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世界選手権横浜大会(世界卓球 ブルーライト横浜速報 伊藤条太の机上の空論 web express)

女子の世界チャンピオンと五輪チャンピオンの年齢についても調べてみた。
女子の最年少はアーロンズの17歳だ。

女子の大会は男子と同数だけ開催されているが、女子のチャンピオンは男子より一人多い56人いる。1937年の決勝が制限時間に終わらなくて、決勝を争った二人とも失格になり、優勝者なしとなったのだ。それから64年後の2001年、ITTFはこの判断が間違いだったとして、二人とも優勝とすることにして名誉の回復を図った。それで男子より一人多い56人なのだ。

その一人が実は最年少記録をもっていたアーロンズだ。しかしアーロンズは、失格にされたことに腹を立て、卓球界を去ってしまった。相手のプリッツィは卓球を続け、翌年も優勝している。

なんといっても凄いのは、女王といわれたロゼアヌだろう。28歳からの6連勝だ。この記録はとても破られそうにない。

女子もやはり平均は23歳くらいで、二十歳前後での優勝は珍しくもなんともない。日本代表にもがんばってもらいたい。
世界チャンピオンたちの歳を調べるのにITTFの75周年記念誌を使ったと書いたが、これは2001年の世界選手権大阪大会の会場で買ったものだ。450ページもある分厚いやつで、すばらしい本だ。全編英語なのでほとんど読んでいないが(誕生日を拾うのがやっとだった)、誰か訳してくれないものだろうか。誰もやらないなら私がやろうかと思っているが、何年かかるかわからないので、できれば専門家にやってほしいものだ。

著者はズデンコ・ウゾリナッチという人だが、さすがの私もどういう人なのか知らない。1926年から2001年までの世界チャンピオンたちをエピソードを交えて一人づつ紹介しているのだから、よほどの物好きと見える。表紙をめくるとさっそく、富田芳雄とバーグマンの名場面の写真が目に飛び込んでくる。気がきいている。

卓球マニアならぜひとも持っていたい一冊だ。
今日、4/25から横浜で卓球の『スポーツ科学会議』が開かれている。http://www.jtta.or.jp/11th_ittf_ssc/index-j.html
2001年の大阪大会のときは卓球のテレビ放送について発表をした。今回も聴講したかったが、残念ながら行けないことになった。

それで、大阪のときにお世話になった辻さん(大阪大学名誉教授)に行けなくなった旨を連絡すると、ありがたいことに、平成20年の研究成果の冊子が送られてきた。

「ラケット質量が卓球のフォアハンドドライブ動作に与える影響」とか「卓球ラケット・ラバーの力学的挙動に及ぼす接着剤の影響」とか、目次を見るだけでよだれが出てくる内容だ。これらの研究が何の役に立つかはわからないが、とにかく楽しい。

私は「机上の空論」という言葉が大好きだが、どこが好きなのか考えてみると、まず私自身が机上の空論を語るのが大好きだ。加えて、他人の意見を「机上の空論だ」と批判することも楽しい。なによりこのいかめしい言葉が大好きなのだ。

こう書くと、まるで『スポーツ科学委員会』が机上の空論ばかりやっていると言いたいのかと誤解されそうだが、そうではない。そうではないが、まあ、そういうことがありがちだということだ(笑)。そこが研究の難しいところで。

こんな楽しい本が、一般に売られもせずひっそりと作られているだけだなんて、もったいないと思うのは私だけだろうか(あと10人ぐらいはいそうだ)。
卓球の世界チャンピオンの最高齢は何歳かご存知だろうか。
実は私もよく知らなかった。すぐに思いつくのは、河野満とワルドナーが30歳ぐらいだったことぐらいだ。私の記憶では、この二人以外で30歳以上で世界チャンピオンになった人は少なくとも1952年の佐藤博治以降は一人もいないはずだ。それ以前に30歳以上のチャンピオンがいなければ、ワルドナーと河野満が最高齢ということになる。

しかしこれまで世界チャンピオンの年齢のデータなど見たことがない。こうなったら自分で調べるしかない。面倒だが、何日かかけて手元にあったITTFの75周年記念誌や古い卓球雑誌でチャンピオンたちの生年月日と大会の最終日(通常男子シングルスをやる日)を調べ上げ、チャンピオンになったときの年齢をつきとめた。対象は、49人の世界チャンピオンと6人の五輪チャンピオンの合計55人だ。

ここにその結果を報告する。こういうデータはどこでも見たことがないので、史上初の資料だと思う(日本の卓球雑誌の情報と食い違っていたこともかなりあったが、ここでは一応、ITTF記念誌の方を信用することにする)。二回以上チャンピオンになった者には色をつけた。

意外だったのは、最高齢は第二回(1928年)世界チャンピオンのメクロビッツの37歳だったことだ。次は初代世界チャンピオン・ヤコビの35歳。しかしこの時期は、ネクタイに革靴でプレーをしていた時期で、あまりスポーツという感じはしないから、対象から外したい。それを除くと、バーグマンとワルドナーの31歳が最高齢だった。さすがキング・ワルドナーだ。バーグマンはなんと最年少の18歳と最高齢の31歳の両方で世界チャンピオンになった、本当にとんでもない選手だったことがわかる。しかも第二次世界大戦で大会が開かれなかった時期をはさんでのこの記録なのだ。考えられない凄さだ。

もうひとつ感じたのは、思ったよりも若いチャンピオンが多かったことだ。ピークは21歳にあり、20歳のチャンピオンなど当たり前、18歳でも全然普通だ(しかし18歳未満は一人もいない)。これは、卓球というスポーツは進化が激しいため、古い世代の選手が新しい世代の新しい技術によって次々と敗れてきたためだと思う。卓球は他のスポーツよりは体力や筋力の占める割合が少ないと思われるが、それでも31歳以上のチャンピオンがいないというのは、「実は体力を使うから」というよりは「進化が激しいから」のような気がする。

横浜で優勝候補筆頭の王励勤(30歳)や馬琳(29歳)は、この記録から見るともう最高齢の部類に属している。19歳の水谷も18歳の松平も、遠慮はいらない、いつ優勝してもおかしくはないのだ。それどころか、この後はむしろどんどん確率が下がるばかりなのだ。なんと厳しい世界なのだろう。
「来月発売号の雑誌の原稿にタイムマシンを使ったオールタイム世界選手権のフィクションを書いた」とブログに書いたところ、さっそく読者からその結果予想のメールをいただいた。

彼の予想は
優勝:荘則棟
準優勝:田中利明
ベスト4:郭躍華、江加良
ベスト8:荻村伊智朗、ワルドナー、王励勤、バーグマン

ということだった。結果はかなり違うが、このメンバー自体は原稿に全員が出てくるので、関心事はほとんど同じといえる。

私は、昔の伝説的な選手を尊敬したい気持ちがある反面、卓球の進化を考えれば、新しい選手が勝つだろうという確信もあるので、そこをうまく両立しながらなおかつギャグを入れた楽しい原稿にしたつもりだ。

タイムマシンをつかった世界選手権の話は、学生時代に二番弟子の田村としょっちゅう話し合っていたことだ。こんな与太話を雑誌に書ける日がくるとはまったく夢のようである。
編集部からはまだウエブが立ち上がった連絡はないが、見つけたのでもう書いてしまおう。とても待ちきれない。まだ世界選手権は始まっていないが、私の中ではとっくに始まっているので(というより年中世界選手権だ)もう速報開始だ!

今回の速報ブログは題名もいいし、デザインも青でかっこいい。なにより題名がいい。私は学生時代から無性に『机上の空論』というフレーズが好きだったのだ。それが、たまたま今野編集長から提案されたのだから、うまくしたものだ。ちなみにこの題名は、4/25から開催されるスポーツ科学会議http://www.jtta.or.jp/11th_ittf_ssc/index-j.htmlからヒントを得ているらしい

今気がついたが、プルーライト横浜だからデザインが青なのか!編集部も考えたな!