから新たなスタートにしたい」と語った張本

  • 石川は3大会目の五輪出場。落ち着いて抱負を語った

  • テレビ局はまさに全局集合、注目度の高さをうかがわせた

  • 夏の東京体育館で、日本チームが新たな歴史を作る!

1月6日正午、東京北区にある味の素ナショナルトレーニングセンターにて、2020年東京五輪に内定された選手が発表された。

注目の3人目は男子は水谷隼、女子は平野美宇。男女3名ずつ計6名、この選手たちで東京五輪を戦うことになる。

男子代表候補選手
張本智和(木下グループ) WR5 シングルス/団体
丹羽孝希(スヴェンソン) WR15 シングルス/団体
水谷隼(木下グループ) WR16 団体/混合ダブルス

女子代表候補選手
伊藤美誠(スターツ) WR3 シングルス/団体/混合ダブルス
石川佳純(全農) WR9 シングルス/団体
平野美宇(日本生命) WR11 団体

混合ダブルス代表候補選手
水谷隼/伊藤美誠(木下グループ/スターツ)

シングルス枠は男子は張本智和、丹羽孝希、女子は伊藤美誠、石川佳純。
混合ダブルスは水谷/伊藤のペアが選出された。

※WR=世界ランキング(2020年1月現在)

【団体戦に出場する3人目の選考の理由】

水谷隼の理由 倉嶋洋介監督のコメント
「全日本選手権ダブルスで7度の優勝、世界選手権でも2度のメダルを獲得しているダブルスの名手。右利きとのペアはもちろん、たとえ左利きとのペアでも五輪で戦える戦力になる。シングルスにおいてもリオ五輪銅メダルの実績があり、近年の世界選手権団体戦でも日本のエースとして幾度となくメダル獲得に貢献。団体戦に強さを発揮できる選手。世界ランキングでも日本人3位。チームワールドランキング2位以内を目標としてきました。
1月のチームランキングは3位ではありますが、日本人上位3選手であれば目標達成が期待できる。そして長年日本のエースとして世界と戦ってきた選手であります。数多くの厳しい戦いを乗り越えてきました。チームの精神的支柱としてチームに最大限貢献してほしい」

平野美宇の理由 馬場美香監督のコメント
「昨年出場した国際大会でのダブルスで石川と組み、アジア選手権で銅メダル、ワールドツアーで準優勝、3位など好成績を残し、ダブルスで団体戦に貢献できると判断。また2017年アジア選手権で中国3選手を破り金メダル、2017年世界選手権で銅メダルを獲得。19年世界選手権シングルスでベスト8。2020年1月の世界ランキング11位と日本選手上位3番目の成績を残しており、団体戦のシングルスでも活躍ができる。平野が団体戦メンバーに入ることでオーダーを対戦国によって変えやすくなると考えた」

混合ダブルスの理由 倉嶋監督のコメント
「ワールドツアーグランドファイナル準優勝をはじめ、各ワールドツアーで安定した実績を残した。中国の世界チャンピオンペアに対しても僅差の戦いをし、想定するライバルペアに対しても実績を積んだということ。伊藤の変幻自在なプレーと水谷の安定性がペアとしてマッチし、高い安定感と爆発力を生み出し、日本人ペアとして実力・実績・ランキングからも最もメダルに近いペアであると判断した」
 本日1月6日に卓球の日本代表が男女3名ずつ発表される。
 過去に例がないほどの激しい代表選考で、2名のシングルス枠は男子の張本智和(木下グループ)と丹羽孝希(スヴェンソン)、女子の伊藤美誠(スターツ)と石川佳純(全農)が代表内定を確実にして、協会推薦の3番手は2番手を激しく争った水谷隼(木下グループ)と平野美宇(日本生命)になるだろうというのが大方の予想だ。

 3番手の選手は団体戦に出場し、個人戦の混合ダブルスに出る可能性もある。
 仮に水谷と平野が3番手となった場合、東京五輪を目指す日本の3選手は「史上最強」の代表チームになる可能性が高い。日本女子は、現在個人の世界ランキングをもとにした「世界チームランキング」で2位を維持。男子は2020年1月発表のランキングで2位から3位に落ちたが、東京五輪までに2位に戻すことができれば、東京五輪の団体戦では中国が第1シード、日本が第2シードとなるために、日本は中国とは決勝でしか対戦しない。 もちろん、男子のドイツ、韓国のように日本を脅かす強豪国はあるにせよ東京五輪のセンターコートでは「日中対決」で金メダルを争う可能性は高い。

参考までにロンドン、リオ、そして予想される東京五輪での卓球のメンバーの世界ランキングを書き出してみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2012年ロンドン五輪(大会時のランキング)
[男子]
水谷隼 WR5
丹羽孝希 WR18
岸川聖也 WR21

[女子]
石川佳純 WR5
福原愛 WR6
平野早矢香 WR23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2016年リオ五輪(大会時のランキング)
[男子]
水谷隼 WR6
吉村真晴 WR21
丹羽孝希 WR22

[女子]
石川佳純 WR6
福原愛 WR8
伊藤美誠 WR9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仮に3番手を水谷と平野と仮定した場合・・・
[男子]1月現在のランキング
張本智和 WR5
丹羽孝希 WR15
水谷隼 WR16

[女子]
伊藤美誠 WR3
石川佳純 WR9
平野美宇 WR11
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

史上最強チームの卓球ニッポンになったのは偶然ではない。
東京五輪前の補助金を使えたことも重要ではあるが、それがすべてではない。1950年代から60年代にかけて、「卓球王国」と呼ばれ、黄金時代を迎えていた日本は、中国の台頭によって王座を奪われ、フットワークとフォアハンドに固執するプレースタイルは「時代遅れのステレオタイプ」と言われていた。男女ともに1990年代から2000年くらいまではメダルを獲得するのにも相当な苦労が必要で、中国からの帰化選手も助っ人として活躍した。

2002年に男子の中・高校生をドイツに送り込み、卓球留学をさせ、まず男子の卓球は変わった。そこで「世界で勝てるプレースタイル」を学んだ日本の若手が日本の卓球スタイルを急激に変革させた。そこから飛び出してきたのが水谷隼だった。この背景には、母体チーム(学校)、日本卓球協会、卓球メーカーによる三位一体のサポートがあった。
一方の女子は、まさに「福原愛効果」が牽引した。福原が卓球界のイメージキャラクターとしてマスコミやスポンサーの注目を浴び、実力を伴いながら、「福原チーム」というプライベートな強化チームを作り、協会とも摩擦を起こさずに、強化に努めた。福原に憧れた石川佳純や平野美宇、伊藤美誠が同じ手法でそれに続いた。

つまり、日本の卓球界は男女が異なるプロセスで強くなった。それに加え、ナショナルトレーニングセンターの設立によって、いつでもナショナルチームやトップ選手たちが集まって訓練する場所を得たことも重要であり、JOCエリートアカデミーによって、張本智和や平野美宇がそこから育っていった。つまり、日本が史上最強チームを作れた理由は、この20年間の中にあったのだ。

 史上最強の卓球ニッポンと言えども、中国の壁は厚い。ほかの競技を見ても、卓球の中国のような絶対的な強さを持った国はないだろう。
まさに1950年代、時の毛沢東主席が国威発揚として、同じアジアの日本が世界で勝てている卓球なら中国も勝てるはずだ、と卓球に力を入れ、その後、文化大革命の最中に、周恩来首相の計らいで国際舞台に卓球を復帰させ、1971年の「ピンポン外交」につなげた。まさに中国にとっての卓球は「国球」と呼ばれる、政治的なスポーツとなっていった。
 今の時代でもその根底には、卓球が世界で負けるわけにはいかないという日本人が想像できないほどの重責を中国の協会や選手たちは感じているはずだ。

 全日本男子の倉嶋洋介監督は12月の月刊「卓球王国」へのインタビュー(1月21日発売号に掲載)に、こう答えている。
「中国には隙がない。隙のあるようなチームだったら今までも勝っている。日本がこじ開けていくしかない。中国はリオ五輪の時よりもさらに強くなっている。でも、彼らを倒して金メダルを獲りたい、このまま負けて終わりたくない」
 王者・中国も「五輪史上、今回の日本は最強の相手となるだろう」と警戒している。
 日本は中国のとてつもない厚い壁にどんな穴を開けていくのか。史上最強の卓球チームはこれから7カ月間、こじ開ける穴を見つけ、勝機を見つけるための訓練に入る。
 日本の卓球界では12月に行なわれたITTFワールドツアー・グランドファイナルで、五輪代表レースにひとつの区切りをつけた。そして、明日1月6日に日本卓球協会は男女の五輪代表6名を発表する。

 代表争いが熾烈だったのは周知のとおりだが、五輪代表を争った卓球の日本男女の6選手のワールドツアーや大陸イベントへの出場した大会をカウントしてみた。張本智和(木下グループ)19、丹羽孝希(スヴェンソン)18、水谷隼(木下グループ)16、伊藤美誠(スターツ)17、石川佳純(全農)20、平野美宇(日本生命)21。日本以外の世界のトップクラスの選手でだいたい12から15の大会に参戦している。

 ヨーロッパとアジアを頻繁に往復し、時にはアメリカ大陸やオセアニアにも飛ぶ日本のトップ選手の大会参加数は他のどの協会よりも多い。もちろん、日本の五輪代表や世界選手権代表の選考基準に「世界ランキング上位者」が明記され、世界ランキングが国際競争力における日本代表のひとつの指標になっているので、世界選手権や五輪を狙う選手たちは世界ランキングを上げるためにワールドツアーに参戦する。 
 数年前から協会、そして所属チームなどが選手をサポートしているため、ワールドツアーのたびに日本からは大選手団が現地に乗り込む光景が日常化している。 

 2000年くらいまでは、日本卓球協会の強化予算も十分ではなく、代表選手に自己負担金が課せられていた時代と比べると隔世の感がある。それだけ、協会にもスポンサーが付き、JOC(日本オリンピック委員会)、JSC(スポーツ振興センター)からの補助金も下り、同時にトップ選手の経済的な状況も相当に良くなっている。

 ヨーロッパのプロ卓球リーグにはアジアやアメリカ、アフリカなどからもプロを目指す選手が集まってくる。しかし、ブンデスリーガなどのプロリーグが主な収入源の場合は、ワールドツアーに出たくても、生活のためにリーグ戦を重視するしかない。
 テニスと違うのは、一獲千金を夢見てツアーに挑むのではなく、卓球のプロ選手はプロフェッショナルとして、自分の生業のためにプロリーグに所属し、プレーすることが優先されているケースが多いことだ。ヨーロッパ選手や南北アメリカ、アフリカの選手たちは自分の協会の予算が十分でないためにワールドツアーに参加できない選手はたくさんいる。

 今後も世界ランキングを上げたい選手間で、お金を出せる日本、中国の卓球富裕国と、お金がないヨーロッパやほかの大陸選手との格差は広がっていくだろう。ランキングによる選手選考は一見、公平な競争力の指標にも見えるし、選手強化の手段のようにも見える。しかし、実際には経済力による参戦有無の不平等さがあるにも事実。 

 一方で、世界ランキングを重視して、参戦すれば強くなるのかと言えば、そうとも言えない。ワールドツアーの前からケガや故障をしないように、そして大会に照準を合わせれば合わせるほど「調整の練習」になってしまう。
 ワールドツアーで腕を磨き、世界ランキングを上げるための努力をすると同時に、どのように強化していくのか。そのバランスに選手たちは悩んでいる。 

 加盟協会が226となり、競技団体の加盟協会数としてはトップになった卓球。グローバルスポーツを標榜するにもかかわらず、その競技スポーツとしての実態はグローバルではなく、「アジアのスポーツ」に傾いている。 
 誰でも親しめる「ピンポン」が日本や中国だけでなく、世界の人々に楽しんでもらえるためには、世界ランキングとは別の物差しが卓球界に必要なのかもしれない。(今野)