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フォルクスワーゲンオープン

 19時半スタートの男女団体準々決勝に先立ち、会場では選手、役員、観客ほか全員によって、今月12日に四川省で発生した大地震の犠牲者に対する1分間の黙祷が捧げられた。会場には募金箱も設置されている。

 また、中国卓球チームはすでに先週行われたITTFプロツアー・フォルクスワーゲンオープン中国大会で、中国チームが獲得した賞金をすべて義援金として被災地に寄付すると発表している。

 
●男子シングルス予選リーグ
塩野(早稲田大) 5、16、19、8 ルンクイスト(スウェーデン) 
大矢(青森大) 2、-8、-10、5、8、4 張雁書(チャイニーズタイペイ)
高木和(東京アート) 7、9、7、11 マツモト(ブラジル)
横山(グランプリ) 8、8、8、-8、10 ボージック(ドイツ)
モンテイロ(ブラジル) -3、8、-6、4、8、4 坪口(青森大)

 いよいよ19時半開始の男女団体準々決勝が近づいてきた横浜文化体育館。フロアはにわかにざわつき、マスコミの動きもあわただしくなってきた。しかし観客の入りがもうひとつだ。もっともっとたくさんの人に地元・日本チームを応援してほしい。

下写真:ブンブンドライブで張雁書をノックアウトした大矢。気合いの坊主頭!
 男子シングルス予選リーグ。ワセダの主将・塩野真人はパワードライブのルンクイスト(スウェーデン)に対し、感動的なまでに拾いまくる。フォアを切る厳しいボールにもカーブロングで体勢を立て直し、バックカットはまさに鉄壁だ。第3ゲームはものすごいデュースの応酬。観衆の眼差しを一身に集め、躍動的なプレーを見せる塩野。20-19。ついにルンクイストの我慢の緒が切れた。両手を広げてコーチを振り返るルンクイスト、観衆からは大声援が起こった。
 塩野はこの勢いに乗じて、第4ゲームも序盤からリードを奪ってストレート勝ち。カットマンの魅力を大いにアピールする素晴らしい試合だ。久々に鳥肌が立ちました!

●男子シングルス予選リーグ
塩野(早稲田大) 5、16、19、8 ルンクイスト(スウェーデン)
 女子シングルス予選リーグ。世界ランク155位の石川佳純(ミキハウスJSC)は、同34位の李恩姫(韓国)と対戦。右ペン表ソフト速攻型で、世界団体戦広州大会では福岡春菜が苦杯をなめた相手。しかし、石川はこの強豪にまったく臆することなく立ち向かう。サービスから思い切って李のフォアにサービスを出し、李に軽打でレシーブさせてカウンターで狙い打つ。フォアスマッシュにミスが出ようと、観客から「あ~あ」とため息がわき上がろうと、積極的な両ハンドは止まらない。李も時折レシーブから強烈なフォアスマッシュを決めるが、石川の打球点の早い両ハンドに振り回され、競りあいながらも主導権は終始石川が握った。最後は石川10-6のマッチポイントから10-9まで詰め寄られてヒヤリとさせたが、最後は李のスマッシュミスで決着。堂々たるプレーで石川が予選リーグ初戦を飾った。これは今大会の戦いが楽しみになってきた。
 また、若宮三紗子も世界ランク47位のドデアン(ルーマニア)にストレートで完勝。日本女子、好調だ。

●女子シングルス予選リーグ
石川(ミキハウスJSC) 3、8、-6、9、-10、9 李恩姫(韓国)
若宮(立命館大) 9、7、5、9 ドデアン(ルーマニア)
王晨(アメリカ) 6、5、1、1 石垣(淑徳大)
●女子シングルス予選リーグ
樋浦(タイコウハウス) 8、8、-5、-1、-1、8、5 呉佳多(ドイツ)
藤井(日本生命) 6、-8、-9、7、4、6 クリスタル・ファン(アメリカ)
福岡(中国電力) 8、9、3、4 金貞弦(韓国)

 女子シングルス予選リーグの初戦、かつて四天王寺高の黄金時代を担った樋浦、藤井、福岡の四天王寺0G3人が、見事に初戦を突破。特に樋浦は世界ランク19位の呉佳多に対し、中盤で完全にペースを握られながら、第6・7ゲームとも粘りのプレーでバック対バックの打ち合いを制し、見事に逆転勝ちを収めた。
 藤井は左ペン表速攻型のファンの緩急をつけたプレーと裏面打法に苦しめられたが、最後は地力の差を見せて4-2の勝利。福岡もフォアドライブとカウンターに進境を見せ、サービスだけに頼らない充実のプレーで金貞弦を完封した。
 予選リーグの初戦だが、どの選手も動きが良い。予選リーグとはいえ、五輪代表選手も多く出場しているこの大会。一球一球、集中力の高いプレーが目立っている。
 まもなく、会場では女子シングルス予選リーグがスタート。この待ち時間の間に、多くの選手たちが練習で汗を流していた。選手だけでは端数が出るので、スウェーデンのウルフ・カールソン(85年世界選手権複優勝)、中国の閻森(00年五輪複優勝)など、監督やコーチもラケットを握ってトレーナーを務めた。

 さて、写真の選手は、ドイツからただひとり参加した男子選手、トーベン・ボージック。元ドイツ男子団体メンバーで、03年ヨーロッパ選手権準優勝などの実績の持ち主。この選手を知っているかどうか。そんなところが、マニアかどうかの分かれ道かもしれない…。

 
 女子団体1回戦が終了したのが12時少し前。男子団体1回戦が相次ぐキャンセルのために行われないので、会場は3時間あまりの「試合待ち」。
 ただいま、目の前ではクロアチアのボロスとバクラが練習中。ふたりとも長身でスタイル抜群です。バクラ、00年世界団体戦クアラルンプール大会・予選リーグの日本女子戦で、羽佳選手に勝利した一戦を思い出すな…(まるで見てきたようなことを言ってます)。

 それにしても長い空き時間。外にディスプレイしてあるニュービートルでドライブに繰り出したいような晴天です…。あ、免許がなかった。
●女子団体1回戦
韓国 3-0 ハンガリー
アメリカ 3-0 ルーマニア

 準々決勝進出をかけた女子団体1回戦は韓国とアメリカが勝利を収めた。好試合が期待されたアメリカとルーマニアの一戦は、高軍と王晨のベテラン2人が要所を締めて、アメリカがストレート勝ち。しかし、審判のサービスの判定がやや厳しく、3番ダブルスもゲームオール10-9とアメリカペアがリードしたところで、ルーマニアペアのサービスに「フォルト」の判定。一瞬、何が起こったかわからないという感じのルーマニアのふたり。よもやの幕切れはやや後味の悪さを残した。試合後の握手でも笑顔で、大人の対応を見せたサウスポーのサマラには抜群のボールセンスを感じる。

下写真:サービスがフォルトでゲームセットとなり、うなだれるイリチ(右)とパートナーのサマラ
 女子団体1回戦、韓国vs.ハンガリー。2番に登場した韓国の唐イェ序。世界団体戦・広州大会から登場した韓国女子のニューフェイス、韓国がこのまま勝利を収めれば、準々決勝で日本の前に立ちはだかるだろう。
 
 対戦相手のポータ、1回戦のもうひと試合で戦っているドデアンと王晨に比べると、唐の動きの良さ、プレーの切れ味はひと際目を引く。前陣での驚異的なブロックと高速カウンター、集中力を切らさないプレーは見事だ。これだけの選手がチャンスを与えられない中国の層の厚さを、改めて感じずにはいられない。
 
 おかっぱ頭に黒目がちな瞳、ガッツあふれるプレーぶり。インターハイでよく見る、女子のシェーク前陣型を彷彿とさせるが、そのスケールは格段に違う。日本女子、これは手強い相手だ。
 女子団体1回戦、ルーマニアvs.アメリカ戦の2番。第1ゲームからサービスの判定が厳しく、両者ともすでに3本はフォルトを取られている。ルールには厳格でなければならないが、あまり試合の流れを止めるのもいかがなものだろうか。
 ゲーム間のベンチでは、若いドデアンは人差し指を振ってイライラが爆発。監督は苦笑いでなだめるしかない。ベテランの王晨は「こういうこともあるでしょう」と淡々としたもの。それでも両者、試合中はまったく集中力を切らさず、好ラリーを展開している。