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速報・現地リポート

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世界選手権ドルトムント大会(団体戦)

〈日本 2-0 ロシア〉
○水谷 8、7、12 シバエフ
○丹羽 -8、8、-12、8、13 スミルノフ
 松平 対 スカチコフ
 水谷 対 スミルノフ
 丹羽 対 シバエフ

 なんという強心臓。丹羽孝希、最終ゲーム1-8からスミルノフを逆転し、日本に大きな大きな2勝目をもたらした! さすがに冷静には見ていられなかった。思わず記者席でスタンディングオベーションだ。

 右利き(スミルノフ)と左利き(丹羽)の違いはあるが、ともに前陣での両ハンド速攻を主体に戦う両者の対戦。スミルノフのバックドライブは威力十分で、「取りあえずバック」に送ったボールは一発で決められる。ともにサービスもうまく、最後までサービスエース合戦になった。丹羽は競り合いになった第3ゲームを落とし、第5ゲームも1-2から6点連取を喫して1-8。万事休すかと思われたが、ここからスミルノフも勝利を意識したか、ミスが続いてついに9-9。日本応援団の興奮も最高潮。

 最後はマッチポイントを取って、取られての中で、丹羽がフォアストレートへのフォアドライブを決め、大逆転勝ちを決めた。ドイツの観客も丹羽に大きな声援を送った。

 下写真右はスミルノフ戦後のベンチでの丹羽。熱戦を戦い終えた後とは思えない。クールだぜ…。
〈日本 1-0 ロシア〉
○水谷 8、7、12 シバエフ
 丹羽 対 スミルノフ
 松平 対 スカチコフ
 水谷 対 スミルノフ
 丹羽 対 シバエフ

 日本はエース水谷がきっちり先制点を挙げた。対戦相手のシバエフは世界選手権ロッテルダム大会でワン・ツォンイ(ポーランド)、陳衛星(オーストリア)を連破し、カタールオープンでは柳承敏(韓国)を破っている選手。右ひざのサポーターがトレードマーク(?)だ。水谷はコースの読みにくい3球目攻撃、打球点の高いバックドライブに苦しみ、第3ゲームは10-8のマッチポイントから追いつかれたが、最後は会心の3球目パワードライブをシバエフのフォアミドルへ決めた。

 一発で決まる会心の強打は、最後の一本を含めても3本あったかどうか。それでも緩急を生かした前後の攻めや堅いブロックで、確実に得点を稼ぐ。水谷の引き出しの多さを感じさせる一戦だった。
 現地時間10時からスタートした日本対ロシア戦。グループの1位通過が懸かった一戦だ。
 オーダーは以下の通り

  日本対ロシア
水谷 対 シバエフ
丹羽 対 スミルノフ
松平 対 スカチコフ
水谷 対 スミルノフ
丹羽 対 シバエフ

 ロシアはエース格のスカチコフを下げ、3番で起用。水谷は前日、「今まで2試合とも競り合いになっているシバエフとは当たりたくないけど、こういう舞台で当たって自信をつけたい気持ちもある」と言っていたシバエフとトップで対戦。
 水谷の2点は堅いとしても丹羽が2番でスミルノフに敗れることがあると、ラストまでもつれる可能性が出てくる。
★3月28日・日本チームのタイムテーブル
10:00~(日本時間17:00~) 日本男子 vs. ロシア
13:00~(日本時間20:00~) 日本女子 vs. フランス
19:00~(日本時間26:00~) 日本男子 vs. スロバキア

 大会第4日目、日本男子は朝10時からロシア戦を迎える。日本の予選グループCは日本、ロシア、ベラルーシ、ポーランドが2勝1敗で並ぶ混戦。日本はとにかく今日の2試合を連勝することだ。
 27日に行われた、チャンピオンシップディビジョンの男子予選グループA。スウェーデン対中国という89年世界選手権・男子団体決勝の対戦カードが、ここに再現された。
 89年大会で男子団体優勝を果たしたスウェーデン男子チームで、決勝に出場したのはヤン-オベ・ワルドナー、ヨルゲン・パーソン、ミカエル・アペルグレン。かたや中国は江加良、陳龍燦、騰義。トップでアペルグレンが江加良を破り、スウェーデンが5-0で勝利。スウェーデンはその後、3連覇を達成し、黄金時代を迎えることになる。

 それから23年の月日が流れ、スウェーデンの黄金時代の担い手のひとり、ヨルゲン・パーソンは再びヴェストファーレンハーレンのコートに立った。
 23年前とは、何もかもが変わった。ボールは38mmから40mmになった。試合形式が21点制から11点制になった。ハンドハイドサービスは使えなくなり、スピードグルーは禁止された。最先端の技術だったカウンタードライブはスタンダードになったし、ペンホルダーが裏面でドライブを打つようになった。

 スウェーデンは欧州の中堅チームとなり、中国は一時期の低迷から復活して、最強軍団の名をほしいままにしている。それでも、パーソンは時代の先端を走り続け、決して「浦島太郎」にはならないのだから凄い。現代卓球の象徴的な技術になったチキータに近いバックフリックも、80年代から使いこなしていた。

 中国男子が現世界王者の張継科を3番に下げ、馬龍と馬琳を2点起用する慎重なオーダーを組んだのは、スウェーデンに対する敬意か、それともパーソンに対する敬意か。パーソンは馬琳から第2ゲームを奪い、今大会の中国から初めて1ゲームを奪った。結局1-3で敗れたものの、観客は盛大な拍手をこの老雄に送った。下写真右は89年大会での男子団体表彰。
 2015年の世界選手権は、中国の江蘇省・蘇州市で開催されることがITTF総会で決定した。中国での世界選手権は2008年の広州大会以来7年ぶり、5度目の開催となる。

 中国には「上有天堂、下有蘇杭」という有名な言葉がある。「天には天国あり、地には蘇州・杭州あり」、つまり蘇州と杭州は地上の天国という意味だ。中国では有名な観光地で、美人が多い街としても知られる(本当ですヨ)。上海市からも車で1時間半程度、アジア卓球連合の蔡振華会長の出身地・無錫にもほど近い。

 また、国際卓球連盟の加盟協会数は217になり、バレーボールに次いで2番目に多い連盟となった。下写真は会見するITTFのシャララ会長。
 呉佳多とのエース対決で完璧なプレーを見せた福原。試合後のミックスゾーンで、ゆっくりと言葉を選ぶようにコメントした。
 「やっと当たりましたね(笑)。今日は初めから2点取るつもりでいった。ドイツに5-0で勝つくらいの気持ちでいった。それで最悪でも3点取って勝とうと。
 呉佳多とやるのは今回が初めて。試合の展開は想像がつかなかったけど、ドイツはホームチームだから少しやりにくさはあった。ただ、ボール自体のやりにくさは特に感じなかった。やったことのない相手だったから、準備は入念にしてきた。今日のプレーを見る限りでは調子は悪くないと思います。
 1位通過は決まっても、明日はもうひと試合ある。この勢いを明日で落とさないように、このまま決勝トーナメントへ進めるようにしたい。まずは第一段階クリア。予選リーグは絶対1位通過というのが最低限の目標だったので、ここからですね」
〈日本 3-0 ドイツ〉
○石川 3、-6、7、9 ジルベライゼン
○福原 3、7、10 呉佳多
○平野 3、9、4 イヴァンカン

 3番平野も圧巻のカット打ちでイヴァンカンに完勝。唯一競り合った第2ゲームは、10-9のゲームポイントでフォア前への横下回転サービスでサービスエース。第3ゲームは5-3からの5点連取であっという間にマッチポイントを奪い、最後は平野のループドライブに、イヴァンカンのカットがオーバーミス。イヴァンカンは威力あるフォアの攻撃が売りのチョッパーだが、あれだけ平野に完璧にブロックされては、打つ手がない。カットもダメ、打ってもダメという「ダルマさん状態」になってしまった。地元ドイツの観衆も諦めムード。

 日本女子、これで明日のフランス戦を残して、予選グループCの1位通過が確定。これで一気に流れに乗っていけそうだ。
〈日本 2-0 ドイツ〉
○石川 3、-6、7、9 ジルベライゼン
○福原 3、7、10 呉佳多
 平野 3 イヴァンカン
 石川 vs. 呉佳多
 福原 vs. ジルベライゼン

 日本女子、強い。トップ石川、2番福原が勝利を挙げ、勝利に王手を賭けた。
 トップ石川は、ここまで薄いもやがかかったような試合が多かったが、このジルベライセン戦(言いにくい)はようやくもやの間から光がもれてきた(わかりにくい)。まだ100%とはいかないが、80%くらいまで調子が上がってきている。出足で変化の激しいハイトスサービスから、バックストレートへ目の覚めるような3球目フォアドライブを決めた。
 ジルベライセンはバックドライブを主戦武器とするタイプで、3球目での回転量の多いバックドライブはやっかいだったが、石川はきっちり要所を締めた。

 2番福原のプレーは文句のつけようがなかった。これまで相手チームのエースと当たらず、「ドイツ戦まで一度くらい(エースと)やっておきたかった」とコメントしたが、そんな不安はまったくなかった。ナックルと下回転の変化のわかりにくいサービスでサービスエースを何本も取り、呉佳多のフォア攻めにも安定したドライブ連打で対応。「不動」と言っていいほど自信に満ちあふれたプレーを見せた。

 3番平野もイヴァンカンから1ゲームを先取。日本、このまま一気に決めよう。

下写真:左から石川、福原、福原に敗れた呉佳多
 クロアチア戦を3-0で制した日本男子チーム。宮﨑義仁監督の試合後のコメント

 「昨日のミーティングで背水の陣なので、(水谷)隼はフル出場だけど、ドクター、マッサーが全面バックアップすると言いました。本人もわかりましたと。チームが一致団結してやれたので、今日の結果になった。

 今日は一番ほめられるのは、3番の賢二です。とにかく相手のフォア対自分の全面で行け、ラリーを引け、一発で行くなとアドバイスしたら、相手が崩れてきた。今の最終ゲームのような戦い方ができれば上位の選手とも互角にやれる。世界の舞台で少しずつ勝てる選手になってきている。

 水谷の肩は問題ない。ただ、今までの経験からいって、予選リーグで頑張っていったら中国戦では万全の状態で戦えない。でも、昨日負けたから全部出てもらうしかない。心配なのは岸川。ここは一回休ませるのが重要だった。
 賢二の活躍に救われました。昨日の負けを帳消しにする必要があった。全員の力で乗り切らなければいけないし、明日が天王山です」